最新文芸情報


2016.11〜12

●12月31日…オフ会の申込み受付確認メールを元旦の夜に送りますね。参加を迷っている方、どうぞ気軽に足を運んで下さいませ!

//来年は世界がよりよき方向へ向かう年になりますように。心からそう願う。
●12月30日…大晦日の深夜、Eテレで『日曜美術館』の特番“ゆく美くる美”がオンエアされる!今年一年間の展覧会の振り返りや、来年開催の必見展覧会など役立ち情報がいろいろ。アートファンには嬉しい番組っすね!
●12月28日…今年、大井川鉄道で実現した、リアル「きかんしゃトーマス号」と「ジェームス号」の重連運転の動画(40秒)に目を見張った。これ、子どもが見たら狂喜乱舞だろ。
●12月25日…1980年代にポップデュオ「ワム!」で活躍した英国の人気歌手ジョージ・マイケルさんがクリスマスに他界との速報。享年53歳。若いなぁ…。※ワム!『ラストクリスマス』(4分37秒)
●12月23日…NHK『探検バクモン』によると手塚治虫先生が、最後に仕事場で流していた音楽はベートーヴェン第九の第3楽章。レコードプレイヤーに載ったままだった。第九はコーラスのある終楽章が有名だけど、この天上の調べのように美しい第3楽章も人類遺産。先生がこの曲を聴きながら遺作『ルードウィヒ・B』を描いていたと思うと胸熱。
●12月22日…新潟糸魚川市街の大火、強風下で10時間以上も火の粉が舞い、140棟も延焼とのこと。744人に避難勧告。焼き出された方は大変な年の瀬に。行政は迅速なサポートを。
●12月20日…ドイツ、トルコ、スイスでテロ。ベルリンの暴走トラック(死傷者57人、うち死者12人)はニースの事件を思い起こさせる。移民に寛大でイスラム世界に理解を示そうとしているドイツを狙うとは、あまりにイカレている。メルケル独首相の絶望が会見の「このような殺人がなぜ起きるのか、どうやって生きて行けば良いのか…その答えは私にはありません」から伝わってきた。普通は国のリーダーがこんな弱音を吐いちゃダメなんだけど、移民を受け入れてきたメルケルだけに絶句するのも分かる…。
●12月18日…(取り急ぎ)『スター・ウォーズ ローグ・ワン』、4DXで観賞できる人は必ず4DXで!後半の空中戦でぶっ飛ぶ!素晴らしすぎて、帰宅後に連続でエピソード4を観賞。伏線がこれほどあったとは!
●12月15日…安倍氏や維新は「カジノで外国人観光客にお金を落としてもらう」と言うが、外国人専門では客不足で経営が成り立たない。カジノ候補の横浜市は利用客の「8割」を日本人と想定して試算。カジノ運営は日本にノウハウがないため外国企業が主体になるという。またしても日本国民のお金が海外に流出する構図。

//プーチンが日本で温泉に入っている間、シリアではロシア支援の独裁者アサドが、アレッポで市民を無差別に大量殺害。ケリー米国務長官「アサド政権がしたことは虐殺にほかならない」。9月にもロシア&アサド軍がアレッポで子ども96人を殺害している。EUはロシアへの経済制裁を来夏まで延長を決定。
●12月14日…シネマ・レビュー最終章、邦画編その2です!今月は、18日に『スター・ウォーズ ローグ・ワン』を観に行く予定。

★君の名は。(93点)SF青春映画の傑作。前半は男女入れ替わりが巻き起こす騒動に何度も笑い、後半は想定外過ぎる“タイムリミット”に手に汗を握った。タキとミツハは2人とも純粋&応援したくなる若者で、彼らの悩みや想いに涙腺が緩むシーンも何カ所かあった。背景美術の圧倒的なクオリティ、時間早送りの際の光の変化に目を見張ったが、中でも“音”の豊かさに感心した。神楽の舞で聞こえていた虫の声に、自分が夜の境内にいるような錯覚を覚えた。声優さんもめっさ上手。視界いっぱいの大空や、山上から地平線を見るシーンが多く、大きなスクリーンで見て本当に良かった。
これまで新海監督の作品は全て見てきて、『秒速5センチメートル』のようにバッドエンドの可能性が捨てきれないことから、本作はラストまでどうなるかドキハラ。ミツハに対するクラスメートの陰口にタキが机を蹴飛ばしたり、服に嫌がらせをされたら刺繍で返したり、生き生きとした2人の描写に見ているこちらも元気が出た。もちろん、欠点はいろいろある。なぜ入れ替わったのがこの2人だったのか、何も理由が描かれてない。きっかけすらだ。ケータイを使っているのに一度も年号を見なかったのか等々。でも、そういうことは物語全体の勢いの前にどうでもよくなった。最後に一言、てっしーは良いヤツ!

★シン・ゴジラ(85点)2004年の『ゴジラ FINAL WARS』以来となる、12年ぶりの新作ゴジラに期待して劇場へ。自衛隊の全力総攻撃をものともせず、米軍ステルス機の秒殺など、強いゴジラを堪能。特に放射能火炎を初めて吐くシーンは、荘厳なコーラスと相まって、美しいやら恐ろしいやらで神がかっていた。そして畏怖と絶望で涙目に。劇場の空気も「このゴジラはやばい」と変わったのを感じた。
上陸時、新アンギラス登場と思ってたら、まさかの第一形態。このアイデアは面白い。“無人在来線爆弾”は名前もビジュアルも最高だった。伊福部昭の音楽を大音量で聴けて至福。会議の場面が多すぎる気もしたけど、制作費が少ないため、特撮シーンを減らして場をしのぐため必要と解釈。ちなみに、『男たちの大和』の制作費は25億円、『ヤッターマン』20億円に比べて、シン・ゴジラは15億円とホント少ない。ハリウッドなら100億円超えている。裏を返せば、低予算でもここまで迫力ある映像が作れるということ。今回の大ヒットを受けて、次回は何倍も制作費が増えるはず。庵野監督が『シン・ゴジラ』で出来なかったことを、次は存分に実現して欲しい。

★海街diary(75点)約2時間という尺があるのに、取り立てて大きな事件も起こらず、普通なら途中で飽きそうなもの。だが小津映画のようにいつまでも観られる。四姉妹が鎌倉で過ごす日常を描くだけで絵になるから不思議。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという華のある配役の功ともいえる。日々の生活において、性格の違う四人が物事にどんな反応を見せるのか、それを見ているだけで面白い。すずが風呂上がりに扇風機に当たるシーンは僕の中で伝説に。

★合葬(60点)幕末ファンゆえ、彰義隊の上野戦争にスポットが当たると聞き、気合いを入れて観賞。ところが、肝心の上野戦争はほとんど描かれず肩透かし(さあ開戦→次のシーンで敗走)。“合葬”というタイトルから、どんな激しい戦闘が再現されるのかと…。あれならテレビドラマで十分。

★グラスホッパー(84点)「俺は自殺するんじゃない。飛ぶんだよ。死ぬのはそのついでだ」は映画史に残るセリフ。現代版・必殺仕事人が活躍。悪党どもが人の命を屁とも思っていないほんと酷いヤツらで、どんでん返しが痛快だった。生田斗真が悪党のボスを相手に一歩も引かないのが良い。優しい顔の吉岡秀隆が殺し屋というのは配役の妙。浅野忠信と山田涼介の肉弾戦も激しかった。しっかし、タクシーの運転手2人が処刑されたのはトラウマだわ…。仕事人たちの続編を作って欲しい。

★ビリギャル(75点)慶応合格という有名な結末を既に観客が知っていて、それでも退屈させずに2時間見せるというのは、とてもハードルが高かったと思う。母が必至に塾費用を工面していたり、野球選手の夢を息子に押し付けている父の改心があったり、何だかんだで良い映画になっていた。有村架純の可愛さは異常!(シネマ・レビューおしまい)

//沖縄の輸送ヘリ・オスプレイ事故の速報、朝のニュースでは“不時着”と言っているけど、画像を見ると機体がバラバラに砕けており、墜落にしか見えない。なぜこんな事故が起きた?→続報によると、空中給油に失敗して落下したとのこと。プロペラが給油ホースに当たって破損したという。また、同日夜に別のオスプレイが着陸時の機体トラブルで胴体着陸したことが判明。一晩に2機か…。
実はオスプレイの重大事故率は、海兵隊所有の航空機全体の平均より低い。平均は2.45件(10万飛行時間当たり)だけど、オスプレイは1.93件。とはいえ、昨年ハワイで墜落して2人死んでいることや、開発時の事故で注目を浴びている機体であり、配備に対する反発は大きくなるだろう。

//4夜連続NHKでやってる歴史ドラマ『東京裁判』、判事たちの葛藤が描かれており面白い。今夜から被告の弁論が始まる。
●12月13日…シネマ・レビュー第3弾、邦画編その1です!

★この世界の片隅に(97点)歴史的なアニメ作品が誕生した。反戦メッセージをことさら大声で叫ぶのではなく、戦時下の日常生活を通して、戦争の愚かさ、むごさを肌感覚で教えてくれた。
「これがつい70年前の日本なのか」と改めて驚く。むろん、これまでに様々な映画やドラマで戦時下の生活を見知ってはいたけれど、これほど臨場感をもってあの空間に身を置いたのは初めて。戦後70年を経て戦争体験者がどんどん減り、戦争中の市民生活を想像することは困難。だけど、この作品は緻密に描かれた映像とリアルな音響で、あの時代に体ごと運んでくれた。
主人公は広島市の実家から近隣の呉市に嫁いだ女性すず。穏やかな日々は戦局の悪化で次第に息苦しくなり、軍港のある呉は何度も何度も空襲に遭う。だが、生きていくためにはへこんでおられず、乏しい食糧でも野草を混ぜるなど工夫して食卓に出し、毎日を精一杯生きていく(食事シーンが非常に多い)。
劇中の空気は、のどかな呉の風景の中に軍の高射砲が初めて鳴り響いたときに変わった。機銃掃射や対空砲火の音はそれだけで身が縮む。防空壕の中にいても空襲はめちゃくちゃ怖い。でも、空襲が何度も続くと、それが日常になっていき、異常と感じられなくなっていく。明らかに多くの死傷者が出ているはずなのに、物語の終盤まで遺体は徹底して描かれず、それが逆に想像力を刺激して怖かった。
原爆の描写もそう。8月6日の朝、閃光が広島方面で光り、巨大なキノコ雲が浮かぶ。呉からは約20kmも離れているので音は聞こえない。でも、庭先の木の枝に“飛んできたもの”が引っ掛かっている。それだけで十分すぎるほど恐ろしい。
印象に残ったのは一時休暇で帰郷した幼馴染みの若い水兵が、「すずは昔と何も変わっていない」と感動し、「お前は普通でいてくれ」と願うセリフ。水兵の目には、一般市民以上に世界がすっかり変わって見えていたはず。ところが、すずは自分の世界を保ったままマイペースに生きている。そんなずずの存在が彼には希望(平穏な日々の象徴)に感じられたのだろう。
全編で最も忘れられない場面は、【ネタバレ文字反転】空襲で幼い娘を失った義姉が、戦争終結を知った後に物陰で「ハルミ…」と泣き崩れるカット。あと数ヶ月生きていたら戦争が終わっていた。それを考えると本当に辛い。最後に孤児の女の子がみんなの愛情を得て成長していくエンディングで、義姉やすずが見せた笑顔に泣けた。

※本作が超傑作という大前提で、どうしても指摘しておきたい点を。満点ではなく97点なのは原作にあった物語の核心となる2つの重要セリフがカットされていたから。原作では幼馴染みの水兵が「わしが死んでも一緒くたに英霊にして拝まんでくれ。笑うてわしを思い出してくれ。それが出来んようなら忘れてくれ」と願うセリフがある。“一緒くたに英霊にして拝むな”は、戦争ドラマでよく見かける“靖国で会おう”とは真逆の言葉。無謀な作戦命令で若者を死に追い込み、英霊という言葉で責任回避する戦争指導者の誤魔化しをあぶり出すセリフだ。
そしてもうひとつ。これは最もカットして欲しくなかった言葉。劇中では玉音放送を聞いたすずが「最後の一人まで戦うんじゃなかったんかね?」「うちはこんなん納得出来ん!」と畑で号泣する。原作ではその後にこう続く。「この国から正義が飛び去ってゆく。暴力で従えとったという事か。じゃけえ、暴力に屈するいう事かね。それがこの国の正体かね。うちも知らんまま死にたかったなぁ…」。“聖戦”と呼んで正義の戦いと思っていたからこそ、戦時下の苦しい生活や、身内の死を耐えて来たが、政府は暴力で国民や占領地の人々を従えていただけ(原作では玉音放送後に、朝鮮出身者が韓国の国旗を揚げるのをすずが見ている)。
“この国の正体”は絶対に入れて欲しかった。このセリフがなくても、ずっと映画を見ていたら主人公の気持ちは伝わると思う反面、あの戦争を美化したい人の中で「最後の一人まで戦う」という言葉が一人歩きし、すずの号泣を「戦争に負けて悔しかったから泣いている」「日本はむしろ被害者」と誤解されそうで気がかり。付け加えるなら、海外の人は原爆のことを“とても強力な爆弾”という程度の認識で、放射能の怖さを知らない人が少なくない。だから妹の肌の斑点も、被曝の影響と分かる説明が欲しかった。海外の人は、あの斑点をただの皮膚病と思わないか心配。

※のんこと能年玲奈の声は一長一短。すずの役柄にはドンピシャの声。でも、大声で叫ぶシーンでは“あまちゃん”が重なり、すずの顔とあまちゃんの顔がオーバーラップ、現実に引き戻された(汗)。

※被害者・加害者云々を越えて普遍的な戦争の悲惨さを描いているのは十分に分かっており、以下のコメントが場違いと分かっていながら、一点だけ補足。歴史を学ばずに本作だけ観ると、日本は一方的に被害者に見えてしまう。でも世界で最初に首都の都市爆撃をしたのは日本軍(ナチスが先に空爆したゲルニカは地方の町)。1939年から41年にかけ、当時の中国の首都・重慶に4333トンもの爆弾を投下した。当初は軍事施設を目標にしていたけれど、次第に無差別じゅうたん爆撃になり、犠牲となった約1万人のほとんどが女性や子どもを含む非戦闘員。他の町では毒ガスも使っている。こうした非人道的行為を棚上げしたまま観賞することで、被害国の市民と意識のズレが生じないか、それを懸念してしまった。本作でそのことに触れる必要はないけれど、学校教育で重慶爆撃をきちんと教えていないのは大問題っす。

※エンドロールでは制作費にクラウド・ファウンディングで協力した人々の名前がたくさん流れた。あんなエンドロールを見たのは初めて。彼らの協力があってこうして観賞できるわけで、支援者に心から感謝した。

★天空の蜂(86点)よくこの時勢に原発をテロ目標にした映画の企画が通り、上映が実演したもの。原作は1995年に東野圭吾が発表した小説(福島原発事故の16年前)。本木雅弘が名演。犯人の怒りは、無責任な政府だけでなく、原発政策に無関心な一般国民にも向けられている。残念だったのは時間の使い方。タイムリミットが迫っているのに、なんで心境をのんびりと語っているのか。あれで緊張感が台無し。

★利休にたずねよ(85点)晩年の秀吉と対峙する利休は様々なドラマで描かれてきたけど、本作は利休が茶の湯を始める前の、青春時代から描いているのが新鮮。半島から売られてきた女性を助けようとするエピソードは切なかった。海老蔵は歌舞伎で培った身のこなしが美しく、一般俳優の演じる利休と比べると別格の存在感だった。
(つづく/明日は邦画編その2)
●12月12日…カジノ解禁法案、あと2日で強行採決の様相。だがカジノで国が繁栄するというのは幻想。今夜の報ステによると、カジノ先進国の韓国では、カジノの収益が16.5兆ウォンであるのに対し、賭博中毒者の対策費が78.2兆ウォンと約5倍。カジノが建設されたチョンソン郡の自殺者数は全国平均の1.6倍。ギャンブル産業の裏で失われる命がある。カジノで雇用者を増やす地域振興策のハズが、治安が悪化して逆に住民が減ってしまった。ハワイは先住民が「賭博は嫌いだ」とカジノを一切拒否。だが、ハワイはカジノが一件もなくても世界屈指の観光地になっている。日本にだって独自の観光資源がいっぱい。美しい自然風土や伝統文化で世界の観光客を呼び込めば良い。
国会質疑の蓮舫議員「カジノはなぜ問題なのか。それは負けた人の賭け金が収益だからです。サービス業やモノ作り産業のような新たな付加価値は全く生み出しません。これのどこが成長産業なんでしょうか。私は国家の品格に欠くと思います」「暴力団のマネーロンダリングの問題もどうやって排除するか説明していない」「やめたいのにやめられない。家中の金を持ち出す。闇金で借金を繰り返す。これがギャンブル依存症の怖さです。どうしてカジノが必要なのか」
これに対して安倍氏は「政府提出ではなく議員立法だから」と答弁を拒否。しかし、カジノ解禁の最大の旗振り役は安倍氏。安倍氏は2011年にIR(カジノ)議連ができた際、最高顧問に就任している。そして一昨年、シンガポールでカジノを視察し「日本の成長産業の目玉になる」と声明を出している。

来年度予算のギャンブル依存症対策費は約5億円(韓国は約8兆円)とわずかしかなく、しかもここには薬物・アルコール依存症も含まれている。カジノで人生や家庭が破壊される人がたくさん生まれる以上、議員が勝手に決めるのではなく、国民投票でカジノ法案の是非を問うべきだ。
※公明党の議員はこれまで秘密保護法のときも安保法案のときも、全員一致で自民案に賛成票を投じてきた。ところが今回、衆院では異例の自主投票になり、公明出席議員33人のうち、賛成22人、反対11人と意見が分かれた。反対したのは井上義久幹事長、大口善徳国対委員長、富田茂之幹事長代理ら。一方、太田昭宏前代表、石井啓一国土交通相、漆原良夫中央幹事会会長らは賛成した。やっと、公明の議員にも国会で自民の法案に反対する議員が出てきた。ほんと、この日を待っていた。勇気をもって反対した11人に敬意を表したい。
※日本書紀には689年の持統天皇の時代に双六を禁止する御触れが出ている。以来、ずっと賭博は御法度だったが庶民はやめなかった。明治時代に刑法で賭博が禁止になったが、競馬、競輪は公営ギャンブルとして認められた。最も深刻なのはパチンコ中毒で、ギャンブル依存症536万人の8割を占めている。

//シネマ・レビュー特集・洋画編の続きです!

★シビル・ウォー キャプテン・アメリカ(90点)事実上のアベンジャーズ3と言っていいほど豪華メンバーが集結!マーベルヒーローが6対6に別れてスーパーバトル。各ヒーローの能力をフルに引き出した空港の戦いは見事なアクション演出だった。とはいえ、内容は正義と正義の衝突であり、仲間同士の内乱を描いた重いもの。アイアンマンは「ヒーローも行動を誤る可能性があるため国連・政府など合議制の権力で管理すべき」と考え、キャプテン・アメリカは「正義に基づいたヒーロー個人の自由意思、独断行動を認めるべきで権力の介入は無用」と考えた。両者のガチバトルは、子どもにはつらい光景と思う。従来のヒーロー映画なら、味方同士が本格的に戦う前に、巨大な敵が登場して再び協力するんだけど、本作ではそういうことはなく殺伐END。その中でスパイダーマンとアントマンがギャグ担当で時々明るくしてくれたことに感謝。

★ファインディング・ドリー(95点)コミカルな雰囲気の映画だけど、描かれていることは障害を抱える者と周囲のサポート。主人公のドリーは重度の記憶障害で何でもすぐに忘れてしまう。前作ではそれを面白おかしく描き、客席から笑いが起きていた。実際、彼女は障害をあまり気にせず、とてもポジティブに生きている。ただ、それが時には接する相手をイライラさせることがあり、何度も同じ質問をされてうっとうしいと感じる魚も。前作でニモの父親マーリンはため息をついたり、否定的な態度をとることもあった。でも、今回は彼女の生き別れた両親を探す旅に協力し、ドリーがはぐれたときは「ドリーならどうするか」と、ニモと一緒に相手の立場になって考えていた。何度も何度も、彼女の目線で物事を考え、ドリーを理解しようとした。「ドリーならどうするか」、この共感がいかに大切なことか。作品全体としても、彼女を“お馬鹿だけど良いヤツ”という扱いにはせず、障害と向き合い克服しようと努力する姿を描いており、記憶障害を笑いの対象にする空気は劇場から消えていった。一方、ギャグやアクションも盛り沢山で、クライマックスのルイ・アームストロングは得も言われぬ解放感があった。“八代亜紀”の場違い感に驚いたけど、英語版ではシガーニー・ウィーバーが担当しており、これはこれで納得。エンドロール後に前作のギルたちが海洋生物研究所に捕まったけど、研究所の目的は海に返すことだから、ハッピーエンドは約束されている。何から何まで、さすがピクサーとしか。同時上映された短編「ひな鳥の冒険」も愛らしく素晴らしかった。

★ズートピア(93点)動物界を舞台に偏見や差別を取り上げ、「先入観で他者を判断すべきでない」というメッセージを込めた、ディズニー映画の革命ともいえる社会派アニメ。主人公のウサギ婦人警官は弱者に対する差別の象徴、キツネは有色人種に対する差別の象徴。自分の理想のために肉食動物を滅ぼそうとする考えは、不寛容な過激派テロ組織そのまま。そのヘビーなテーマを、子どもでも楽しめる愉快な動物ムービーで描くという離れ技を見せたディズニーに感嘆。

★バットマン vs スーパーマン ジャスティス(50点)ヒーローの活躍による街の破壊や、一般市民の犠牲をどう捉えるかというハードなテーマ。スーパーマンは前作『マン・オブ・スティール』で地球を救ったけど、NYのド真ン中で戦った為に多数の市民が犠牲になった。バットマンは巻き込まれて大怪我した市民の救出に奔走。スーパーマンが異星人であり、また神のごとき力を持っていることから、バットマンはスーパーマンを「過大な力は必ず災いをもたらす」と危険視。両者は衝突必至に。アベンジャーズのようなユーモアはほぼ皆無、最後のバトルまで本格的なアクションシーンがなく、完全に子どもを突き放した内容。ヒーロー映画からイメージする“光を浴びて戦うポジティブな英雄”とはほど遠い、沈痛陰気なスーパーマン、さらに根暗なバットマン、暗い画面、重い音楽、151分というダラダラ長い上映時間…もはや苦行に近かった。ただ、ワンダーウーマンの登場シーンがこのうえなく胸熱で、チケット代のもとはとれた。まさか彼女が主役2人より目立つとは。

★オデッセイ(90点)原題は『The Martian(火星人)』。映画ファンをしていて幸せな瞬間は、普通なら一生体験できないことをスクリーンを通して疑似体験できること。本作では「火星サバイバル」がまさにソレ。独りぼっちの火星でジャガイモ畑を作ったり、水を生成したり、16進法を使って通信するなど、科学知識を総動員して生き残る過程は知的好奇心を刺激する。世界の人々が主人公マークのことを、米国人ではなく地球人として考え、ライバルの中国も人命救助は理屈でないと協力。ポジティブなエネルギーに満ちた作品。デビッドボウイのスターマンが最高。鑑賞後、無性にジャガイモが食べたくなった(笑)。

★007 スペクター(75点)悪の組織スペクターがいよいよ前面に出るということで、大傑作『スカイフォール』の後にどう繋げるのか期待に胸を膨らませて観賞。会議シーンの恐ろしい雰囲気にゾクゾク。ところが、物語が進むにつれ、悪のカリスマ感が薄れ、ただのマッド集団に。それでも、ダニエル・クレイグがボンドとなって4作目の集大成であり、上空、水上、雪上、地上を舞台に無双する勇姿はそれだけで胸熱。十分に楽しめた。

★白鯨との闘い(90点)これまでに観賞した映画で、最も4DXの真価を引き出した作品。大海原に浮かぶ帆船と、波に揺られて上下に動く4DXの椅子は相性がドンピシャ!顔にかかる水しぶきも普段の映画より多い。巨大な白鯨が船に体当たりしてくるシーンはマジで縮み上がった。怖すぎ。ただし、映画の原題は『In the Heart of the Sea(海の中心で)』であり、実
は白鯨と戦うのは中盤まで、後半はずっと小舟の漂流記。タイトルとギャップがある。それでも、アメリカ文学の最高峰『白鯨』の作者ハーマン・メルビルが取材のため登場したり、石油が普及する前にいかに鯨油が重宝されていたか、また鯨油を採るためには鯨の頭の中に入って汲み上げるとか、知らない情報がたくさんあり、この高得点に。命がけで鯨油を採ってきた男が、最後に“地面を掘ったら油が出てきた”という話を聞いた時の表情が忘れられない。

★グローリー/明日への行進(85点)黒人差別と非暴力で戦い、公民権運動を勝利に導いたキング牧師の伝記。物語の中心は、南部の街セルマで黒人投票権を求めて行う“自由への行進”。だが、白人警官はただ歩くだけの行進を認めず、警棒で参加者をボコボコに殴打、中には射殺する警官までいる。黒人に同情して一緒に歩いた白人聖職者は、“白いニガー”と呼ばれリンチで殺された。もうメチャクチャだ。非暴力の平和主義者は、人を殺しても罪に問われない差別主義者を相手に戦う。平和主義者は“お花畑”と嘲笑されることがあるが、非暴力側は殺される覚悟をもって歩いており、それがどれほど勇気がいることか。そのことを伝える力作。

★ナイトミュージアム(78点)博物館の標本が夜になったら動き出す、そんな子どもの夢のような現象を映像化。ローマ帝国の兵士と西部のガンマンたちがいつも喧嘩していたり、狂暴に見えたTレックス(骨格)が遊びをねだる甘えん坊だったり、モアイ像がガムを噛んでたり、子ども達が喜びそうなユーモアがいっぱい入った映画。

★ターミネーター:新起動/ジェニシス(86点)米国では興行成績がふるわず、ネットの評判もイマイチということで全く期待しないで観賞したら、意外にこれが面白い!サラが少女時代からシュワミネーターに護られている設定は両者に感情移入しやすい。ターミネーターの人工皮膚も経年劣化するという設定を設け、老いた姿のシュワをそのまま違和感なく活躍させていた。ターミネーター同士の迫力ある殴り合い、T-1000のオマージュや、抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーの仰天設定もあり、想定外の方向へ話が広がり飽きさせない。パート3、パート4となるにつれ“ターミネーター・シリーズの必要性はあるのか”と違和感を感じていたけど、本作は紛れもなくターミネーターであり、新3部作に期待。
キャメロン御大は「100点満点」と絶賛。「1作目、2作目をリスペクトしたつくりだ。さらに予想外の展開から、未知の領域に踏み込んだ。シリーズに新たな命が吹き込まれたと感じた。まるでルネッサンスだ!」「本作は私にとっては『ターミネーター』の3作目だ。アーノルドがキャラクターをさらに進化させている!」「私が創造し愛されたキャラクターが帰ってきた」。
(つづく・明日は邦画編)
●12月11日…年末ということもあり、今年見た作品を中心に3日間連続でシネマ・レビューをアップします!※僕は基本的に甘いです。映画を観られるだけで嬉しいと思っているので。

★ブリッジ・オブ・スパイ(93点)…実話の映画化。冷戦真っ只中の1957年に、敵国ソ連の老スパイを弁護することになった“アメリカの敵”弁護士ドノヴァンをトム・ハンクスが好演。米国世論は「スパイを死刑に」。裁判長も最初から死刑ありき。だがドノヴァンは弁護士の責務として減刑を勝ち取るため尽力し、米国民から「スパイの味方」として憎まれ、自宅に右翼から銃弾が撃ち込まれても、プロとして弁護を貫く。「国家が命じた仕事をして殺される、それは人道的に許されるのか?」と。最も印象的だったのは、情報提供を求めてきたCIAに憲法の話をした次の会話。
「ヤツは何を喋った?」「弁護士の守秘義務を破れと?」「頼むよ弁護士さん」「弁護士に“頼むよ”はやめてくれ。判事にも言われた。実に不快な言葉だ」「守秘義務については分かるが私は別のことを話している。あなたの国の安全だ。規則にこだわるな。この件に規則などない」「あなたの名はドイツ系だ。私のルーツはアイルランド。我々を“米国人”と規定するものは1つだけ。規則だ。つまり“憲法”。規則に同意し我々は米国人となる。だから“規則はない”と言うな」。
また、連邦最高裁での弁護演説も胸に来た。「スパイとして逮捕された彼はまず戦闘員として扱われ、国を売らないことで政府の対応が変わり、米国国民には当然の保護さえ与えられませんでした。敵国兵士としての扱いは妥当であっても、犯罪者としての扱いは不当です。彼は外国勢力の下、誠実に働きました。たとえ敵国兵士であっても立派な兵士で逃げ隠れしませんでした。二重スパイの提案を拒否し、信義に背くことなく卑怯な道を拒みました。卑怯者は自らの尊厳と共に戦場を捨てる。彼は決してそうはしません。彼に我が国がよって立つ権利を与え我々のあり方を示すべきでは?“我々のあり方”、これこそ冷戦における最強の武器なのでは?我々は彼ほど決然と信義を守り切れるのか?」。
絵画と音楽を愛する老スパイを演じたマーク・ライランスは、セリフではなく、瞳や空気で人柄を伝える名演でアカデミー助演男優賞を受賞。法廷シーン以外にも、米偵察機U-2撃墜事件やベルリンの壁建設など、迫力あるシーンで映画的に盛り上げるのはさすがスピルバーグ。ドノヴァンと老スパイの会話「不安は感じないのか?」「それが役に立つのか?」も良かった。

★ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(90点)マーベルの異色キャラが大活躍。アイアンマンたち地球の平和を守るヒーローと違い、こちらは“銀河”の平和を守るというスケールのデカさ。チーム5人のキャラがよく立っている。70年代ポップスLOVEのタフな男スターロード、頭キレキレだけど口の悪いアライグマのロケット、心優しい植物人間グルート、短気だが純情なパワー系のドラックス、セクシー頑固暗殺者ガモーラ、個性あふれるアウトローたちに最初は距離を感じていたけど、見ているうちにドンドン魅力を感じるように。合体して網になった飛行機もビジュアル的に熱かった。海賊ヨンドゥの口笛ミサイルはヤバイ。続編が楽しみ!

★レヴェナント 蘇えりし者(90点)極寒の大自然、アメリカ北部を舞台に繰り広げられる先住民との戦いや、巨大な熊に襲われるシーンの臨場感がハンパない!そこに自分がいるかのような迫力に圧倒された。我が子の復讐のため、折れた足を引きずって雪山を這う壮絶なサバイバル描写に見入る。主人公の怒りと痛みが全編に満ち、重厚感が漂う画面に息が詰まり、鑑賞後はヘトヘトになった。暖をとるために死んだ馬の内臓を取り出して体内に入ったレオ君は、悲願のアカデミー主演男優賞受賞(おめでとう!)。※撮影のエマニュエル・ルベツキは『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』『ツリー・オブ・ライフ』も担当。タルコフスキーの再来。

★ザ・ウォーク(85点)…ワールド・トレード・センター(ツインタワー)の屋上にワイヤーを張り、命綱なしで横断に成功したフィリップ・プティ。その横断シーンは映画と分かっていても手に汗がびっしょり。何度も「もうやめてくれ」と叫びそうに。だが、この作品は単なるアトラクション映画じゃない。911以降にツインタワーを描くことはそれだけで特別な意味がある。そしてフィリップが観客に語りかけていた場所は、自由の象徴である“自由の女神”のトーチの上。彼がゲットしたツインタワーへの無期限入場パスはもはや使えなくなった。エンディングで喪失感と暴力への怒りが静かに伝わってきた。

★宇宙人ポール(81点)…B級SFへの愛が炸裂する2人のイギリス人SFマニアのお馬鹿なロードムービー。エリア51などUFOオタクの聖地を巡るうちに本物の宇宙人と遭遇、彼を宇宙に帰すための珍道中が始まる。スピルバーグが本人役で電話に出て『E.T.』のアイデアをもらったり、シガニー・ウィーバーが登場したりと何気に豪華。進化論全否定の女性に驚愕、彼女のその後の変化にまた仰天。

★デッドプール(50点)“これはマジでマーベル作品?”と目を疑う、人体破壊グロ&下ネタのオンパレード。思わず笑ったシーンもあるけれど、もう一度見たいとは思わない。

★ルーム(88点)【ネタバレあり】誘拐され7年間監禁されていた女性と、犯人が生ませた男の子。子どもは生まれてから5年間、一度も外に出たことがない。この恐ろしい犯罪を子どもの視点で撮っているのが斬新。そして、本作は母子が解放されるまでがメインではなく、解放後にどうやって社会に適応していくかに重点が置かれているのも異色。脱出後に初めて視界いっぱいの青空を観たときの子どもの感嘆。ノイローゼになった母親に“髪にはパワーがあるから”と、自分の髪を切って贈る優しさに泣けた。“部屋”の家具に朝の挨拶をするシーンに始まり、別れを告げて終わる、実によく出来た脚本。脱出時に保護してくれた女性警官がめっさ有能で良かった。※母親役のブリー・ラーソンはアカデミー主演女優賞を獲得。

★X-MEN:アポカリプス(92点)“こんなのどうやって倒すんだ”と最強のミュータント第1号アポカリプスにビビったが、すべての核兵器を“撤去”してくれたことには感謝(一斉打ち上げは凄い映像だった)。息詰まる死闘の中、高速移動の救出エピソードが楽しい。マグニートに同情する反面、下っ端の警官たちにやり過ぎだろと。ゲスト出演のウルヴァリンがヤバイ。モイラにプロフェッサーXが謝るシーンで泣き、プラス10点。

★マネーモンスター(84点)株で大損した男が生中継の財テクTV番組をハイジャック。騒動を通して、モラルの崩壊した企業経営者による株価操作など、犯罪が明らかになっていく。良作ではあるけれど、1%の富裕層の生活を99%の庶民が支えているこの現代の狂気と異常を、ジョディ・フォスター監督&ジョージ・クルーニーにもっと掘り下げて欲しかった。グロテスクなレベルにまで拡大している格差社会に斬り込んで、社会構造の変革を呼びかけて欲しかった。

★ローン・サバイバー(82点)…米特殊部隊4人対タリバン200人の死闘。集中砲火から逃れるため、断崖を転げ落ちるシーンに絶句。撃たれて死ぬくらいなら骨折の方がマシということか。アフガン人の中にはタリバン相手に戦う人もいて、イスラムをひとくくりにしていない点が特筆に値する。

★ワルキューレ(88点)実際にあったヒトラー暗殺計画を映画化。史実で失敗と知っていたけど、あともう一息だったのか。「ドイツ人すべてがヒトラーでないことを証明するため、ドイツ人の手でヒトラーを倒すことが重要」と、しくじれば殺されると分かっていて立ち上がった反ヒトラー派の勇気に敬意。この映画の鑑賞後、僕はベルリンで計画関係者の墓を墓参した。

★コンタクト(75点)ロバート・ゼメキスがフォレスト・ガンプの次に監督したSFドラマ。原作がNASAのカール・セーガン博士だけあって、生命体探査の科学的アプローチが丁寧に描かれている。冒頭、地球からカメラが離れて行くにつれ、ラジオニュースが過去に遡っていく演出で一気に引き込まれた。異星人にもうちょい意外性が欲しかった。

★ヘラクレス(65点)ギリシャ神話に出てくる神の子としてのヘラクレスではなく、人間の英雄ヘラクレスが伝承によって神となったという切り口は面白い。ただ、神話に出てくる大冒険を見せて欲しかったので肩透かし感は拭えず。

★グランド・ブダペスト・ホテル(85点)アカデミー脚本賞だけあってストーリー展開がうまい。コメディではあるが、主人公は友の名誉を守るためファシストに毅然と立ち向かい、その姿に痺れた。時々出てくる残酷な描写は生理的に好きになれないというか、画面全体の色彩が美しいだけにギョッとなる。瞬殺された看守たちが気の毒だった。

★インデペンデンス・デイ リサージェンス(30点)前作よりさらにスッカスカのストーリーで、エイリアンの造型といい既視感の連続。中国マーケットへのサービスも忘れないしたたかさも見せつけ、劇場を出て3歩で自分が何を見たのか忘れてしまうレベル。だけど、エメリッヒ監督はおそらく確信犯だから低評価はノーダメージ。一方、何も考えずにポカ〜ンと観られる映画の価値も感じていて、僕は既に続編(パート3)を観に行く気満々だ。

(つづく。明日は洋画の後編、明後日は邦画編)
●12月11日…年末ということもあり、今年見た作品を中心に3日間連続でシネマ・レビューをアップします!※僕は基本的に甘いです。映画を観られるだけで嬉しいと思っているので。

★ブリッジ・オブ・スパイ(93点)…実話の映画化。冷戦真っ只中の1957年に、敵国ソ連の老スパイを弁護することになった“アメリカの敵”弁護士ドノヴァンをトム・ハンクスが好演。米国世論は「スパイを死刑に」。裁判長も最初から死刑ありき。だがドノヴァンは弁護士の責務として減刑を勝ち取るため尽力し、米国民から「スパイの味方」として憎まれ、自宅に右翼から銃弾が撃ち込まれても、プロとして弁護を貫く。「国家が命じた仕事をして殺される、それは人道的に許されるのか?」と。最も印象的だったのは、情報提供を求めてきたCIAに憲法の話をした次の会話。
「ヤツは何を喋った?」「弁護士の守秘義務を破れと?」「頼むよ弁護士さん」「弁護士に“頼むよ”はやめてくれ。判事にも言われた。実に不快な言葉だ」「守秘義務については分かるが私は別のことを話している。あなたの国の安全だ。規則にこだわるな。この件に規則などない」「あなたの名はドイツ系だ。私のルーツはアイルランド。我々を“米国人”と規定するものは1つだけ。規則だ。つまり“憲法”。規則に同意し我々は米国人となる。だから“規則はない”と言うな」。
また、連邦最高裁での弁護演説も胸に来た。「スパイとして逮捕された彼はまず戦闘員として扱われ、国を売らないことで政府の対応が変わり、米国国民には当然の保護さえ与えられませんでした。敵国兵士としての扱いは妥当であっても、犯罪者としての扱いは不当です。彼は外国勢力の下、誠実に働きました。たとえ敵国兵士であっても立派な兵士で逃げ隠れしませんでした。二重スパイの提案を拒否し、信義に背くことなく卑怯な道を拒みました。卑怯者は自らの尊厳と共に戦場を捨てる。彼は決してそうはしません。彼に我が国がよって立つ権利を与え我々のあり方を示すべきでは?“我々のあり方”、これこそ冷戦における最強の武器なのでは?我々は彼ほど決然と信義を守り切れるのか?」。
絵画と音楽を愛する老スパイを演じたマーク・ライランスは、セリフではなく、瞳や空気で人柄を伝える名演でアカデミー助演男優賞を受賞。法廷シーン以外にも、米偵察機U-2撃墜事件やベルリンの壁建設など、迫力あるシーンで映画的に盛り上げるのはさすがスピルバーグ。ドノヴァンと老スパイの会話「不安は感じないのか?」「それが役に立つのか?」も良かった。

★ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(90点)マーベルの異色キャラが大活躍。アイアンマンたち地球の平和を守るヒーローと違い、こちらは“銀河”の平和を守るというスケールのデカさ。チーム5人のキャラがよく立っている。70年代ポップスLOVEのタフな男スターロード、頭キレキレだけど口の悪いアライグマのロケット、心優しい植物人間グルート、短気だが純情なパワー系のドラックス、セクシー頑固暗殺者ガモーラ、個性あふれるアウトローたちに最初は距離を感じていたけど、見ているうちにドンドン魅力を感じるように。合体して網になった飛行機もビジュアル的に熱かった。海賊ヨンドゥの口笛ミサイルはヤバイ。続編が楽しみ!

★レヴェナント 蘇えりし者(90点)極寒の大自然、アメリカ北部を舞台に繰り広げられる先住民との戦いや、巨大な熊に襲われるシーンの臨場感がハンパない!そこに自分がいるかのような迫力に圧倒された。我が子の復讐のため、折れた足を引きずって雪山を這う壮絶なサバイバル描写に見入る。主人公の怒りと痛みが全編に満ち、重厚感が漂う画面に息が詰まり、鑑賞後はヘトヘトになった。暖をとるために死んだ馬の内臓を取り出して体内に入ったレオ君は、悲願のアカデミー主演男優賞受賞(おめでとう!)。※撮影のエマニュエル・ルベツキは『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』『ツリー・オブ・ライフ』も担当。タルコフスキーの再来。

★ザ・ウォーク(85点)…ワールド・トレード・センター(ツインタワー)の屋上にワイヤーを張り、命綱なしで横断に成功したフィリップ・プティ。その横断シーンは映画と分かっていても手に汗がびっしょり。何度も「もうやめてくれ」と叫びそうに。だが、この作品は単なるアトラクション映画じゃない。911以降にツインタワーを描くことはそれだけで特別な意味がある。そしてフィリップが観客に語りかけていた場所は、自由の象徴である“自由の女神”のトーチの上。彼がゲットしたツインタワーへの無期限入場パスはもはや使えなくなった。エンディングで喪失感と暴力への怒りが静かに伝わってきた。

★宇宙人ポール(81点)…B級SFへの愛が炸裂する2人のイギリス人SFマニアのお馬鹿なロードムービー。エリア51などUFOオタクの聖地を巡るうちに本物の宇宙人と遭遇、彼を宇宙に帰すための珍道中が始まる。スピルバーグが本人役で電話に出て『E.T.』のアイデアをもらったり、シガニー・ウィーバーが登場したりと何気に豪華。進化論全否定の女性に驚愕、彼女のその後の変化にまた仰天。

★デッドプール(50点)“これはマジでマーベル作品?”と目を疑う、人体破壊グロ&下ネタのオンパレード。思わず笑ったシーンもあるけれど、もう一度見たいとは思わない。

★ルーム(88点)【ネタバレあり】誘拐され7年間監禁されていた女性と、犯人が生ませた男の子。子どもは生まれてから5年間、一度も外に出たことがない。この恐ろしい犯罪を子どもの視点で撮っているのが斬新。そして、本作は母子が解放されるまでがメインではなく、解放後にどうやって社会に適応していくかに重点が置かれているのも異色。脱出後に初めて視界いっぱいの青空を観たときの子どもの感嘆。ノイローゼになった母親に“髪にはパワーがあるから”と、自分の髪を切って贈る優しさに泣けた。“部屋”の家具に朝の挨拶をするシーンに始まり、別れを告げて終わる、実によく出来た脚本。脱出時に保護してくれた女性警官がめっさ有能で良かった。※母親役のブリー・ラーソンはアカデミー主演女優賞を獲得。

★X-MEN:アポカリプス(92点)“こんなのどうやって倒すんだ”と最強のミュータント第1号アポカリプスにビビったが、すべての核兵器を“撤去”してくれたことには感謝(一斉打ち上げは凄い映像だった)。息詰まる死闘の中、高速移動の救出エピソードが楽しい。マグニートに同情する反面、下っ端の警官たちにやり過ぎだろと。ゲスト出演のウルヴァリンがヤバイ。モイラにプロフェッサーXが謝るシーンで泣き、プラス10点。

★マネーモンスター(84点)株で大損した男が生中継の財テクTV番組をハイジャック。騒動を通して、モラルの崩壊した企業経営者による株価操作など、犯罪が明らかになっていく。良作ではあるけれど、1%の富裕層の生活を99%の庶民が支えているこの現代の狂気と異常を、ジョディ・フォスター監督&ジョージ・クルーニーにもっと掘り下げて欲しかった。グロテスクなレベルにまで拡大している格差社会に斬り込んで、社会構造の変革を呼びかけて欲しかった。

★ローン・サバイバー(82点)…米特殊部隊4人対タリバン200人の死闘。集中砲火から逃れるため、断崖を転げ落ちるシーンに絶句。撃たれて死ぬくらいなら骨折の方がマシということか。アフガン人の中にはタリバン相手に戦う人もいて、イスラムをひとくくりにしていない点が特筆に値する。

★ワルキューレ(88点)実際にあったヒトラー暗殺計画を映画化。史実で失敗と知っていたけど、あともう一息だったのか。「ドイツ人すべてがヒトラーでないことを証明するため、ドイツ人の手でヒトラーを倒すことが重要」と、しくじれば殺されると分かっていて立ち上がった反ヒトラー派の勇気に敬意。この映画の鑑賞後、僕はベルリンで計画関係者の墓を墓参した。

★コンタクト(75点)ロバート・ゼメキスがフォレスト・ガンプの次に監督したSFドラマ。原作がNASAのカール・セーガン博士だけあって、生命体探査の科学的アプローチが丁寧に描かれている。冒頭、地球からカメラが離れて行くにつれ、ラジオニュースが過去に遡っていく演出で一気に引き込まれた。異星人にもうちょい意外性が欲しかった。

★ヘラクレス(65点)ギリシャ神話に出てくる神の子としてのヘラクレスではなく、人間の英雄ヘラクレスが伝承によって神となったという切り口は面白い。ただ、神話に出てくる大冒険を見せて欲しかったので肩透かし感は拭えず。

★グランド・ブダペスト・ホテル(85点)アカデミー脚本賞だけあってストーリー展開がうまい。コメディではあるが、主人公は友の名誉を守るためファシストに毅然と立ち向かい、その姿に痺れた。時々出てくる残酷な描写は生理的に好きになれないというか、画面全体の色彩が美しいだけにギョッとなる。瞬殺された看守たちが気の毒だった。

★インデペンデンス・デイ リサージェンス(30点)前作よりさらにスッカスカのストーリーで、エイリアンの造型といい既視感の連続。中国マーケットへのサービスも忘れないしたたかさも見せつけ、劇場を出て3歩で自分が何を見たのか忘れてしまうレベル。だけど、エメリッヒ監督はおそらく確信犯だから低評価はノーダメージ。一方、何も考えずにポカ〜ンと観られる映画の価値も感じていて、僕は既に続編(パート3)を観に行く気満々だ。

(つづく。明日は洋画の後編、明後日は邦画編)
●12月10日…21時からNHKでボブ・ディランの特番!

//ジョジョアニメの逆再生オープニング曲の演出、あまりにカッコよくて泣けてくる。めっさ緻密な計算で楽曲と映像を再構成。スタッフの熱い心意気というか、炸裂するジョジョ愛に感動。
通常版OP / 逆再生版OP
●12月9日…原発事故による福島からの避難者が、“○○菌”と教師やクラスメートから呼ばれていじめられたニュースは、ほんと気持ちが暗くなる。この国が内側から壊れていく感じ。
●12月8日…ちょうど1カ月後の1月8日(日)に、大阪にて第28回・読者交流会(オフ会)を開催します!恒例のお薦めアートのプレゼンまつりです。今回の僕の基調講演は『ビートルズはなぜ素晴らしいのか』。メロディー、歌詞、メンバーのユーモア、ジョンの思想など、様々な切り口から、史上最高のロックバンドの魅力に迫ります。昨年、マネージャーの故ブライアン・エプスタインや初期メンバーのスチュアート・サトクリフ、ジョンの母親の墓参なども行ったので、その報告も。参加申込みの詳細はコチラの特設ページにて!
●12月7日…アフリカでキリンが30年で半数近くに激減し絶命危惧種(レッドリスト)に。キリンはたくさんいるイメージだったけど…。
●12月6日…本日カジノ法案が衆院を通過。国内でギャンブル依存症の疑いがある人は推計536万人にも上る(うち8割がパチンコに起因)。パチンコや競馬のギャンブル依存症が社会問題になっているのに、これまで違法だった賭博行為を合法にしてまでカジノ法案を強行採決で通そうとする自民&維新が理解できない。カジノ周辺地域の治安悪化の懸念もある。そもそも順番が逆。まず、ギャンブル依存症の対策がしっかりと確立し、賭博利権に群がる暴力団をすべて撲滅させ、それから始まる話だろう。誰かが不幸になったお金で地域の活性化して、それでええんか。依存症患者支援団体の理事「カジノをきっかけに依存症になる人は必ず出てくる。入場制限などおざなりの対策では患者を増やすだけだ」。
●12月4日…『この世界の片隅に』、原作漫画を購入して熟読中。

//オーストリアの選挙、欧州で初めて極右の元首が誕生する一歩手前だったけど、国民は別の選択をした。本当に良かった…。
●12月1日…戦時中の広島・呉を舞台にした『この世界の片隅に』、素晴らしかったです。まだ観賞直後で様々な感情が入り交じっているので、一日おいて、よく言葉を選んで感想を書きますね。こういう映画は絶対に作り続けなくちゃいけないと思う。(予告編
●11月30日…よし!明日は映画の日で一律千円ゆえ、『この世界の片隅に』を観に行く!ゼッタイ!
●11月29日…知り合いのラインのアカウントが乗っ取られて、知人になりすました悪党が「緊急。近くのコンビニでBitCashカード5万円分買ってきて欲しい」と送ってきた。知人は留学中だし、僕はよほど切迫した事態なんだろうと、慌てて買いに行こうとした瞬間、他のライン仲間から「ヤバイのきてるから引っ掛からないように」と警鐘。あぶねーッ!!もうちょっとで騙されるところだった!!皆さんも気をつけて(汗)。

/今年リーグ優勝を果たした広島カープが、広島市に5億円を寄付。1億円は原爆ドームの保存に、4億円はスポーツ広場の整備に使われるとのこと。素晴らしい!
●11月28日…いつも掲示板等で役立ち情報を教えてくれる大切な友人が、映画『この世界の片隅に』(原作者こうの史代)を大絶賛!府内の映画館まで調べて熱いメールを送ってきてくれたので、何とか時間を作って早く観に行きたい。
●11月27日…本日21時からNHKがパナマ文書の独自スクープを公開!初夏に“史上最大のリーク”と言われながら、ウヤムヤになって幕引きされつつあったパナマ文書。まさか、その後NHKが人海戦術で調査を続行していたとは!
●11月27日…本日21時からNHKがパナマ文書の独自スクープを公開!初夏に“史上最大のリーク”と言われながら、ウヤムヤになって幕引きされつつあったパナマ文書。まさか、その後NHKが人海戦術で調査を続行していたとは!
●11月26日…キューバ革命の英雄フィデル・カストロ逝く。享年90。カストロは自分の銅像や巨大肖像画を作らせず、個人崇拝を強要しなかった数少ない社会主義国の指導者。訪日の際は広島の原爆資料館を訪れている。いま、盟友チェ・ゲバラの元へ。
●11月23日…非人道性を理由に「生物兵器」は1972年に生物兵器禁止条約で、「化学兵器」は1993年に化学兵器禁止条約で、「対人地雷」は1997年に対人地雷禁止条約で、「クラスター爆弾」は2008年にクラスター爆弾禁止条約で禁じられた。だが、最大の非人道兵器である「核兵器」はいまだ国際的に使用を禁じる条約がない。それゆえ、国連加盟193カ国のうち過半数(100カ国以上)が核兵器禁止条約の交渉を来年から始めるよう求めている。

だがしかし。多くの日本国民にとっては信じ難いことと思うけれど、先月27日に国連総会(第1委員会)で、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議案に日本は「反対票」を投じた。国際社会が仰天する、まさかの「唯一の被爆国」の反対票。5月にオバマが広島を訪問した際に、安倍氏は被爆者の前で「核兵器のない世界を必ず実現する。道のりがいかに長く困難でも必ずその責任を果たしていく」「被爆国として日本は核兵器廃絶の先頭に立つ」と誓った。あれは何だったのか。
野党も不甲斐ない。国会で政府の姿勢を厳しく追及するかと思いきや、ほとんど問題にしていないし、それをメディアも批判しない。おかしいだろ…戦後70年、世界に「唯一の被爆国」を掲げて反核活動を行ってきた、これまでの外交すべてを無価値にする歴史的失政なのに。

この決議案は非核保有国のオーストリアなど57カ国が共同提案し、賛成123カ国、反対38カ国、棄権16カ国という圧倒的賛成多数で採択された。オーストリア国連大使「化学兵器や生物兵器を禁止する条約があるのだから、核兵器も同じと考えるのが論理的だ」、メキシコ大使「核兵器がある限り爆発する可能性も人類に破滅をもたらす危険性もなくならない」。
一方、日本が反対した理由は「核兵器国と非核兵器国の対立を一層助長する」。意味不明だ。核保有国は軍事的優位を守るため、核を手放そうとしない。対立せずに核廃絶するのは無理と、この70年で分かったじゃないか。核保有国の自主的な削減を何年も待っているのに、一向に廃絶されないから、危機感を持った非核兵器国がシビレを切らせて立ち上がった。核保有国が抑止力論にこだわる限り、対立は消えない。

核保有国が自力で廃絶できなかった核兵器を、国際法で使用・所持の禁止に追い込む。それも一発の銃弾も撃たずに。非常に画期的な動きであり、本来なら“被爆国”日本が旗振り役をしなければならないこと。百歩譲って、米の政治圧力で賛成が難しいなら、せめて棄権して欲しかった。よりによって反対票を投じるとは、安倍政権はクレイジーすぎる。
同日、日本が毎年提出している核兵器廃絶決議案(米国が初めて共同提案国になった)も賛成多数で採択されたんだけど、その核兵器廃絶決議案は法的拘束力がないんだ。罰則が何もない、ただの努力目標。それではあまりに生ぬるいと、今回の核兵器禁止条約の流れに繋がった。日本政府は国際社会に北朝鮮の核の脅威を訴えているが、当の北朝鮮が核兵器廃絶決議案に賛成し、日本が反対しているのは、笑えないブラックジョークだ。

オーストリア大使「ヒバクシャの個人的な体験が核兵器廃絶の議論に貢献したのです」、アイルランド大使「ヒバクシャが体験を語っている勇気を誇れるよう私たちは強い意志を持つべきだ」。このように外国が被爆者の気持ちを尊重しているのに、肝心の日本政府が被爆者に向き合っていない。「反対票」の報道を知った元広島平和記念資料館館長の原田浩さん「もう“唯一の被爆国”なんて言葉は使って欲しくないです。被爆国として何をすべきなのか、考えて精一杯行動に移すことが、日本に与えられた責務です」。長崎で被爆した田中煕巳さん「情けないです。国際社会は“日本政府は何を考えているんだ”と“結局アメリカに従っているだけじゃないか”と」。

日本政府の行動は、広島や長崎の被爆者の条約制定への熱い期待を裏切り、アメリカに追随した情けないもの。非核保有国側は、何も即時核廃絶を訴えているわけじゃない。段階的に、まずは条約の交渉開始を求めている。ところが、日本政府や核保有国はその交渉の場を設けることにすら背を向けている。酷い話だ。なんという頑なさ。本当に失望している。核兵器を禁じる国際法がない、それは異常なことと日本人の大半が感じているはず。日本政府は核兵器禁止条約について、国民に賛否を問う国民投票を実施し、それに基づいて行動してもらいたい。アメリカの要請ではなく。
※安保理五大国のうち米英仏露が軒並み核兵器禁止条約に反対するなか、中国だけは反対せず棄権を選び、また核の先制不使用宣言をしている。これは北朝鮮の条約賛成と同じく日本には皮肉な結果だ。
※ささやかな希望はある。来春から始まる核兵器禁止条約制定の話し合いにアメリカは不参加を宣言しているけど、岸田外相は参加を表明している。そこは米国と同じではない。岸田さん、気骨を見せてくれ!












核兵器廃止条約の交渉開始に
北朝鮮とイランが賛成、
そして米国と日本が反対。
被爆国日本が真っ先に
賛成すべきだろう。
●11月22日…今朝の宮城沖地震、5年前を思い出して怖かった。ニュージーランドで大きな地震があってからのこれ。連動しているようで不気味だな…。
/福島第2原発の燃料プールが1時間40分も冷却停止になったのはシャレにならん。2500本も危険な燃料棒が入っているプール。どうしてサブシステムが用意されていない?こういうことがあると、フクイチは津波ではなく地震で壊れたんじゃないかと思ってしまう。
●11月10日…NHK『SONGS』の中島みゆき特集で、中島さんが『地上の星』(「プロジェクトX」主題歌)の誕生エピソードを語っていたのが印象的だった。曲作りの際、NHKから中島さんに「無名の人々に光を当てて下さい」と注文があった。番組の分厚い企画書には、懸命に生きた無名の人々の記録。読んでいるうちに、中島さんは“光を当てる”なんて出来ないと感じたそうだ。「光を放っているのは、まさに、この人々自身だったからです。心から敬意を込めて『地上の星』と名付けました」。
光源に光を当てることは出来ない。中島さん、いいなぁ。

//ホワイトハウスでオバマとトランプが会談。顔を合わせるのは初めてとのこと。選挙戦ではオバマのことをボロクソに叩いていたトランプが一変。会談後に神妙な顔つきで、静かにこう語った「オバマ大統領のことを大変尊敬しています。1時間半近く話しましたがもっと長く話したかった。今後も大統領から助言して頂ける事を楽しみにしています。大統領“閣下”、本日お会いできて光栄でした。今後、何度もお会いしたいと思います」。この礼儀正しいトランプが本物で、選挙戦の態度はパフォーマンスだったと願っている。
※追記。選挙前のトランプは性的マイノリティ−に無理解で、「同性婚は認めない」と演説してキリスト教原理主義者から支持を得ていた。ところが14日の米CBSテレビのニュース番組では、「結婚の平等を支持するか」という質問に、「それは法律だ。最高裁で結論が出ている。決着済みだということだ」「それ(同性婚は合法)で構わないと思う」と回答、一転して容認する姿勢を見せた。ホッとすると同時に、今後もしトランプが暗殺されるとしたら、トランプ支持者からではないかと、それが心配になった。
●11月9日…アメリカ大統領選挙の結果が出た。米大手メディアは事前にヒラリー勝利の確率を80%と弾き出していたが、蓋を開けてみれば獲得選挙人はヒラリー232人、トランプ290人でトランプの圧勝。人種差別など過激な発言でほぼ全てのメディアから非難されていた人物であり、まさか当選するとは思わなかった。実際、総得票数だけを見ると、トランプが5961万票、ヒラリーが5981万票で、ヒラリーの方が20万票差で“勝利”している。だが、ヒラリーは死票が多く出て敗北した(1票でも多く得票した候補がその州の選挙人を全て獲得する「勝者総取り方式」による)。

トランプ当選の発表を受け、カナダ移民局のサーバーがダウンしたという。トランプタワーの前にゴミ収集車で乗り付けたレディー・ガガは、ツイッターに「私は優しさあふれる国に住みたい。愛は憎しみに勝る」と投稿。映画監督マイケル・ムーアは「次の時代のファシズムは人の良さそうな顔でやってくる」、マドンナは「また燃えてきた。決して諦めない。決して負けない」とアップした。
テレビで勝利演説が始まり、いったいどんな暴言を吐くのかと心配していたら、まるで別人のように紳士的。なんと、これまで酷い言葉で罵っていたヒラリーへのねぎらいから始まった。「ヒラリーは長きにわたって精力的に活動してきました。この国の為に尽くしてくれた彼女に我々は感謝すべきです」。そして「これからは分断の傷を癒していきましょう。団結を目指す時です」と国民に呼びかけた。トランプの口から“癒やし”という言葉が出たことに驚きつつ、それが本心なら有難いと思った。
トランプは他にも「人種、宗教、背景、信仰を超えて、政府は国民のためにあるべきだと願う人たちの期待に応える」「これまで見過ごされてきた人々が、これ以上見過ごされることはない」「本当に歴史に残るには結果を出さないといけない。皆さんを絶対に失望させないと約束し、必ず成し遂げる」とも。

とにかく既成政治のイメージが悪すぎた。CNNが分析したヒラリーの敗因は「黒人やヒスパニック系といったマイノリティー若者層の獲得に失敗したこと」。ニュース映像では、トランプに投票したヒスパニック系の若者が「(ウォール街に近い)ヒラリーは私たちが嫌う政治そのものです」「ヒラリーはグローバル主義者に買収されているから、選挙戦を金銭的に支援した人たちのためだけに動いています」と語っていた。また、白人女性のうちトランプ支持53%、ヒラリー支持43%という結果が出ている。トランプに女性蔑視スキャンダルがあっても、白人女性が持つマイナスイメージではヒラリーが負けているという事実…。また、民主党候補者選びで敗退したサンダースの支持者が、ヒラリーに投票しなかったのも大きい。
僕は過去に墓巡礼で全米を2周(2000年、09年)している。きらびやかなマンハッタンやラスベガスとはまったく異なる、ゴーストタウンのような町を何度も通過し、ヘトヘトに疲れた人々を見てきた。「オバマならチェンジしてくれる」と期待したにもかかわらず、この8年間で何も変化しなかったのなら、もはやオバマ路線のヒラリーではなく、政治経験のないトランプにイチかバチかで望みをかけるのも、心情としては理解できる。ただ、だからといって資本主義の申し子トランプが、富の再分配やタックスヘイブンに斬り込んだりする庶民の味方とは思えないんだけど…。

最も問題なのは、近年はタブーとして人種差別は表面化しなかったのに、今はトランプが堂々と差別発言をしているので、それを理由に暴力行為をしてもいいと感じる人が増えている点だ。ミネソタ州では給水器やトイレのドアに「白人専用」と書かれ、フィラデルフィアでは「ジーク・ハイル・トランプ」の落書きが見つかった。NY大学のイスラム礼拝堂にも「トランプ」と落書き。ロスの住民いわく「まさに悪夢です。この国を50年前に引き戻してしまった」。イスラム国に父親を殺害された亡命イラク人までが、中東出身というだけで差別される空気。憎悪感情を焚き付けたトランプは、アメリカの差別主義者たちが、まるでお墨付きを得たように動き出しているのをどう止めるつもりなのか。コントロールできないほど広がりはしないか、本当に心配している。ボスニアといいルワンダといい、憎しみにブレーキが効かなくなった例が、歴史上何度もあったからだ。米国には市民の間に既に3億丁も銃が出回っている。

最後に、選挙後の様々なニュースの中で最も心を打たれた民主党サンダース氏の言葉を紹介。「没落しつつある中間層は病んでおり、支配層の経済、政治メディアにうんざりしている。トランプはこの中間層の怒りをうまく利用した。この国の中間層の生活を向上させる政策を真摯に追求するなら共闘する。だが、人種差別、性差別、外国人排斥、環境破壊を追求するなら、全力を挙げて戦う」。
●11月8日…ツイッターで読んだ弁護士・桃尾俊明さんの言葉が胸にストン→「ざっくり言えば、トランプが大統領になるのが民主主義であり、トランプが大統領になってもメチャクチャにはならないようにしてるのが憲法なんだよね」。

/オバマがトランプをけん制「違うから対立するのではなく、違いがあるからこそ、お互いに共通点を見いだせる」、マジでそう思う。この精神でいけば世界の大半の問題は解決する。
●11月7日…昨日の東京巡礼で驚いたのは、墓地の中にポケモンGOのポケストップ(アイテム補給所)があったこと!いや、それどころか、夏目漱石の墓にいたってはポケモンのバトル施設“ジム”に設定されていた!(汗)
最初、“どうして漱石先生の墓所周辺に子ども達がいるんだろう?今までここでチビッコに会ったことないのに”と疑問に思ってたけど、彼らがスマホをいじっていたので“もしや”とポケモンGOを起動させたら、思いっきりカビゴンの姿が!(爆)
神聖な墓地(っていうか個人の墓石)をポケストップにするのはさすがにアカンと思う反面、これをきっかけに文学に興味を持つ子どもがいるかもという気持ちも。実際、ジムバトル目当てて漱石の墓前にきた人のうち、この機会がなければ一生漱石の墓を訪れなかった人もいたはず(教科書で漱石作品に触れたとき、お墓に行ってると親しみを感じるのでは)。
コトは墓だけに判断が難しいところだけど、漱石本人は神経質な一方、ユーモアが分かる人なので、案外怒らずに楽しんでいるかも。(*^v^*)
※元々は位置情報ゲームIngressで拠点になっていたらしいです。

  
まさか漱石先生の墓がジム(レベル2)に設定されていたとは。カビゴンがグルグル
回っていてブッ飛んだ。漱石だけがジムになっていたので、“別格”扱いになってる

永井荷風からハイパーボー
ルがドロップ!(雑司ヶ谷)
なんと芥川龍之介も
ポケストップ(慈眼寺)
高村光太郎と智恵子
夫妻も…(染井霊園)

//お〜い、ニフティさん、アクセスカウンターが壊れてますよう…。
●11月6日…夜行バスで上京し、三笠宮さまのお墓参りで豊島岡墓地へ。天皇陵は一般公開されているけど、皇族専用の豊島岡墓地は非公開。過去に開門されたときは仕事で行けなかったので、墓マイラー歴30年で初めての訪問となった。緊張しつつ中に入ると、特に荷物をチェックされることもなく、参道からそのまま墓前へ。参道両脇の墓は写真撮影も自由だった。
三笠宮さまの墓にはまだ墓石なく、土が高く盛られており、手前には木の柱に『三笠宮崇仁親王墓』と刻まれていた。皇族の墓は神道式の円憤であり、周囲を石柵で囲むことから、墓が完成するのは数ヶ月先になるだろう。
墓前ではほぼ全員が合掌していたけど、手を合わせるのは仏教式。僕も頭では拝礼だけで良いと分かっていても、身体が勝手に手を合わせてしまった。故人に対する感謝の念が強いと、理屈抜き、本能レベルで合掌してしまうのかも。
11/2の日記に書いたように、三笠宮さまは昭和天皇の弟君でありながら、先の戦争を明確に日本の侵略戦争と位置づけし、勇気をもってアジアへの謝罪を続けられた方。墓前での話は尽きず、後ろの方に場所を譲った後も、時間が許す限り、お墓の見える場所から遙拝を続けた。

うおお、初めて豊島岡墓地の門が開いて
いるのを見た!9時半に門前に着くと30名
ほど並んでいた。(墓参許可は10時〜15時)
参道の左右に歴代皇族の墓域が点在。
普段非公開なので、僕はこれまでグーグル
マップで宇宙から見ていた(地図リンク

その後、隣の護国寺で大隈重信、三条実美、松平不昧、田中光顕、梶原一騎、大山倍達、團伊玖磨などを墓参。山県有朋の墓所は以前は墓前まで行けたのに、施錠されて入れなくなっていた。
14時から雑司ヶ谷霊園に入り、日没で何も見えなくなるまで巡礼。雑司ヶ谷霊園は夏目漱石、永井荷風、小泉八雲、泉鏡花、竹久夢二、ジョン万次郎、小栗忠順といった、文芸ジャンキーにとって重要な偉人が数多く眠る聖地であり、いつもフルテンションの墓参になる。
漱石先生の墓参は8回目。この時期は紅葉が
きれい。NHKの伝記ドラマを見たばかりなので、
しっかりとキヨ夫人の労をねぎらった
初巡礼した詩人サトウハチローさんの墓。
正面に「ふたりでみると すべてのものは
美しくみえる」と彫られていて感動した!!
サトウハチローさんは童謡「ちいさい秋みつけた」「うれしいひなまつり」や、歌謡曲「リンゴの唄」 「悲しくてやりきれない」「長崎の鐘」などを作詞。墓碑銘の「ふたりでみると すべてのものは 美しくみえる」は、親友、恋人、親子、外国人、何にでも当てはまり、素晴らしいラストメッセージと思った。もっと早くサトウハチローさんの墓参りをすれば良かった。
(朝から夕方まで墓巡礼に付き合ってくれた東京のK君に感謝。K君は20代後半なのに、僕よりも東京の墓に詳しい!もう、心強いのなんの。彼の将来がホント楽しみ)
●11月5日…週末は三笠宮さまの墓参のため上京。

//新海誠監督の映画『君の名は。』の興行収入が176億円を突破。『ポニョ』『踊る大捜査線2』を抜き邦画の歴代興収ランキング4位に浮上!公開28日目の興収100億円突破は『アナと雪の女王』を上回るペース。ちなみに歴代1位は『千と千尋の神隠し』の308億円、2位が『ハウルの動く城』の196億円、3位が『もののけ姫』の193億円。『千と千尋』は別格として、ハウル超えはいきそう。海外でも注目を集め、今月下旬からイギリスで公開、年明けからアメリカでも公開。すごいなぁ。
台湾では邦画最大のヒット作になったとのこと!

//アメリカ大統領選挙まであと3日。ここに来てトランプ候補が猛追との報道。げっ、マジか。オバマ大統領「ツイッターで簡単に挑発に乗ってしまう人間に核兵器は任せられない」。ほんとコレ。

//今日のアニメ『クラシカロイド』、チャイコちゃん(なぜか女性化したチャイフスキー)とギョーザ命のベートーヴェンが、それそれ“くるみ割り人形”と“ピアノ協奏曲第5番・皇帝”でバトルというブッ飛び展開に爆笑した。この何でもあり感、最高。
●11月4日…来日したアウン・サン・スー・チー氏(ミャンマー国家顧問)が京都大学で講演。ニュースを見て次の言葉をメモ。「民主主義は努力を怠ると衰えてしまう。筋肉のように運動で維持しなければならない」。“運動で維持”というのは本当に重要。

//与党はTPPより先にパリ協定を批准するべきだろ…。優先順番が違うだろ…。
●11月3日…通常非公開の皇族墓地、東京の豊島岡墓地の門が、三笠宮崇仁親王の墓参希望者のため開放されます!期間は11月6日と7日の2日間。時間は10時から15時とのこと。三笠宮親王には何が何でも墓参したく、速攻で東京行きの夜行バス往復チケットを購入!
●11月2日…「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた」(三笠宮崇仁)。先月27日、昭和天皇の末弟で天皇陛下の叔父にあたる三笠宮崇仁(みかさのみやたかひと)親王が心不全で薨去(こうきょ)された。享年100歳。従軍経験のある最後の皇族であり、皇族にあって戦時中から中国での日本軍の残虐行為に胸を痛められ、戦後も反省の言葉を述べられるなど、あの戦争を美化したい右派勢力から“赤い皇族”と煙たがられる存在だった。一方、リベラル勢力にとっては、一般の帰還兵が皇軍の暗部を語ると右派から「でっちあげ」「売国奴」と罵倒されるものの、三笠宮さまの場合は保守右派も糾弾・嘘つき呼ばわりし難いことから、唯一無二の歴史の証言者だった。

三笠宮さまは1915年に大正天皇の四男として生誕。20歳の時に三笠宮家を創立(奈良の三笠山にちなんで命名)し、26歳で百合子さまと結婚。1943年(28歳)から一年間、「若杉」の仮名で参謀大尉として日本軍占領下の南京にて支那派遣軍総司令部に勤務。後に大本営参謀を務めた。南京赴任中に日本兵の横暴を知り、「皇軍がその名に反する行為(暴行・略奪等)をしている、これでは現地民から尊敬などされるわけがない。今の皇軍に必要なのは装備でも計画でもない、“反省”だ。自らを顧み、自らを慎み、一挙一動が大御心に反していないかを自身に問うこと」と部下を叱責。そして畑俊六総司令官に「軍紀が乱れている者が一部いる事を深く反省すべきである」と訴えたが、皇族による軍批判は当時国民に隠された。

三笠宮さまの当時の回想(『わが思い出の記』)
「わたしの信念が根底から揺り動かされたのは、実にこの(南京の)1年間であった。いわば聖戦というものの実体に驚きはてたのである。罪もない中国の人民に対して犯したいまわしい暴虐の数々は、いまさらここにあげるまでもない」
「聖戦という大義名分が、事実とはおよそかけ離れたものであったからこそ、そして、内容が正義の戦いでなかったからこそ、いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないかということである」
「こうして聖戦に対する信念を完全に喪失した私としては、求めるものはただ和平のみとなった」。

帰国後、戦争終結を模索し、陸軍・津野田知重少佐らと共に東條内閣打倒のクーデター計画を立案。津野田の計画が東條英機暗殺、主戦派数百名大量粛清とあまりに先鋭化したため、「米国と戦っている時に2・26の二の舞をやったら国内が目茶苦茶になる、日本はまいってしまう」と懸念、憲兵に通報し未遂に終わった。津野田少佐は軍法会議に送られたが、事件に皇族が関係しており、懲役2年執行猶予2年に収まった。
敗戦後、「軍は歴史の研究が不十分だったのではないか」と東洋史を学ぶ必要を痛感、32歳で東大文学部の研究生となり、オリエント史を研究した。
40代になり、1950年代後半から保守極右が『紀元節』復活を画策すると、歴史学者として「神武天皇の即位は神話であり史実ではない」と、皇族でありながら神武天皇の即位を否定、右派を驚愕させる。批判覚悟で積極的に『紀元節』復活反対の論陣を張る様から「赤い宮様」と呼ばれ、右翼団体が宮邸に押しかけ三笠宮さまに面会を強要する事件も起きた。

1994年(79歳)、南京の虐殺についてインタビューを受け、捕虜殺害に触れた。
「最近の新聞などで議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが問題になっているような気がします。辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すことと書いてあります。つまり、人数は関係ありません。私が戦地で強いショックを受けたのは、ある青年将校から「新兵教育には、生きている捕虜を目標にして銃剣術の練習をするのがいちばんよい。それで根性ができる」という話を聞いた時でした。それ以来、陸軍士官学校で受けた教育とは一体何だったのかという懐疑に駆られました。また、南京の総司令部では、満州にいた日本の部隊の実写映画を見ました。それには、広い野原に中国人の捕虜が、たぶん杭にくくりつけられており、また、そこに毒ガスが放射されたり、毒ガス弾が発射されたりしていました。ほんとうに目を覆いたくなる場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう」(『THIS IS 読売』“闇に葬られた皇室の軍部批判”)。
1998年(83歳)には、来日した江沢民・中国国家主席との宮中晩餐会に同席し「今に至るまでなお深く気がとがめている。中国の人々に謝罪したい」と真摯に謝意を表した。

皇族として100歳まで長寿したのは、記録上、三笠宮さまが初めて。男性のお子様は3人おられたが、2002年に三男の高円宮憲仁(たかまどのみやのりひと)さまが47歳で、2012年に長男の寛仁(ともひと)さまが66歳で、2014年に次男の桂宮宜仁(よしひと)さまが同じく66歳で亡くなり全員鬼籍に。現時点で皇位継承権のある男子皇族は、皇太子さま、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さま(今上天皇の弟)の4人。

昭和天皇の弟でありながら、勇気をもって軍紀の乱れや残虐行為への反省を促す発言を繰り返された三笠宮さま。心より哀悼の意を表します。
●11月1日…ここ数日、著名人の訃報が続いた。26年間にわたって『ドラえもん』スネ夫の声を担当され、銀河鉄道999の車掌役でも知られる声優の肝付兼太さんが10月20日に他界。享年80。僕の世代は肝付さんの声を聞きながら育った。ハゼドンのプーヤン、ハイジのセバスチャン、ドカベンの殿馬、バーバパパのパパ、怪物くんのドラキュラ等々。子どもにはアンパンマンのホラーマンでお馴染みの声。肝付さんの声はすぐに分かり、まさにワン・アンド・オンリーの声でした。
※肝付さんは1973年にオンエアされた日テレ版『ドラえもん』(旧ドラ)ではジャイアン役だった。YouTubeに最終回の音声がアップされていて、よく録音が残っていたと驚いた。この最終回、ドラえもんが未来に帰った後、のび太が1人で自転車の特訓をする場面が良い(音声だけでも)。この6年後にテレ朝版のドラえもんがスタート。

肝付さん訃報の2日後、22日に日本を代表する舞台俳優の1人、俳優の平幹二朗さんが他界。享年82。大河ドラマや『三匹の侍』で名演。僕は20代後半のときに、大阪近鉄劇場で『マクベス』(蜷川幸雄演出)を観賞、素晴らしい演技に引き込まれた。一昨年は舞台版の『真田十勇士』(中村勘九郎主演)で徳川家康を演じられ、映像だけの出演にもかかわらず強烈な存在感を出されていた。

そして10月27日、大正天皇の第四皇男子・三笠宮崇仁親王(昭和天皇の弟)が薨去(こうきょ)された。皇族きってのリベラル派、三笠宮さまについては語りたいことが多く、明日の日記で続きを。





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