ヨーロッパ館
スイス展
(1994年)マイエンフェルト
「アルムおんじは地獄の一丁目」の巻
ハイジに出てくる“アルムおんじの家”がマイエンフェルトにあるとガイドブック
に記載されていたので、ローカル線を乗り継ぎワシはこの地に降り立った。
ときに午前6時半。地図は山の方向をまっすぐ指しており、さっそく登り始める。
駅から、しばし町中を行く。牛乳を運ぶ“荷馬車”に遭遇し、狂ったようにシャッターを切る。
右写真は町外れのデルフリ村だ。ハイジたちが冬の間だけ下山して暮らしていた(らしい)。
「おお〜、朝日の中を登山するのは実にすがすがしいの〜。」
のんびりと草をはむ牛どもに目を細め、口笛がなぜ遠くまで聞こえるのか、
あの雲はなぜワシを待ってるのかという、重要な哲学的命題を熟考する。
始めのうちは、アルプスを相手にそんな余裕をかましていたワシであった。
・・・徐々に斜面がきつくなっていく。
駅前でもらった略図(手書き)には、この小屋がペーターの家だった
という、国家機密並みの極秘情報が特別に書き加えられていた!
「お〜い、いったいどれだけ登ればいいのじゃ!?」すでに時計の針は
9時半を指しており、登り始めて3時間が経過していた。ワシはまったく
寄り道せず、休憩もなしでひたすら登っていたのに、全然到着する気配
がなかった。時々思い出したように案内標識が立っていたので、とりあ
えず道が正しいことは分かっていたのだが、こんなの家族連れなら絶対
ムリだと思った。しっかしこの牛たち。よくここまで登ってこれたものじゃ!
(この時点で、ワシの水筒はカラになっていた)
(深呼吸して次へ)
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