世界墓マイラー同盟第7回企画
【あの人に会いたい〜谷中霊園巡礼会(後編/西エリア)】
2025.5.17 開催決定!
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英語が併記された“らんまん”牧野富太郎 | 近代日本画最大の巨匠・横山大観 | “角聖”常陸山谷右衛門(出羽海部屋祖) |
歴史に人あり、人に歴史あり。さわやかな5月の空の下、谷中(やなか)霊園・西エリアに眠る偉人の巡礼会を実施します!
JR山手線・日暮里駅の目の前に広がる谷中霊園は1874年に開設され、日本の近代史に名を刻んだ多くの著名人が眠っています。世界墓マイラー同盟では、谷中霊園の偉人約35名の墓を心を込めて案内し、それぞれの墓前で、なぜこの人に墓参したいのか、故人への熱い想いを語ります! 谷中霊園は駅から30秒という空前絶後のアクセスの良さで知られ、誰でも思い立てばすぐに訪れることができる素晴らしい墓地です。ただし、面積が10万平方メートル以上あり(甲子園球場の約3倍)、約7,000基の墓が並んでおり、一般の方が自力で目的の人物にたどり着くのは大変です。是非この機会に一緒に巡礼しましょう。申込みは後述のメール・アドレスになります。 ※私たち世界墓マイラー同盟は、2019年以降これまで雑司ヶ谷霊園、青山霊園、染井霊園をご案内してきました。 ※昨秋の《谷中巡礼・前編》では徳川慶喜、渋沢栄一、森繁久弥、鏑木清方などを墓参しました。 開催日時:5月17日(土)13時より16時半まで※休憩あり(雨天決行) 集合時間:12時半より受付開始 集合場所:谷中霊園・五重塔跡広場(交番の隣り) ![]() ※JR日暮里駅の南改札口を出て南に徒歩3分。 ![]() ![]() ※墓地中央に交番(天王寺駐在所)があり、その隣の広場です。 ※谷中霊園の公式案内図(PDF)にも大きく「五重塔跡」(広場)が載っています。 参加費:2000円(資料代込み) 定員:20名強(先着順) 《墓参予定の偉人 38名》 〔メイン解説〕(10名) ●牧野富太郎(1862-1957)94歳…朝ドラ『らんまん』主人公になった植物分類学者。命名した植物は1,500種類以上!刊行した「原色牧野植物大図鑑」は植物ファンのバイブルとなり現在も書店に並ぶ。文化勲章。 ●横山大観(1868-1958)89歳…第1回文化勲章を受章した近代日本画壇の巨匠。線描を抑えた朦朧体(もうろうたい)と呼ばれる画法で日本画に新境地を切り開く。代表作「生々流転」「夜桜」「無我」「屈原」。 ●長谷川一夫(1908-1984)76歳…俳優で初の国民栄誉賞に輝く。『雪之丞変化』『地獄門』などで日本映画界を代表する二枚目の時代劇スターとして活躍。大河『赤穂浪士』で大石内蔵助役。晩年に宝塚「ベルばら」を演出した。 ●常陸山(ひたちやま)谷右衛門(1874-1922)48歳…第19代横綱。大相撲を「国技」に押し上げ、品格と力量から「角聖」と呼ばれた相撲の中興の祖。出羽海部屋を創設し3横綱を育成、ちゃんこ鍋や後援会などの風習を始めた。 ●栃木山守也(もりや)(1892-1959)67歳…第27代横綱。横綱在位中の成績は115勝8敗=勝率.935で、以降に最終勝率が9割を超えた横綱はおらず近代最強力士とも。名門・春日野部屋を創立。相撲界初叙勲となる勲四等瑞宝章を受章。 ●朝倉文夫(1883-1964)81歳…彫刻家。自然主義的な写実に徹し、猫の彫刻を多数彫り上げる。代表作のひとつ『墓守』は墓マイラーに人気(谷中の朝倉彫塑館に展示)。残念ながら戦時中の金属供出のために400点余の作品はほとんど消滅。文化勲章。 ●稲垣 浩(1905-1980)74歳…日本映画の基礎を作った名監督の一人で、100本の映画を撮った。『宮本武蔵』でアカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)を、『無法松の一生』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した。 ●色川武大(たけひろ)(阿佐田哲也)(1929-1989)60歳…作家、雀士。直木賞『離婚』、泉鏡花賞『怪しい来客簿』を執筆。また阿佐田哲也名義で『麻雀放浪記』を発表し人気を博す。「阿佐田哲也」の由来は徹夜麻雀の「朝だ!徹夜だ!」。 ●佐藤泰然(たいぜん)(1804-1872)68歳…幕末の蘭方医。外科手術にすぐれ蘭方医学塾「和田塾」を江戸に創立、のちに医学校・順天堂大学となる。また佐倉(千葉)に病院兼蘭医学塾「佐倉順天堂」を開設した。 ●島薗(しまぞの)順次郎(1877-1937)60歳…医学者。脚気(かっけ)がビタミン欠乏症であることを発見した脚気病の権威。京大・東大教授。 〔ワンポイント解説〕(28名) ●稲垣千頴(ちかい)(1845-1913)67歳…国文学者・歌人。スコットランド民謡『蛍の光』に作詞。中国の故事「蛍雪の功(けいせつのこう)」から題材をとった。蛍雪の功「4世紀の中国に官吏を目指して勉学に励む2人の貧しい青年がいた。灯火の油が買えないため、1人は夏の夜に蛍を何匹も捕まえて絹の袋に入れた明かりで、1人は冬の夜に窓辺に雪を積み上げ雪の反射の明かりで勉学した。努力の結果、2人とも高級官僚まで出世した」。この逸話を「文読む月日重ねつつ」とした。 ●澤田正二郎(1892-1929)36才…昭和初期の大衆演劇の人気役者。舞台に激しい剣戟(けんげき)「チャンバラ」を最初に導入した。関東大震災後の廃墟で無料公演をして励ます。 ●八代目・市川団蔵(1882-1966)84歳…歌舞伎役者。引退2カ月後、四国お遍路巡礼の帰途に船上より入水。旅先で「今は、人形のような舞台人生から離れ、生れてはじめて人間らしい自由を得ました」「わずらわしい東京へは帰りたくないのです」と語っていた。辞世「我死なば 香典うけな 通夜もせず 迷惑かけず さらば地獄へ」。 ●杉山 誠(1907-1968)61歳…演劇評論家。1943年、36歳で召集されて南方ニューギニアに出征、部下の加東大介の芝居『南の島に雪が降る』を上演し杉山大尉の実名で出演する。 ●鵜飼玉川(うかいぎょくせん)(1807-1887)80才…幕末の日本初のプロのカメラマン(商業写真家)。横浜で米国人に写真術を学び、江戸で写真館「影真堂」をひらく。1861年に福井藩顧問・横井小楠の肖像写真を撮影したと最古の記録。 ●沢柳政太郎(まさたろう)(1865-1927)62歳…教育者。「漢字の読みを先に指導し、読みが充分身についた時点で書く練習を行うと効果が高い」という漢字指導の法則『読み先習(せんしゅう)の法則』を発見。東北大学初代総長に就任すると男女平等の観点から他大学に先駆けて女子に帝国大学(国立大学)の門戸を開いた。 ●初代・松本善甫(よしいち) (興正)(生年未詳-1695没)…江戸幕府奥医師。会津の神官であったが人斬り事件を起こして逃亡、江戸で医学書を読んで医者を開業して評判になり、幕府の御殿医に出世した。当時の寿司は魚を米に漬けて乳酸発酵させ、四角形の木箱に詰めて上から押したものだった。善甫は酢と飯を合わせて手で握る「早ずし」を作り、握り寿司の創始者とする説がある。 ●松本良甫(りょうほ)(1806-1877)71歳…幕末から明治初期の蘭方医師。窮乏した高野長英を援助し江戸で開業させる。友人・佐藤泰然の次男・松本良順を養子に迎えた。維新後、陸軍軍医総監。 ●田母野 秀顕(たもの・ひであき)(1849-1883)34歳…1882年に福島県令・三島通庸(みちつね)が県会を無視して土木工事を強行し、自由党員(自由民権派)・農民が反対運動を展開する「福島事件」が起きる。2千人が逮捕されるなど徹底的に弾圧され、自由党結成に尽力した田母野も捕えられ34歳で獄中死。田母野は人気があり、没後「谷中墓地・自由田母野君碑前」宛の葉書を配達人が墓前に届けたという。 ●加波山(かばさん)事件の墓…1884年(明治17)参政権を求めて自由民権運動の闘士が決起、彼らを弾圧した栃木の“鬼県令”三島通庸(福島県令から異動)の爆殺など政府転覆を計画するも発覚し未遂。追いつめられ茨城県の加波山で挙兵したが数日で鎮圧された。墓所には福島自由党の中心メンバー三浦文治(34歳)・旧会津藩士で獄中死した横山信六(20歳)・雑誌編集長で熱弁家の琴田岩松(23歳)・元医学生の小針重雄(21歳)・まだ17歳で未成年ゆえ無期刑となった天野市太郎の5名が眠る。 ●玉乃世履(たまの・よふみ)(1825-1886)60歳…司法官。清廉潔白な精神を持ち、裁判官としての公正な裁きにより「明治の大岡(越前)」と賞賛された。福島事件では大半の被告(民衆)を無罪とし、政府の圧力に抵抗する。大審院初代院長であったが身辺整理をして謎の自殺を遂げる。 ●渡部 温(おん)(1837-1898)61歳…英文学者。1873年に「イソップ物語」を翻訳してベストセラーに。「イソップで蔵が建った」といわれた。海外留学せずとも突出した語学力を持ち、東京外国語学校の校長に。 ●佐佐木信綱(1872-1963)91歳…歌人・万葉集研究者。唱歌『夏は来ぬ』を作詞。歌風は温和で平明。日本各地を巡って万葉集の古写本を発掘し文化勲章を受章。 ●佐藤尚中(たかなか/しょうちゅう)(1827-1882)55歳…医師。佐藤泰然の養子。日本初の私立病院「博愛舎」を設立し、のち「順天堂医院」開設。大学東校(現・東京大学医学部)の初代校長となり医学教育の制度を定める。 ●初代・花柳壽輔(はなやなぎじゅすけ) (西川芳次郎)(1821-1903)81歳…日本舞踊家、振付師。日本舞踊の五大流派のひとつで、最大規模の花柳流創始者。現在、同派の門弟は全国に約2万人。 ●小平(おだいら)浪平(1874-1951)77歳…日立製作所の創業者。1910年に鉱山で使用する国産初の5馬力の誘導電動機(モーター)を完成させたのが始まり。2024年のグループ全体の売上高は約9兆7千億円!従業員数はトヨタに次ぐ約27万人。 ●初代清水喜助(1783-1859)76歳…江戸時代の大工棟梁で1804年に21才で「清水屋」を開業、のちにスーパーゼネコンの清水建設に発展する。江戸城西ノ丸の造営に参加し一介の職人から幕府御用を務めるまで出世した。 ※第一国立銀行や渋沢栄一邸、国初の本格的洋風ホテル「築地ホテル」など明治期の洋風建築を手がけた二代目・清水喜助(1815-1881)も同じ霊園に眠る。 ●鳩山一郎(1883-1959)76歳…政治家。犬養・斎藤内閣の文相を経て、戦後1954年に首相就任。保守合同を敢行、自由民主党の初代総裁となり日ソ国交回復を実現。「原子爆弾の投下は国際法違反の戦争犯罪」と語る。鳩山由紀夫は孫。 ●福地桜痴(ふくちおうち) (1841-1906)64歳…新聞記者・劇作家。「東京日日新聞」(現・毎日新聞)社長兼主筆。福澤諭吉と「天下の双福」(才の福地、意志の福澤)と称えられる。新聞で新政府を批判し逮捕。 ●相馬大作(1789-1822)33歳…江戸後期の盛岡藩士。本名、下斗米(しもとまい)秀之進。津軽家が主家をしのぐ権勢をふるい出したことを憤って脱藩し津軽藩主を襲撃、失敗して小塚原で斬首された。間宮林蔵の親友。 ●佐々木隆興(1878-1966)88歳…医学者。人工癌研究の先駆者。ドイツ留学後、日本に初めてフェンシングを伝える。文化勲章。 ●矢田部良吉(りょうきち)(1851-1899)47歳…植物学者・詩人。植物分類学を研究し、科学として体系づけた。詩人としては1882年に東大の同僚・外山(とやま)正一らと詩を訳した日本最初の近代詩・訳詩集《新体詩抄》(しんたいししょう)を刊行して、感情を短く文字で表現する方法として、日本人に従来の和歌や俳句と異なる西洋のポエム、「詩」を紹介。同時に「詩集」というものの存在を知らせた。和歌を集めた万葉集や勅撰和歌集とは全く異なり、近代文学に多大な影響を及ぼす。東大初代植物学教授・東京博物館長を歴任。コーネル大卒。鎌倉沖で遊泳中に溺死。 ●巻 菱湖(まき・りょうこ)(1777-1843)66歳…書家。唐の書を学び、細身かつ流麗な字形は将棋の駒に重用された。市河米庵(いちかわ・べいあん)、貫名菘翁(ぬきな・すうおう)と共に「幕末の三筆」と並び称された。 ●原田熊雄(1888-1946)58歳…親英米派の華族議員で二・二六事件の標的となったが脱出に成功。軍部独裁の流れに抵抗し、東條内閣の打倒と終戦工作を模索するが病に倒れる。奇しくも二・二六事件からちょうど10年後の1946年2月26日に病没。最後の元老・西園寺公望の晩年の私設秘書でもあった。 ●淡島椿岳(あわしま ちんがく)(1823-1889)66歳…奇人の画家。浅草寺で「西洋目鏡」と名づけた“のぞき眼鏡”の見世物小屋を開き、西郷隆盛も見に来るほど大人気に。辞世は「今まではさまざまの事して見たが、死んで見るのはこれが初めて」。※次女・兼子は渋沢栄一の後妻に。 ●大橋訥庵(とつあん)(1816-1862)46歳…幕末の儒学者。王政復古派。攘夷論を説き、老中・安藤信正の暗殺(坂下門の変)を企てたとして逮捕・投獄。保釈後に毒殺される。 ●高橋お伝(供養碑)(1848-1879)31歳…最後の斬首刑者(明治12年)。夫を毒殺するなど悪事を重ね「明治の毒婦」と呼ばれた。彼女を題材に、河竹黙阿弥の歌舞伎『綴合於伝仮名文』、仮名垣魯文(かながき・ろぶん)の小説『高橋阿伝夜叉譚』が書かれた。 ●雲井龍雄 (供養碑)(1844-1870)26歳…幕末の志士。(山形)米沢藩士。戊辰戦争で東北諸藩の同盟を画策、官軍への抵抗を企てるが失敗。維新後、政府転覆の陰謀を企てたとして斬首(新政府への謀叛第一号)。半世紀ほど谷中に眠っていたが、60年忌法要に際して故郷米沢に改葬された。 ※当日の進行状況によりワンポイント解説の人物は変更される可能性があります。 〔懇親会〕 ●楽蔵 日暮里店 ![]() (住)東京都荒川区西日暮里2−17−6 日暮里サンシャインビル2F(1Fはファミマ) (TEL)050-2019-5939 ●17時ごろ〜19時ごろ ●参加費4000円 各地から集まる墓マイラーと交流しましょう。(^^)/
〔当日の注意事項〕 ※思いのほか足が疲れるので、解説タイムはアウトドア用の小さな椅子があると非常にラクです。 ※温暖化で蚊も早くから活動しています。虫除け対策をしましょう。 ※5月でも高温になる可能性があり、小まめに水分をお取り下さい。 ※トイレは事前にお済ませください。 ※墓地内移動中は他の墓参の方の妨げとならいようお気を付け下さい。 ※倒壊した墓碑や石灯籠には不用意に近寄らないで下さい。 ※保険(旅行保険・けがの保険等)が必要な方、ご加入は各自にてお願いいたします。 お墓参りは時空を超えて尊敬する故人に感謝を伝えることができる素晴らしいひととき。共に感動を分かち合いましょう! (同盟メンバーに石材業界の方がいるため、石の産地、造形の視点などからもお話が可能です) ★主催:世界墓マイラー同盟 当日案内:カジポン、黒坂、オクタカなど |