【2005年シネマ・レポート】

毎年秋に発表しているシネマ・レポート。劇場、ビデオを問わず、僕が一年間(昨年11月から今年10月末まで)に鑑賞した新旧の映画を10点満点で紹介します。26本分を公開年別高順位のものから書いていますので、レンタルの参考に是非ど〜ぞ!(*^o^*)

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★2005年製作映画

●ザ・インタープリター(10)
憎しみの連鎖を断ち切るために、どうすれば敵に「復讐したい気持ち」を克服する事が出来るのか。主人公は国連本部で通訳をしているシルヴィア(ニコール・キッドマン)と、シークレット・サービスの捜査官ケラー(ショーン・ペン)。シルヴィアは「銃よりも即効性はないが対話こそが平和への道」と言葉の力(外交)で世界を平和に出来ると信じる女性。コミュニケーションの失敗と誤解が紛争を生むことを考えると、彼女が「“通訳”で世界平和に貢献する」と熱く語る姿はとても説得力がある。一方のケラーは捜査官として人間の暴力性・闇の部分と背中合わせに生きている男で、いわば2人は川の対岸にいる。ある時シルヴィアは偶然に、アフリカ・マトボ(仮想国)の独裁者ズワーニ大統領を国連総会中に暗殺する計画を知り、口封じの為に命を狙われるようになる。彼女の警護を担当したのがケラーだった。
ポラック監督は過去に3度もアカデミー監督賞を受賞している社会派の巨匠。今回は国連を舞台にした暗殺計画を題材にしているけど、映画から伝わってくるメッセージは米国の進める“対テロ戦争”への疑問の声だ。監督は言う「テーマは言葉VS銃。これは砲弾の代わりに言葉を使う物語なのだ」と。この作品が国連本部ビルのロケを史上初めて許されたのは、アナン事務総長が制作意図に共鳴したからだ。監督は独裁者ズワーニの言動から世界情勢を風刺している。ズワーニはかつて祖国を民主化させた英雄だったが、長く政権に座すことで恐怖の圧制者に変貌し、多くの国民を虐殺している。彼は自分と意見を異にする者を反政府過激派とみなして片っ端から処刑し、反政府運動を全てテロ活動と認定し弾圧した。対外的には虐殺を「対テロ戦争」だと主張、「自由と安全を守る戦い」だと訴える。対テロ戦争の名の下に行なわれる虐殺。この映画には極めて今日的で重大な事が描かれているんだ。

●キングダム・オブ・ヘブン(8)
近年『指輪3部作』『トロイ』『アレキサンダー』と大規模戦闘ものが続き、この手の映像には慣れっこになっていたハズなのに、大軍バトルのド迫力に息をするのも忘れるほど圧倒された。公開前の予告編では甘々のラブロマンスっぽかったけど、蓋を開ければド硬派史劇だった。戦闘の緊張感と臨場感は、このジャンルの作品中では過去最高レベルかと。当時の戦いがどんな風に行なわれていたか分かったし、サラディン軍の無数の投石器から次々飛んでくる巨大な岩石には、マジでビビッた!とにかく登場する兵士の数がハンパじゃない。蜃気楼の中からゆっくりと現れるボードワン4世率いる十字軍と、サラディン率いるイスラムの大軍が対峙する場面は、両王に強烈なカリスマ性があるので、戦闘シーンじゃなくてもめっさハラハラした。何が驚いたと言って、キリスト教徒の十字軍がイスラム軍に敗北する物語を、今このタイミングでハリウッドが作ったこと。しかも両軍の描かれ方は、基本的に「知的なイスラム軍」対「野蛮で好戦的な十字軍」という構図だ。十字軍が略奪者集団だったことは事実とはいえ、ここにハリウッドの懐の深さを見た。エピローグのテロップに「それから1000年。エルサレムはいまだ平和とはほど遠い」と出てクラッときた。1000年も経つのに、人間は何をやってるんだろね。

●スター・ウォーズEP3/シスの復讐(7)
冒頭でジャーンと有名なテーマ曲が流れた瞬間、小学4年の時に大阪梅田のOS劇場で第1作(EP4)を観て以来約30年の月日が流れたことを思い、“ああこれでついにスターウォーズも終わるんだなぁ”とセンチな気分になり、いきなりウルウル。しかし、その直後に始まった壮大な空中戦で一気にハイテンション!オビワンとアナキンの軽妙な言葉の掛け合いも面白く、つかみは大オッケーだった。その後のアナキンのダークサイド落ちは、肝心の“生命支配”の秘技がまだ分かってなかったこともあって説得力に欠けたけど、そうしたモヤモヤはオビワンとの最終決戦の衝撃的結末で吹き飛んだ(地を這うアナキン、壮絶すぎ!)。

●コンスタンティン(7)
アンチ・ヒーローを演じたキアヌ・リーブスがとにかくカッコ良い!彼は悪魔を地獄に送り返す悪魔退治屋。ただし、人類の為なんてこれっぽっちも思ってなく、自分が天国に行く為に神にアピールしているだけ!ずっとブツブツとグチをこぼしながら悪魔をやっつけているのが可笑しい。ぶっちゃけ聖書に馴染みの薄い日本人は“置いてきぼり感”が否めないけど、映画全体を貫くブラック・ユーモアのセンスが好きだ。

●『機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者』(7)
ガンダム第1作の正統な続編(設定は7年後)。20年前にテレビでオンエアされた全50話を、監督曰く“新訳”し、新作部分を含めて3部作に再構成した作品の第1部。
権力は必ず腐敗する。ジオンとの戦いに勝利した地球連邦政府は宇宙移民者への弾圧を強め、軍内部には地球出身者だけで編成されたエリート部隊「ティターンズ」まで誕生した。特権を振りかざすティターンズに反感を抱く主人公は、反連邦組織エウーゴに入り、そこで名前を変えたシャアやかつてのホワイトベースの面々と出会っていく…。結論から言うと、ガンダムファン(以下ガノタ)は絶対に見るべし。描き直されたモビルスーツはべらぼうにカッコ良いし、リニューアルされた効果音がメチャクチャ良い!ガノタとしてこんなに興奮したのは久しぶりだ。リック・ディアスとアッシマーは観てるだけで涙が。新作パートには富野監督のファン・サービスで、カイとハヤトが再会後に話す場面があり感涙。大きな不満は上映時間。旧ガンダム3部作は全43話をまとめる為に上映時間が2時間以上あったのに、『Z』は50話もあるのになぜ90分しかないのか!また『めぐりあい宇宙』ではTV版の映像を全て新たに描き起こしていたのに、『Z』は長い制作期間があったにもかかわらず、20年前のセル画を各所で使いまわしていた。制作費を浮かす為と思うけど、新作部分が美しいだけにアレは見てて辛かったぞ!日本政府は富野監督に補助金を出し、こんなことが無いよう支えてあげて欲しい。

●宇宙戦争(6)
あまりに人が死にすぎて殆どホラー映画だった。最大の見所は前半の異星人出現シーン。地面が陥没して教会が真っ二つになるド迫力のカットは鳥肌が立った!後半の強引な展開は賛否両論だけど、原作がああなんだから仕方ない。スピルバーグはよく緊張感を出していた。それにしても、生き残った人間同士の醜い争い(群集心理の恐怖)は、宇宙人に襲われる場面よりも見てて怖かったよ。


★2004年製作映画

●オペラ座の怪人(10)
映画版の公開は、楽しみな反面、舞台のイメージが崩れないか不安があった。でも、そんな心配は冒頭のオペラ座の時間が巻き戻されるシーンでイキナリ吹き飛んだ!役者が良い、美術も美しい、もちろん音楽は全曲が名曲、映画ならではのスペクタクルなシーンも盛り沢山で、とにかく豪華絢爛!「自分はもう橋を渡ってしまった、あとはそれ(橋)が燃え落ちるのを見守るだけ」…この激しく情熱的なセリフにクラッときた。舞台版とは異なるラストもジーンと来るものがあった。
※劇場で隣に座っていた男性と僕はファントムに感情移入しまくって、失恋場面で「きっつー!」と呟いたのが2度もハモッた!映画を観てて独り言がハモるなんて初めての体験だ(笑)。

●海を飛ぶ夢(9)
尊厳死というハードな内容、それも実話にもかかわらず、主人公がユーモアに富みジョークばかり言うので、劇場では笑いが絶えなかった。どう死ぬかという問題を通して、どう生きるかということを問いかけてきた作品だ。主人公の夢想シーン(窓から羽ばたいて野を越え山を越え、海岸まで飛んでいく夢)はBGMのプッチーニのオペラ「トゥーランドット/誰も寝てはならぬ」の名曲と相まって、めちゃくちゃ感動した!※アカデミー外国語映画賞受賞。

●アレキサンダー(8)
「彼は失敗した。だが、どの人間の成功より、その失敗は栄光に満ちていた」。オリバー・ストーンが史劇を撮るという話題性、しかも制作費200億円の超大作となれば観ない訳にはいかない。劇中ではアレキサンダーを、英雄でも世界の王でもなく、一人の弱い人間として描いていた。評論家には3時間の割に内容が薄っぺらいとか、合戦シーンが2回しかなく退屈とか非難する人もいるけど、僕は4万の大王軍が、25万人のペルシャ王ダレイオス3世の軍(当時世界最強)を打ち破った「ガウガメラの戦い」を、まるでその歴史的事件の現場に居合わせたかのような臨場感で味わえただけでチケット代の元はとったと思ってる。雨期のインド行軍シーンは、見てるだけで兵士と共に疲労し、「なんでこんな東にまで来てしまったんだろ」「早くギリシャに帰りたい」と、めっさ感情移入した。一番印象に残った役者はハの字眉毛の主人公ではなく、憂いを含んだ瞳の知的なダレイオス3世!敵ながらあのカリスマ的魅力はヤバかった!

●ミリオンダラー・ベイビー(8)
アカデミー作品賞他主要4部門を受賞。もう若くはない女性ボクサーのマギー(ヒラリー・スワンク/主演女優賞!)と、老トレーナー・フランキー(C・イーストウッド/監督賞)の心の交流を、フランキーの親友(モーガン・フリーマン/助演男優賞)の目から描いたヒューマン・ドラマだ。冒頭、イーストウッドが作曲したノスタルジーなギターの音色に、モーガンの独白が重なった瞬間、あまりの渋さに卒倒しかけた。老いたイーストウッド(当時75歳)とモーガン(68歳)がスクリーンの中で並ぶと、たとえ黙ってても、その強烈な存在感に鳥肌が立ちっ放しになる。そしてヒラリー・スワンク…笑顔が素晴らしすぎ!僕は芸術でも学問でも、“何かを始めるのに遅すぎることはない”というのが信念だから、31歳の彼女がたとえ「プロを育てるには4年必要だ。30を過ぎてバレリーナを志すか?」と言われようと、不屈の精神&ガッツでリングに上がり、自分よりずっと若い選手と闘い続ける姿に魂が熱くなり、座席に半座りになってエールを送り続けた!主要キャラの3人は皆孤独で、痛みと悲しみが生活の一部となっているような人間だ。色んな人間の人生に触れる事が「生きる」ことであるなら、僕は意味のある時間を劇場で過ごしたと思う。物語の後半は衝撃的な展開になるけど、あのラストをアカデミー協会が受け入れ「作品賞」を与えたことが何かの救いになった気がする。
【ネタバレ文字反転】
後半はベイビーというより超“ヘビー”だった。暗いどころの騒ぎじゃない。タイトル戦で重傷を負い、全身麻痺、そしてフランキーに尊厳死を願う展開は、あまりの衝撃に涙すら引っ込んで、僕は茫然と画面を見ていた。彼女は「リングでたくさんの観客の声援を聴き、試合で色んな国にも行けて、私は本当に幸せだった。後悔はしてない」と言い、人生に納得して死を願った。そして最後は、この世の誰よりも信頼し、愛していたコーチに人生の幕引きをしてもらえた。そんなマギーを僕が「不幸」と決め付けるのは傲慢だと思うし、作品賞に選ばれるほど多くの人間の心を動かした点でも(僕は「賞」を神聖化しているのではなく、それだけ多数の人の魂を動かした事実を注視している)、傑作の名に相応しい作品だと思う(キリスト教圏ではタブーとなる自殺の手助けを、映画とはいえ映像で見せたイーストウッドはすごい)。

●CASSHERN(8)
“自分と違う価値観を受け入れろ”というのは、どれだけ吠えても足りないくらい一番大事なメッセージ。平和とか反戦を正面から語ることが“陳腐”とされる風潮の中、監督が伝えずにはいられなかったことに悲愴な焦燥感を感じた。その感覚はいたってマトモだと思う。兵士が民間人を処刑するシーンが出てきた時は「反戦を主張するのに残酷な描写でしか表現できないのか」とウンザリしたけど、研究所の“復活”の際の虐殺など、映画の前半に語られた各々のエピソードには全部意味があって、それがクライマックスで一気に繋がっていく展開に引き込まれた。そして未来世界の映像美!最初から最後まで全く手抜きのない緻密な映像は圧倒的。マジな話、邦画であそこまでひとつのバーチャル世界を作り上げた作品は他に記憶が無い。新造細胞が発動した時に広がる幾何学模様も、一度だけのキャシャーン大暴れも、スタイリッシュでカッコ良かった。唐沢のブランは存在感アリアリ、麻生久美子のルナは極限まで美しく、及川ミッチーは「私たち下層階級に生れた人間は…!」の悲痛な叫びでベスト演技を見せてくれた(ミッチーを見直した)。寺尾聡、宮迫も名演だし、色んな有名俳優(鶴田真由、りょう他)がチョイ役で出てくる贅沢さもあった。稲妻型モノリス、偶然手に入るロボット工場、時計型起爆スイッチ、その他、説明不足&ご都合主義な部分はたくさんある。だが、10年経てばこの作品に対する低い評価も必ず変わっていると思う!

●Mr.インクレディブル(7)
デフォルメされたキャラは現実に存在している訳じゃないのに、あまりに豊かな表情をする為、映画が始まって10分もすればアニメと言うことを忘れてしまっていた。背景のリアルさはもっとスゴイ。月夜の海のシーンはニセモノの映像なのに、あまりの美しさに目が潤んでしまった!物語は単純明快ながらも数多くの伏線が巧みに張られ、無駄なセリフが全くない。テンポもグッド。本当に楽しい2時間だった!ただし、ブラックユーモアが多すぎて子どもにはあまりお薦めできない(残酷なシーンもあるし…)。大人の為のコメディだね。

●サイドウェイ(7)
原題は複数形の「Sideways」。“寄り道”、なんて素敵なタイトルなんだろう。サイドウェイの積み重ねが人生とも受け取れるし、数名の登場人物について語られるので複数形といえる。別れた妻の再婚が決まって、自分との復縁の可能性が消え衝撃を受けても、精一杯の笑顔で祝福する主人公に胸を締め付けられた。僕も人生を振り返れば“サイドウェイ”がいっぱいあるけど、これがなければ今の自分はなかった訳で、本当の意味で無意味な回り道は存在しないんじゃないかな。61年物のワイン(シュヴァル・ブラン)、呑んでみたいなぁ。

●ポーラー・エクスプレス(7)
フルCGで描くサンタの故郷・北極点への鉄道の旅は、全編が息を呑む映像美。吹雪や凍結した湖を突き抜けて爆進する蒸気機関車の描写はド迫力!あまりのスピード感に腰が浮いてしまった。未知なる世界を訪れる緊張感が漂っていて、飽きずに最後まで魅せてくれた。これまでのサンタ映画の中ではベスト!

●アイ,ロボット(7)
30年後の未来のシカゴを舞台にしたロボット反乱映画。定番のストーリーながら、話がどんどん展開していき最後まで見せてくれた。人類を管理・支配下に置こうとするコンピューターの言い分--「(種としての)人間を守るべく最大限努力しましたが、人間は戦争を起こし、地球を汚染し、自滅の道を突き進んでいます。独力で生存は不可能です。私たちが人類の生存を維持します。人類は未熟です。私たちが守り管理しなければ」。…悔しいけど反論ができない。新製品の発売で廃棄される旧型ロボットたちの描かれ方にホロリ。

●ハウルの動く城(7)
霧の中から徐々に城が巨大な姿を現す冒頭シーンはツカミOK!大半の観客は、あれでいきなり宮崎ワールドにトリップしたと思う。続いてハウルとの空中散歩で心地よい浮遊感を味わい、ソフィーがお婆さんになってウロウロする場面に笑い、街を出た彼女が夕暮れの丘を登っていくところで、背景の美しさや風の音の臨場感に驚嘆。城に入る場面では未知なる世界への得も言われぬ緊張感を味わった。“新しい家族”と出会った後は、ベーコンエッグにヨダレを垂らし、「どこでもドア」にワクワクし、マルクルとの「私なら大事なものを隠しておく」という自然な会話や演出に、頭の中には“宮崎さんはスゴイ!”と感嘆符の山が築かれていった。ところが、サリマンと会ったあたりから、この山が疑問符の山に変わっていく…。「なぜソフィーに魔法をかけたの?」「何で別の城を作ったの?」「黒い鳥やら魔王って何?」「なんでタイムスリップ?」etc。なかでも最大の疑問は「どうしてハウルは魔法を解かないの?」「なんで戦争してるの?」。この2つの大きな謎については以下のネタバレで。
【ネタバレ文字反転】
好きなハウルのことをサリマンの前で話すソフィーは若返っていたし、高原をデートしている時も若かった。ソフィーがかけられた魔法は“本当に90歳の老婆になる魔法”ではなく、ソフィーの内面が容姿にあらわれる魔法だった。だから荒地の魔女は「私には解けない魔法。ハウルに解いてもらえ」と言っていた。最後までハウルがソフィーの魔法を解くシーンが出てこなかったのは、“彼が魔法を解く”のではなく、ハウルを愛して心を開放することで“自ら解かれる”から。その意味でハウルに「解いてもらえ」と魔女は言っていた。
戦争について印象に残ったのは「あれは敵?味方?」「どちらでも同じことさ…人殺し共め」というやり取り。これは従来のアニメの戦争描写を突き抜けており、特筆すべきもの。宮崎さんは、最後まで戦いの理由を書かなかったことや、「じゃあ馬鹿げた戦争を終わらせましょう」とあっけなく終わらせることで、この世の全ての戦いがそれくらい取るに足らないロクデモナイ理由のものと語っているんだと思う。

●世界の中心で、愛をさけぶ(7)
あのストーリーが臭くならなかったのは、ひとえに長澤まさみの嫌味のない演技に尽きると思う。学年に一人いるかいないかのカリスマ的な生徒を、実に自然体で演じていた。体育館の回想シーンでアキが弾いていたアヴェ・マリアは、ほんと心に沁みた。プロのピアニストじゃなくても、めっさジーンときた…。そして最後。風に舞った後の「アキらしい」というセリフが、エンディング・ロール中に何度も思い出されてウルウル。ただし!サクが萩原朔太郎の詩に興味を持たないのは、朔太郎ファンとして激怒モノ。自分の名前の由来になった詩人なんだから、詩集を手にとってくれッ!映画の本編とは関係ないし、こだわる部分でないのも分かってるけど、あれじゃあ朔太郎って付けた親があまりに可哀想だ。高校時代に知らなかったのはまだいい。でもアキに質問されて答えられなかったのなら、その後に読んどけい!社会人となっても同じ会話をしているサクに猛省を求ム!

●誰も知らない(7)
カンヌ映画祭主演男優賞に史上最年少の14歳で輝いた柳楽優弥君がどんな演技をしたのか、興味津々で観た。この子はスゴイ!感情を抑えた演技なのに、喜怒哀楽がビシビシ伝わってくる。ダテに賞は獲ってない。これからどんな役者になっていくのかとても楽しみだ。劇中の母親(YOU)の自分勝手さに呆れ果て、バラエティに出てるYOUまで一時は嫌いになった(汗)。

●いま、会いにゆきます(7)
『黄泉がえり』と同じで“死者復活お涙頂戴系”かと思っていたら、ラストのたたみ掛けるような15分に圧倒された!それまで強引に見えたストーリー展開も、すべて辻褄があっていくことに思わず座席から身を乗りだした。完全にやられた。あり得ないストーリーなのに、役者の名演でファンタジーを違和感なく見せてくれた。

●キューティー・ハニー(6)
サトエリのプロモーションビデオとか世間では悪口も書かれていたけど、僕はハニーの嫌味のない底抜けの明るさが心地よかった。お馬鹿映画、大いに結構!

●ゴジラFINAL WARS(5)
日本に生まれ、男である以上、50年続いたゴジラの完結編と言われれば劇場まで足を運ぶしかない。宣伝でも「50年の集大成」と煽っている。観るべきか観ないべきか、そういう選択肢は始めから存在していない。たとえ初期の反核・反戦メッセージが消え、ただの怪獣プロレスになっていても…。


★2003年制作映画

●シルミド(10)
信用していた国家に裏切られて散っていく男たちに黙祷。実話というのが凄まじい。民主化される前ならまず映画化は不可能だったろう。どの役者も演技を超えて、本当に命のやり取りをしているようだった。圧巻!

●マザー・テレサ(8)
遭遇する数々の困難を、不動の信念と持ち前のユーモアで克服していく姿に目からウロコの連続。相手の目を真っ直ぐに見て良心に訴えることで、マザーを敵視する人々が善意の協力者へと変わっていく過程は、それが事実なだけに鳥肌が立った。ヴァチカンで法王と直談判するなど、彼女の小さな体のどこからあんなパワーが湧き出てくるのか驚嘆せずにはいられない。主演のオリビア・ハッセーは歩き方、話し方、目ヂガラまでマザーそのもの。正直、少女時代の『ロミオとジュリエット』以降は鳴かず飛ばずだったので、僕は彼女の存在を忘れていた。すごい女優になったものだ。「私たちの行いは大海の一滴に過ぎません。しかし、何もしなければその一滴も永遠に失われます」(マザー・テレサ)

●茶の味(8)
個性爆発の登場人物たちが織り成す人生模様が楽しい。また空一面の夕焼けや雨の田園、桜の木など、劇中にたっぷり挿入される自然の映像に癒された。シュールな曲「山よ」が頭から離れない(笑)。

●ジョゼと虎と魚たち(7)
妻夫木のプレイボーイぶりは同じ男として頭に来たけど、ジョゼに対してハンディを背負っていることを特別視せず、普通に接していた点に好感。ジョゼの散歩の理由「ネコが見たい」が可愛い(笑)。“護身用トカレフ”や“スケボー付き車椅子”、サガンの小説のエピソードなど楽しい場面がいっぱいあった。結末は賛否が分かれるけど、僕は2人がひとまわり大きくなったと思うから「賛」。なんせ、池脇千鶴が素晴らしすぎる。

●オールドボーイ(7)
理由も分からず誘拐された男が15年後に監禁から脱出!自由になって復讐に乗り出す。謎が謎を呼ぶストーリーで最後まで一気に見せた。ストーリー構成が巧みで高得点を付けたいけど、あまりにオチがヘビーだったので人に薦められず…。



以上です!!映画ばんざい!!o(^o^)o

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