“活断層の巣”に立ち並ぶ関電の原発群 | 日本列島には約2,000もの活断層! |
日本の面積は世界の0.25%しかないのに、マグニチュード6以上の地震回数は20.5%が日本に集中している。
今まで福島原発のような重大事故が起きなかったのは単なる幸運。政府が再稼働を強行した今こそ、原発の 危険性について、ザッと読むだけで要点が分かるページが必要と思い、以下にまとめてみました。 (内容に重大な事実誤認があれば遠慮なくご指摘下さい。より正確なデータで語りたいので!) 大阪府民として、これまで危険と背中合わせに関西へ電力を供給してくれた福井の人々へ感謝しています。だからこそ、安全対策が終わっていない危険な原発を稼働させて、これ以上福井の人々の生命を危険に晒したくないのです。現実問題として、福井がこれからは原発マネーに頼らない予算計画を立てられるよう、国にサポートを求めたい(国策で進めてきたのだから)。 原発の是非はエネルギー問題ではない。人間が近づくと20秒で死に至る放射性廃棄物1500シーベルト(150万ミリシリーベルト)を埋める場所がない。地下で10万年も管理する技術もない。 |
★【原発争点一問一答】 ●「福島第一原発は地震には耐えた」 →まったく耐えていない。大嘘。NHKスペシャル『メルトダウン連鎖の真相』の検証で、地震によって配管がぶっ壊れてベント(排気)できなかったことが判明した。同じタイプの原発は国内に26基ある。どうするんだ。 ●「脱原発というのなら代替エネルギー案を出せ」 →LNG(液化天然ガス)ガスタービンは工期数ヶ月で建設可能。既存の発電所の敷地に設置することで環境アセスも不要。これを増設し電力ピークを乗り切る(夏以外はさらに余裕)。 ●「ガスタービンは燃費が悪い」 →ガスタービンはコンバインドサイクル化(排気から熱を回収し2重に発電)が可能。その場合の熱効率は約60%であり原発の2倍! ●「火力は燃料代がかさむ」 →日本の電力会社は天然ガスを米国の8倍、韓国の3倍、イギリス・中国の2倍で調達しており、平均的な国際価格で調達するだけで燃料代はむしろ下がる。日本は電力会社10社が個別輸入している=小口契約で割高になっており、注文を国主導でまとめて一括大口契約にすれば価格交渉力が増し、まともな価格で購入できる。大口契約になれば中東以外の資源国も名乗りをあげ、中東依存のリスクを減らすことが出来るだろう。また、廃炉費用や10万年分の核ゴミ管理費用を考えると、本当に高コストなのは原発。 ●「火力はCO2が問題」 →最新型はCO2排出が少ない。旧式をLNGガスタービンコンバインドサイクルや、石炭ガス化コンバインドサイクルなどに変えれば熱効率がアップしCO2も減る。 ●「原発を止めれば潜在的核抑止力がなくなる。核武装不能になる」 →軽水炉はプルトニウム239の純度が低く核兵器製造は“不可能”。日本の現役原発はすべて軽水炉なのに、石原氏や石破氏は真顔で「潜在的な核保有国でなくなる」と言っており笑止。核兵器製造用には重水炉か黒鉛炉が必要。また、核開発を始めると核拡散防止条約違反となり制裁でウラン禁輸となるため国産ウランの確保が不可欠だがそんなものはない。 むしろ現状では中国・北朝鮮に向けて日本海側に原発がズラリと並び夜店の射的状態であり、安全保障上マイナスしかない。格納容器がミサイルで壊れなくても、電線を切って外に置いてあるディーゼル発電機をぶっ壊すだけでアウト。普通の国は海岸線の防御を堅牢にするのに、海岸線に「急所」を並べるこの愚かさ(石原氏が好んで使う“平和ボケ”をそのまま返したい)。 ●「原発再稼働しないと日本経済が死ぬ」 →原発再稼働しないと死ぬのは日本経済ではなく原発マフィアだけ。っていうか、豪州など原発がない国は山ほどあるが、経済は終わっていない。日本は原発開発のため電力会社が負担すべきコストを国民に支払わせてきた。原発事故の被害は数十兆円から百兆円規模であり、次の原発事故は日本にトドメをさす。 ●「原発止めただけで安全なのか。今ある核ゴミをどう処理するんだ」 →その通り。原発の核ゴミを保管する施設に空きがもう無い。無いから原発のプールに大量に保管するようになり、フクイチ4号機のプールにドッサリと使用済み燃料棒が置いてあった。だからさらに核ゴミを増やす再稼働はあり得ない。日本には10万年も核ゴミを安全に保管する場所も技術もない。地下に埋めても日本は断層だらけ。地震で地下水が汚染され、一帯は死の土地に。 ※財界の推進派が再稼働にこだわるのは、廃炉にすると原発や使用済み核燃料が資産ではなくなり、巨額の負債になってしまうから。ただそれだけの理由で、事故対策も終わっておらず、活断層の近くにある危険な大飯原発を再稼働させ、国民の命を危険にさらしている。民主の「2030年代に脱原発」では遅すぎるし、それは“続原発”と同じ。そして安倍氏は自分が安全神話を垂れ流した原発推進勢力の中心人物ということ、福島の事故を防げなかったという自覚、当事者意識がまったくない。なぜこうも他人事のようにふるまえるのか(リンク先の動画にめまいが…)。 |
★電気は原発以外で作ることが出来るから原発は不要。日本を無人の島にしたくない。
再稼働反対という思いの背景にあるものを5点あげると→ ●どの原発も本格的な安全対策はこれから。まだ予定計画表を“提出”しただけ。 ●活断層の上にある原発を動かすのは狂気の沙汰。 ●東電の原発は津波で壊れる前に地震で壊れていた可能性が濃厚。“津波で電源喪失”は耐震性から目をそらす為のミスリード。 ●「原発は絶対に安全」と嘘をついていた“専門家”が、同じ顔ぶれのままで再び安全宣言をしており全く信用できず。 ●電気は足りている。詳細後述。 原発容認派は、「少々危険でも電力不足よりいい」と考えているんだと思う。僕は福島が受けた被害を“少々危険”程度に考えられないし、“電力不足”もインチキと思っている。容認派からすれば「どうしてそこまで再稼働に反対するのか分からない」「心配しすぎ」に見えるだろう。だから説明したい。 以下を読んで、本当に再稼働が適切か判断して欲しい。 ★福島第一原発(フクイチ)は「“津波”で壊れた」と政府・東電は主張しているが、実際は津波が来る前に“地震”で壊れた可能性が高いことを多くの学者が指摘している。電力会社にとっては絶対に「津波で壊れた」のであらねばならず、「地震で壊れた」とは口が裂けても言えない。なぜなら、もしも地震で壊れていたら、国内の全原発施設に耐震上の問題が波及し、再設計、補強工事という大変な事態となる。全原発の長期間停止(数年レベル)は避けられなくなる。だから、この大問題を政府もとことんスルーしている。 ・津波は敷地内に押し寄せたが、原子炉建屋本体は二重扉に守られ津波が入りこんではいない。それにもかかわらず短時間で放射線量が上昇したことが、地震による配管破損を指し示している。 ・第一原発から漏れたキセノン(核分裂時に発生するガス)は世界中に広まり、その量はチェルノブイリの2倍以上。キセノンの流れを遡ると漏れ始めた時刻は11日午後5時50分ごろ。電源喪失による19時半の炉心溶融開始よりも早い(ちなみに全燃料メルトダウンは12日朝6時)。 ・日本では1982年以降、原発の機器を振動台で揺らし強度を測る実験が行われた。だが、福島1号機のような古いタイプの原子炉は実験が行われていない。 ・1号機の設計に従事した元GEエンジニア、デール・ブラインデンボー氏「マグニチュード9.0を超える地震は設計上原発が耐えられる規模を超えている。パイプ(配管)のどれかが破損していた可能性がある」。 ・日本の原発は以前から配管のひび割れがあちこちで報告されている。ところが老朽化している福島第一原発で、地震による配管断裂に東電が全く触れていない。“地震がなくても”ひび割れるのに、あの震度で無傷のはずがない。 ・原発は加速度300〜450ガルの地震が来ることを想定して設計されている。だが、地震学者で国立極地研究所元所長の島村英紀氏は、「08年の岩手・宮城内陸地震は4000ガルまで達した」と語る。そういう地震が起きる時代に突入している。たとえ格納容器が耐えられても他の配管は耐えられない。 ・フクイチ5、6号機が停電になったのは鉄塔(送電線)が倒れた為。この鉄塔は津波が未到達の場所にあり、120%地震で倒壊。 ★活断層の上にある原発を動かすのは狂気の沙汰 冒頭に書いたように、日本の面積は世界の0.25%しかないのに、マグニチュード6以上の地震回数は20.5%が日本で発生している。活火山数も世界全体の7.1%が集中。360度を海に囲まれ、全方向から津波が押し寄せる。沖合で3つの大陸プレートが重なる過酷な環境にあり、原発建設にはまったく適さない。 福井の大飯原発は、敷地内に軟弱な断層(破砕帯)が走っており、これが近くの活断層と連動して地表がずれる可能性がある。渡辺満久東洋大教授(変動地形学)は「原子炉直下を通る破砕帯もあり、早急に現地調査すべき」と訴えている。地表がずれると様々な配管が外れて至るところから放射性物質が漏れ出す。そもそもそんな土地は、法的に原発の立地場所として不適格であり、再稼働どころか即廃炉となってしかるべきもの。本当に怖いのは地震なのに、どの原発も津波対策しかしていない。 ※菅首相が浜岡原発(静岡)を停止させたのは、敷地内を2本も活断層が走っており世界一危険な原発と言われていたから。ただし、敷地内には依然として大量の燃料棒があり、これをどこかへ移送しない限り危険なまま。 ★電気は足りている
今や脱原発派の最大の敵となった“原発利権のボス”仙谷由人・民主党政調会長代行いわく「電気の足りない真っ暗な中で生活をするわけにはいかない」「原発を止めたら日本は集団自殺になってしまう」。さんざん、電力不足は真夏の数日のみ、それも24時間ではなく昼間の短時間だけといわれているのに、なんで「真っ暗な中で生活」などと大袈裟に危機を煽るのか。“集団自殺”というなら、そもそも地震大国の日本に50基もの原発が乱立していること自体が自殺行為だ。 ●琉球新報『原発を推進したい人々が、無理に電力不足を演出している』(2012.4.16)…「日本の火力発電の稼働率は5割以下で、7割まで引き上げれば原発はゼロでも供給は足りる。なぜ不足するのか。昨夏ならまだしも、今夏は震災から1年以上たつ。火力発電の再稼働が間に合わないというのは理由にならない。原発を推進したい人々が、無理に電力不足を演出しているのではないか」 ●政府のエネルギー・環境会議は全原発停止の場合、「2012年夏は過去最高の猛暑だった10年夏の需要から試算すると、需要ピーク時に全国で約1割の不足に陥る」と公表していた。これに疑問を感じた菅首相は独自に発電所ごとの設備容量・稼働可能性、地域ごとの再生可能エネルギーの稼働状況など、試算の根拠データの提出を経産省に求め、総理補佐チームに再試算させた。その結果、風力、太陽光など再生可能エネルギー容量が759万キロワット(原発約7基分)あるのに、公表された試算では供給ゼロとなっていたり、一部火力発電所で定期検査による稼働停止時期を猛暑の8月に設定したり、大口契約者への「需給調整契約」(格安電気料金のかわりに利用削減あり)による削減見込みもゼロとしていた。夜間の余剰電力を昼間に利用する「揚水発電」の供給力も低めに設定されていた。そして、再生可能エネルギーなどを盛り込むシナリオで計算し直すと、電力使用制限令を発動しなくても「最大6%の余裕がある」ことが判明した。最初に発表された「約1割不足」は、再生可能エネルギーを殆ど加算しないなど実態を無視しており、電力会社の言い分をまとめた極端な試算。供給力を過小評価し、原発再稼働の必要性をやたらと強調している。さらに言うなら、国民が節電に協力しないという前提の試算だ。「約1割不足」という情報が正しくない以上、再稼働は無用。 ●原発推進派は「精密機器工場は一瞬でも停電したら大損害が出るので、被害を食い止めるためにも原発は再稼働すべき」というが、台風や落雷で停電することは普通にあり、一瞬でも停電したら大損害が出るような工場なら絶対に自家発電を併用してる。「人工呼吸器が停まって死者が出る」という意見も同じ。不測の事態に供えたバッテリーがあり、行政のサポートがない方が問題。また、「ハイテク工場の稼働には電力を安定供給する原発が必要で、天候に左右される自然エネルギーでは代替できない」というが、工業先進国ドイツはすべての原発を止めて最近5年間で自然エネルギーを倍増させたが、ドイツ製の工業製品の品質は落ちていない。むしろ、日本の最先端ハイテク工場は、安い労働力を求め、日本よりはるかに電力事情の悪い国に移転している。中国の地方都市は一日に何度も停電するが日本企業は自前の発電所を設備しているので問題はない。 ●福島原発を建設した元GEエンジニア菊池洋一さんいわく「全ての原発は必ず同じ出力の火力発電(バックアップ発電)設備とセットになっている。各電力会社に地域独占が許されているのは“安定供給”の義務があるため。何らかの理由で緊急停止すると瞬時に切り替えて停電を防ぐシステムになっている」。つまり、原発が停止したから電力不足になっているのではなく、震災で火力発電も壊れたから。“危険だけど原発は必要”ではなく、火力が復旧すれば原発はなくてもOK。現に2003年4月に東電所有の全原発17基が3週間停止した時も、季節が春とはいえ全く計画停電の話は出ていない。 ●2012年5月15日に行われた大阪府市エネルギー戦略会議で、関西電力は『再稼働なくても停電させない』と宣言し、「吸気冷却装置を設けて出力向上運転を行う」等と具体的な対策が記され、「これらの追加対応策により停電を回避する」と表明していた。ところが同月29日になって態度を一変。関電の説明資料から『再稼働なくても停電させない』という文面や数値が消え、“翌日”に野田首相が「再稼働させていく」と宣言した。たった2週間で「再稼働なくても大丈夫」から「再稼働必要」に方針転換した関電。原発村に取り込まれた政府と連携しているとしか思えない。 ●今夏(2012)は2010年のような猛暑にならないと気象庁が長期予報を出しているのに、政府・電力会社はずっと「2010年夏のデータで比較すると○○%の電気が不足する」と言い続け、国民に不足感をすり込んでいる。 ●関電は「原発ゼロなら最大電力量は2574万kW/時しかない」と主張しているけど、昨年6月下旬から9月上旬までのサマーシーズン(85日/2040時間)で、需要がオーバーしたのは2040時間のうちの58時間しかない!たったの2.8%!それなのに、政府・関電は電力不足が毎日続き、夏季中ずっと停電対策が必要のように宣伝(っていうか洗脳)している。関電は昨夏の電力使用のピークに210万kW/時が不足したとも言ってるが、だったらこの1年間、関電は何をやっていたのかと。東京電力は2012年7月に鹿島火力発電所に新しくガスタービン発電施設3基を稼働させ、東北電力は東新潟火力発電所の資材置き場と駐車場を使って、たった1年で34万kW/時のLNG(液化天然ガス)火力発電所5号機を完成させた。関電だってガスを利用した火力発電所を6基建てていれば今夏のピークに対応できたのに、最初から原発を再稼働させるつもりで無策のまま今日に至った! ●では、全国はどうか。企業などの自家発電全国総量は5373万kW/時あり、これは東電1社分の供給量に匹敵する。さらに、電力会社が大口消費者と契約している「需給調整契約」(電力不足時にピークカットする代わりに、平常時の電気料金を大幅割引する契約)の総電力量が、原発5基分(505万kW/時)ある。契約通りカットするだけで電力不足は起きないうえ、大口契約者の大半は自家発電設備を持っているので大混乱にならない。企業の非常用電源も2300万kW/時眠っており、こうした埋蔵電力を活用すれば、原発ナシでも今夏は電力不足にならない。(週刊ポスト4月27日号) ●ビジネス誌“週刊ダイヤモンド”は電力不足どころか「電力余り」の実態を指摘。原発ゼロの場合、西日本6社合計の供給量は1万114万kW/時。一方、昨年8月の実際の需要量は9767万kW/時。これだけでも足りているうえ、同誌が各社資料を計算するとピーク時でも約1500万kW/時の供給余力を持っていることが判明し、「電力会社の言う電力不足には、数字的根拠がない」と断罪。 ●与謝野元経財相など一部の原発推進派は「江戸時代の生活に戻ってもいいのか」と騒ぎ立てるけど、江戸時代なんか絶対にあり得ない。なぜなら→ (1)現在の原発抜きの年間発電量は1990年の原発込みの発電量(7300億kw)とほぼ同じ。つまり今原発を停止しても1990年=バブル時代の生活レベルは確保できるということ。 (2)しかもこの20年間で家電の省エネ化はどんどん進んでおり、より少ない消費電力でモノが動かせる。 バブルの時、日本人は浮かれて無尽蔵に電気を使いまくってた。あの電力レベルに戻るだけ。どうしても大きな支障が出るというなら、いま半数以上も休眠中の火力発電所をあと3割動かせば良い。 【関電が主張している「夏場マイナス16.3%」がいかに嘘っぱちか】 関電が主張している2012年夏の電力不足は495万kW。これが本当か検証。 ●前年夏、東京都は18%の節電に成功している。ところが関電が見込んでいる2012年夏の関西圏の節電予測はたった“3%”。あまりに関西人を馬鹿にしすぎ。たとえ18%まで節電しなくても、約半分の10%の節電で212万kWの節電(=大飯原発2基分)が可能。※これだけで既に大飯再稼働の根拠が吹き飛ぶ。 ●「揚水発電」(汲み上げ式ダム。夜間に火力発電で電気を作って汲み上げておく)で生まれる電力を、関電は216万kWと試算しているけど、節電で需要が下がればフル稼働が可能になる(ポンプで水を汲み上げる時間が増える)ため432万kWも発電できる。揚水発電は関電の試算プラス216万kW(=また大飯原発2基分)が実数に。火力発電で電気を作って揚水発電所を稼働させれば良い。 ●近隣の北陸電力、中部電力、中国電力は、電力需給にゆとりがあり、真夏のピーク時でも合計900万kW余っているので、全部は無理でも3分の1の300万kWは融通してもらえる。 ●神戸鉄鋼など企業の自家発電で余っている電気は100万kW。 …これらを合計すれば828万kW!関電のいう不足分は495万kw。つまり、足りないどころか333万kWも余裕がある。 ★建屋爆発〜構造的欠陥 フクイチで建屋が次々と水素爆発で吹き飛び、重大な構造的欠陥が判明した。スイスの原発ではベント(排気)用の独立した配管がある。なぜなら他の配管と接合してしまうと、水素が流れ込み(逆流して)爆発する恐れがあるからだ。ところが福島第1原発は、新たに独立した配管を引かずに、コストカットのために他の弱い配管と接合した。この工事費のケチな節約が今回の水素爆発に繋がった。爆発した福島原発と設計が似ていて、今後、ベントの時に建屋が吹き飛ぶ可能性がある原発は、島根原発2基、浜岡原発3基、志賀(石川)原発2基、柏崎刈羽原発7基、東海原発1基、福島第2原発4基、女川原発3基、東通(青森)原発1基の全国23基もある。
★大飯原発について〜再稼働は国際基準「五層の防護」を無視した暴挙
・再稼働が決まった大飯原発について、野田首相は「福島のような津波と地震が襲っても事故は防げる」と胸を張るが、国際基準に照らせば重要な対策がすっぽり抜け落ちている。このまま稼働させれば国際基準から逸脱した形になる。国際原子力機関(IAEA)は、原発の安全性を保つため「五層の防護」という考え方を示している。災害に襲われても炉心溶融のような重大事故にならないよう備えをするのが一〜三層目。大飯原発は非常用電源の多様化や建屋の浸水対策はある程度はできたが、それは三層目までのこと。住民を被曝から守るかの備えをするのが四、五層目の対応はまったく手付かずの状態!たとえば… ●四層目/事故が起きた場合に被害を最小限に食い止める方法 (1)ベント(排気)用のフィルター取り付けは3年後(予定)…福島原発では排気筒にフィルターが付いていなかった為、大量の放射性物質をまき散らす結果を招いた。常識的には、同じ惨事を繰り返さないよう、放射性物質の排出を最小限にとどめるフィルターを大至急取り付けるはず。だが、大飯を含む国内全原発50基はいまだフィルターゼロ。 (2)免震重要棟の設置も3年後(予定)…フクイチには事故収束に当たる作業員を放射線から守る免震施設があった。東電の清水前社長いわく「(対応の拠点となる)免震重要棟がなければ、事故対策ができず、どうなっていたかぞっとする」。だが、大飯原発にはそれすらない。現地が機能しない場合のオフサイトセンターは、なんと海岸沿いに設置されている。※関電はフクイチ事故前に保安院から免震棟を設置するよう再三勧告されてきたが“予算不足”を理由に先延ばしにしてきた。 (3)非常用発電機の設置3年後(予定)…フクイチ事故は非常用発電機が流されて大事故に繋がったけど、大飯原発は流されるかどうか以前に、非常用発電機自体がまだない! (4)防潮堤の設置は1年後(予定)…上の写真の通り、ほとんど海抜ゼロメートルで海にむき出し。 (5)生命線は1本の道だけ…防潮堤がないのも問題だけど、個人的には三方を山に囲まれていることが怖い。大飯原発の裏手の崖は崩落する危険性が指摘されており、崖崩れで原子炉施設が粉砕する可能性もある。大飯原発は外界と「トンネル1本」で結ばれているだけ。トンネルが崩落したり、道が土砂で埋まったら、もう誰も原発事故を収束できない。作業員も脱出不可能。福井ゆえの豪雪や、活断層の地割れで緊急車両が近づけない可能性もある。 ●五層目/適切な住民保護 (1)内部被曝を防ぐヨウ素剤を配る準備が周辺自治体に出来てない。 (2)福井県の避難計画も近隣の他府県との連携を考えない硬直化した内容のまま。大飯町住民の避難経路は、わざわざ敦賀の原発銀座を通って行くというもの。 (3)モニタリングポストなど広域に放射線量を監視する体制も整っていない。 このように四層目が達成されそうなのは三年後で、五層目はいつになるかメドも立っていない。 ・「何十年も安全と言われ続けてきた。今回(大飯原発再稼働)も同じような判断でしかないのかと、非常に残念に思う」(福島県双葉町の井戸川克隆町長) ・「電源車を用意するだけでは安全対策から程遠い。“付け焼き刃”に近い対策ですらやっていない。無茶苦茶です。琵琶湖が汚染されて関西圏はほぼ全滅に近い状態になる」(元東芝原発設計者・後藤政志) ・大飯原発3&4号機は加圧水型。2次冷却系に海水を注ぎ込むだけでは爆発しない。しかし注水切り替え作業には40人の作業員が必要で、召集後に町から崖の下の1本道を120分かけて歩いてくることになっている。 ・ストレステストの一次評価について専門家が不十分と言っているうえ、メルトダウン後の安全対策について検証する二次評価は、まだテストすらしていない。 ★それではなぜ電力不足じゃないのに再稼働させるのか。関電は純資産1兆5298億円のうち、原発設備や所有核燃料を“資産”として約9千億計上しているからだ。原発が廃炉となればその9千億が一気に消滅してしまうばかりか、今度は天文学的な廃炉費用が必要になる。それを恐れている。どんな原発も老朽化し、永遠に動かせるわけではない。仮にフクイチの事故が起きてなくたって、捨て場のない使用済み核燃料の問題や廃炉問題は出てくるのに、すべて後世の子孫に問題を押し付け、永遠に原発を動かし続けないとやっていけない経営体質に電力会社はなってしまった。 ★原発は電気代が安いの嘘 ・今は1ドル80円強なのに、東電は値上げの根拠としている燃料費の計算を1ドル107円でやっていると埼玉県の上田知事が憤慨。1ドル80円で計算すれば914億円も削減できる。先日に続き再度言わせてもらう。「東電は人を怒らせる天才」。 ・日本の火力発電の燃料は、石炭が約40%、天然ガスが約40%、石油が約15%、その他の燃料が約5%だけど、石炭と並んで燃料の主流になっている天然ガスを、日本はヨーロッパの2倍、アメリカの8倍というバカげた価格で買っている。交渉してヨーロッパ並みの価格にすれば値上げなど必要なくなる。 ・原発から出る放射性廃棄物は最終処分法が決まっていない。処分には天文学的費用が必要。トイレのないマンションを売り出し、“他のマンションより安い”と宣伝するようなもの。今回の事故は補償と処理を完全にするなら数十兆円かかる。そうした経費を計上せずツケを後世や住民に回しておいて、安上がりと吹聴するのは無責任。 ●通常、企業は利益を上げる為にコストカットの努力をする。ところが、電力会社はこれと真逆で、なるべく“コストをかけよう”と頑張ってきた。なぜか。電気料金は「発電所など固定資産に3%掛けた金額&諸経費」で決まるからだ。「固定資産×3%」だから、建設費が高額の原発をたくさん抱えているほど、電気料金も高く設定可能で会社の儲けが増える。しかも電力会社は「使用済み核燃料=核のゴミ」も“資産”にカウントしてきた。理由は“将来再処理するので資産”。再処理計画は行き詰まっているのに! 電気を安い発電所で作る場合と高い発電所で作る場合、高い発電所で作った方が電力会社の利益になり、原発を運転すればするほど核のゴミ=資産も増えるとなれば、電力会社が原発建設に夢中になるのも当たり前。そしてここに、広告宣伝費や社員の福利厚生が“諸経費”として加算される。独占企業だからいくら料金をあげても消費者が買ってくれる究極の殿様商売。こういった総括原価方式をやめないと電気代は永遠に下がらないだろう。 〔発電とは全く関係ない費用なのに東電が電気料金に上乗せしていたもの〕 日本の電気料金は米国の倍近い。発電にかかる費用以外にどんなものが電気料金に加算されているか東京新聞が調査を試みた。その結果、次の事実が判明した。 ・年8.5%のリフレッシュ財形貯蓄の利子(社員が500万預けたら年に42万も利子!) ・原発立地自治体への寄付金 ・熱海などに所在する保養所の維持管理費 ・社員専用の飲食施設「東友クラブ」や、接待用飲食施設「明石倶楽部」の維持管理費 ・業界団体、財団法人への拠出金と出向者の人件費 ・オール電化PRの広告宣伝費 ・一人当たり年間8万5千円の福利厚生の補助 ・PR施設(渋谷電力館とテプコ浅草館) ・健康保険料の70%負担(他企業の会社負担は50〜60%) ・年3.5%の財形貯蓄の利子(利子補てんがない企業がほとんど) ・総合グラウンドの維持管理費と減価償却費 ・野球やバレーボールなど社内のサークル活動費 ・女子サッカーチーム「マリーゼ」、東京電力管弦楽団の運営費 ・社員の自社株式の購入奨励金(代金の10%) ・電力と関係のない書籍の購入代金 呆れて言葉もない。普通の企業は利益からこれらを出してるけど、東電は電気代として消費者に強制支払いさせている。東電の手厚い福利厚生は、電力会社を選ぶことができない消費者の負担によって維持されてきた。経産省は発電に関係ないものは電気代に上乗せするなといってるのに、何でもかんでも電気代に入れている。おそらく、九電や関電など他の電力会社も程度の差はあれ似た状況ではないだろうか。以前に東電が経費を10年間過大に見積もって6千億も余分に電気代を支払わせてたという報道があったけど、あれだってまだ消費者に還元せずぼったくったままだ。 ★原発問題最大のタブー〜使用済み核燃料について 関電は大飯原発の使用済み核燃料の保管プールについて、「6、7年でいっぱいになる」と認めており、その後の処理体制について何も見通しが立っていない。一体どうするのか。安全性云々は専門的知識が必要だけど、ゴミ(放射性廃棄物)の処理方法がないのに次々とゴミを出すのが狂っているのは子どもでも分かる。政府・電力会社は、ずっと「トイレのないマンション」=原発を無責任に建ててきた。 「自動車は危険だけど便利だから使う。原発も同じ。むしろ自動車で死ぬ人の方が多いから原発は安全」という論調をいまだに目にすることがある。僕らが自動車や飛行機を使うのは、そこに代用できないメリットがあるからだ。原発は単なる発電システムの一つにすぎない。もし原子力からしか電気が作れないというなら、まだ説得力はある。でも、実際は石油、風力、水力、地熱、ガス、石炭、太陽光、様々な手段で発電可能だし、原子力はその中の一つに過ぎない。しかも原発の燃料のウランは約80年(埋蔵量550万トン、年間7万トン消費)で、石油より先に涸渇するうえ、放射性廃棄物は10万年も管理が必要だ。 “10万年”と言われてもピンと来ないので過去と比較してみよう。10万年前といえば旧石器時代で、まだクロマニヨン人さえ誕生していない。アフリカにいたホモ・サピエンスがようやく旧人から新人へ進化し、旧人ネアンデルタール人と共存していた頃だ。それくらい長い年月を管理し続けねばならない危険な核のゴミを、僕らは“今さえ良ければいい”と後世の人々に残しているんだ。原発推進派に一兆歩譲って再稼働を認めるとするならば、まずは大量の使用済み核燃料の安全な処分方法=10万年持つ容器を開発して欲しい。ガラス固化した使用済み核燃料を地下に埋めても容器は最長1000年しか持たない。後の9万9千年はどうするのか。日本は既に使用済み核燃料棒だらけ(2万8千トン)なのに、これ以上増やしてどうするのか。 ・全国の原発等で、再処理できずに保管されている放射性廃棄物の量は、低レベル放射性廃棄物がドラム缶(200リットル)換算で95万6千万本、ウラン廃棄物がドラム缶換算で10万本。 ・東電柏崎刈羽原発では、100ベクレル以下でも原発内で汚染されたゴミはすべて低レベル放射性廃棄物として厳格に管理。ドラム缶に入れて厳重に保管している。現在、政府は食品の基準値を100ベクレル以下としている。原発の敷地内なら管理対象になるものを、原発の外では食べて体に入れてもいいする矛盾。※ちなみに事故当時の暫定基準値は500ベクレル。 ★原発マネーの実態 ●2008年の広告白書によると、東京電力の年間の宣伝広告費は286億1600万円。全国の電力会社10社を足すと、おそらく1千億円以上の莫大な宣伝費が毎年注ぎ込まれている。政府も原発PRのため毎年70億円を投入。セブンイレブンやコカコーラのように、同地域にライバルが多い業界なら宣伝費がかさむことは分かる。だが、各地域に電力会社はひとつしか存在せず競争相手はいない。事実上の独占企業なのに、東電一社で毎年約300億円も原発PRに使っているのは口封じの為としか思えない。東大大学院は東電から6億円の寄付を受けており、東電からもらったカネで研究している学者が、東電に不利なことを言えるわけがない。福島原発の事故以来、NHKに登場する関村直人氏、岡本孝司氏、諸葛宗男氏、原子力安全委員会の班目春樹委員長、みんな東大の関係者ばかり。彼らは「安全」しかいわない。 ●東電は業界にとっての“貢献度”を議員ごとに査定。そのランク付けをもとに関連企業数十社が優先的にパーティー券を購入していた。近年の上位ランク10人は、自民では麻生太郎、甘利明、大島理森、石破茂、石原伸晃の5氏。元自民では与謝野馨、平沼赳夫の2氏。民主は仙谷由人(おいおい…)、枝野幸男(マジか…)、小沢一郎の3氏。石破氏は東電の株を4813株も保有しており、これは全議員の中でダントツ1位。氏は関西電力の株も2150株保有している。娘さんも東電社員。石破氏は事故後に「原発は維持すべき」と発言し続けていた。また、石原伸晃氏は兄弟の良純氏が芸能界きっての原発推進派で知られる。 ●原子力安全委は中立的であらねばならないのに、班目委員長を含む3割近くの24人の委員が原子力業界から計約8500万円の寄付を受けていた。ストレステストの専門家会議の司会進行役の岡本孝司委員(東京大学教授)も原発メーカーの三菱重工から200万円の寄付を受けている。岡本氏は事故当時“何も心配ない”と連日解説していたので記憶している人も多いだろう。こうした寄付は使途の報告義務がなく、研究者が扱いやすい金銭支援であり、メディアがスクープするまで詳細は明らかにされなかった。また、委員のうち山口彰・大阪大大学院教授は原発メーカーから3385万円もの高額寄付を受けている。 ●東大や京大など11国立大学の原子力関連研究に対し、06年から事故が起きるまで、国や原発企業から少なくとも104億8764万円もの巨額資金が提供された。資金提供の条件は「原子力推進であること」。こうした大学研究機関の教授が、ニュース番組で原発の安全神話を繰り返し語ってきた。 ●『大飯原発:関連工事 おおい町長が役員の会社が大量受注』…おおい町の時岡忍町長が取締役を務める会社が6年間に関電発注の原発関連工事を少なくとも65件、計4億4800万円受注!原発と利害関係の深い町長に公正な判断ができるのか?年500万円程度の農作物の被害を防ぐ為に、18億円を使って「獣よけフェンス」を作るというニュースも大飯町関連のニュースであった。18億÷500万=360年分! ●全国最多の原発15基を抱える福井県と地元に、匿名希望の大口寄付が昨年度までに少なくとも計502億円寄せられていたことが情報公開請求で発覚した。大半は関西電力など電力業界からのもの。公的な補助金だけでも莫大な金額なのに、さらに匿名の大口寄付。利権の構図がここにも垣間見える。 一般常識とはかけ離れた電気料金の算定基準や、発送電一体、地域独占を維持する為に、電力会社は政治家に莫大な献金をし(09年の自民個人献金は72%が電力業界、民主には労組が選挙支援)、経産省から天下りを受け入れ、マスコミを大量のCM契約で黙らせ、大学や御用学者を億単位の寄付金漬けにしてきた。もちろん、こういった“工作費”も、すべて電気料金を決める際の原価に入っている。あまりに酷い話だ。原発の安全性だけでなく、電気料金の公正さを求める国民的な盛り上がりが必要ッス!(事故後も東電は天下りを受け入れている) 【読売の罪〜安全保障のアキレス腱】 読売が原発オシなのは、日本に原発を導入した張本人・正力松太郎が読売社長だったから。フクイチ後も殆ど安全対策を追及していない。2012年の年始の社説では、ついに開き直ったというか、「原発があることが(核)抑止力になる、だから原発は必要」と言い放っていた。要するに“いつでも核を持てるぜ”って言いたいのだろう。そこには日本が世界屈指の地震大国であることが抜け落ちている。誤解を恐れずに言うならば、地震活動期に入ったいま、原発は半ば“核地雷”と化している。“抑止力”という言葉が意味を持つのは国土に人が住んでいる場合であり、居住不能では抑止力もクソもない。愛国心教育に熱心な人物が、敵国に核を打たれた訳でもないのに、自爆して国が終わるようなリスクをどうしてそのまま放っておけるのか理解し難い。いくらF35戦闘機を揃えても、原発がある限り、火事場で爆弾を持ってウロウロするようなものだ。安全保障を言いながら、「日本海沿岸」にズラリと原発を建設していたり、あんな脆弱な原子炉建屋やタービン建屋でテロを防げると思っていたりゾッとする。保守論客が相手を嘲笑する際に好んで使う“お花畑野郎”のレッテルはそのままブーメランになっている。 【産経の罪〜“安全神話”PRでボロもうけ】 産経の原発擁護の記事は読売以上に多い。現状での稼働の危険性を一言も書かず、霊感商法の如く不安ばかり煽っている。その背景には、モロに原発・電力マネーが絡んでいる。国が原発を推進するために税金から出されている原子力広報・教育予算は“毎年”60億円。お金の出所は言うまでもなく僕らの税金だ。この広告・宣伝事業を請け負っているのが、産経新聞社や大手広告代理店の電通、博報堂など。要するに、税金を使った「安全神話」のすり込みをずっとやってきた。その延長線で、震災の前月に産経は地球環境大賞に東電を選んでいる。福島で事故が起きても産経は授賞を取り消さず、翌月下旬になって東電が同賞を辞退した。辞退を待たず、産経が先に撤回して欲しかった。 チェルノブイリの例で言えば、現在の首都圏は“放射線管理区域”に相当するし、福島市や郡山市は“強制移住地域”にあたる。「安全神話で守られていたのは原発設備ではない。利権既得権がある原子力村が安全に守られていた」(古舘アナ) 【最後に】 関電や専門家委員が「想定を超える地震や津波に襲われた場合でも耐えられる」と判断した根拠にある“想定”は、すべて福島原発事故“以前”のデータ(まだ福島の事故は原因究明が終わってないため)。そんな事故前の甘々のデータでテストしても説得力がない。 |
★個人的に再稼働前にこれだけはクリアーして欲しいこと。
(1)福島原発は津波の前に地震で壊れているので、全原発の耐震基準を見直す。 (2)福島原発と同じ配管構造の原発は建屋が水素爆発するので、ベント用の配管を独立させる。 (3)使用済み核燃料の処分方法を先に決める。どこに10万年埋めるのか。 (4)送電線を自由化し、消費者が自然エネルギーの電力会社を選んで購入できるようにせよ。 (5)“原発は発電コストが安い”という場合には、ちゃんと天文学的な費用になる廃炉コストも加算して比較すること。 最重要なのは1番。どんなに格納容器が頑丈でも、核燃料プールや各種配管の耐震性が弱ければ、未曾有の大災害になる。日本は地震活動期に入った。浜岡原発は止まっているけど、核燃料プールにはたくさんの燃料棒が入ったままだ。大地震で水が抜けたら、稼働してなくても核燃料火災になる。フクイチ4号機が倒壊すれば大量の核燃料が大気中で燃え上がって、誰もフクイチに近づけなくなり1〜6号機を冷やすことが不可能に。全機で火災が発生し、日本だけじゃなく北半球が終わる(3号機には猛毒プルトニウムが入っている)。とにかく、耐震基準を早急に見直し、直下型が来ても120%安全と断言できるまで耐震工事を徹底して欲しい。 |
【追記】超党派議員団「原発ゼロの会」による“原発危険度ランキング” 2012年6月28日に、与野党超党派の国会議員で作る“原発ゼロの会”が、「原発危険度ランキング」を発表。全国の原発50基を稼働年数や事故率、地盤の状況、耐震性、周辺人口などを考慮して採点。その結果、危険度1位になったのは大飯原発1、2号機!両者は再稼働問題で注目されている3、4号機と同じ敷地だ。“原発ゼロの会”は敦賀原発1号機など24基は、活断層上に立地していたり、過去の地震で被災していることから、点数に関わらず「即時廃炉にすべきだ」と位置付けている。 ※「原発ゼロの会」…自民・河野太郎、民主・近藤昭一、社民・阿部知子、みんな・山内康一のほか、公明、共産、新党きづなの7党の衆参議員10人で構成。 |
★地震列島日本に原発が建設されたワケ 昔から火力・水力だけで電力は不足していないのに、どういう経緯で被爆国の日本に原発が建設されるようになったのか?日本の原発は冷戦のたまもの。導入のきっかけは1954年に第五福竜丸がアメリカの水爆実験に巻き込まれた事件。船員に死者が出たことから、広島・長崎の記憶が甦った日本国民の間に、大きな反核運動のうねりが巻き起こった。当時の社会党や共産党は反核メッセージを前面に出すことで支持率を伸ばし、「このままでは左翼政権が誕生してしまう」と恐れた日米の政権中枢が、“原子力の平和利用”という切り口、つまり「毒をもって毒を制す」で日本人の核アレルギーを取り除こうとしたんだ。そのキャンペーンの黒幕が実業家の柴田秀利と読売新聞社主の正力松太郎。国内初の原発が東海村で稼働したのは1963年。当時の日本には原子炉を造る技術がないため米国を頼ったが、その頃の米国には津波・地震に対する備えはなかった。 ※参考…NHK『原発導入のシナリオ 〜冷戦下の対日 原子力戦略』。 |
※最近見た動画の中で最もインパクトがあったドイツのドキュメンタリー『フクシマのうそ』(29分15秒)。証言者の目や声というのはとても大事で、文字だけでは伝わらない真実味と説得力がある。でも、“見る暇はない”という方のためにメモったことを箇条書きします。 ・福島原発を設計した米GE社の社員が定期検査に来て驚愕。「蒸気乾燥機の向きが逆に取り付けられているぞ!」。東電は問題を指摘しようとしたGEの点検者に、安全点検報告でデータの改ざんを要求した。っていうか、点検終了のサインしかさせない。設備点検中に亀裂を見つけたが、このGE技術者は解雇を恐れて10年間黙っていた。※僕は別番組で、この技術者(ケン・スギオカさん)が録画した検査状況のビデオに対し、東電社員が“亀裂が映った部分を消去せよ”と詰め寄り、自分の目で消去されたことを確認するまで帰らなかったと証言しているのを見たことがある)。 ・東電の安全対策のずさんさに怒った現場作業員が、点検データ改ざんについて原子力安全・保安院に内部告発をしたところ、保安院は何の調査もしなかったばかりか、逆に告発者の名前と内容を東電に伝えて隠蔽に協力していた。 ・こうした東電の隠ぺい体質、データの改ざん等が大きな問題となり、東電の原発17基がストップし、社長・幹部は辞任に追い込まれ、社員は懲戒を受けた。ところが皆新しいポストをもらい、誰も起訴されなかった。最高責任者だった勝俣恒久氏に至っては代表取締役に任命された。 ・東電によるトラブル隠しが発覚した後、原発建設に抵抗した佐藤栄佐久元福島県知事は、メディアに土地取引の不正疑惑をでっちあげられ(記事を書いたのは原発政策担当の記者)、一銭も金銭を受け取っていないことが裁判で明らかになったのに有罪にされ、辞任に追い込まれた。※佐藤元知事いわく「原発監視機関の安全・保安院と推進機関のエネルギー庁が同じ経産相に属しているのは、警察と泥棒が一緒にいるようなもの」。 ・1962年以来、東電副社長のポストは原発の監査を行うエネルギー庁のトップ官僚の指定席。また、東電から献金をもらっている国会議員は100人以上。 ・「誰もが原子力村に閉じ込められている」(菅直人)※この動画を見ると菅氏は脱原発に傾いた為に、原発推進派によって事故のスケープゴートにされた印象を受けた(菅氏が東電に乗り込んだことが批判されているけど、叩いている人はそもそも正確な情報を首相に伝えようとしない東電の問題をスルーしているように思う。“東電は信用できないから現場で確認するしかない”と焦るのも分かる。原発は津波以前に地震で破損していたし、ベント=排気が遅れたのは東電が手動開放の訓練を一度もしなかったことが原因なのに、推進派の多くはいまだに菅氏の視察のみを事態悪化の原因にしている)。 ・福島第一原発は、もともと海抜35mの場所に建設する予定だったのを、わざわざ地面を削って10mの高さにした。海水を吸い上げる手間が省けてコストカットになるからだ。 ・原発設計の際に加速度300〜450ガルの地震を想定しているが、08年の「岩手・宮城内陸地震」は加速度4000ガル。たとえ格納容器が耐えられても他の配管は耐えられない。 |
東京都議会が2012年6月20日の本会議で、東電の原発稼働の是非を問う住民投票条例案を否決。この住民投票を求めた市民グループは、直接請求に必要な有権者の50分の1(約21万4000人)を大幅に超える約32万人分の有効署名を集めた。この32万人の都民の思いを踏みにじって廃案にした都議は、自民党、公明党、民主党の一部議員など82人。一方、住民投票の実施に賛成したのは民主党の一部と共産党、生活者ネットワーク・みらいの41人だった。つまり、都議会では住民投票に反対している議員が賛成の2倍もいる。自民は「稼働の是非は国が判断すべき」、公明は「二者択一では多様な都民の意思を正しく反映できない」と訴え、石原知事も「国の責任で結論を出すべき」と大反対。そうじゃないだろう!国に任せた結果がこのていたらくであり、原発事故が起きたんじゃないか。国と電力会社が垂れ流す「安全神話」がまったく信用できないことが判明したから、都民の意思表示の場として住民投票を求めているのに、その機会さえ奪ってしまう原発村の議員たち。住民投票で稼働反対派が勝てば、電力会社に安全対策を強化させる大きな圧力になったのに!ちなみに、同様の住民投票条例案を大阪市議会も3月に否決している。この時、橋下氏は「選挙で脱原発派の“維新の会”が圧勝したことで、既に市民の脱原発の思いは証明されたので、わざわざ予算を使って住民投票をする必要はない」と、5万人以上の有効署名を紙屑にした。それにもかかわらず、橋下氏や維新の会が今月になって「再稼働やむなし」に方針転換したわけで、この裏切りはまっこと悪質極まりない。こんなニュースばっかり。都民投票は間接民主制を補完する重要な手段で、拒否は許されない。
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●重要保存記事〜自民「原子力守る」政策会議発足 2011年5月5日 朝日新聞 朝刊4面 東京電力福島第一原発の事故に収束のメドが立たない中、国策として原発を推進してきた自民党内で早くも「原発維持」に向けた動きが始まった。原発推進派の議員が集まり、新しい政策会議を発足。「反原発」の世論に対抗する狙いだ。 この会議は「エネルギー政策合同会議」。自民党内の経済産業部会、電源立地及び原子力等調査会、石油等資源・エネルギー調査会の三つを合体させた。電力需要対策とエネルギー戦略の再構築の検討を目的に掲げるが、党幹部は「原発を守るためにつくった」と明かす。 幹部には原発推進派が名を連ねる。委員長は元経済産業相の甘利明氏。旧通産省(現経産省)出身の細田博之元官房長官が委員長代理、西村康稔衆院議員が副委員長に就いた。先月12日の会合では、幹部陣の隣に東電の元副社長で現在は東電顧問の加納時男・元参院議員が「参与」として座った。 甘利氏は「安易に東電国有化に言及する閣僚がいる」と指摘する資料を配布。会議後に河野太郎衆院議員が「原発推進派が並ぶ人事はおかしい」と抗議したが、認められなかった。 |
皆さんは、日本がたった一人の名前不詳の“英雄”によって、原発事故の決定的破滅から救われたことをご存知だろうか。一連のフクイチの悲劇を通して、日本政府や在日米軍が最も恐れていたことは、1〜3号機のメルトダウンではなく、点検停止中の4号機の核火災だった。1〜3号機の核燃料は炉内にあったけど、4号機の使用済み核燃料は定期点検のため原子炉の“外”の無防備な保管プールにあった。しかも、屋根が吹き飛んだので、いわば青空の下の屋外プール。そして、プールには通常の未使用&使用済み核燃料の他に、行き場のない過去の使用済み核燃料も大量にあった(崩壊熱は他号機の2〜12倍、1533本の燃料棒)。 震災当日、電源が止まって4号機も冷却水の循環がストップし、プールの燃料棒は崩壊熱でどんどん温度が上昇していた。仮に水が蒸発して燃料棒が直接空気に触れれば、1〜3号機から漏れた分の60倍、チェルノブイリ事故の10倍という膨大な量の放射性物質が飛び散っていた(京大助教・小出裕章氏いわく「最低でも広島型原爆5000発分」)。科学技術振興機構元理事長・北澤宏一など多くの専門家が、4号機で核火災が起きれば北半球全体が長期にわたって深刻な汚染にさらされ、現代日本は滅亡すると指摘している。 /それでは、なぜ僕らは核火災にさらされず、今もこうして生活できているのか。結論から言うと、「震災直前の工事の不手際」「意図しない仕切り壁のずれ」、この2つのマイナス要因が“偶然”にも救ってくれたんだ。 4号機は事故の4カ月前から定期点検に入っており、1978年の運転開始以来初めての大工事となるシュラウド(炉内の大型燃料カバー)の取り換え工事をしていた。この工事は、“通常は水がない”場所である原子炉真上(原子炉ウェル)と、もう1箇所、いつもは水がカラッポの機器仮置場(DSピット)に計1440立方メートルの水を張って進められた。 (1)当初の計画ではシュラウドを水中で切断するために、3月7日までにシュラウドを原子炉ウェルに引き上げ、次にDSピットに移動させた後、仕切りを立てて原子炉ウェルの水を抜く計画だった。 (2)ところが、シュラウド切断用の工具を炉内に入れようとしたところ、「器具の寸法違い」が判明!この器具の改造で工事が遅れ、震災のあった3月11日時点で大量の水を張ったままにしていた。 (3)震災発生、津波で電源消失。このままではプールの水が燃料の崩壊熱で蒸発。 (4)地震で原子炉ウェルと使用済み核燃料プールの仕切り壁がずれて“隙間”ができ、ウェル側からプールに約1千トンの水が大量に流れ込んだ。※もし流れ込みがなかったら1日に15度上昇し数日で沸騰。 (5)水は蒸発しながらも一週間以上も核燃料を水面下にキープ、そして3月20日から外部放水が始まった。放水が燃料露出に間に合った! 元記事(2012.3.8朝日新聞) /僕が冒頭で“名前不詳の英雄”と書いたのは、「器具の寸法違い」という計算ミスをやらかしたその人。原発事故が無ければ工期遅延の張本人として始末書対象だったろう。だけど、もしスケジュール通りの工期なら約1千トンの水は存在しなかった。そうなればコトは4号機だけでは収まらない。核燃料が露出し過熱すると即死レベルの放射線と放射性物質を放出するため、誰も第一原発に近づけなくなり1〜3号機を放棄、さらには福島第二など近くの原発も次々と放棄&暴走という大惨事になっていた。政府は秘密裏にそのシナリオを検証し、避難対象区域を原発から「250km」と弾き出していた。北は岩手の盛岡、秋田市、西は東京全域を越え、長野市や横浜までがスッポリ入る。そのような空前絶後の悲劇が、工期4日遅れによって防げたのは奇跡としか言いようがない。まだ線量の高い時期に放水をしてくれた作業員の人々には全ての国民が感謝している。僕は計算ミスをした技術者にも心底から御礼を言いたい。岩手から横浜まで住民避難…それを防いだことは真面目に国民栄誉賞ものだと考えている。だけど、この人の存在が世間に広く認知されることはないだろう。なぜなら、この話題は4号機が事故の“本丸”であることが国民にバレてしまうし、しかも4号機は海外から“倒壊”の危険性が指摘されているように、今現在も大きな危機が続いていることが明らかになってしまうから。 今また原発推進派が勢いづき、大間原発(青森)のように新規の原発建設工事まで始まっている。単なる“偶然”によって日本が救われたことをもっと多くの国民が知って、一歩間違えればどんな世の中になっていたか、もっとリアルに想像するべきだと思う。大袈裟でも脅迫でも無く、福島原発1〜6号機すべてが暴走、海に高濃度汚染水が垂れ流しになっても止める人がいない、そんな未来も工期遅れがなければ現実に起こりえたのだから。 |
●そのデマ、忘れませんので。 大橋弘忠(東大)「プルトニウムは飲んでも安心。どうして信じない!?」「素人は引っこんでろ」 関村直人(東大)「炉心溶融(メルトダウン)はありえない」 諸葛宗男(東大)「安心安全心配なし」 中川恵一(東大)「プルトニウムは重いので飛ばない」 有冨正憲(東工大)「1号機の煙は爆破弁の成功です」 松本義久(東工大)「遺伝子の神様があなた達の精子を守ってくれてます!!」 澤田哲生(東工大)「放射能が漏れることはない 事態は悪化しない 汚染水は漏れない」 |
【福井地裁 樋口英明裁判長に国民栄誉賞を!】 樋口英明裁判長の勇気に喝采。2015年4月14日、福井地裁が素晴らしい判決を下した。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働が迫るなか、原子力規制委員会の新規制基準は甘すぎるため、「基準に適合していても再稼働を認めない」と決定!原発運転禁止の仮処分は全国初!最高裁まで行く一般訴訟の判決と異なり、決定は直ちに効力を持つ。この判断が画期的なのは、“高浜原発が危険"だから再稼働禁止なのではなく、安倍・管コンビが「(溶けた炉心を受け止めるコアキャッチャーがないのに)世界一厳しい」と嘘八百のデマを垂れ流している新しい規制基準が“到底不十分"と断じたことだ。 こうなると、「再稼働一番乗り」と見られている鹿児島・川内原発についても、今の規制基準が欠陥品である以上、再稼働は不適切ということになってくる。川内原発に対する仮処分は来週22日に鹿児島地裁で下されるため、是非、同じ決定があちらでも出ることを願っている。再稼働推進派はさっそく樋口裁判長に対し「専門家じゃないくせに」と猛バッシングを始めているけど、樋口裁判長が指摘した問題点は、むしろ“え!?こんなことさえ対策されてなかったの"というものばかり。 1.「想定外」の強い地震が過去10年間に5回もあったのに、規制委の耐震基準は甘すぎる。2年に一度という割合は、「想定外」ではなく「想定内」として耐震工事を求めるべき。 2.福島原発事故の際に作業員の拠点となった「免震重要棟」が高浜原発にない。関電は「建設計画」を提出しただけ。また、欧米の原発には原子炉爆発を防ぐため取り付けられているフィルター付きベント(排気)設備も「設置計画」があるだけ。「免震重要棟」も「フィルター付きベント設備」もない状態で規制委が“適合"と判断したのは問題。 3.使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込むなどの対策がとられていない。猛毒の核ゴミがプールに入ったまま。もしプールの底が抜けたり倒壊すれば「国の存続に関わる被害が出る可能性がある」大惨事になる。 4.現状では基準地震動(耐震基準の揺れ)を下回る場合でも、主給水ポンプなどの破損で冷却機能が喪失、重大事故が生じ得る。 5.再稼働すると250km圏内の住民の生命や利益に関わる人格権が侵害される具体的な危険がある。周辺住民を安全に避難させる計画も不十分。 等々。関電が高浜原発を再稼働したいなら、上記問題をクリアーして再審査してもらえばいいだけの話。地震想定レベルを高めに設定すると、対策費用がかかるからケチって対策をしないなら禁止されて当たり前。 口だけで裁判長を批判していてもダメ。アメリカでは裁判所が「この条件なら再稼働してもいい」と許可した内容が、莫大な追加費用となるため廃炉にする流れになっている。 判決後、菅義偉・官房長官は「安全が確認された原発の再稼働を進める方針に変更はない」とコメント。あの〜、強制力のある判決なんですけど…。決定が覆るまで動かせないって分かってるのかな。三権分立無視はアカン。樋口裁判長は「万が一にも深刻な災害が起きないといえる厳格な規制基準」を求めており、“万が一"をクリアーするにはまだ何年もかかる。しかも、樋口裁判長は「使用済み核燃料」の安全管理まで踏み込んでおり、これが最終処分場まで念頭に入れた話なら、事実上、原発再稼働は数十年先になる。…とはいえ、裁判は最高裁に近づくほど国側に有利な判決になる傾向があるため、高裁でひっくり返る可能性があるのは心配だけど。この福井地裁の仮処分が前例となって、鹿児島地裁でも再稼働禁止となって欲しい。 それにしても、最近の規制委員会の無責任さは目にあまる。 規制委のサイトを見ると、結成時に組織理念をこう書いている→ 「原子力規制委員会は、2011年3月11日に発生した東京電力福島原子力発電所事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために、そして、我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り、国民の安全を最優先に、原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立すべく、設置された。原子力にかかわる者はすべからく高い倫理観を持ち、常に世界最高水準の安全を目指さなければならない。我々は、これを自覚し、たゆまず努力することを誓う。」(平成25年1月9日 原子力規制委員会) “国民の安全を最優先に"“真の安全文化を確立すべく設置された"というのが組織理念であるにもかかわらず、サイトの新規制基準の説明文には「この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものです。しかし、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と、目を疑うようなことが堂々と書かれている。 昨年7月に川内原発が「適合性審査」をクリアした際の記者会見で、田中俊一委員長は「安全審査ではなくて、基準の適合性を審査したということです。基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは私は申し上げません」(該当動画)と語った。安全と断言できない基準であれば、それは適合基準として大問題。なんでメディアはここをもっと掘り下げないのか。
続く12月に開かれた高浜原発の適合性審査「合格」の会見でも以下のやり取りがあった。 ロイター記者「高浜3・4号機の審査書案で両号機は安全と確認されたのでしょうか」 田中委員長「我々の新しい安全要求というか、規制基準に適合しているということを認めたということです」 記者「それは安全なのでしょうか、安全ではないのでしょうか」 田中委員長「そういう表現の仕方は私は基本的にとらないと言っています」 記者「では、安全だということではないということでよろしいですか」 田中委員長「安全ではないとも言っていません。安全だとも言っていません」 朝日の記者「安倍首相が会見で、規制委が再稼働に求められる安全性を確認した原発については再稼働を進めるという表現をされたのですが、再稼働に求められる安全性というのは確認できたという理解でしょうか」 田中委員長「安全とか安全でないとか、安全が確認されたとか安全でないことが確認されたとかそういう言い方ではなくて、稼働に際して必要な条件を満たしているかどうかということの審査をしたということです」 国民の生命を守る組織(規制委)の長として、あまりに酷い答弁。これでは今度「想定外」の事故が起きた場合、政府は「規制委が合格と言った」、電力会社「政府が再稼働OKと言った」、規制委「合格と言ったが安全とは言ってない」、地元代表「政府が安全と言った」で、結局は誰1人逮捕されることもなく、責任を負うこともない。 世界一厳しい基準なのに、コアキャッチャーがない、フィルター付き排気装置もない、免震重要棟もない、テロの想定もされてない、規制委は「安全審査ではなく基準の適合性を審査しただけ」。福島県民が15万人も避難生活を余儀なくされているのに、まだ原発村の連中は事故の恐ろしさがわからないのか。「10年間に5回も想定外の揺れに襲われました、びっくり」では困る。原発施設のハード面だけじゃなく、原発を扱う関電幹部、規制委などソフト面が楽観的すぎて(関電「主給水ポンプも外部電源も安全上重要とは言えない」)、ほんといろいろ怖すぎる。勘弁して欲しい。 |
●「静かな死 日本を待っている恐怖のシナリオ」(抜粋)チェルノブイリ被害者を救援しているドイツの女医ドルテ・ズィーデントプフさん (被曝の被害は)チェルノブイリの経験から早ければ一年後から四年後とわかっています。成人の潜伏期間は20年から25年です。当時の大人は25年間生き延び、今病気になっています。私達はそれを”静かな死”と呼んでいます。当時の子供達はもうとっくに発病しています。そして多くが死んでしまいました。 ストロンチウムもセシウムに似て、厄介極まりない核種です。人間の体はストロンチウムも区別することが出来ず、食物に含まれていれば吸収してしまいます。ストロンチウムは骨と歯に取り付いて放射を続け、血液(つまり赤血球や白血球、血小板と言った基本細胞)を製造する器官のある骨髄を攻撃します。血液細胞はストロンチウムによって傷つけられます。それも生涯に渡ってです。というのはストロンチウムは一度取り付いた場所を離れることは決してなく、そこで短いベータ線を放射し続けるからです。 人々は死んで行くのです。静かに死んでいきます。主に癌が原因ですが、あらゆる病気で人々は死んでいきます。ストロンチウムも大きく起因しています。例えばエネルギー交換が不可能となって心筋がやられます。 ベラルーシーで行った診察は、子供達が2歳、3歳、4歳にして急性心不全で死んで行くことを証明しています。癌だけではないのです。腎臓不全、肝不全や多くは血液製造障害が原因で人々は死んでいきます。これらは「チェルノブイリ・エイズ」という名称で知られ、生き延びられるチャンスはほとんどありません。 プルトニウムはこの世で一番恐ろしい毒物です。福島の原子炉の燃料の半分はプルトニウムを含んでいるという話です。ほんの少量でもプルトニウムが体内に侵入すると肺癌に発展します。これに対して人間の体はまったく無防備です。そしてこれは不治です。何十万という人々が命を落とすことになるかもしれません。(全文) |