最新文芸情報


2020.7〜8

●8月31日…今月のEテレ『100分 de 名著』はドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの傑作『モモ』を採り上げ、全4回はどれも良かった。『モモ』にはエンデ自身が挿絵を描いているけど、この番組に登場するイラストが『モモ』の世界観とよくあっていた。

−−少女モモは自然の音や動物、星の声に耳を傾け、人の話をよく聴くことで、出会う人間に自信を取り戻させる不思議な孤児。彼女は貧しくとも自分のペースで豊かな時間を生きている。
ある日、モモは人間の時間を盗んで生きる“灰色の男たち”の存在を知る。時間を盗まれた人々は日々の余裕が消え、心がパサパサに乾いていく。本来、時間どろぼうの“灰色の男たち”は、この世に存在していなかった。人々が“時はカネなり”と効率主義に走ることで、連中の発生をゆるす条件を作りだしてしまった。
モモは時間を司るマイスター・ホラと出会い、友人たちの時間を取り戻すべく、彼女に助言をくれる不思議な亀カシオペイアと共に“灰色の男たち”に立ち向かう。「人間というものは、ひとりひとりがそれぞれ自分の時間を持っている。そしてこの時間は、本当に自分のものである間だけ、生きた時間でいられる」。

エンデのお墓は南ドイツ・ミュンヘンの森林墓地の212区、墓石は巨大な見開きの本になっている。作家ならではの素敵な墓で、彫刻のフクロウやカタツムリが墓の文字を読んでいる。手前には本を重ねて作った石灯籠風のモニュメント。
何より感動したのは、エンデの墓に寄り添うように亀の彫像があったこと!この亀はモモの冒険を助けてくれた“カシオペイア”だ。甲羅に浮かんだメッセージは、原作でカシオペイアがモモに送ったエールの言葉と同じもの。ドイツ語で「HABE KEINE ANGST (シンパイムヨウ)」と刻まれていた。エンデが墓参者を励ましてくれているようで、心が疲れているときにこの文字を読むと胸が熱くなると思う…。
僕は墓前で言葉が熟すのを待って「ダンケ・シェーン(ありがとう)」とソウルトーク。この墓があるからミュンヘンに住みたいとまで思える、そんな森の中の墓所でした。

  

  
※9月2日(水)昼12時からEテレ『100分 de 名著 ミヒャエル・エンデ“モモ”(最終回)』の再放送。
●8月30日…マーベルのヒーロー映画『ブラックパンサー』(2018)で、黒人初のスーパーヒーローを演じ、『アベンジャーズ』シリーズでも活躍した俳優チャドウィック・ボーズマンが一昨日に癌で他界。まだ43歳だった。『ブラックパンサー』は興行収入約1500億円という世界的大ヒットとなり、マーベル作品として初めてアカデミー賞の作品賞候補に。作曲、美術、衣装などの部門で受賞した。チャドウィック・ボーズマンが劇中で「賢者は橋を架け、愚者は壁を作る」と演説したシーンはカッコ良すぎて鳥肌が立った。今後の名演が期待されていただけに本当に残念。哀悼の意を表します。

//自民の総裁選、事実上の首相を決める大事な選挙だから、全国の党員も一票を投じられると思っていたら、党員投票を行わず国会議員を中心に決める方向とのこと。理由は「政治的空白を生むわけにはいかない」。耳を疑った。だって、この2カ月、野党が「国会を開いて」と何度要求しても「急いで討議するような重要案件はない」といって、国会開催を拒否し続けてきたやん…。しかも安倍氏は次の総裁を決めるまでは職をまっとうすると語っており、それを「空白」と呼ぶのは安倍氏に対して失礼では。石破氏は公文書保存の徹底や情報公開の大切さを常々語っている。そして前回の総裁選では党員票の4割を得た。そんなに石破氏を首相にさせたくないのかと…。

//森友問題で自ら命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん。妻の雅子さんが声明を出された。雅子さんは35万人の署名を集めて総理大臣宛に提出し、事実関係の再調査を行うよう求めてきた(これまでの調査は赤木さんの遺書やメモに基づいていないため)。
「体調不良で辞任されるとのことですが、1日も早く回復するようお祈り申し上げます。次に総理大臣になる方は、夫がなぜ自死に追い込まれたのかについて、有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して頂きたいと思います。また、私は国に対して損害賠償請求などの裁判を起こしています。次に総理大臣になる方は、これらの裁判においても、夫がなぜ自死に追い込まれたのかが明らかになるような訴訟活動をして頂きたいと思います」

//立憲の石垣議員が安倍氏の難病を揶揄するようなツイートを行い、党首の枝野氏から厳重注意を受けて謝罪。いくら政治思想が異なっても、病気をからかうような言葉は絶対にだめ。れいわの重度障がい者の2人が国会議員になったときに、ネット上に心ない言葉が飛び交ったのを思い出す。難病を抱えていても議員活動を行えるようにサポートする体制を作ることが大切では。

//美術の専門教育を受けていない人が、伝統や流行にとらわれず、障がいの有無に左右されず、内側から湧きあがる衝動のままに表現した作品を集めた特別展『あるがままのアート:人知れず表現し続ける者たち』が東京芸大美術館で9/6まで開催中(予約制)。行きたいけど、コロナ禍もあって大阪からは簡単には…。この後、全国を巡回してほしいなぁ
※今夜20時のEテレ『日曜美術館 カラフル!多様性をめぐる冒険』(再)で展示内容が紹介されます!作ることと生きることが一体となった作品は、アール・ブリュットやアウトサイダーアートと呼ばれ、近年注目されています。
●8月29日…今夜24時半からEテレにて強烈な風刺で伝説回となった『植物に学ぶ生存戦略4〜話す人・山田孝之』が再放送されます。シロツメクサと某政権の「生存戦略」の共通点を掘り下げた内容。英国は国営放送BBCで政権や王室がブラックユーモアのネタになることで知られていますが、わが国では非常に珍しく、これを放送した山田孝之氏や現場スタッフの覚悟に仰天しました。
(たまたま再放送が首相の辞任発表と重なってしまったけれど、番組で扱われているのは国を問わず普遍的に見られる現象であり、人類社会という視点で見るのが正解です)

シロツメクサが生産性による格差を作って(根粒菌を)支配する構造、お友だち(蜜蜂)に甘い蜜を与える手法、四つ葉のクローバーで人々をなんとなく幸せな気分にさせて思考停止にさせる作戦など、公共放送でギリギリの風刺が番組後半で炸裂(イラストは某検事総長や某法務大臣にそっくり)。保守政権であろうと左派政権であろうと、強大な権力は腐敗しやすくなるため、国民が「政治を見てるよ」と笑いの力でアピールすることは意義あるものと思います(中国・ロシアでは放送困難)。最もギャグ満載だったのは2種類目の植物ハランの解説「岡田将生に擬態した山田孝之」、爆笑しました!

  

  

  
「(四つ葉のクローバーで)なんとなく幸せな気分にさせ、反発心を削いでしまう。平和な空気を醸し出し、人々を思考停止にさせる。一部の人間だけが得をするまやかしに気づきNOをつきつけるのか。無知で無関心なまま、いいように飼い殺されるのか。どう生きるかは自分で考えて自分で決めるのです」
●8月28日…安倍首相が辞意の意向を会見で発表。潰瘍性大腸炎は免疫が自分の大腸を外敵と認識して攻撃してしまう難病。原因不明で完治に至る特効薬はなく、患者数は約18万人。僕は安倍氏とは国政の考え方が異なりますが、大腸の炎症は本当に苦しいと聞きます。まずは治療に専念され、体調の快復を祈っています。

/次の総理はIOCにオリンピックを2022年で提案してほしいです。現状だと予選が間に合わない可能性が大ですし、ワクチンも再来年ならメドが立っているかもしれません。あと、今年も異常高温になったように、8月の太陽は危険すぎるので秋の開催が必須です。
●8月27日…子どもに勧められて見たアニメの『はたらく細胞』が面白すぎる。白血球や血小板などがすべて擬人化されて登場。主人公が新米でドジな赤血球という着想が新鮮。細菌とのバトルも盛り上がり、速攻で映画化されるのも納得だ。
●8月26日…『ドラえもん のび太の新恐竜』、スクリーンならではの大迫力でした!
●8月21日…22日(土)19時半からNHK『その時カメラは回っていた』は日本の戦争プロパガンダの検証。軍神と祭り上げられた神風特攻隊初出撃の作為的な編集や、学徒出陣のワンカットに込められたニュース制作者たちの決死の抵抗など、戦争の不都合な真実に焦点。こういう番組は非常に珍しい。めっさ期待!

//藤井聡太さん2冠!強い!
●8月20日…一昨日紹介した『NHKスペシャル アウシュビッツ・死者たちの告白』で僕が最も衝撃を受けた2点を補足します(動画リンクは文末に)。
一つはガス室で行われた大量虐殺の詳細な実態、もう一つはそれを知りながら事実上虐殺を黙認した英国や米国の冷たさ(初めて明らかに)。

(1)ナチスが証拠隠滅を行ったために虐殺の物的証拠が乏しかったアウシュビッツで、ガス室の側の地面の中から見つかったビン詰めのメモに凄絶な記述があった。書いたのはユダヤ人でありながら、同朋をガス室に入れる役目を命じられた“ゾンダーコマンダー”と呼ばれる人々。メモは裏切り者と罵倒された彼らの命がけの告発だった。

マルセル・ナジャリのメモ
「地下には巨大な二つの部屋があった。一つは脱衣所で、もう一つは“死の部屋”と呼ばれていた。一つ目の任務は送られてきた人々を迎え入れることだった。次の任務は人々にシャワーを浴びるのだと言って服を脱がせ、ガス室に誘導することだった。何もわからないふりをして」。
その後、天井からチクロンBと呼ばれる殺虫剤が投入される。約20分間人々はもだえ苦しみ窒息死する。
「30分後、次の任務が始まる。ガス室の扉を開けて罪のない女性や子どもたちを運び出すのだ」。
任務には遺体から髪の毛を刈り取る作業や、金歯を抜き取る作業もあった。髪の毛はクッションに、金歯は延べ棒にされた。
「ガス室の上には焼却炉があり次の任務は遺体を焼くことだった。人々は体の脂によって焼かれた。残った骨は叩き潰して灰にするよう命じられた。一人当たり640gほどの灰が残った。その後、灰は近くの川に捨てた。あらゆる痕跡を消すために」
「いったいどうすれば仲間を焼くなどということができるだろうか。私は何度も一緒にガス室に入ろうと考えた。しかし、その度に復讐心が押しとどめた。殺された父と母、そして姉の復讐のため私は生きる」
「私は死を恐れてなどいない。ただ復讐できないことが悔しいのだ。私の唯一の望みは、このメモが皆の手に渡ることである」

サルマン・レヴェンタルのメモ
「私はごく普通の人間だ。根性が腐った人間でも残忍な人間でもない。そんな私がこの任務に慣れていく。誰かが泣き叫ぼうが毎日のことだと無関心に傍観する。生きるためには仕方がないと自分を納得させるようになる。いま生き残っているのは二流の人間ばかりだ」
「何百万人もの命が奪われたアウシュビッツの歴史が、このメモを通じて世界に伝えられることを願う。そして、いつまでも人々の心に留まり続けることを私は願う」

レイブ・ラングフスのメモ
「目の前で大勢の人間がガス室に押し込まれた。抵抗する者は射殺されるか、犬にかみ殺された。8歳くらいの女の子がこう言った。“人殺しはあっちに行って。私のかわいい弟に触れないで”。幼い少年はこう言った。“あなたたちもユダヤ人でしょう。仲間をガス室に送って自分だけが助かるなんて、どうしてそんなことが平気でできるの?殺人者として生きることが僕たちの命よりも大切なの?”」(注・このケースではシャワー室の実態を子どもまでが知っている)
「遺体が五層にも六層にも積み重なっていた。女たちは子どもを抱えて、男たちは妻を抱えて死んでいた。ガスの影響で体が青くなった者もいれば、眠っているかのような者もいた。私はこの中に妻と息子がいたことを後から知った。私の恥はどれほどか」
「私たちはこれからどこかへ連れて行かれる。殺されるのだろう。私は強く求めたい。これまでに書いたいくつかの文書にイニシャルを記し、ビンや箱に入れガス室の近くに埋めた。それを拾い集めてほしい。今日は1944年11月6日」(この2カ月後、アウシュビッツは解放されたがラングフスは死亡)

(2)アウシュビッツの囚人に紛れてポーランド亡命政府の諜報部員が紛れ込んでいた。彼らは虐殺の実態を記録し、遺体を焼く様子を隠し撮りした写真を歯磨き粉のチューブに入れ、最終的に亡命政府メンバーに届けた。…だが虐殺を知ったイギリスは何もしなかった。当時、米英ではナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人に仕事を奪われたと感じる国民の不満が高まっていた。
イギリスの国立公文書館には1943年1月に英外務省が米国務省に送った衝撃的な電報が保管されている。
「大量絶滅の阻止に動けばドイツはユダヤ人を絶滅ではなく他国に追いやる方針に転換する恐れがある。我々がユダヤ人を積極的に受け入れることになれば、人々の不満が政府に向くことになるだろう」。
こうしてユダヤ人は見捨てられた。現在、中東からの難民受け入れに腰が重い欧米諸国とオーバーラップする。

ゾンダーコマンダーたちは、仲間をガス室に入れてまで生き延びている理由を、ナチスが秘密裏に行っていた大量虐殺の実態を世界に伝えることに見出し後世にメモを残した。最終的に大半のゾンダーコマンダーは口封じのため殺害された。

〔動画リンク〕 https://www.dailymotion.com/video/x7vmtqi (49分)

/「ユダヤ人虐殺否定派」の主な意見とその反論
(1)ユダヤ人が入ったのはガス室ではなく消毒室。収容所到着後、すぐにチクロンBでシラミの消毒を行っただけ。
→虐殺に関わった複数の人物が「窒息死するまで20分」など処刑の様子を記したメモを残しており(科学鑑定で当時のものと判明)、生還者の証言を裏付けている。
(2)ユダヤ人はシラミが媒介したチフス菌で死んだ。ガス室は死体置き場であり死体を消毒していた。
→すぐに焼却する死体をガス消毒する理由がない。ちなみに収容所の建築主任カール・ビショフは、否定派が「死体置き場」と呼ぶ場所を“ガス発生室”と呼んでいる。出入り口は防毒用の扉になっており、内側にはガラスを2枚はめ鉄格子付きののぞき穴まであった。
(3)収容所跡地では衣服のシラミ駆除室より、ガス室の方が残留物濃度が低かった。ガスは人を殺せるレベルではない。
→人間の方の濃度が低いのは当たり前で、シラミを殺すには人間の20倍の濃度が必要。
(4)収容所で見つかった死体は餓死とチフスが死因で処刑ではない。
→そもそも収容所での餓死は処刑と同じ。密集・不衛生な状態を作りチフスを蔓延させたのも処刑と同じ。
(5)人を殺すレベルのガスであれば、死体を処理した者にも有害なはず。
→即死レベルのガスではなく、20分かけて死に至らしめる濃度のガスを使用していた。

//昨日の大阪の新規コロナ感染者は187人で、東京の186人を上回ってしまった。大阪人としてほんと心配…。
●8月19日…今夜24時からEテレで再放送される『ETV特集 サヘルの旅〜傷(いた)みと生きるということ』、心の一番深いところに響くドキュメンタリーでした。全身全霊で視聴をお薦めします。
日本で活躍中の女優サヘル・ローズさん(34歳/イラン出身)は、空爆の瓦礫の中から発見された戦争孤児。3歳の時に一家はイラク軍の爆撃を受け、13人の家族のなかで末っ子の彼女だけが生き残りました。両親が亡くなったために本名は不明とのこと(出生年も推測)。

救助ボランティアに参加したフローラ・ジャスミンさんは、瓦礫の中から出ている小さな手を発見、人形の手と思ったそれはサヘルの手でした。
フローラさんは天涯孤独のサヘルさんを養女としますが、当時のイランの法律では子どもを産めない人しか養子をもらえなかったので、あえて不妊手術をして養母になりました。そして少女を「サヘル(砂浜)・ローズ(バラ)」と名付けました。フローラさん「バラは砂浜に咲かないけれど、サヘルは砂漠で生まれたバラと思ってサヘル・ローズにしました」。
名家に生まれたフローラさんは、親族の猛反対を押し切って戦争孤児(差別の対象だった)を養子とし、その結果イランに住めなくなり、知り合いを頼って訪日します。このときサヘルさんは8歳。当初、日本での生活は困難続きで、母子は埼玉(志木)の公園のベンチで半月ほど野宿したといいます。

番組ではそんな背景を持つサヘルさんの心の旅を7年に渡って記録。彼女は2013年に故郷イランの町を訪れ、家族が埋葬されているであろう共同墓地で身元不明者の墓に墓参。
2019年にバングラデシュのNGOの誘いを受けて訪問。首都ダッカには30万人もストリート・チルドレンがいます。孤児たちと交流するなか、彼女の過去を知った子どもが言った言葉は「前進してね」。郊外で貧困女性が内職する施設で「今日からあなたは家族の一員よ」と言葉をかけられ、帰途、彼女は落涙。
同年秋、サヘルさんはかつて自分の家族を空爆したイラクを初めて訪れます。イラク北部のクルド人自治区には80万人もの難民がいて、その中にイスラム国と戦う為に祖国を捨てたイラン人難民がいました。彼女はさらに、イスラム国兵士から最大の被害を受けたヤジディ教徒(男は殺され、女性は性被害の犠牲に)のもとへ…。

人生の意味を求めて模索するサヘルさんですが、様々な人から温かい言葉をかけられ、“家族”として迎え入れられ、励ますつもりだったのが逆に相手の優しい感情に包み込まれていきます。
僕の文章(文字)では到底伝えきれない、人々の表情や声からにじみ出る想いが映像にあります。かけがえのない60分となりました。

 
イラン難民の女性がサヘルさんにかけた言葉は「あなたといると国籍や宗教の違いなんて忘れる」

※ネット上に番組動画を見つけました。どうか、しばし削除申請を出さないで…。
●8月18日…本日深夜24時半に再放送される『NHKスペシャル アウシュビッツ・死者たちの告白』、可能な方はぜひ録画を。ここ数年のNHKスペシャルの中でも屈指の力作です。
ナチスはアウシュビッツでユダヤ人虐殺の最終段階をすべてユダヤ人にさせていました。つまり、ガス室(シャワー室)に入れる役、死骸を運び出す役、焼却する役、遺灰を川に捨てる役をです。ですから、ドイツ兵自身は虐殺の最期の場面を見ておらず、良心の呵責が減り、あの凶行を続けることができました。知識としてユダヤ人の運命を知ってはいましたが、加害当事者の意識が希薄だったのです。戦後の戦犯裁判で、ユダヤ人大量虐殺の責任者アイヒマン(ナチス親衛隊中佐)は顔色ひとつ変えず「私は一人も殺していない」と言いのけました。

ナチスはアウシュビッツを去る前に、大量処刑の実態を徹底的に隠ぺいし、物的証拠となるガス室を粉々に爆破したため、ネオナチは「ユダヤ人虐殺はなかった。でっちあげだ」「彼らは伝染病で死んだだけ」「ガスはシラミ退治のために使用」などと主張しています。
今回のNHKスペシャルは、ユダヤ人でありながら同朋をガス室に送る作業を担当した男たち=ゾンダーコマンドが、死を覚悟して残したメモの内容を放送しました。ゾンダーコマンドの3人は、シャワー室に送られた同朋の遺品からペンと紙を手に入れ、大虐殺の実態を詳細に書き残し、それをビンに入れてガス室の側の地中に埋めました。これらのビンは1945年から1980年にかけて8回発見され、メモの解読が行われましたが、インクの経年劣化で文字の判別が困難でした。近年の最新デジタル技術でそれが読めるようになり、衝撃的な内容が明らかになったのです。

−−〔番組から〕メモはいつの日か日の目を見ることを願ってガス室近くの地中に埋められた。それは世界に向けた大量虐殺の告発であり、裏切り者として生きた彼らの告白だった。
マルセル・ナジャリ「私は死を恐れてなどいない。ただ復讐できないことが悔しいのだ。私の唯一の望みは、このメモが皆の手に渡ることである」
サルマン・レヴェンタル「何百万人もの命が奪われたアウシュビッツの歴史が、このメモを通じて世界に伝えられることを願う。そして、いつまでも人々の心に留まり続けることを私は願う」
レイブ・ラングフス「私たちはこれからどこかへ連れて行かれる。殺されるのだろう。私は強く求めたい。これまでに書いたいくつかの文書にイニシャルを記し、ビンや箱に入れガス室の近くに埋めた。それを拾い集めてほしい。今日は1944年11月6日」(この2カ月後、アウシュビッツは解放されたがラングフスは死亡)

  
※「ガス室虐殺はなかった」論への決定的な一次資料多数です。
●8月17日…昨日40度を超えた静岡・浜松、今日も午前11時の段階で39度とのこと。これはもう、日本も南欧のようにシエスタ(昼食後の昼寝)を皆でしないと…。太陽の殺気を感じる、危険すぎる。
●8月16日…本日クラシック・ファンは大騒ぎです、21時からのEテレ『クラシック音楽館』は大指揮者カラヤン、バーンスタイン、ベーム、クライバーの貴重ライヴ4連発!バーンスタインはウィーン・フィルとのベートーヴェン『第九』!放送は第四楽章のみですが美麗なデジタルリマスター映像とのこと!今年はベートーヴェン生誕250年なのにコロナ禍で第九をナマで聴けず涙目なんですが、Eテレの粋なプログラムで救われました。
●8月15日…戦後75年目の敗戦の日。連日放送される戦争関連ドキュメンタリーを片っ端から見ている。見終わったらレビューを書きます。敗戦日の『忘れられた戦後補償』、力作だった。
●8月14日…俳優の渡哲也さんが他界と訃報の速報。享年78歳。既に今月10日に病没されていたとのこと。

//8月はお薦め番組情報を4日先まで書いているけど、これはなかなかいい。4日分あれば楽しみな番組がたくさん見つかる。
●8月13日…本日、サイトのアクセスが累計7000万件を突破!今の世はインスタなどSNSの最盛期、ぶっちゃけ年間アクセス数は5、6年前の方が多かったです。でも、変わらず足を運んで下さる方も確かにいて、そういう方の存在が更新を続けるモチベーションに。どうか、これからも文芸ジャンキーをよろしくお願いします!

  祝!7000万アクセス!
●8月12日…ペルセウス座流星群、深夜3時半に雲が消えたのでマットを敷いて寝転び45分観測。妻は5個を目撃、子どもは1個、僕は0個…。
●8月11日…昨日、関西でオンエアされた『お墓から見たニッポン・シーズン2 明智光秀編』。お陰さまでとても好評とのこと、テレビ大阪さんが速攻で公式動画をアップです!
光秀の墓所や当時の庶民の墓を訪れ、再現ドラマや寸劇(農民役担当)、紙芝居を取り入れながら日本の墓文化をわかりやすく解説。歴史好き、お墓好きの方は是非!
『お墓から見たニッポン 明智光秀編』(24分)

//香港民主派の本丸の一人、“民主の女神”と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ)氏(23)が香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕された。周氏は日本語が堪能で、SNSを利用して香港の民主化を訴えてきた。国安法施行後、彼女は逮捕を警戒して発信を大幅に抑制していたのに、それでも当局は「デモ参加者を扇動した」として逮捕に踏み切った。いったい周氏は何年刑務所に入ることになるのだろうか。当然、世界から中国政府に非難が集まるだろう。
ウイグル族への弾圧もすぐに国連がストップさせないといけない深刻なもの。もう中国政府はどのように世界から見られようがお構いなしになってきた。
【追記】周氏はパスポートを没収されて翌日に保釈。今後、起訴に向けて捜査が進むとのこと。

//群馬県県伊勢崎市で気温40.5度!
●8月10日…先日オンエアされた『お墓から見たニッポン・シーズン2/楠木正成編』(公式動画)に、是非とも追加情報として紹介したいのが、楠木正成の子・楠木正行(まさつら)の墓と、足利尊氏の子・足利義詮(よしあきら)の墓。2人の父、正成と尊氏はもともと友軍であり実力を認め合う仲でしたが、最終的に戦う運命となった。
楠木正成の敗死から12年後、子の正行は22歳になり楠木軍3千を率いて足利軍約7万と戦う。20倍以上の敵を相手に善戦したが、多勢に無勢、追いつめられ命を絶った。
この時、尊氏の子・義詮は18歳。同じ若武者であり、敵ながら仁の道を貫く正行に敬意を持っていた。義詮は28歳で室町幕府2代将軍に就任、37歳で病死する。
その遺言は「死後は、かねてより敬慕していた楠木正行公の墓の傍らで眠らせて欲しい」、将軍が敵方の側に葬られることを希望した胸熱なものだった。
両者の墓が並ぶ京都市右京区の宝筐院には、墓所の入口に楠木氏の家紋「菊水紋」と、足利氏の家紋「二つ引き両」の両方が入っている。敵同士の家紋が墓所に並ぶ光景は感動的であり、忘れられない墓巡礼となった。

 
左の三層石塔が足利義詮、右の五輪塔が楠木正行。両家の家紋が刻まれる
●8月9日…長崎の原爆投下から75年。今日、安倍氏は長崎市内で被爆者5団体の代表と面会した。昨年の面会で被爆者が求めた長崎原爆資料館訪問は実現せず、被爆者が参加を求める核兵器禁止条約への言及もなし…。首相は常々「被爆者の方々と手を取り合って」「被爆者の方々に寄り添い」というのに、なぜゆえ原爆資料館に足を運べないのか…。長崎原爆被災者協議会の会長は面会後に「寄り添うというなら、被爆者の言うことを聞いてほしい。何のために長崎に来るのか、その意味を考えてほしい」と嘆く。式典での首相のあいさつにも失望の声が聞かれた。広島の式典のあいさつと大半が同じ文言だった。広島と長崎では使用された原爆のタイプが違う。長崎県被爆者手帳友の会・会長「それぞれの都市に特徴のある事項を見つけ出して、それに対してのコメントが入っていれば、政府が真剣だということを我々も感じられるが、それが無い」。
※小泉元首相、野田元首相(民主)のときも90%以上が同じ文言だった。逆に福田元首相、橋本元首相は一致箇所が60%台と低く、被爆者への配慮が見られる。

75年目に良い方向へ大きく前進してほしい。3日前、核兵器禁止条約の批准をアイルランド、ナイジェリア、南太平洋ニウエの3カ国が発表。条約を批准した国は43カ国となり、発効に必要な50カ国まで残り7カ国となった。
アイルランドのフリン国連次席大使「広島と長崎の被爆者をたたえ、犠牲者を追悼する日でもある今日は、批准書の寄託にふさわしい」。ナイジェリアのイテボジェ国連次席大使「各国政府は貴重な予算を核兵器に投じるのではなく、人間の健康と福祉に振り向けるべきだ」。
●8月8日…先日ツイッターで話題になった“ポテサラ事件”。スーパーの惣菜コーナーで高齢の男性が幼児連れの女性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と苦言、女性は惣菜パックを手にうつむいていたというもの。この男性はポテサラがほんの数分で出来ると思っている模様…。
そして昨日は冷凍餃子が話題に。二児の母がある日しんどくて夕食に冷凍餃子を出したところ、子ども「美味しい!」夫「手抜きだよ。これは“れいとう”っていうの」。
これに対する“味の素”公式アカウントのツイートが素晴らしく、思わずメモった!
→『冷凍餃子を使うことは「手抜き」ではなく「手“間”抜き」ですよ!工場という“大きな台所”で、野菜を切って、お肉をこねて、皮に餡を包んで…という大変な「手間」をお母さんに代わってに丁寧に準備させていただいています。で、その下ごしらえの「手間」を代わることで生まれた時間で、世の中のお母さんは何をしているかというと、目の前でダダをこねるお子さんを抱きしめたり、勉強を頑張るお子さんの宿題をみてあげたり、遠くのご家族と電話したり…“誰かのため”に使っていることが多いと思うんです』
−−なるほど、「手抜き」じゃなく「手間抜き」。秒速でいいねを押しました。
※料理を作るのは“女性の役割”というマインドからも脱する必要がありますね。ちなみにカジポン家は水木土が妻、火金が僕、月が各自の自由、日曜が外食という感じです。
※海外では炊飯器や洗濯機のCMに男性が登場するケースが増えているとのこと。

//昨日の沖縄県、コロナ新規感染者が1日で100人とは。人口を考えるとあまりに突出した人数。GoToトラベルの対象から東京を外しても避けられないのか。観光産業25兆円のうちわけは国内20兆、訪日客5兆で、今でも基本は内需。業界を壊滅させないためにコロナ対策をしながら旅が出来ればいいんだけど3桁の数字を見ると頭を抱え込んでしまう。
●8月7日…春に関西ローカルで放映されたテレビ大阪『お墓から見たニッポン』。平安時代から明治にかけての偉人と庶民のお墓について30分×3回にわけて解説した同番組。千葉商科大学の朽木教授(考古学)と出演し、非常にマニアックなテーマにもかかわらず好評をいただき、このたびシーズン2の放送となりました!
8月7日(金)17:22〜南北朝時代「河内のアウトロー 楠木正成」
8月10日(月)12:27〜戦国時代「何を望んでいたのか 明智光秀」
8月14日(金)17:22〜江戸幕末「幕府に立ち向かった男 大塩平八郎」
各回とも前半が偉人のお墓、後半が庶民のお墓という構成。
関西ローカルですが、放送後にテレビ大阪さんが公式YouTubeにアップして下さると思いますので、そのときにまた紹介しますね。
〔追記〕動画がアップされました!今回は寸劇もあります。

 
●8月6日…広島原爆投下から75年。今日の松井一実・広島市長の『平和宣言』の最後の部分は日本政府への切実な願いだった。
「日本政府には、核保有国と非核保有国の橋渡し役をしっかりと果たすためにも、核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いを誠実に受け止めて同条約の締約国になり、唯一の戦争被爆国として、世界中の人々が被爆地ヒロシマの心に共感し「連帯」するよう訴えていただきたい。また、平均年齢が83歳を超えた被爆者を始め、心身に悪影響を及ぼす放射線により生活面で様々な苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を充実するとともに、「黒い雨降雨地域」の拡大に向けた政治判断を、改めて強く求めます。本日、被爆75周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います」。

日本政府は核兵器禁止条約に署名するどころか、核保有国と非保有国を分断するものとして同条約に反対の立場をとっている。首相の広島平和記念式典でのスピーチは今年も核兵器禁止条約に一言も触れなかった。完全黙殺。条約に反対なら反対で、かわりに核廃絶に向けてここ1年間にどういう具体的な行動をとったのか、被爆者を前に報告するべきと思う。なぜなら、日本政府は「同条約に寄らない核廃絶運動をする」と言ってきたのだから。黙殺は絶対にだめだ。
※3年前に採択された核兵器禁止条約の発効には「50カ国の批准」が必要だが、まだ署名は40カ国にとどまっている。それほどまでに核保有国の圧力は強く、小国は署名に踏み切れない。日本が批准することで他国も署名しやすくなる。日米軍事同盟があっても、倫理面から条約批准は可能。被爆国であればこそ理解が得られるだろう。ぜひ批准を。
※ちなみに「広島平和記念式典」「長崎平和祈念式典」、“きねん”の文字が異なる。

/コロナ禍で世界最悪の被害を出している米国は、核軍備支出で世界のほぼ半分を占める。核廃絶キャンペーン組織「ICAN」によると、その支出を感染症対策に向ければ、集中治療室30万床、人工呼吸器3万5千台、医師7万5千人と看護師15万人が確保できるという。

//安倍首相が50日ぶりに会見するも、質問は事前に決められた4つのみ。15分で強制終了。最初からすべて決まっているなら、首相も記者も両方ともペッパー君にしたら良いと思う。
●8月5日…中東レバノンの首都ベイルートで起きた大爆発の映像に戦慄。まるで映画『AKIRA』。被害は人口240万の大都市の半分に及び30万人が家を失った。爆発現場の港は壊滅し海に流された人も。数キロ先の建物まで窓が割れ、家屋崩壊で行方不明者が多数、分かっているだけで死者130人以上、負傷者5千人以上。首都の基幹病院として多くのコロナ感染患者を受け入れてきた病院は、天井が落ちて職員や患者ら16人が死亡し業務停止に追い込まれた。原因は港に6年前から保管されていた2750トンの硝酸アンモニウムと見られる。
レバノンは国民の45%が貧困層。経済は昨年から悪化の一途で、半年間で食料価格が56%も上がるなど物価の上昇も深刻。食料の8割を輸入に頼っているのに、輸入の6割を担う玄関口、ベイルート港が壊滅してしまいどうなるのだろう。港の穀物貯蔵庫も破壊され、穀物の備蓄は1カ月分に満たないという。今後数カ月のうちに飢餓による死者が出る事態もありうると指摘され、ベイルートの県知事は「小麦が足りず国際支援がなければ危機に陥る」と訴えている。
●8月4日…最近の急激なコロナ感染者数の増加について、西村経済再生相、小池知事、吉村知事は口を揃えて「コロナの感染者数が増えたのは検査数を増やしたから」と説明する。実際はどうなのか。約2カ月前(6月初旬)、日本では1日に約3千件のPCR検査が行われ約40人の感染者が出ていた。陽性率はこの時点では1.4%だった。その後、検査数は約1万2千件まで増加しており、本来であれば、無症状者なども含めて検査を拡充した結果、陽性率は下がるはず。もしも陽性率が以前と同じように1.4%のままで推移していたなら、現時点の1日の感染者数は約170人の計算なのに、7/29日時点で「870人」を超え、陽性率は7%に達している。2カ月前のちょうど5倍だ。
欧州やオーストラリア、韓国などでは陽性率が1%未満しかない。また、英国は検査を増やしても感染者が減っており、感染収束に向かっている可能性が高い。データを正確に見ることができない人間が行政を指導する立場にある不安。正しく舵取りができるのか。
●8月3日…ヒトはイヌと見つめ合うだけでストレスを消し多幸感を与えるホルモン「オキシトシン」が分泌されるという。麻布大学や医学総合研究所などの共同調査の結果、思春期の子どもにも良い効果が現れた。ヒトの幸福度は10歳ごろから徐々に下がるとされるが、(1)イヌを飼う(2)ネコを飼う(3)飼わないの3グループの中で、イヌを飼う家庭が12歳時の幸福度の下がり方が最も低かったという(約2600家庭を対象)。ペットを飼うことで幸せを感じる人は多い。僕は団地で育ち、その後は賃貸マンションに入ったのでイヌを飼ったことがなく、今はメダカを飼っている。メダカを見てても幸せになるから、イヌはもっと良いんだろうなぁ。
●8月2日…NHKは業務肥大化の批判を受けて、今後の事業規模を抑制するという。BS4波のうち、「BS1」「BSプレミアム」「BS4K」の3波を2波にし、将来的には1波にすることも検討。高コストの「BS8K」は今後の運用について判断するという。ぐああ、今でさえ大リーグの野球中継が始まったために海外ニュースの報道番組が消えまくり、僕は報道とスポーツ中継のチャンネルを分けてほしいと思っているのに、逆に減らすとなると恐ろしいことに…。
ぶっちゃけ、重要なのは高精細度の画質ではなく、良質な番組内容。内容の濃さがすべて。一般家庭で視聴する分には、もうこれ以上の高画質化は必要ない。
以前、「BS-hi」が消えたせいで映画の本数が激減し悲しんだ。このうえさらに、「BS1」の秀作ドキュメンタリー、「BSプレミアム」のアート番組と映画が減ってしまうのはつらすぎる。予算を削るなら、真っ先に超高給の役員給与を減らして「BS1」「BSプレミアム」は死守してほしい。
●8月1日…コロナ禍が原因で学校に行けない子どもは世界に16億人。約100カ国で学校再開のめどが立っておらず、国連は教育予算を増やすよう求めている。メキシコ政府は「ネット環境がなくオンライン授業を受けられない子どもがいるため、8月24日からテレビを使って授業する」と発表。複数の既存チャンネルが協力し3千万人の学生が授業を受けられるとのこと。パソコンと違ってテレビは大半の家庭にある。メキシコの対応を見て世界が続くかも。
●7月31日…一昨日、全国で初めてコロナの新規感染者が4桁に達して1200人を突破。傾向も変わり、以前は感染者の3分の1が東京に集中していたけど、現在は逆に地方の合計が東京の3倍に。春に頑張って活動自粛していたあの努力が、水泡に帰したということなのか。活動再開が早すぎたのか。
●7月30日…台湾出身者で初の総統となり、台湾の民主化に貢献した李登輝(リートンホイ)氏が本日97歳で他界。氏は蒋介石父子が強いた国民党独裁体制を終わらせ、国民が総統を選ぶ直接選挙を実現させた。台湾独立派であり、氏が推進した台湾の歴史や文化を学ぶ教育によって若者たちの「台湾人」としての意識が高まり、2014年に立法院(国会)を占拠した「ひまわり学生運動」の原動力に。日本の植民地時代に京都大学農学部に進学、日本の文化に精通し、「尖閣諸島は日本の領土」と主張するなど親日家として知られ、日台の交流拡大に尽力した。

//昨日とうとう岩手でも2人がコロナに感染。感染者は少ない方がいいに決まっているけど、岩手に関しては2人同時でよかった。1人ならどんな誹謗中傷を受けるかわからなかった。そして、わが大阪221人!東京の250人を抜きそう…。
●7月29日…本日2020年7月29日はゴッホ没後130年。
「僕は絵の中で、音楽のように何か心慰めるものを表現したい」
「他人の為にどうすれば役に立てるのかずっと悩んでいる」
生前に絵が1枚しか売れず苦悩し続けた彼。そして37歳の自死。だが、絵だけでなく優しさも後世に遺った。追悼を込め、彼の言葉を刻みます(ゴッホの手紙819通が現存)。

「人間が生きる限り、死者も生きているんだ」
「画家などという絵の具まみれの汚い仕事には、労働者のような手と胃袋を持った人間が最もふさわしいのだ」
「人の本当の仕事は30歳になってから始まる」
「99回倒されても、100回目に立ち上がればよい」
「常に悲しみを要求する人生に対して、僕らにできる最上のことは、小さな不幸を滑稽だと思い、また大きな悲しみをも笑い飛ばすことだ」
「絵画は狂気に対する避雷針だ」
「このまま行けと、僕の中の僕が命じるんだ」
「僕はずっと一人ぼっちでいるせいか、人と話すと自分のことばかり話してしまう」
「一塊のパンと共にレンブラントの絵の前に2週間座らせてもらえるなら10年寿命が縮まっても良い」
「いったい人々の目に僕はどういう人間に見えているのだろう?取るに足らぬ存在、あるいはひどく風変わりで不愉快な男、社会的地位を何も持たず、将来も最低の地位すら持てそうにない男。結構だ…それなら、そういう男の胸中に何があるか、僕は作品によって見せてやろう。これが僕の野心だ。この野心は、何と言われようとも、怒りよりも愛に基礎を置いている」
「死んだら汽車に乗れないように、生きている限りは星へ行けない。汽船や乗合馬車や汽車が地上の交通機関ならば、コレラや尿石や結核や癌は、天上へ行く交通機関のように思われてくる」
「たとえこの人生が負け戦であろうと、いずれにせよ僕は“良い戦い”をしたい」

130年前の彼の葬儀の様子は参列した親友の画家ベルナールが詳しく書き残している。
「遺体が安置された部屋の壁には、晩年の作品すべてが掛けられていた。それは彼を取り巻く後光のように見えたが、絵が輝かしく天才的であるだけに、彼の死は我々画家にとっていっそう悲しいものだった。棺には質素な白布が掛けられ、大量の花が置かれていた。それは彼が愛したヒマワリや黄色のダリアなど黄色の花ばかりだった。黄色は彼の好きな色で、彼が芸術作品の中だけでなく、人々の心の中にもあると考えた光の象徴だった」

「遺体は午後3時に友人たちの手で霊柩車に運ばれた。テオ(ゴッホの弟)がずっとすすり泣いているのが哀れだった…。外は狂おしいほど太陽が照りつけていた。私たちは故人の人柄について、彼の芸術家としての勇気、画家の共同体の夢、彼から受けた影響について語り合いながらオーヴェールの丘を登った。彼が葬られる共同墓地はまだ新しく、新しい墓標が点在しているだけだった。青空の下、収穫間近の麦畑が眼下に広がっていた。気候はまさに彼の好みにぴったりで、彼はまだ幸福に生きられたのにと思わずにはいられなかった」

  左がフィンセント、右がテオ
●7月28日…重度障がい者2名を国会に送り出すという前例のないことを成し遂げ、「人は生きているだけで価値がある」「誰一人として排除されない社会を作る」と優生思想に立ち向かう政策を打ち出してきた“れいわ新選組”。今月、同党に所属していた大西つねき氏がネット投稿動画でコロナ禍を念頭に「どこまで高齢者を長生きさせるために若者たちの時間を使うのか」「政治家が命を選別しなければならない」と主張、山本太郎代表は「発言は立党の精神と反するもので看過することはできない」とし、大西氏の離党届を受け取らず、最も重い処罰である除籍処分とした。
…ネット上には大西氏の主張と同様の言葉があふれている。匿名掲示板は「医療費が減っていい」の書き込みだらけ。それゆえ、山本氏は「大西つねきの中にあったものは山本太郎にもあるかもしれない。誰の心にもある社会的な問題」「大西氏を処分するだけで問題が解決するとは思えません」と声明。除籍前に党として大西氏に社会的弱者の現状についてレクチャーしたが、大西氏は「私は優生思想を持っておらず、発言はあくまでも高齢者に関することで、障害や難病を抱えた方たちに対しては一言も言っていない」とし、レクチャーが的外れだったと綴っている。

大西氏はなぜ自身の発言が、障がい者や難病者に恐怖を与えているか、おそらくわかっておられない。最初は「高齢者」を対象にしていたはずの「命の選別」が、障がい者や難病者に広がるのは、過去の歴史を見れば容易に想像できる。ナチスの迫害はどんどん対象範囲が拡大されていった。人間はそういう側面があり、何かあればアッという間だ。だから、「最初の選別」をさせないことが政治家の役割なのに、大西氏が「命を選別できるのが責任ある政治家」という立場をとるため問題になっている。山本代表が「言葉の暴力によって身の危険を感じた皆様に心よりお詫びを申し上げます」と謝罪したのは、ことの本質を捉えたものだ。
それにしても…同じ党の重度障がい者のお二人、木村英子議員・舩後靖彦議員にとってどれほど衝撃だっただろう。程度の差はあれ大西氏と似たような考えを持つ人は少なくない、それは分かってはいても、まさか身近にいる仲間から“命の選別”を肯定るような発言が飛び出すとは。先日、木村議員は「大西氏だけの問題ではなく社会全体の問題でもある」と声明を出しており、一部を紹介。
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・大西つねき氏の「命の選別」発言について(2020/07/15)
今回の大西氏の「命、選別しないとだめだと思いますよ。はっきり言いますけど、その選択が政治なんですよ」という発言を聞いて、施設にいた頃の私のトラウマを思いだし、背筋がぞっとしました。
「命の選別」それが政治によって決められる世の中になったら、常時介護の必要な重度障害者の私は真っ先に選別の対象になるでしょう。
障害を持った幼い時から自分の命を誰かに預けなければ生きていけない私にとって、他者に従うことは絶対でした。私の命、私の身体、私の生活、すべてを他者にゆだねるということは、支配されてしまうことです。
「命の選別」、この言葉は、私が幼いころから抱いていた、「殺されるかもしれない」という避けがたい恐怖を蘇らせました。大西氏の発言は、自分の命を人に預けなければ生きていけない人たちにとって、恐怖をあたえる発言であり、高齢者だけではなく障害者も含めた弱者全体を傷つけた暴言であると思います。
「人は生きているだけで価値がある」という理念を掲げた政党であるれいわ新選組の一員から、今回の発言が出たことに、私は耳を疑いました。
とても悲しかった。そして、地域で差別と闘ってきた私の35年間の活動が否定されたようで、とても悔しく、怒りを抑えられませんでした。
大西氏の発言についての当事者の意見を聞く会において、当事者たちが涙ながらに意見を訴えたにも関わらず、大西氏は自分の主張がいかに正しいかを話すだけで、当事者の必死な訴えに理解を示そうとはしませんでした。
(略)
これは大西氏だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあると思います。程度の差はありますが、大西氏と似たような考えを持つ人は少なくありません。
日頃から(障がい者と)関係性があれば相手の苦しみを想像することができたと思いますが、現状は、障がい者と健常者が、一緒に学び、一緒に働き、一緒に生きる社会の構造にはなってはおらず、お互いを知らないことで、誤解や偏見が蔓延してしまい、無意識のうちに差別が生まれてしまっているのです。
今回の発言は、まさに分けられていることの弊害なのです。
れいわ新選組は憲政史上初、重度の障害をもった国会議員を生み出し、社会に迷惑とされている弱者が政治に参加するという誰もやったことのないことを実現した初めての党です。
誰一人として排除されない社会を作るために、それぞれの苦しみや怒りを抱えた当事者が政治に関わることによって変えていける、それが誰もが生きやすい社会を作るために一番必要な政治のあり方だと私は思います。
命の選別をするのが政治ではなく、命の選別をさせないことこそが、私が目指す政治です
リンク元
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また、舩後議員も「この発言は到底容認できるものではありません。大西氏は障害者や社会的弱者を対象にしたものではないとおっしゃっている。しかし、高齢の方からという線引きを許せばあらゆるところに広がっていく」「残念ながら命の選別を認める価値観は社会に蔓延しています」とし、大西氏個人の問題に矮小化しないよう訴えている。

僕がこの問題を考えている矢先、難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に依頼された2人の医師が、130万円の報酬を受け取り安楽死させたことが明らかになった。いわゆる「尊厳死」について、人権意識、医療制度が成熟した社会で議論されるのは良いと思う。自分の最期をどう決めるか、それも大切な権利だ。でも、正直言って、弱者叩きが社会に渦巻いている今の日本では「安楽死できる制度があるのに、多額の税金を使ってなぜ生きているのか」と重度障がい者に対するバッシングが出てくるのは目に見えている。っていうか、安楽死制度のない今でさえ既にこうした意見はネットに書かれている。
まずはALS患者が十分なケアを受けることができ、「周囲に迷惑をかけている」と自分を責める必要がない社会を実現しないと。尊厳死を語るとき、それが救いになる人、死に追い込まれる恐れがある人、どちらのことも考えて語り合わなければ。

●7月27日…ストリートアートで知られる正体不明の芸術家バンクシーが、イスラエル圧制下にあるパレスチナの病院のため「油彩画」をオークションに出品、落札額の約3億円を寄付。作品は美しい夕暮れのビーチに見えるけれど、浜辺には多数の救命道具やボートのオールが打ち上げられている。武力衝突から逃れるため欧州へ向けて地中海を渡ろうとした無数の難民のもの。2010年代は数千人が海で命を落としている。この作品を見て、脚本家ボビー・モレスコがアカデミー賞のスピーチで語った次の言葉を思い出した。「芸術はただ社会を映す鏡であるだけではなく、社会を変えるハンマーだ」。

  バンクシー作

/イラクのバグダッドで過去最高の気温51.8度を記録。これもうクーラーあっても厳しいと思う。その状況でもイラクでは一日に3千人のコロナ感染者が発生している。「コロナは暑さに弱い」は何だったのか…。
●7月26日…先日再放送されたEテレ『美の壺』の「少女漫画編」、とても興味深かった。いくつかメモったので貼ります。
・少女漫画の登場人物の瞳に、最初に星を描いたのは男性の高橋真琴さん(今年で86歳)。瞳を大きく描き始めた当初は「お化け」と言われたが、少女の繊細な感情がより伝わるようになり支持を得ていった。
・少女漫画でストーリーと関係のない“花”を最初に描き込んだのは手塚治虫先生。『ナスビ女王』の説明文のフレームを花で飾った。その後、1960年代に活躍し始めた女性漫画家たちが、登場人物に花を背負わせるようになった。
・『ベルサイユのばら』作者の池田理代子先生へのインタビュー。本作は池田先生が24歳で初めて挑んだ長編漫画。
「私は高校2年生の時からマリー・アントワネットの物語を描きたいと温めていた。自分でも夜も眠れないくらい面白いのだから、こんな面白い話が当たらないはずがないと思っていました。もしも当たらないとすれば、面白い話を、面白くなく描く作家の責任だと思っていました」。
当初、編集部は連載に難色を示し、「歴史物は受けるはずがない。人気が出なければ即打ち切りだ」と警告。そこで池田先生は女性の軍人オスカルを登場させることを思いつく。「オスカルを男性にしてしまったら、何を食べて何をやって何を感じて生きているのか理解できない」。
「オスカルが(市民の側に)寝返るときに兵士たちに向かって、“自由であるべきは心だけではない、この体の髪の毛1本にいたるまで人間はすべて自由だ、と言います。それから“歴史というのは1人や2人の英雄がつくるものじゃない、我らは祖国の名もなき英雄になろう”と説得をしますが、みんな私の考えです」。
−−「心は自由」という言葉だけならよく聞くフレーズだけど、自由なのは「心だけじゃなく」「髪の毛1本にいたるまで自由」と、王侯貴族に支配されている状況で叫ばれるとめっさ胸熱に。これを20代で描きあげた先生のエネルギーは凄い。

『ベルばら』は僕が高校生のときに初めて読んだ少女漫画であり、当時読んでいた少年漫画よりも内面描写が豊かで、しかも歴史スペクタクルの活劇要素もあった。っていうか、僕は絶賛片想い中だったので、アンドレの気持ちがこっちに流れ込んできて滝泣き。完全にノックアウトされ、そこから萩尾望都先生や竹宮惠子先生、山岸凉子先生、大島弓子先生の作品を読み始めた。そして吉田秋生先生の『BANANA FISH』で興奮のピークに。少女漫画開眼の原点となった『ベルばら』誕生秘話を聞けて感無量でござった。
●7月25日…「ファッションを通して元気になろう!」と発信し続け、日本人で初めてロンドンでファッションショーを開催した国際的なファッションデザイナー、山本寛斎さんが21日、白血病のため他界。享年76。前衛的なデザインはデヴィッド・ボウイのステージ衣装に採用された。京成電鉄の特急「スカイライナー」のデザインを手がけたり、ライブイベントなどのプロデューサーとしても活躍。哀悼の意を表します。

//大河『麒麟がくる』、8月30日放送再開決定!ついにきたか!『キングダム』第3期は「未来少年コナン」が終わってから?
●7月24日…大阪のコロナ禍、今日は過去最多の149人感染で先週の東京と同じくらいになってきた。吉村知事は「感染者は若者が多く重篤化していない」と警報(照明)をレッドにせず。いや、これからその若者が年配の人に移していくため、それを皆は心配しているんだけど…。
●7月23日…居酒屋などによく貼ってある地球一周・ピースボートのポスター。僕は30年前の1990年に参加者として初乗船し、その後、船内講師として芸術入門講座や墓マイラー・トークを行い、寄港地に着くと偉人のお墓を巡礼してきました。乗船回数はのべ23回(大半は一部区間のみの乗船)。
そのピースボートがコロナ禍で大ピンチにあり、非力ながら応援したく、ネット生配信でこれまでの思い出や、感動した出来事を語り、クラウドファンディングを呼びかけました。
※現在アーカイブとして録画分が再生可能なので最後に案内します。文末のリンク先から録画分が再生可能です。

ピースボートに関しては、いろんなことが言われてきました。僕はプラスの意見もマイナスの意見も、この30年間、ずっと耳を傾けてきました。それらを踏まえたうえで、以下のコラム『ピースボートと墓マイラー』を書きました。僕が墓マイラーになったのは19歳で、船に出会ったのが23歳です。サイト日記では「僕」ですが、このコラムでは「私」で綴っています。

【ピースボートと墓マイラー】

けっして裕福ではない私が様々な国でお墓参りできたのはピースボートとの出会いが大きいです。この船は非営利NGOの国際交流船なので講師はノーギャラですが、治安や交通費の点で個人では行きにくい南米やアフリカ、太平洋の島々に寄港するため、墓マイラーの私には感謝感激の存在です。
サモア諸島に眠る作家スティーブンソン(「宝島」作者)、アルゼンチンのエビータやタンゴ音楽の革命児ピアソラ、キューバのチェ・ゲバラ、チリの悲劇のフォーク歌手ビクトル・ハラ、スリランカのSF作家アーサー・C・クラーク、カンボジアに最初の墓がある戦場カメラマン・一ノ瀬泰造、アイスランドのチェス王者ボビー・フィッシャーといった遠隔地の偉人は、この船でお墓参りしました。一般乗船者はツアーや交流会に行くのですが、私は鼻息荒く墓地に直行です。

何がなんでも帰船リミットまでに墓巡礼を終えねばならないため、英語が通じない土地で躊躇(ちゅうちょ)している余裕はありません。必死こいてジェスチャーや顔芸を駆使して墓地にたどり着き、墓前で故人に感謝を伝え、時間内に帰船できたときの安堵感といったら!
日帰り不可能な場合、たとえばタヒチ島から遠く離れたヒバオア島に眠る画家ゴーギャン、オアフ島以外のハワイ諸島にある冒険家リンドバーグやキャプテン・クックの墓などは、船に合流する前に先乗りしたり、離脱後に飛行機で向かいました。アメリカでは下船後にレンタカーで内陸部へ出発したりもしました。

ピースボートは1983年から約40年の歴史があり、現在まで103回出航。これまでにのべ8万人も乗船しています。私は一部分だけの乗船が大半ですが、のべ23回に関わりました。最後に乗船したのは3年前。アジアからの参加者が激増していたことに驚きました。
初期ピースボートの幹部スタッフは20歳代が大半で、若者たちが手探りしながらの地球一周。乗船者は“お客さん”ではなく“参加者”であり、スローガンは「みんなで船を出そう」。当時の常識では、地球一周といえば400万円以上が相場、それが学生でもバイトを頑張れば可能な99万円から乗船できたので参加者は大喜び。航海中にトラブルが起きると参加者はスタッフを責めるのではなく、スタッフと一緒に解決策を考えていました。繰り返しますが、「みんなで船を出そう」です。

とはいえ、長い歴史の中では当然トラブルもありました。毎回700人以上(近年は千人)が3か月の旅をするわけで、それはもう「いろいろ」あります。ですが、スタッフが何か失敗してしまったときは、それを教訓にし、叱責された部分はそれを反省・改善しながら、彼らは今日まで前進してきました。それを僕はこの目で見てきました。船の故障の話は聞いているだけでこちらまで胃が痛くなります。乗船するたびに船は進化し、ネットが可能になったり、毎日和食を選べたり、製氷マシーンが設置されるなど、 “昔のことが嘘のよう”と感慨を深めています。

次の点にも触れねばなりません。ピースボートは国連の特別協議資格を持ち、核兵器禁止条約の一翼を担い、寄港先で現地調査をし、援助物資を運ぶなど様々な活動をしています。
一貫した反戦反核の姿勢から、一部ネット上では思想的に偏っていると書かれているのを見かけます。確かに歴史問題を取り上げた船内講座もありますが自由参加ですし、むしろエンターテインメント色の強いイベントが目白押しです。当初は平和活動が全面に出ていましたが、幅広い層が参加できる形態に大きく変わりました。2017年のある船は、実に250人がリピーターとのことで、世界に友達をつくる「国際交流船」としての魅力が広まっているのだと思います。

もちろん、乗船者が歴史の知識を持っておくことは重要です。香港、台湾、シンガポール、マレーシアなどから乗船される方が増えており、交流する機会が多いからです。嬉しいことに、周辺アジア諸国の乗船者はリピーター率が50%にも達するといい、ピースボートが東アジアを代表する船と認知されてきたことを感じます。アジアの人から「また乗りたい」と思ってもらえるのは胸が熱くなりますね。

ピースボートには、墓マイラーとしても、芸術の魅力を伝える喜びに目覚めた文芸研究家としても、若い頃に世界や人生について考えるきっかけをくれたことについても、いつかきちんと御礼の言葉を公に綴りたいと思っていました。この場を借りて、過去現在のすべてのスタッフに感謝します。本当に素晴らしい時間をありがとう!そしてこれからもよろしく!

「船は港にいる時、最も安全であるが、それは船が作られた目的ではない」(パウロ・コエーリョ『星の巡礼』)

〔参考〕私の乗船回、船名、CD(クルーズ・ディレクター/代表)
1990:第10回 オセアノス号/14,000トン(当時はCDなし)
1994:第16回×2(2隻体制) 新さくら丸/16,431トン、ゴールデン・オデッセイ/10,563トン
※私は欧州まで新さくら丸で行き、オデッセイで欧州から帰国
2000:第27回 オリビア/15,791トン(木瀬貴吉)初の南回り
※これ以降は一部区間のみ乗船
2000:第31回 オリビア (中原大弐)
2001:第32回 ルーシー/12,798トン (木瀬貴吉)南半球
2001:第33回 オリビア(中原大弐)
2001:第34回 オリビア(木瀬貴吉)
2001:第35回 オリビア(石丸健作)
2001:第36回 オリビア(古賀武夫)南半球
2002:第37回 オリビア(中原大弐)
2002:第39回 オリビア(木瀬貴吉)
2003:第41回 トパーズ/31,500トン(山本隆)
2003:第43回 トパーズ(木瀬貴吉)
2004:第45回 トパーズ(中原大弐)
2004:第47回 トパーズ(井上なお)南半球
2005:第49回 トパーズ (門脇てつ)
2008:第60回 トパーズ (中原大弐)南極
2009:第66回 オセアニック/38,772 トン(日高慎介)
2013:第80回 オーシャン・ドリーム/35,265トン(井上なお)
2014:第84回 オーシャン・ドリーム (平山雄貴)
2017:第94回 オーシャン・ドリーム (田村美和子)


※約40年前の創始メンバーの中に左翼の活動家がいたそうですが、それをもってピースボートはずっと過激派がどうのこうのとネットでは叩かれています。僕が乗船し始めた頃には普通の楽しい国際交流船としか眼に映らず、裏で怪しいことをやっている話は聞いたことがないです。そもそも、彼らはそんなに器用ではありません。アンチの意見については、約40年で103回もクルーズが続いていること、繰り返し乗船するリピーター率の高さが、船の魅力を雄弁に物語っているのではないでしょうか。
※ジョジョ立ちの盟友・鬼教官と出会い、初めてジョジョ立ち教室を開催したのも船上なので、この船がなければウチのサイトのジョジョ立ちページは存在しなかった。

アルゼンチン南端のクジラ雲(2008) キリンと目が合った(2000)
ポルトガル「ナチ野郎はゴミ箱へ」(1994)


シリアの村。この後、内戦が勃発。
青い服の男性に手紙を出したの
ですが返ってこず心配…(1994)

※冒頭で触れた、ピーズボートの思い出を存分に語った配信動画はこちらのリンク先から再生可能です!笑ったり、呆れたり、ビックリしたりの映像も紹介します。
●7月22日…本日、全国で確認された新型コロナウイルスの新規感染者が791人となり、これまでで最多だった4月11日の691人を上回って1日あたりの最多を更新した。政府は重症者が少ない点からGo To キャンペーンを実施、しっかりコロナ対策をしたうえでガンガン旅行をしろと。一方、小池都知事は明日からの4連休は不要不急の外出を控えるよう都民に要請。行政がアクセルとブレーキを同時に踏むなか、どういう状況になっていくのだろう。
●7月21日…先日『半沢直樹』第1作の総集編が前後編で放送され、世間から7年遅れで初鑑賞。脇役に至るまで豪華なキャスティングに驚き、「100倍返しだ!」に喝采、香川照之の顔芸にハマった。随所で盛り上がる脚本であり、大ヒットしたことに納得。堺雅人さんの啖呵の切り方は迫力があった。
ウチの子にとって、香川照之といえばEテレの昆虫番組の楽しいカマキリ先生なので、親しみを持っていた香川さんがド悪役を演じていることに大混乱、ショックを受けてた(汗)
●7月20日…世界がまとまるべき時に、米中露という三つの大国のリーダーが、妄想狂のトランプ、人権抑圧の習近平、強権皇帝プーチンという国家主義者ばかりというのが人類の不幸。このうちの一国だけでも、ニュージーランドのアーダーン首相のような協調・寛容主義の人がトップなら、世界の流れも少しは変わるのに。

/昨日の保守系FOXニュースでトランプ大統領が2つのぶっ飛び発言をして耳を疑った。「米国のコロナ死亡率は、聞いたところによると世界でも最低水準にあり、おそらく最も低い(注:実際はブラジルと同率で、やや高い水準)」「コロナはある時点で消える。最後に正しいのは私だ」。大統領はこれまでも「コロナは奇跡のように消える」と繰り返しているけど、何ら根拠を示していない。全米で毎日7万人以上の感染者が出続けてるのは、大統領自身のコロナ軽視発言も背景にあるのに、ずっとこの調子。
ブラッド・ピットがコメディ番組で、米国の感染症専門家ファウチ博士に扮し、トランプの「ワクチンは比較的早い時期にできるだろう」という発言に「比較的早いとは、興味深いフレーズです。確かに地球の歴史に比べれば、かなり早く開発されるでしょう」と切り返し、大統領の「ウイルスは奇跡のように消滅するだろう」に「奇跡を第一案にすべきではありません」と鋭いツッコミをしたのは勇気ある。

/ときにわが国。安倍首相は1か月以上も会見や答弁をしていないけど、どうなってんのかな。他国のリーダーは連日のように記者の前でコロナ対応の会見をしているのに…。そういえば、ダイヤモンド・プリンセス号のコロナ禍の際に、テレビに出まくってた加藤厚労相もすっかり出てこなくなった。ニュースで見るのは西村経産相と菅官房長官ばかり。ウイルス感染は厚生労働大臣がもっといろいろ発信していかんとダメと思うんですが。

/本日、国内の新型コロナによる病没者が累計1001人となり4桁に達した。うち845人が4〜5月に集中。政府は最近「今は重症者が少ない」とアピールするけど、この言葉で若者が油断してウイルス保持者となり、年配の人に移していくと、みるみる4月のような状態になってしまうので、あまり重症者の減少を強調しないでほしい。
●7月19日…今年の1月の段階では、欧米で軽く扱われていたマスク。「マスクなんかしない、あれはやばい病人がつけるもの」という海外の街頭インタビューをよく見かけた。特に個人主義が尊重されるフランスはその傾向が強い。それだけに、フランス政府が公共の屋内でのマスク義務付け違反者に最大135ユーロ(約1万6500円)の罰金を科すと新たに発表したことに驚いた。フランスでは既に公共交通機関のマスク着用が義務付けられているけど、これに商店やスーパーマーケット、生鮮市場、銀行、多くの市民が集まる公共施設の屋内が着用義務対象に追加された。各地のスーパーで「つけろ」「うるさい」という争いが見られるので、「マスクなしは罰金」という形でアウトを明確にするのは良いと思う。

/どの国もコロナ禍の中でどう経済を回すことを模索している。先日イギリスではコロナで大打撃を受けている外食産業を助けるため、8月の月曜から水曜は、外食の際に政府が半額を補助する方針を発表、加えて半年間は外食・旅行などの付加価値税を5%に引き下げるとのこと。美味しい料理が半額になるなら、きちんとコロナ対策をしている店には行く人が多いんじゃないかな。

/その他では、スペインが再度自粛へ突入&10人以上の集まり厳禁。イランも再ロックダウン。
●7月18日…俳優三浦春馬さんが30歳で急逝。初めて彼を知ったのは大河ドラマ『おんな城主直虎』。ヒロインの元許婚で幼なじみの亀之丞(井伊直親)を演じ、素晴らしい若武者ぶりで視聴者を魅了した。役柄をよく研究し、真面目な人柄が愛され、多くの共演者から追悼の言葉がSNSに寄せられている。自死の理由がなんであれ、人一倍責任感が強かったという彼が、撮影中のドラマや映画があってもその選択をしたのは、よほどの苦しみを抱えてのこと。40歳、50歳と年を重ねた彼の演技が見たかったという、その寂しさをここに刻む。
●7月17日…北極圏シベリアのベルホヤンスクは、真冬にマイナス67.8度を記録するなど、同じシベリアのオイミャコンと並んで人が住む最も寒い町と言われている。そのベルホヤンスクが先月20日に異常高温にみまわれ、過去最高の「38度」を記録した。シベリアの今年前半の平均気温は1981年〜2010年の同時期より5度以上も高く、英国・ロシアの研究チームは「地球温暖化の影響がなければ8万年に1回未満の確率でしか起こらない現象」と警告。これは2つの意味で怖い。
(1)北極圏の広大な氷は太陽から届く光を反射して熱を地球の外へ放出する“鏡”の役割を持っている。鏡が小さくなると地球はますます高温化する。
(2)シベリアの永久凍土が溶けると地中にある大量のメタンが大気に放出される。メタンが持つ温室効果は二酸化炭素の約25倍(研究者によっては80倍以上とも)とされており、高温化→メタン放出→さらに高温化→もっとメタン放出という、デススパイラルにはまっていく。
この先、どんな熱波が襲って来るというのか。世界規模で大量消費をやめた生活スタイルに変える必要があるけど、スローライフへの切り替えが間に合うのか。
※「地球温暖化は嘘」「温暖化ビジネス」という言説がネットには多いが、北極圏の現状はまさに温暖化を示唆している。ウィキによると米国における気候変動に懐疑的な論文の90%以上は「右翼のシンクタンク」に由来とのこと。温暖化懐疑論への反証も同じリンク先にまとめられている。
●7月16日…今日の棋聖戦で藤井聡太七段(17)が3冠・渡辺明棋聖(36/棋王、王将)を破って初めてタイトルを獲得!18歳の誕生日(7/19)の3日前であり、17歳のタイトル獲得は史上初、最年少記録を30年ぶりに更新した。これからは「藤井聡太七段」ではなく「藤井聡太棋聖」が呼称に。棋界での序列は豊島将之竜王・名人、永瀬拓矢2冠、渡辺明2冠、木村一基王位に次ぐ5位。
今回敗北した渡辺2冠は、長い将棋の歴史において中学生でプロ棋士になった5人の1人(加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治九段、渡辺2冠、藤井棋聖)。その渡辺2冠が対戦後こうブログに綴った。「負け方がどれも想像を超えてるので、もうなんなんだろうね、という感じです」。新時代の到来!
※将棋の8大タイトルは序列順に竜王、名人、叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖。
●7月15日…威厳ある米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されたデータを大統領がまったく信用せず、怪しいデマを根拠も示さず流すことに僕は驚愕している。米国科学アカデミーは「警察の暴力で死亡する比率」を10万人あたりで黒人男性96人、白人男性39人と発表。これは、約2.5倍も黒人の死者が多いことを示している。ところがトランプは「白人の方がたくさん警察に殺されている」という持論を言い続けている。
差別問題の解決には、事実に基づいた議論が何より必要なのに、国のトップが誤った情報を鵜呑みにするばかりか、それをメディアに垂れ流すとは。トランプ支持者は大統領の言葉を信じ、米国科学アカデミー機関誌をフェイク情報と嘲笑する。
コロナが爆発的に広がってもトランプ支持者の3割以上がマスクを「絶対につけない」と主張。「できればつけたくない」ではなく「絶対につけない」。米国のニュースでは「マスクを強制するのは共産主義者」という人までいた。一方、民主党支持者は6割以上が「外出時はマスクを必ずつけている」。その結果、街角で「つけるべき」「つけない自由を守れ」とマスクを理由にした喧嘩が起きている。
こんなことでは分断が広がるばかりだ。

  
●7月14日…充電1回で内蔵LEDが8時間点灯する「光るマスク」のニュース、この発想はなかった。使い捨てではなく充電できるのはナイスアイデア。人間は何でも発明する。

//冷やしたコーン茶のうまいこと。得も言われぬ香ばしさ。
●7月13日…看護師さんはコロナ感染の危険を感じながら使命感で働いている。それにもかかわらず、約3割もの医療機関でボーナスの額が昨年より引き下げられた。理由はコロナの影響で受診控えが広がり、経営が悪化したこと。東京女子医科大学病院の場合は、今夏のボーナスは「全額カット」となり、退職の意向を示している看護師が数百人規模にのぼるとのこと。経営難が続けば冬にはさらに多くの医療機関でボーナスが引き下げられる可能性があり、医療従事者の退職が増えるおそれがある。これは絶対に対策が必要なことだし、こうなる前に手を打つのが政治じゃないのか。給付金の中抜きで電通に億単位の利益を与えたり、汚職で国会に出席しない議員にボーナスを満額与えたり、ブルーインパルスを飛ばしたお金は、ボーナスのない医療従事者に回せなかったのか。GoToの予算をこっちに使っても多くの国民は納得すると思う。
むしろ、“危険手当”と“慰労”の思いから看護師さんのボーナスは加算されるのが本筋。医療従事者の心が折れないよう、ほんと対策をしっかり考えてほしい。なんでこういうことになるのかな…。
●7月12日…約2カ月ぶりに世界のコロナ感染者数・上位10カ国の現状を確認。1位アメリカ、2位ブラジルは同じだけど、インドが圏外からいきなり3位になった。インドの人口は13億5千人で中国に匹敵する。それゆえインドのこの上昇率は不気味だ。
一方、5月中旬に名前を連ねていた、イタリア、フランス、トルコ、イランの名前がここから消えた。代わりに入ってきたのが、真冬が近づく南半球の国々。ペルー、チリ、南アフリカなど。やはり寒くなると広がりやすいのか。北米のメキシコは、隣国アメリカの影響を受けているのだろう、こちらも急速に患者数が増えている。

 
●7月11日…明日のEテレ『日曜美術館』は午前9時の回、午後8時の回、ともに永久保存版の「西洋美術傑作選」。午前の回では、中世の幻想画の天才ヒエロニムス・ボス、息をのむドラマ性を持つカラヴァッジョ、光と影の魔術師レンブラント、“奇跡のブルー”フェルメール、人間の凄絶な闇を描いたゴヤの“サトゥルヌス”という豪華ラインナップ。ボス、カラヴァッジョ、ゴヤを初めて見る人は衝撃を受けると思います。
午後の回は、2万年前のクロマニョン人が描いたラスコーの洞窟壁画、火山灰の下から見つかったポンペイ壁画、中世の職人の最高技術で織られたタピスリー、ボッティチェリのヴィーナス、そしてモナリザの微笑。ありがとうEテレ!!
●7月10日…ジョージア州アトランタには、非暴力で人種差別と戦い暗殺されたキング牧師の生家やお墓があり、墓所に隣接した国立歴史地区ビジターセンターではキング牧師の生涯を解説している。ビジターセンターで僕が最も強く印象に残ったのは、黒い一つの“扉”。
その扉にはこう書かれていた。
《Who can take the lead in ending injustice? Open the door to see a future leader.》
「不公平を終わらせるために誰が先頭に立つことができるか?ドアを開けて将来のリーダーを見てほしい」
扉を開くと、そこには大きな“鏡”があった。背が高い高校生くらいの黒人の若者が、そのボディ・ミラーの前で感極まり、「アイム・フューチャー・リーダー!」と叫んでいた。


「誰が不公平を終わらせられるか?」 扉の向こうに鏡!

この“扉”のことを思い出したのは、友人に以下の2分17秒の動画を教えてもらったから。一つ一つの言葉の重さに聞き入った。アメリカで暴動となった差別抗議運動の現場に立つ45歳、31歳、16歳の黒人男性。
45歳男性の「俺は死んだっていい」の深い絶望。暴動を懸命に制止している31歳が若者に「(将来暴動が起きたら)お前は俺と全く同じ事をしなければならない」「何か良い方法を編み出せ」「生きるんだ」と訴えている。魂の叫び。
※ツイッター動画に字幕が入っています。
https://twitter.com/avril24th/status/1267402211778113536

「闇は闇を追い払えない。ただ光だけがそれをなし遂げる。憎しみはヘイトを駆逐できない」(キング牧師)
●7月9日…東京都の一日のコロナ感染者が過去最多の224人。7月でもこうなるのか。
●7月8日…哀愁を帯びた旋律で聴く者を魅了した映画音楽の神様、エンニオ・モリコーネが6日に他界。享年91。『ニューシネマ・パラダイス』『天国の日々』『続・夕陽のガンマン』『ミッション』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、数々の名曲で映画ファンに感動を与えてくれたマエストロ。個人的には『NHK特集ルーブル美術館』のテーマ曲「永遠のモナ・リザ」(2分)がたまらない。わずか2分なのに、いつまでも心に残る。

〔独断によるモリコーネ・サウンドBEST10〕
1.『ニューシネマ・パラダイス』愛のテーマ(3分13秒)
2.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』メインテーマ(2分9秒)
3.『続・夕陽のガンマン』黄金のエクスタシー(3分20秒)
4.『ウエスタン』メインテーマ(3分42秒)
5.『ニューシネマ・パラダイス』メインテーマ(3分)
6.『天国の日々』ハピネス(2分15秒)
7.『続・夕陽のガンマン』メインテーマ(2分41秒)
8.『天国の日々』収穫(2分52秒)
9.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』Poverty(3分20秒)
10.『ミッション』テーマ(2分52秒)
次点、『天国の日々』ザ・リターン(2分24秒)
※チェロ奏者ヨー・ヨー・マによるモリコーネ・オマージュもめっちゃいいです!
※例の『永遠のモナ・リザ』、元々は日本未公開のイタリア映画「レディ・カリフ」サントラの旋律とのこと。

  ミレーの絵画の如し『天国の日々』

//イギリス政府が消費税を半年間5%まで引き下げると発表。日本も見習っては。
●7月7日…列島の豪雨被害が拡大。熊本・福岡両県の死者は計57人、行方不明20人。雨よ、もうやんでくれ…。

//アメリカのコロナ感染者が300万人を超えた。これは人口100人に1人が感染していることになる。1日あたり6万人以上のハイペースで増え続けており、感染の急拡大はテキサス、フロリダなど、いち早く経済活動を再開した州に集中している。それにもかかわらずトランプは活動再開をさらに加速させようとし、再開しない学校は「補助金をカットする」と警告している。トランプ支持者の「マスクをする奴は弱虫」という風潮は危険すぎる。
一方、低所得者のための皆保険制度の議論は進んでいない。年末にアメリカがどんな状態になっているのか想像もつかない。
●7月6日…都知事選の最終結果が出た。小池氏の圧勝(366万票)。リベラルは2位の宇キ宮氏(84.4万票)と山本太郎氏(65.7万票)の得票を合わせてもダブルスコア負けという完敗。小池氏が前回291万票に75万票を上乗せできたのは、前回立候補した自公推薦の増田寛也氏(現日本郵政社長)が今回は出ておらず、増田氏の自公約112万票が小池氏に流れ込んだとみていい。

小池氏が前回選挙時に掲げた公約「7つのゼロ」=待機児童ゼロ、残業ゼロ、満員電車ゼロ、介護離職ゼロ、電柱ゼロ、ペット殺処分ゼロ、多摩格差ゼロの達成率は14%(ペット問題のみ実現)であり、他にも「築地は守る」と言っていたの築地市場は閉鎖、「情報公開は一丁目一番地」と主張していたのに公開文書は真っ黒、後手にまわったコロナ対策など、これらを考えるとここまで高評価を集めたことに驚きを隠せない。

リベラル完敗の理由は「野党が候補者を一本化できなかった」「投票先の判断材料となるテレビ討論がなかった」など語られているけど、366万というのはそういうレベルの数字ではなく、コロナ禍という生活の危機にあって、「変化によるこれ以上の混乱を避けたい」、という心理なのでは。
今回のリベラル側の教訓は、本当に都知事になりたいなら、直前になって立候補するのではなく、日常的に知事になりたいと訴えて、東京をどう変えたいか、思いを都民に伝え続けること。

※新自由主義と親和性が高い維新から推薦された小野泰輔氏が、知名度の低さににもかかわらず山本氏に次ぐ61万票を得たのは、氏にも前回の自公票が流れているとみてる。増税で庶民の懐が厳しくなっているのに、「勝ち組」目線の人が多いことが不思議。そして今回、在日コリアンの友人たちが驚愕したのが、何年も排他的なヘイトスピーチをしてきた桜井誠氏が約18万票を得て5位につけたことだ。海外では人種差別反対の動きが加速しているのに、日本では逆に他の民族をひとまとめにして丸ごと標的にする人物が得票を集めていることが、ほんと気持ちを暗くさせる。

//大阪、今年の初セミ声を確認。夏、来たる。例年は七夕後の7/10前後、昨年は7日、少しずつ早くなってる気がする。
●7月5日…都民の方、都知事選の投票は午後8時まで可能です!
いとうせいこう@seikoito
「同じ都民諸氏よ、投票は勝ち馬に乗るゲームじゃない。コンテストの結果に賭けをしてるんでもない。自分がどこにいて何を考えてるかを、自分と他人に示す日がやって来た。」
世良公則@MseraOfficial
「投票に行ってきた。バンドメンバーや関係者からも投票に行ったと続々と知らせが。政治は自分の生活、人生に直結している。人々の政治への無関心が、長年誰かにとって、都合の良い事になっていないか。どうせ自分の1票なんてと思わず、その1票でしか変えられないのが政治だ。国難、その1票で救おう。」
村本大輔(ウーマンラッシュアワー)@WRHMURAMOTO
「選挙に行かないと人種で差別する奴が権力握るぜ。支配者側に差別する奴を立たせるな。すべての人に対して思いやりと優しさを感じる人にいれろ。」

〔追記〕夜11時、選挙結果を見ながら東京の友人といろいろ話してる。頭の中を整理しないと。

ここ数年、大きな選挙が終わる度に同じ書き込みをしているけど、今回もこのガンジーの言葉を。「立ち上がっては倒れ、立ち上がっては倒れ、その足もとはおぼつかないかもしれない。けれども、立ち上がったことは、一生忘れることのない、かけがえのない記憶となる」。
●7月4日…先月末、国家公務員に夏のボーナスが支給され、管理職を除く平均支給額はおよそ68万100円で8年連続の増加となった。安倍政権になってから、福祉など他分野で予算が削られても、公務員のボーナスは上がり続け、年間給与も6年連続でアップしている。
ただ、僕は他の先進国の平均所得を考えると、「公務員の給料を削れ」ではなく「せめて公務員の給料なみに民間も給料を出せ」派だ。日本は役員報酬と株主配当だけがうなぎ登り、世界第3位の経済大国なのに一般労働者の実質賃金(物価の変動を反映した賃金、リアルな購買力)があまりに低すぎる。
OECD加盟国の実質賃金の変化は衝撃的だ。1997年を100とした場合、2016年にはスウェーデン138.4、オーストラリア131.8、フランス126.4、イギリス125.3、デンマーク123.4、ドイツ116.3、アメリカ115.3と軒並み実質賃金が増加しているのに、日本だけが89.7と減っており、どんどん貧乏になっている。
アジアでも大逆転が起きており、シンガポールと香港の一人当たりGDP(国民総生産)は、2000年代の初めには日本の6割程度しかなかったのに、現在、シンガポールは日本の1.5倍、香港は日本の1.2倍。間もなく韓国と台湾にも抜かれると言われている。

それでは日本の富裕層は減っているのか?とんでもない、2017年のデータを見る限り、それは大きな勘違いだ。資産3千万ドル(約34億円)以上の超富裕層の人口は日本人が世界第2位。注目したいのはその増加率で、14.7%はぶっちぎりの世界トップ。昇り調子の中国ですら3.6%しかない。株価が好調なアメリカでも6.7%で日本の半分以下だ。つまり、「日本人皆が少しずつ貧しくなっている」というのは、富裕層にとって都合のいい誤解だ。
以下は超富裕層の人口と増加率の表。

  リンク元

一方、日本人の非正規雇用者は増え続け、2018年時点で38.3%、約4割に達している。非正規雇用者の平均年収は169万7千円(2017)。日本は50歳代の3割が貯蓄ゼロ世帯という深刻さだ。
要するに、経済発展に欠かせない「内需強化」に繋がる富の再分配、富の循環が、この国ではまともに機能していない。アベノミクスの恩恵がいかにごく一部の超富裕層に集中しているかがわかる。
2018年の国別平均年収を1ドル110円で比較すると、アメリカの63,093ドル(約694万円)に対し、日本は40,573(約446万円)にとどまり大きな差がある。国家公務員でさえ平均667万円、地方公務員は663万円であり、アメリカを下回っている。ちなみに平均年収世界トップのアイスランドは66,604ドル(約733万円)。スイスは64,109ドル(約705万円)。
以下はOECD加盟国のトップ20ランキング。
  リンク元(米ドル換算)
公務員の給料を一流企業の平均値に合わせるのではなく、民間の最低賃金に合わせるよう法改正したら、政治家は必死になって最低賃金アップに心血を注いでくれるだろうか。

//明日は都知事選。弱者の為に長年ヤクザとも戦ってきた本物の人格者、宇都宮健児さん(日弁連・元会長)。そしてもう一人、困窮者支援に尽力し、コロナ禍の災害指定を懸命に国に訴える山本太郎さん。優れた候補者2人を前に、自分の一票をどう使うか悩むことが出来る、そんな都民の方が羨ましいです。投票結果、大阪から注目しています!(4日17時更新)
●7月3日…先日出演したNHKラジオ第1放送『ラジオ深夜便』の聴き逃し配信(無料)が始まり、NHK公式『らじる★らじる』にて、7/8(水)の朝5時まで聴けます!コロナ禍で人と人の繋がりの大切さが再認識されるなか、「友情の墓」というテーマで約15分語っています。作曲家、作家、画家、武士の墓を取り上げています。
リンク先の4分30秒からトークさせて頂いてます!
※番組の中で触れたお墓を貼っておきます。写真を見ながら聴いて頂くと、より故人の想いが伝わるかと思います!
ベートーヴェンとシューベルト(右) J・シュトラウス(左)とブラームス
ゲーテ(左)とシラー ミレー(右)とテオドール・ルソー
近藤勇(左)と土方歳三 局長にお酒とおつまみのドングリ
●7月2日…昨日、ロシアで決まった憲法改正も内容に驚く。この改正によってプーチン大統領は、事実上、任期を2036年(!)まで延長できるようになった。その頃、プーチン氏は84歳であり、ほぼ終身大統領制だ。
国民投票で78%が賛成したと選管は発表したが、政権が大量に流したテレビCMでは、伝統的な価値観の継承、領土割譲の禁止、年金水準の維持など、賛成しやすい内容を連呼し、任期延長には殆ど触れなかったという。一方、改憲反対派の集会などは、コロナ禍を理由に許可されなかった。
“本丸”の任期延長を覆い隠し、「祖国防衛の偉業への軽視を許さない」と愛国心をあおっての国民投票。これでいいのかロシア。
※世界は同性婚を容認する流れにあるのに、改正憲法では「結婚は男女のつながり」とわざわざ規定され、まったく時代錯誤。同性婚は“悪”と言わんばかり。国家レベルで偏見が助長され、ロシアのトランスジェンダーの人はほんときついと思う。

//コロナの影響でショーが開演できなくなり、世界的なエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」(本拠カナダ)の運営会社が破産、劇団員3480人が解雇された。サーカスを思わせるアクロバティックなパフォーマンスと、芸術性の高い舞台演出が融合した大がかりなショーで大人気となり、チケットがなかなかとれなかったシルク。36年間の歴史があり、ラスベガスだけで常設会場を6箇所を持つエンタメ業界の王者でさえ破産するのか。負債は約9億ドル(約960億円)とのこと。ニューヨークのブロードウェイ各劇場も、9月再開を断念して、年末まで公演中止を発表。舞台芸術界はどうなっていくのだろう。

//東京107人感染確認とは。100人超えは2カ月ぶり。ほんと、なんてやっかいなウイルスなんだろう。
米国も1日あたりの感染者が初めて5万人を突破。たった1日で5万。
●7月1日…昨日「香港国家安全維持法」が“内容非公開”のまま、“提案からわずか10日”で北京において可決され、今日速攻で施行された。
明らかにされた法律の中身は→
・「国家分裂」「政権転覆」「テロ活動」「外国勢力との結託」の4種類の活動を犯罪行為と定め、最大で終身刑を科す。
・当局は、国家安全を危険にさらす疑いが持たれる人物の監視、電話盗聴を行うことができる。
・香港国家安全維持法違反者は香港におけるいかなる選挙にも立候補できない。
・香港国家安全維持法は香港の永住者、非永住者の双方に適用。※香港市民以外にも適用
等々、やばい条文のオンパレード。特に「政権転覆」が犯罪行為というのが酷い。政権が腐敗したときに、異なる政権に変えたいと国民が思っても、その気持ちを話しただけで「政権転覆」活動と認定されてしまう。「テロ活動」が処罰されるのはわかるけれど、政権転覆は国民の権利として認めないと、政府批判がまったく出来なくなってしまう。一党支配の権威主義など時代遅れなのに。
香港が1997年に中国に返還されてから23年。この間、香港の自治を守ってきた「一国二制度」は実質的に崩れてしまった。中国政府は1984年の中英共同声明で、香港の「高度の自治」を約束したが、この国際的な公約に習近平政権は背いた。
習近平政権が「一国二制度」を否定したことで、台湾の人々はますます中国に組み込まれること拒否するだろう。「香港がどうなったか忘たのか」となる。
自由社会の価値観を許容しない姿勢を明確にした習近平政権に、日本は、そして世界はどう向き合っていけばいいのか。これは本当に難しい問題だ。
ずっと香港で民主化運動を頑張ってきた人は、いつ逮捕されるかわからず不安でいっぱいと思う。日本は近隣国として、亡命を希望する香港人の受け入れ準備をしておかないと。

//これまで使っていたアクセスカウンター、忍者カウンターの有料プランがサービス終了。それにともない、ほぼ全ページにわたって広告が出ていましたが、別業者のカウンターに入れ替え完了。もう広告は出ないはずです。

//本日、深夜1:40からNHK『駅・空港・街角ピアノ スペシャル』!視聴者リクエストの名作選、BSの人気シリーズが地上波に登場!世界15の都市を巡り、街角でピアノを弾く様々な人種、国籍の人々と出会う。共通するのは音楽を愛する心。映画を何本も観た感覚になる人生がつまった100分間。画像は花屋の91歳のお爺ちゃん。

 







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