〜宇宙学入門講座・第3夜〜 【スペシャル特集〜太陽と惑星、そして生命】 ●太陽 ・水素とヘリウムが集まって太陽になった。生まれたての太陽は現在よりずっと小さかった(半分大?)。現在、太陽の直径は地球の109倍、体積は130万倍!寿命は100億年で現在は約46億才(地球も46億才でタメ)。 ・太陽は−27等星。表面温度は6000℃。中心部は1500万℃というものすごい高温だ。中心部で生まれたエネルギーは200万年をかけてジワジワと表面にしみ出し、約8分かけて地球に到達する。だから、今降り注いでる日光は200万年プラス8分前に作り出されたものだ。 ・地球に届く有害な宇宙線(放射線)は太陽からのものなので、太陽風、太陽宇宙線と呼ばれている。太陽風はデンジャラスだが、実は太陽系の外からやって来る銀河宇宙線から地球を繭のように守っているという一面も。とにかく宇宙には危険がいっぱい! ・太陽系は秒速220キロ(時速80万キロ)のスピードで2億年かけて銀河系の中心を1周している。また、銀河系自体も秒速600キロ(時速216万キロ)の速さで銀河団の周囲を獅子座の方向に動いている。46億年前に太陽が誕生して以来、太陽系は今日まで銀河系を20周したけど、人類が誕生してからまだ一周もしていないんだよね〜。 ※新幹線の秒速はたったの80m。 太陽はデカイ! 中心部は1500万度! ●地球(ガイア=大地の神) ・小惑星(微惑星)が10兆個ほど衝突&合体を繰り返して地球になった。 ・大地は自転により秒速約450m(時速約1600キロ)の速さで東に向かっている。なんと僕らはジッと立ってるだけで音速の332m/秒を超えているのだ! ・地球は秒速30キロ(時速約11万キロ)で太陽の周囲を移動(公転)している。 ・当初は地球も太陽と同様に水素とヘリウムをまとっていたが、それは太陽風で吹き飛ばされた。 ・地球の内部はホット!中心部の核は6370度で、なんと太陽の表面温度より熱いのだ。また地球は大きな磁石なので北極(N)と南極(S)に、太陽が出す電気の粒が吸い寄せられオーロラが出る。 ・夏至のある6月より、日の短い8月の方が暑いのは、地面の熱が春からゆっくり温められた結果だ。冬至の12月より2月が寒いのはその反対。地面の熱は急激には変わらないんだ。 地球の特徴はなんといってもこの多種多様な生命の存在!でも、命の誕生を可能にしたのは、今の青い地球じゃないんだ。最初の命が息づいたのは、二酸化炭素だらけの空、太陽からのキョーレツな紫外線、巨大な月(距離が半分も近かった)がもたらす大きな潮の満ち引き、さらに硫化水素や青酸カリが溶けこむ猛毒の海というワイルドな地球だ。っていうか、第一、酸素がない。つまり、今の地球と全く違う環境が生命誕生の引き金になったんだ。「え〜っ、どうしてそんな過酷な状況で生命が進化したの?」今回は宇宙学講座だから、この辺の生命の歴史は別の機会に“ジックリ”書きます…フッフッフッ。 ・地球の未来…これから太陽はどんどん膨張し、明るく、巨大になる→地球の地表温度が上がる→海の水の蒸発が多くなる→雨の量が多くなる→大気中の二酸化炭素は雨に溶けて降ってくるから大気中の二酸化炭素の量が減少→植物が光合成できなくなる。で、5億年先に生物は絶滅。20億年先に海が蒸発、50億年先の地球はドロドロに溶けてガスとなり宇宙から消滅するとのこと。さらば地球!
●僕らの存在について 僕らの身体は7割が水(H2O)、つまり酸素と水素から出来ている。身体を元素に分解すれば、炭素・酸素・窒素・水素が95%以上を占め、あとは少量のカルシウム・リン・硫黄・カリウム・鉄など。つまり… 「バケツ数杯の水、墨、石灰、鉄片、塩、マッチ棒の頭、その他少々」 ってこと。どれもこれも、その辺にあるものばかり。 これらの元素は、宇宙の主成分の水素を除くと、すべて寿命を迎えた恒星が燃え尽きる直前に初めて作り出すものだ。水素とヘリウムで出来ている恒星は、晩年に水素を使い果たすと星内部の核融合で、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄そして最後に鉄が誕生するまで、重い元素を生み出す。 人間の身体を作っている脂肪、タンパク質、また核酸(DNA)などは、「炭素」が酸素、水素、窒素他と結びついたもの。生物の体のベースは炭素だ。
念を押すけど、太陽は水素からヘリウムを作っている最初の段階で、まだ他の元素を作っていない。ということは、地球上の炭素や金属は、太陽が誕生する前に、46億年前の太陽系誕生よりももっと昔に、この宙域に存在した星が死の間際に残していったものなのだ(この太陽系そのものが2代目)。 つまり、僕らの身体は“燃え尽きた星のかけら”で出来ているんだ!! (いわば、人類と太陽の先祖は同じ星ッ!) こう書くと太陽の存在価値が減るようだが、もちろん我々が生きていく上で太陽は不可欠だ。 身体を組織し動かすためには、バラバラの元素を組み立て、身体を作るエネルギーが必要。 だが、その“エネルギー”はどこから来るのか? 植物が太陽光線のエネルギーを吸収して栄養分(ブドウ糖)を作ること、つまり“光合成”が全ての始まりだ。そして植物は栄養分を酸素で燃やし、中に蓄えられているエネルギーを取り出して、生きる為に使っている。そして動物は植物を食べることで、もとをたどれば太陽エネルギーを取り入れてる。 すなわち、僕らは太陽を“食べて”生きているんだ! ※大気や海水、地表を暖めてくれるのも太陽のエネルギーだし、日々利用している石油、石炭などの燃料も、大昔に地球に蓄えられていた太陽エネルギーを取り出していることになる。 ※地球も僕らも、かつてこの宙域にいた星の生まれ変わり…こうなると、僕は履歴書には35歳ではなく15000000035歳(137億35歳)と書くべきなのかも。 ※07年4月、太陽系から20光年離れた天秤座に、グリーゼ581という恒星の周囲にある3つの惑星のうち、“グリーゼ581d”は岩石でできた地球型惑星で、光があり、水があり、陸地があり、地球とよく似ている。生命が存在するかも知れない。 ●月 45億年前のある日、地球に火星クラスの惑星が正面から衝突した。これは地球の歴史の中で最大の事件でジャイアント・インパクトと呼ばれている。 衝突の瞬間、温度は16000度にもなった。この空前絶後の大衝突は、地殻のさらに下にあるマントルをえぐり取り、宇宙へ弾き飛ばすほど凄まじいものだった。やがて宇宙に飛び散った残骸はお互いの引力で集まり、地球の周囲を周り始めた…それが月だ。 この衝突で地球の地軸は現在のように23.4度傾いてしまう。ってことは、僕らが四季の変化を楽しめるのはジャイアント・インパクトのおかげ! ・月は現在も1年に約3cmずつ地球から遠ざかっている。 ・月の重力は6分の1。体重が48キロなら8キロに。 ・月は自転と公転の周期が同じなので、常に同じ側を地球に向けている。 ・日食は影を作るのが月なのですぐに終わるが、月食は地球が月を隠すので2時間近くかかる。満月は-12.5等級。 ・月は小さく見えるが、太陽系全体で母惑星と比べてこんなに大きな衛星はない。直径が地球の4分の1もある。離れて地球を見ると兄弟星に見えるだろう。 地球&月 【惑星について】 ●水星(マーキュリー)…−170℃〜430℃。太陽のすぐ側を周っているのに日陰が−170℃になるのは、大気がなく地表が宇宙に露出しているからだ。熱を溜める海もない。軌道が小さいので1年はたったの88日だ。水星は太陽に近すぎて日の出直前か、日没直後の地平線にしか見えず観測が難しい。コペルニクスも死の床で「水星を見た事がないのが悔やまれる」と嘆いた。 太陽の回りを忙しげに回っていることから、伝令の神マーキュリーと名付けられた。 マーキューリーは別名ヘルメス(旅人の守護神、某バッグ会社の語源はこのヘルメスだ)。ヘルメスがリラを発明した学芸の神様ということで、水星にはゲーテ、ベートーベン、ミケランジェロ、モネ、ルノワールといった、芸術家や作家の名が付くクレーターが多い。日本からは、Basho(芭蕉)、Eitoku(狩野永徳)、Futabatei(二葉亭四迷)、Harunobu(鈴木晴信:浮世絵師)、Hiroshige(歌川(安東)広重)、Hitomaro(柿本人麻呂)、Kenko(吉田兼好)、Kosho(康勝;運慶の第四子、六波羅蜜寺の「空也上人像」など)、Kurosawa(黒沢琴古;尺八奏者) 、Murasaki(紫式部)、Okyo(丸山応挙)、Saikaku(井原西鶴)、Sei(清少納言)、Soseki(夏目漱石)、Sotatsu(俵屋宗達)、Tsurayuki(紀貫之)、Unkei(運慶)、Zeami(世阿弥)らが名を連ねている。 ●金星(ビーナス)…大気はあるが温室効果(二酸化炭素だらけ)のため常に約500℃。未来の地球の姿か?雲の主成分は濃硫酸、つまり1年中硫酸の雨が降っている。これは辛い。 −4等星と全天で最も明るい金星は、愛と美の女神ビーナス(アフロディーテ)の名に恥じない。この美しさの秘密は、始終厚い雲が金星を覆っていて光を反射する為、全体が白く輝くからだ。水星と同じく太陽に近いため夜中は見えず、宵、または明けの明星になる。 著名なUFO研究家アダムスキー氏は、金星人のオーソンさんと円盤に乗ってこの星までひとッ飛びしたそうな。
●火星(マルス)…−70℃〜30℃。これならなんとか住めそう。肉眼で見ても赤い。地球に2年2ヶ月おきに近づく。2001年は13年ぶりの大接近となる。全天でナンバー3の明るさ。太陽系最大の山オリンパス山は驚異の標高27000m!なんと富士山6個分だ。太陽の回りを約700日かけて一周しているので、各季節は地球の倍。 最新の研究では、地球の生命が火星からやって来たという説が多い。地球がまだ溶岩だらけの灼熱状態だった頃、火星は太陽から遠い分、すでに生命活動が可能なほど冷えており、地球よりも早く生命が生まれていた可能性が高いのだ。地球が誕生してから最初の5億年間に、火星から推定500億個の隕石が地球に到達しているので、その中に火星の微生物を含んだ隕石が含まれていたのは想像に難くない。 マルスは戦闘神。赤く輝き、血を連想するからか。2個の月にはマルスの2人の息子、フォボス(不安)とダイモス(恐怖)の名が付けられている。 ※赤い大地の正体は鉄サビ。 ●小惑星群…火星と木星の間には30万個以上の岩(小惑星)が浮かんでおり、かつて惑星が存在したらしい。現在、15000個以上の軌道が確定されている。4大小惑星はジュノー、パラス、ベスタ、セレス。ベスタとセレスは双眼鏡で確認可能だ。 ●木星(ジュピター)…太陽から遠く−140度。直径は地球の11倍、質量は300倍というモンスター惑星。大地がなく、ただのガスの塊だ(木星以遠はほとんどがそう)。木星の成分は水素とヘリウムで、太陽とほぼ同じだ。あと13倍の質量があれば核融合が起き、もう一つの太陽になっていた。木星は恒星になることが出来なかった惑星なんだ。 −3等星で金星の次に明るい。夜空で黄色に輝く。金星が沈んだ夜半にも全天に王者の輝きを放っているので、神々の王ゼウス(ジュピター)の名が冠せられた。その為、28個見つかってる月にはすべてゼウスの愛人&乳母の名が付いている(オイオイオイ…)。 人類は木星のおかげで進化出来た。巨大な木星は宇宙に漂う小惑星(隕石)を大きな引力でひきつけ、文字通り地球の盾になっており、もし木星がなかったら、地球に衝突する小惑星はいっきに千倍になっていた。恐竜を絶滅させたような衝突が何度もあれば、人類は進化の時間を持てなかった…う、う、ありがとう、木星! 7倍程度の双眼鏡でも木星の4大衛星(ガニメデ、カリスト、火山のあるイオ、表面を覆う氷土がひび割れているエウロパ)の姿を見ることが出来る。“衛星”とはいえ、ガニメデやカリストは水星、冥王星よりもデカイ!イオの火山は現在も激しく噴火している活火山で、ボイジャーが百個以上の活火山の撮影に成功している。太陽系で地球以外に活火山があるのはイオだけだ。 ※エウロパは氷の下に塩分を含んだ液体の海があるとのこと!地球の海底火山周辺には「超高温、日光なし、酸素なし、猛毒の硫化水素噴出」という状況で生きている“チューブワーム”がいる。エウロパも海底に火山があるので、そこに生命がいる確率は非常に高い。 木星の月たち ●土星(サターン)…−150℃。土星の輪は岩や氷で出来ていて、地球が5個も並ぶほど幅が広い。でも、土星の軸はかなり傾いているので、地球からは輪がほとんど見えない時期がある。1610年にこのリングを最初に観測したガリレオは、望遠鏡の倍率が低いため、リングではなく土星の両側に付いている“取って”に見えたそうだ。2年後に観測した時は“取って”は消えていて、4年後に再び見えた“取って”は以前よりずっと平たく見え、 「ぬおお、僕は一体何を見とるのか〜っ」 と、頭を掻きむしったという。 1980年、土星に接近したボイジャーによって、このリングは千本以上の細いリングの集団であることが判明した。現在は土星の輪の間に「羊飼い衛星」という月まで浮かんでいることが観測済み。 土星の月は有名なタイタンを筆頭に59個も発見されている(07年5月時点)。タイタンは太陽系の衛星で唯一ぶ厚い大気を持っていて、しかもほとんどが窒素で地球とそっくりだ。突入した探査機は琵琶湖の150倍もの大きさの「炭化水素・メタンの湖」を撮影した! 土星は木星より遠いので、ゼウスの父サターン(サトゥルヌス、又はクロノス)と名付けられた。夜空では、近年ずっと木星の近くで輝いている。 ●天王星(ウラノス)…−180℃。色がグリーンで美しい。自転の向きが何とタテ回転!天王星が横倒しになったのは、太陽系が誕生する過程で地球クラスの別の天体が衝突した為だ。月はオベロンなど20個。輪も発見されている。土星よりさらに遠いのでクロノスの父、ウラノスと呼ばれる。 ●海王星(ネプチューン)…−200℃。色がブルーなので海神ネプチューン(ポセイドン)の名を持つ。超低温の為、大気に含まれるアンモニアなどが凍ってしまい、凍らずに残っているメタンが赤い光を吸収する性質があるので、海がないのに青だけが見えている。月はトリトンなど8個。トリトンは奇妙な事に海王星の自転と逆さ周りをしている。そのため、いずれ引力に引き裂かれ砕け散る運命らしい。 ●冥王星(プルート)…−200℃。最も外周を回っているため、1年は約250年。まだ探査機が向かったことのない謎の惑星で、岩石惑星でもガス惑星でもなく、超巨大な氷の塊という風変わりな惑星だ。 ここまで遠いと、仮に冥王星から太陽を見ても、太陽は他の星に混じってしまう。太陽系の果てにある冥王星は冥界の神プルート(ハデス)の名がピッタリ。 冥王星は地球の月よりも小さい惑星だが、それでも衛星を1個従えている。 ※米国人が発見した唯一の惑星であり、米国ではディズニー・キャラの名前になるほど親しまれている。 ※2006年8月24日、国際天文学連合の総会で惑星からの降格が決定!発見から76年目の大事件となった。 ・現在、太陽系のように惑星を従えた恒星系が60個以上確認されている! ・宇宙の塵が集まり始めて惑星になるまでに1000万年ぐらい。つまり、僕らの太陽系は近隣で起こった超新星爆発から、わずか1000万年以内に形成されたことになる。星の死から誕生までアッという間の出来事なんだ。 ・地球より内側の惑星(水、金)を観測するには、太陽から最も離れた『東方(西方)最大離隔』の時が適し、外惑星を観測するには太陽と反対方向になったとき(天文用語でいう『衝』)が適している。 ・惑星の語源…まごまごしている星。いつも決まった場所にいないのでそう呼ばれた。 〜宇宙学入門講座・第4夜〜 ●天の川って何ジャラホイ? 僕らの銀河系は直径10万光年で、太陽を含めた2000億個の星が渦を巻きながら回っている。太陽系は銀河系の中心部から随分離れた田舎に浮かんでて(端から2万光年)、そこから銀河系を縦切りにして断面図を見たものが天の川(ミルキー・ウェイ)だ。夏は銀河系の中心方向(射手座の方)を向くので天の川が濃く、冬は逆に外側(宇宙の果て)を見るので薄く見える。 銀河系をドラ焼きに例えると、僕らの太陽系は皮とあんこの境界線にあり、あんこ方面が夏の天の川、皮方面が冬の天の川、ドラ焼きの上が春の夜空、下が秋の夜空にあたる。春と秋はドラ焼きの中(銀河系の中)を見ずに外宇宙を見ているので星は少ないが、その分、アンドロメダ銀河や他の銀河がたくさん見えるというわけ! 夏の天の川は星が細かく、双眼鏡で見ると光のじゅうたんの上に、びっしりと小さな星が敷き詰められた繊細な美しさがあり、反対に冬の天の川は星粒が大きく、まるで銀の砂をまき散らしたような壮麗さがある。季節によって変化する美の競演を、貴方もぜひ楽しんで欲し〜い! 銀河系の中心はここ1千万年の間に(1千万年という数字を“ごく最近”に感じてきたら、もう貴方は『NASA』や『ガタカ』のクルーです)、3回以上大爆発をしている。1回の爆発の規模は1万個の星が一度に吹き飛んでしまうほど凄まじいものだ。 また、同じく中心部周辺に秒速数百キロで回転する星の集団が発見されている。星が集団で回転している答えはひとつ。銀河系の中心、それは質量が太陽の250万倍という巨大ブラックホールだったのだ! ※銀河系全体は中心の巨大ブラックホールの支配地域の1万倍も広いので御心配なく。まして僕らは辺境の旅人だしね。 ※アンドロメダ銀河の中心があんなに輝いて見えるのも、単に星の数が多いだけではなく、ブラックホールへ引き寄せられた物質が、落ち込む時に大量のエネルギーを放射するからだといわれている。 ●銀河(星雲)について! 天文ファンが最も興奮するのが、銀河同士の衝突という宇宙最強のスペクタクルだ。大抵の銀河は数百〜数千の銀河で群れを作っており、群れの中では結構ひんぱんに銀河同士の衝突が起こっている。星の津波や、10億個の星が流れ出してる光景は、人知を超えた圧倒的スケールとしかいいようがない。銀河同士がすれ違った場合、大きな方が小さい方のガスを吸収するため、宇宙に壮大な星の橋(スター・ブリッジ)ができ、この光景がまたすごい! ※ヘルクレス座銀河団は混み合ってるせいか、あちこちで銀河同士が近づいたり衝突したりしていて、形の変形した銀河が多い。 この右側の8ヶ所が衝突銀河だ!なんというビッグ・スケール!(映像・NASA) 4千億個の星からなるアンドロメダ銀河は僕らの銀河系のすぐ隣りの一番近い小宇宙だ。といってもたっぷり230万光年かかるが。アインシュタインの理論では、高速になればなるほど時間の進み方が遅くなるので、いつか年をとらずに行けるかも? ※アンドロメダが銀河系の外にある天体ということを発見したのが、現在宇宙望遠鏡の名前になっているエドウィン・ハッブルだ。ハッブルはまた、宇宙が膨張していることを突き止めた偉人! ※光速の99%を出せるロケットで宇宙に出て1年後に地球に戻ると、地球上では既に7年が経過している。 ※アンドロメダ銀河と僕らの銀河系は、お互いの重力により秒速100キロで接近している。両銀河は100億年以内に衝突する可能性が高い。 ・南半球から見える大小マゼラン雲は僕らの銀河系の子分。同じ局部銀河群のメンバーで、大マゼラン雲は銀河系から15万光年という近距離。大きさは親分(銀河系)の20分の1。実はすでに端っこの一部が衝突しているという説もある。 ※大マゼラン雲の中に赤い散光星雲のタランチュラ星雲がある。・小マゼラン雲は銀河系の100分の1しかない小さな銀河。距離20万光年。 ・銀河はよく“M…”と記号で呼ばれているが、このMはフランスの天文学者メシエの名前からきているもの。 ・宇宙が膨張しているため、遠い銀河ほど高速で遠ざかっている。冠座銀河団は11億光年の遠距離にあるため、秒速2万キロで離れている。もちろん、僕らが見る冠座銀河団の映像は11億年前のものだ。 ・ケンタウルス座には2億5千万光年も離れた銀河団があり、これは僕らが属する乙女座銀河団とは別の銀河団だ。 ・赤く見える星雲は水素ガスの反射のせい。青い星雲は高温星の光を塵が青く反射するから。 ・ソンブレロ銀河に渦が見えないのは、僕らが横から見ている為。 ・ちなみに銀河系の自転は約2億年。 ●彗星! 彗星の頭は直径1〜10kmの特大の雪だるま。それが太陽の引力に引かれて近づくと頭から蒸発し、太陽風で吹き流されて尾が出来る。当然太陽に近づくほど熱で伸びるので、日没直後の西空か日の出直前の東空が一番彗星はよく見える。巨大彗星の尾は地球と太陽間の距離に匹敵する長さになるものも! 2億個もの彗星の巣(カイパーベルト)が冥王星の外にあるといわれている。 太陽系は彗星の巣の中だ! ●謎の銀河・宇宙最遠の天体、怪物クエーサー クエーサーは謎に包まれた古代銀河だ。直径は銀河系の10万分の1以下にもかかわらず、平均で銀河系数百個分のエネルギーを放っている。現在の物理学では、クエーサーがどうやってこんなに多量のエネルギーを放出できるのか説明出来ない。中には銀河系の6万倍という驚異的な明るさを持つクエーサーも確認されている。 クエーサーは光速の93%以上(驚異の秒速30万キロ)の速度で地球から遠ざかっており、現在約1500個も確認されている。距離15億光年という、遥か彼方のものもある。遠くの天体になればなるほど宇宙の過去の姿を見ることになるので、古代のクエーサーの観測は宇宙の歴史を探る上でとても重要だ。ケタ違いの高エネルギーを放つので、中心にブラックホールがある可能性が非常に高い。 ●宇宙の灯台・パルサー 中性子星は高速で自転しており、中性子星のうちの一部からは回転する度にピッピッピッと規則正しい周期で電波を出すものがある。天文学ではそんな星をパルサーと呼んでいて、1967年に存在が証明された。今までに約500個見つかっており、中には1秒間に622回も自転している超高速回転星もある。1秒間に622回転…何がど〜なってるの!? 一定の電波を周囲360度に規則正しく発信するパルサーは、文字通り宇宙の灯台なんだ。 人類が1972年に太陽系の外へ飛ばしたパイオニア10号には金板に刻まれた宇宙人宛ての絵手紙が積まれている(金は永遠に腐食しない)。そこには人類の姿の他に、地球からキャッチ出来るパルサーの波長が描かれている。これは10号が宇宙人と遭遇した時に、彼らがそこに描かれた波長の形を調べることで、地球の位置と、10号がいつ頃の時代に打ち上げられたかを簡単に割り出せるからだ。 この10号の最終目的地がすごい。牡牛座の1等星アルデバランを目指してて、その到着予定日は今から200万年後だ…ホチョ〜ッ! ※絵手紙の発案者は僕が第1回の冒頭で言葉を引用したカール・セーガン博士だ。NASAでは“好戦的な宇宙人に地球の場所を知られてもいいのか!?”と論議になったらしい(笑)。 続いて1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャー1号&2号には、60種類の言葉での挨拶の他に、各国の音楽が90分も収録されたレコードが積まれた(レコード針や使い方も載せて)。日本からは尺八の「巣籠もり」が選ばれた他、インドのラーガ、ブルガリアンヴォイス、アンデスのパンフルート、ピグミー族の民謡等々。クラシック音楽も充実してて、ベートーヴェン『交響曲第5番』第1楽章(クレンペラー指揮)、ベートーヴェン『弦楽四重奏曲第13番』(ブタベスト弦楽四重奏団)、バッハ『ブランデンブルク協奏曲第2番』(リヒター指揮)、バッハ『無伴奏バイオリン・パルティータ第3番』(バイオリン=グリュミオー)、モーツァルト『魔笛』(ソプラノ=エッダ・モーザー)、ストラヴィンスキー『春の祭典』(作曲家本人指揮)などが入っている。なかでも素晴らしいのは、天才ピアニスト、グレン・グールドのバッハ『平均律クラヴィーア』第2巻、プレリュードとフーガ第1番。これは人類最高の自己紹介になるよ。自慢し過ぎるくらいだ。ボイジャー2号にはグールドが弾くバッハ『ゴールドベルグ変奏曲』も追加された。宇宙探査機にレコードを積む…こういう発想が出来るのはすごいなぁ! ●暗黒物質(ダークマター)に感謝 目に見えないけれど宇宙空間に大量に存在し、それがなくては星も生まれなかった“暗黒物質”(ダークマター)の研究が近年進んでいる。以下はNHK『サイエンスZERO』の情報。暗黒物質の特徴は4つ。 (1)見えない (2)質量がある。宇宙全体では星や僕らの体を作ってる普通の物質の5〜6倍もある! (3)僕らの周りに飛んでて、すりぬけている。地球には500mlのペットボトルほどの量の暗黒物質が薄く広がっている。 (4)宇宙の初期に作られ安定している。 そして、星が生まれたのは暗黒物質のおかげ!宇宙誕生から間もない頃、水素やヘリウムのガスは均等に散らばっていた。暗黒物質がなかったらいつまでたってもガスは散らばったままで星は生まれなかった。ガスだけでは物質の量が足りず十分な重力が働かないからだ。まず暗黒物質がお互いの重力で引きつけ合い、そして暗黒物質の多いところに普通の物質が引かれて銀河ができた。こんな風に、今までは未知だった超巨大・超大量の質量の存在が分かるってめっさドキワク。ビバ・暗黒物質! ★おまけ…星団の形態(こっから下は上級者編デス。パスしても可。) ・球状星団は数万から数百万個もの星が、狭い範囲に球状に集まったもの。銀河系の周辺部にあり、年齢100億才以上の老星で構成されている。猟犬座のM3や、ケンタウルス座のω(オメガ)星団、ヘルクレス座のM13など。 ・散開星団は星の数が少なく(20〜300個程度)、構成している星も若い。プレアデス星団、ヒアデス星団、ペルセウス座の二重星団など。星がまばらなので、低倍率の双眼鏡が見るのに適している。 ・散光星雲は銀河系内で、不規則な広がりを持って光っている星雲。星間物質のガスが光っていて、内部の星の影響でガス自体が光る「発光星雲」と、星の光をガスが反射して光る「反射星雲」とに分けられる。発光星雲のガス中の星は生まれたばかりのものが多く『星のゆりかご』とも言われる(なんて詩的な表現!)。また、赤外線など肉眼では見えない光で輝いているものもあり、有名なのは、オリオン座のM42(オリオン大星雲)や、一角獣座のバラ星雲、射手座のM8(干潟星雲)等々。 ・惑星状星雲は見た目が丸く、惑星に見える星雲。星が爆発して放出したガスが光っている。中心には、星の残骸の白色わい星などがある。牡牛座のM1(かに星雲)や、琴座のM57、小狐座のM27(アレイ状星雲)など。 (第5夜〜星座スペシャルへ!) |
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