最新文芸情報


2011.5〜6

 6月30日…発売中の時計雑誌『クロノス日本版7月号』(Ama)に、連載の映画コラムを書いてます。今回は近未来SFの傑作『Vフォー・ヴェンデッタ』!
/05年に公開された本作はあまりヒットしなかったので、多くの人は未見と思うけど、これは人類にとって非常に重要な映画っす。物語の舞台は独裁国家となった英国。“合法的に”選挙で選ばれた独裁者アダム・サトラーが「終身議長」の肩書きで君臨し、秘密警察が全国民の電話、メール、家庭での会話を検閲&盗聴している。テレビでは国営放送のキャスターが「移民、異教徒、同性愛者、テロリスト、皆排除されねばならない!」と叫ぶ。なぜこんな社会になったのか。
/20年前、サトラーたちファシスト・グループは密かに生物兵器を開発し、史上最悪のウイルスとその治療方法を手に入れた。彼らは“恐怖心”を政治に利用することを考え、ウイルスを小学校、地下鉄、浄水場に撒き、“狂信的な左翼過激派の仕業”とデッチ上げた。このバイオ・テロで約10万人が死亡し、メディアの煽動で国は大混乱に陥った。人々は心の余裕をなくし、やがて“表現”や“解釈”という言葉が危険になり、“国家への忠誠”などの言葉が力を増していった。そして“人と違う”ことが危険になった。皆、同じ考えでなければいけないのだ。選挙では排他主義を掲げる超保守派が狙い通りに圧勝する。生物兵器の人体実験は、反体制活動家、同性愛者、有色人種などが連行された収容所で行われ、その地獄から脱走した唯一の生存者が“V”(ヒューゴ・ウィーヴィング)だ。彼は関係者への「ヴェンデッタ(血の復讐)」を誓い、入念に計画を立て、元所長や科学者を一人一人抹殺していく。“V”の最終目標は独裁体制そのものを崩壊させること。彼は中世(1605年)に英国政府転覆を狙った国会爆破未遂事件で捕縛されたガイ・フォークスの仮面を被り、フォークスが処刑された11月5日(英国の祝日/ガイ・フォークス・デー)の深夜に、中央裁判所を「長期休暇で不在の“正義”と、代わりに住み着いた“偽善”に敬意を表して」爆破した。夜が明けると国営放送をジャックし、全国民に3分間のスピーチを行う。
「皆さん、お耳を拝借。突然の非礼をお許し下さい。平穏な毎日は捨てがたい。同じ事の繰り返しは確かに安全だ。しかし11月5日の精神を皆さんにもう一度思い出してもらいたい。この国ではしばしば警棒が言葉の代わりに使われるが、本来言葉には力がある。真実を明らかにすることも出来る。真実とは、この国に大きな間違いがあることだ。暴虐、不正、偏見、弾圧、それがこの国だ。かつては自由に考え反対も出来た。今は検閲や監視が横行し、服従が求められる。誰がこうしたのか。真の責任者を知りたければ…鏡を見るだけでいい。あなたの気持ちは分かる。なぜ過ちを犯したか、怖かったからだ。戦争、テロ、疫病…恐れて当然だ。あなたの理性をむしばんで、判断力と良識を奪い去る問題はいくらでもある。そして恐怖とパニックの中で、議長サトラーに頼ったのた。彼は秩序と平和を約束し、代わりに沈黙と同意を求めた。昨夜私は沈黙を破ろうと決め、この国が忘れたものを思い出させるため、オールド・ペイリー(中央裁判所)を爆破した。思い出して欲しい、400年以上前に偉大な市民が記憶に刻み込んだ“11月5日”を。彼は伝えようとした“自由と正義は言葉ではない、それは生き方だ”と。あなたにとって政府の犯罪が許されるのであれば、11月5日を忘れて頂いて結構だ。だがもしあなたが、私と同じように感じ、立ち上がるというなら、来年の今夜、私と共に国会議事堂の正面に立とう。共に11月5日を永遠に忘れることの出来ない日にしよう」。
/“V”の演説以来、権力への抵抗を試みる者が出てくる。例えば、同性愛者で差別政策に苦しんできたテレビ局のプロデューサー・ゴードン。彼は命がけの風刺番組を制作する。美をこよなく愛するゴードンは、「イスラム教徒でなくとも美しい文字や言葉に感動できる」と14世紀のコーランを隠し持つリベラルな人物だ。果たして1年後に何人の人が国会前に集まるのか?“V”は秘密警察の追跡をかわせるのか?サトラーにどう対抗するのか?濃密なストーリーが展開していく。(明日に続く)
 6月29日…炎天下の京都で、朝から旧蹟取材&巡礼のためレンタサイクルを漕ぎまくり、2日間で全エネルギーを使い果たした…バタッ。/1日目に約3千円する京都の古地図を巡礼開始わずか30分で紛失し(何処に置き忘れたのかさえ全く思い出せない。神隠しとはこのこと!)、ライフポイントが100から60まで減少。2日目は日の出(朝4時半)と同時に行動開始。平家や幕末の志士の関連地を訪れた後、再来年の大河ドラマのヒロイン・新島八重さんの墓へ。彼女の墓所は山中。自転車を降りて山に分け入った。ところが登山道入口が分かり難く、「隣りの山」に登ってしまった!いくら登っても墓地が見当たらず、山中ですれ違った地元の人いわく「それ、向こうの山だよ」。“山違い”を知り愕然。下山して登りなおし、ライフポイントは一気に“2”まで減ってしまった。しかも墓所はヤブ蚊の巣窟。合掌しようと手を合わせると5匹の蚊がとまり「ヒョエー!」。耳元には常に複数の羽音(新島夫妻への墓参を考えている方、蚊のいない季節をお薦め!)。夕刻には強い日光と披露でモウロウとなり、帰途は体内の小人さんに動かしてもらった。帰宅後、トドメとなるショッキングなことが。今回の巡礼のメインの一人に、戦国時代にあの信長と戦った浄土真宗の僧侶、本願寺11代顕如(けんにょ)上人がいた。7年前に大谷本廟へ初巡礼した時、お墓が親鸞聖人の御廟(お墓)の側にある為、一般人は墓前に行けないことを知った。その後、毎年6/25-6/29の4日間だけ、墓から30mくらいの距離まで近づくことが出来ることを知り、それに合わせて仕事の段取りをつけ京都に行った。墓所には歴代住職の墓が並んでいるため、遠目ではどの墓が顕如上人か分からない。そこで寺務所で教えてもらい、境内でもお坊さんに確認し、「正面一番左」に手を合わせて墓トークしてきたのに、帰宅後にデジカメ画像をズームすると、墓石には「明如」(第21代)と彫られていた。ぐああ、顕如上人ではなーい!電話で問い合わせると「すみません、左から6番目のようです」「来年6月まで参拝は不可能」。ライフポイントはマイナス99になった。墓巡礼は一日にしてならず!(涙)
【巡礼豆知識】京都最大の墓地、東大谷&西大谷墓地
浄土真宗・本願寺派は信長との激戦後、今後の方針をめぐって顕如の息子達に議論があり、東本願寺(東大谷)と西本願寺(西大谷)に分かれた。各々の墓地に親鸞聖人の墓所があり、それぞれ1万人以上が眠る京都最大の墓地となっている。今回、時代劇『丹下左膳』の名優大河内伝次郎さんにファン宣言を、そして先日最終回を迎えたBSドラマ『新選組血風録』が良かったことを原作者の司馬先生へ伝えに西大谷へ。そして豊臣七本槍の猛将加藤嘉明公と、落語「はてなの茶碗」に登場する人情家の豪商・茶屋さんへの挨拶で東大谷を訪れた。
・東大谷墓地…顕如が信長と和睦した後、あくまでも徹底抗戦を主張した武闘派、教如(顕如の長男)が祖となる“東本願寺”に属する。親鸞の墓所を「大谷祖廟」と呼称。上村松園さん、野間宏さんらが眠る。
・西大谷墓地…顕如和睦後、信長との協調路線をとった穏健派の准如(顕如の三男)が祖となる“西本願寺”に属する。親鸞の墓所を「大谷本廟」と呼称。西本願寺の末寺は約1万寺、信者数は約700万人!仏教界で最大規模。前述した司馬遼太郎さん、大河内伝次郎さんなどが眠る。
東大谷墓地(約1万基)
※山の麓から全部お墓!
西大谷墓地(約1万3千基)
最上段。京都タワーが眼下に!
東大谷と西大谷は清水寺を挟んで約2キロの距離にある。両墓地ともに、総本山のお寺はJR京都駅の前にあり、墓地だけが境内から離れた東山に位置する。
 6月27日…急遽、仕事で京都に行くことに。次回の更新は29日の夜です。再来年の大河ドラマが『八重の桜』に決定したので、その取材がメイン。ヒロインの新島八重(新島襄夫人)を演じるのは綾瀬はるかさん。高い視聴率になりそう。
//『龍馬伝』で繊細な人斬り・岡田以蔵を演じ、素晴らしい演技力を見せつけた佐藤健。放送開始当初は“ヒョロいイケメン俳優じゃイメージに合わん!”と思っていた僕は、京都編になってから土下座しつつ見ていたもの。その佐藤健が人気漫画『るろうに剣心』の主演となり、実写映画化決定!しかも監督は『龍馬伝』でタッグを組んだ大友啓史氏!原作者は大喜び。2012年の公開が待ち遠しい!
//番組情報、3日間アップしておきます!
 6月26日…一昨日の『朝まで生テレビ』は久々に濃い内容だった。無双ジャーナリスト・上杉隆氏をゲストに呼んだのは英断。上杉氏は既存の大手メディアが原発事故を追求せず誤報ばかり流していることを批判。「そこまで酷くない」とメディアを擁護する田原総一朗氏を相手に一歩も譲らず。/ゲストの一人、経済産業省の古賀茂明氏は電力会社が猛反発する「発送電分離」(発電と送電を別会社にして競争原理導入)や、「天下り規制の強化」「事務次官廃止」などを訴えてきた“官僚の良心”。古賀氏は省上部から退職を迫られており、ゲスト全員が「古賀さんを守ろう!」と団結していたのが胸熱。/それにしても、討論が際どい話題になると突然CMが入るのは偶然?上杉氏が話し出すとCMになったり、田原氏が「沖縄に原発がないのは米軍基地があるから。もし中国に原発を攻撃されたら沖縄の米軍は終わり。だからアメリカは造らせない」的な話をしたらCM開始。CM後は何事もなかったように視聴者アンケートの話になっていた。/沖縄原発の話は考えさせられる。多くの保守論客はいまだに原発推進派だけど、日本海側に原発が並んでいる状況を、安全保障上からどう思っているのだろう。福島の事故が起きる前、国も電力会社も「ミサイルが命中しても大丈夫、超頑丈」と豪語していたし、僕も疑念を抱きつつもその言葉を信じていた。ところが、ミサイルどころか水素爆発でこれ。配管類を頑丈にするには限界があり、原子炉がいくら頑丈でも、配管がやられたら放射性物質が出てくるし、電源を攻撃されても大ダメージ。しかも燃料プールなんか丸出し状態。その危険な原発や“もんじゅ”が、海岸に沿って海から丸見えの場所にズラリと建っている(縁日の射的のマトのように)。これはもう、むき出しの「核地雷」を置いているようなもの。いくら軍備を増強しても、夜間に小舟で接近して一発撃たれたら終わり。「安全保障上の観点からも狭い日本に原発などあり得ない」、そんな風に訴える声が著名保守派から聞ず、田母神氏、櫻井氏、三宅氏あたりから、こうした声をもっとあげて欲しい。その点、関電に踊らされない橋下知事を評価している。
//長年、地元住民が建設に反対していた山口県の上関原発(中国電力)について、山口県知事が事実上の“建設却下”。もう強引に工事が始まりかけていたので、この逆転サヨナラに感動。そもそも中国電力は「電力余り」で、関電などに余剰電力を買い取ってもらっている。造る必要なんかない。※震災前、2/23は反対派住民と衝突しこういう状況(1分半)だった。
//『JIN-仁-』の最終回、すごく良かった!最後の咲さんの手紙は涙腺決壊。切なさ、寂しさが入り交じったハッピーエンド。余韻が何とも言えない。自分で自分を手術とか、SFファンが目まいを起こしそうな場面もあったけど、自分としては楽しめたから良い。近年の人気ドラマによくある“続きは映画で”じゃなく、ちゃんとテレビ放映内で完結してくれて良かった。
//『江』は秀吉が利休に切腹を命じるシーンが見応えあった。利休の小さな茶室での、7分間にわたる岸谷五朗(秀吉)と石坂浩二(利休)の対決!密室にて1対1で7分、これは演技力がないともたない。今までの流れだとあの場に江もいそうだけど、さすがにその演出はなくてホッ。あと“へうげもの”古田織部の登場にはビックリ。大河ドラマで織部を見たのは初めてかも。マンガの主人公の顔とそっくりの俳優を使っていて、サービス・シーンにニンマリ。織部の大河ドラマ来い!※今回、タイトルが「利休切腹」なのに切腹までストーリーが進まなかったのはコレ如何に?身構えていたのにズッコけた。「利休切腹命令」にすべきかと。JARO!
//メディコム・トイが発表したジョジョフィギュアの「第6部承太郎」(公式WEB)、全体のルックスもディスク・アウト顔も申し分なし!値段約2万は玩具とは呼べず、完璧に美術品っすね(汗)。
 6月25日…自分が生まれてから何日が経過したか即座に分かるサイト。“1967年11月24日”を入力したところ、「15919日」と表示されて驚愕した!1万5千日以上も地球上にいるなんて信じられない。世の中も、自分自身のことも良く分からず、実感としてはまだ5千日くらいしか生きてない気がするんだけど…そんなに長く日々の営みを続けてきたのか。ってことは、うまく寿命まで生きられたら3万日か〜。巷では「人生なんて一瞬」って言われるけど、どうしてなかなか、現在の“1万5千日”ですら天文学的な数字かと(汗)。よくまぁ、何だかんだで日々をしのいできたと思う。ただ、マジで“しのぐ”だけで精一杯。そんなに生きてるなら、もうチョイ色々うまくこなしたいもの。/ちなみに次の“マイ記念日”は、生まれてから2万日目の「2022年8月27日」らしい。※97歳まで長寿した画家の故中川一政さんが、晩年に言った言葉が好き「生まれて来るのが2度目なら、もう少し上手い生き方も出来たけれど、初めて生まれて来たんだから、そりゃまごつきますよ。向こうでぶつかり、こっちでぶつかり、こぶ作ったり、傷作ったりしてね」。
//うおお!岩手の平泉が待望の世界遺産登録決定!“文化遺産”は2007年の「石見銀山遺跡」(島根県)以来となる12件目。奥州への観光客は間違いなく増えるし、震災からの復興を強力に後押しすることに!
//4年に1度開催される女子サッカーのワールドカップ。第6回となる今年の会場はドイツ。日本時間6月27日から3週間にわたって戦い、決勝は7月18日。過去の優勝国はアメリカ、ドイツが各2回、ノルウェーが1回で、欧米勢が独占。日本は95年のベスト8が最高。ここ数年で日本女子はメキメキと実力をつけ、世界ランク4位まできた。悲願のメダルに届くかも。BSだけじゃなく地上波でも中継すれば、もっと話題を集めるのになぁ。
//サイト2100万件ヒット。
 6月24日…25日の『世界ふしぎ発見!』はルーマニア北部のマラムレシュ地方が紹介される。サブタイトルに“明るい農村”って入ってるように、この土地の人々はまっこと、素朴で温かい人がいっぱい。2005年に墓巡礼で訪れた時、村を出るバス停を尋ねたら、村人が自家用車で目的の街まで送ってくれて感動した。この地方は交通の便がよくないし、英語を話せる人が殆どいないので、移動するのは大変。でも、僕にはどうしても足を運びたい墓マイラーの聖地「陽気な墓」があった。“人生は美しい、だがここでは死も美しい”、そんな風に語られる「陽気な墓」。番組スタッフがこの墓地のことを知っていたら紹介されるはず。マニアック情報すぎるかなぁ〜。
//原子力関連で久々に明るいニュース。一昨日に懸念していた、「高速増殖炉もんじゅ」の復旧工事で、最大の難関とされていた落下部品の引き上げ作業が、25回目のチャレンジでついに成功!本当に良かった!※リンク記事の写真を見て、こんな巨大なものが落下していたのかと仰天!
//“東洋のガラパゴス”小笠原諸島が世界遺産(自然遺産)に登録決定!日本から自然遺産に選定されたのは、白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島県)、知床(北海道)に続いて4カ所目とのこと。
//俳優のピーター・フォーク@刑事コロンボが他界。享年83歳。コロンボ・シリーズでは『別れのワイン』が一番好き。ご冥福を祈ります。
//埼玉・熊谷で39.7度!6月の観測史上最高気温。
//カバンの中にイヤホンを入れると、一瞬のうちに信じられないほどヒモが絡まり脱力。この「イヤホン収納法」(32秒)を紹介した動画にもっと早く出会いたかったぜよ!パッと解けるのが気持ち良い。
 6月23日…以前に日記で紹介した九州新幹線の全線開業CM(3分)が、カンヌ国際広告祭のアウトドア部門で金賞を受賞!CMの撮影日は今年の2月20日。JR九州が沿線の住民に“虹”をモチーフにしたCMを制作することを伝え、1万5千人もの人々が撮影隊に向かって手を振った。改めて鑑賞しても、とても完成度が高く、見てるだけで幸せな気分になる。
//これまでゴッホの自画像と思われていた作品の中に、弟テオの肖像が混じっていたことが判明。確かに、あれほど仲の良かったゴッホ兄弟なのに、テオの肖像画が見つかってないのは奇妙な話。耳の形やヒゲの色でテオと特定されたとのこと!
//日本の国会議員の女性の割合は、世界186カ国で121位という低さ。政治分野での女性参画が非常に遅れている。女性衆院議員の割合は過去10年間で7.3%から11.3%まで増加しているけど、スウェーデン45%、ノルウェー39.6%、ドイツ32.8%と比較すると、その差は歴然としている。非民主的と批判されている中国でさえ日本の2倍の21.3%であり、儒教思想の韓国14.7%より日本はさらに下という結果に。女性が政治によく参加している北欧諸国は、国民の幸福度指数も高い。最初から一定比率の“女性枠”を確保しないと、日本の旧態依然とした男社会は変えられないのか(ネットではいまだに「女は政治に口出しするな」的な男の傲慢な意見を見かける)。せめてドイツ並の3割参加を目指したいもの。
//デンマークのレゴブロック社が、スター・ウォーズでダース・ベイダーが乗船していた「エグゼキューター級スター・デストロイヤー」を9月に発売。全長は約1.3メートルもあり、“過去最長”のレゴ作品とのこと。これって何個のレゴで出来てるんだろう?価格もデストロイヤー級の400ドル。※おそらく今年の9月にスター・ウォーズBD版全作BOX(Ama)が初めて出るので、それに合わせた企画かと。(☆o☆)
 6月22日…23日の午後から「高速増殖炉原型炉もんじゅ」の修理作業が始まる。福井県敦賀市にある“もんじゅ”は建設費5900億円。現在、事故停止中で「世界一危険な粗大ゴミ」と呼ばれている。考えるだけで憂鬱になるので、これまで日記に書かなかったけど、この復旧作業開始を機に触れておく。“超危険”の理由は5つ。
(1)水で冷却できる福島原発に対し、もんじゅは液体ナトリウムで冷却せねばならず、水や空気に触れるだけで爆発する。緊急時に海水で冷やせない。
(2)燃料にウランと、ウランの20万倍も毒性が強いプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使っている。プルトニウムの量は長崎原爆の100倍以上。
(3)地震プレートの真上にあることが建設後になって判明…。
(4)高速増殖炉の配管は複雑で強度が弱い。
(5)近畿の水がめ、琵琶湖が汚染されると京都、大阪、瀬戸内海が…。
/“粗大ゴミ”の理由→本格運用を開始する前にナトリウム漏れ火災事故を起こし(1995年)、その後、15年をかけて補強工事に入る。昨年やっと運転を再開したと思いきや、わずか3ヶ月後に燃料交換装置の一部(3トン)が炉内に落下し再び運転停止。事故原因は「ねじの緩み対策」不備というズサンさ。落下物を引き上げないと燃料棒の交換が出来ず、運転を止めることも出来ない。今日まで24回引き上げに挑戦するも全部失敗に終わっている。発電量はゼロだけど維持費は毎年500億円。これまでに費やした予算は2兆4千億円で、しかも安全なレベルになるまで50年以上必要。今後の管理費用は2兆5千億円。つまり、発電量ゼロの施設に合計約5兆円を注ぎ込むことになった。地震がなくても自然に配管から液化ナトリウムが漏れるような設計ミス…。そのうえ、活断層がある地域に立地している。あまりにトホホな状況ゆえ、殆ど報道されないんだけど、早く炉内に落下した部品を引き上げないと廃炉にも出来ない。25回目のチャレンジ、今度こそ成功して欲しい!(マジで!)
/もんじゅに象徴される核燃料サイクルに、最も積極的に「反対」と叫んでいる国会議員は、自民の河野太郎氏なのでは。今なお原発推進派の多い自民にあって、河野太郎議員は“反核燃料サイクル”の旗頭。推進派から「自民を出て社民に行け」と批判されてるんだけど、自民にだって潜在的な同意者はいるはず。力を結集して欲しい。休止中の原発の稼働再開を急かす民主の海江田経済産業相よりよっぽど僕に近い(河野議員、原発利権を糾弾→まとまった良い記事!)。海江田大臣は「非常用の電源が確保され安全性が確認された」と言ってるが、佐賀の玄海原発は老朽化が加速的に進行しており、愛媛の伊方原発(リンク先で多数の問題点指摘)は近くに「中央構造線」という巨大活断層がある。他にも炉心自体の耐震性が問題になっている原発が多数あり、冷却電源が確保されたから安心という話じゃない。
//スタジオ・ジブリが脱原発の横断幕を掲げたことが話題になっている。企業が社屋にこういうメッセージを掲げるってあまり聞かない。それだけにインパクトがある。他社にもこういう動きが出てきて欲しい。余談だけど、同じサイトが“グーグルのカメラに宮崎監督が映る?”という記事もアップしていた。この後ろ姿、確かに宮崎さんにしか見えない(笑)。
//「楽天」が今後のエネルギー政策などで意見に隔たりがあるとして、経団連に退会届を提出。経団連は原発推進派。こうした内容で退会って前代未聞では。楽天を見直した。
 6月21日…毎朝7時からEテレ(教育TV)でオンエアされている子ども番組『シャキーン!』(公式WEB)は、次々に楽しい歌やクスッと笑ってしまうクイズが出てくる魅惑の15分。ついつい朝の身支度の準備の手が止まってしまう。幼児向け、大人向けを問わず、今一番面白い番組と言ってもいいかも。最近ハマッた番組挿入歌は、“英雄ボイス”水木一郎先生が熱唱する『それいけ!ゾーキマン』(2分10秒)。冒頭の“体の平和は俺が守る!”から始まり、眼球、横隔膜、大脳、肺など、体内の様々な“臓器”の役割をイカしたメロディーに載せて歌い、途中には以下のカッコいいセリフも入っている!



「よい子のみんな、小腸は
広げるとテニスコート1面分
にもなるんだぜ!」



「知ってたかい?血管は
全部つなげると地球2周半
もの長さになるんだぜ!」
地球ってめっさデカイから、“全人類の血管を繋げたら2周半の長さ”になると思っちゃいそうだけど、これ、人間たった1人分の血管の話なんだよねぇ。自分の体内にそんなに長い血管が入ってるって、スケールが大きすぎて実感が湧かない。つくづく、生物ってよく出来てるね。新曲の『さーYOU!』も歌詞に“左右”トリビアが入っていて、曲調はノリノリだし何度聴いても面白い(ネット動画なし。NHKさん、著作権の問題はあると思うけど、そこをなんとか…!この良い曲をいろんな人に聴いて欲しい)。
/この『シャキーン!』はこの世のどこかの大樹の上から放送されているという設定。番組を進行する4名は、捨てられた人形の妖精“あやめちゃん”、売れ残った人形の妖精“あゆちゃん”、壊れて捨てられたテレビの妖精“ジュモクさん”(声・ラーメンズの片桐仁)、捨てられたハチのぬいぐるみと子猫の魂が合体した妖精“ネコッパチ”(声・やついいちろう)。この設定からも分かるように、みんなめっちゃ寂しい過去を持っている。でも、番組内では寂しげな表情はチラリとも見せず、これでもかって言うくらい幸せそう。きっと大好きな仲間と出会えたからかも。未見の方、ぜひ朝7時に“シャキーン!”の4名とホッコリした時間を過ごしましょう♪
※金曜日だけは“スーパー・ジュモクさん”(ジュモクさんの師匠)が1名で進行。
 6月20日…昨日はサイトのアクセスが3万件を超えたので、“どのページにアクセスが集中してるんだろ?”と調べたら、意外にも“千利休”のページだった!なぜこんなマニアアックなページが?理由はすぐに分かった。昨夜の大河ドラマ『江』の次回題名が「利休切腹」だったからだ。驚いたことに、「千利休」でググるとウィキの次にウチの「千利休の生涯」が出てくる。このページは地味ながらも、茶の湯の歴史も織り交ぜて、めっさ気合いを入れて作ったページなので、いろんな人に見てもらえるのはまっこと嬉しいデス。来週の放送に備えて、いろいろ文章を加筆したので、もし未読の方がおられましたら是非!
//先日報道された“東京スカイツリー”第2展望台(450m)の入場料金は、大人3千円、中高生2300円!高ッ!4人家族で登ると約1万円。池袋のサンシャインが240mで620円ということを考えると、約2倍の高さなら値段も倍の1240円くらいにして欲しい。3千円はキツすぎる。ちなみに東京都庁は地上202mでも無料。この3千円は東京タワーの特別展望台(250m)の入場料金大人1420円を基準にして上乗せしたんだろうなぁ。これだけ高額だと、ツアーのルートに入ってて、その日が雨天だと涙目っすね。
//AKB48にメンバーの顔を合成した“江口愛実”(Facebookあり)が加わったことが一部で話題に。そして、グリコのサイト(音に注意)では誰でも簡単にメンバーを合成できるツールが公開された。人間の顔って、目や口元を少し変えるだけで「こんなにも激変するものなのか」と改めて驚いた。
//NHK教育テレビ”が今月から“Eテレ”に名称変更されたので、お薦め番組表も“Eテレ”に表記を改めます。この改称って殆ど話題になってないので、日本人の一部しか気付いてないような(汗)。
 6月19日…作曲家・梶浦由記さんの楽曲は透明感があり、また異国の民族音楽のような、不思議な懐かしさのあるメロディーが実に魅力的。NHK『ヒストリア』のテーマ曲が有名だけど、読者の方からゲーム・アニメの挿入曲で“梶浦サウンド”を満喫できる楽曲を色々教えて頂いた。何度も聞きまくったのは“Noir”の『Canta per me』(3分11秒)。飛翔感と切なさの入り交じった傑作かと!3分チョイしかないので3時間バージョンを作って欲しいくらい。“.hack//sign”の『the world』(5分4秒)も壮大なスケールで展開し心地いい。“ヒストリア”のテーマ曲に歌詞を付け、カラフィナが歌った『ストーリア』(3分50秒)、是非これをヒストリアの特番時にはオンエアして欲しいな。
//東京とパリをたった2時間半で結ぶロケット旅客機の計画が発表された。飛行高度は現在の国際線の約3倍となる3万2000メートル。これが実現すれば、朝モナリザが見たくなればお昼前にはルーブルに、そんなことも可能になる。だがしかし!試作機の完成は9年後、実際の就航は「2050年までに」とのこと。グハーッ、2050年なら僕は83歳。これはチト厳しい!今20代の人は利用できるかも知れませんね。
//ラテンアメリカの英雄チェ・ゲバラの日記といえば、ボリビアの山中でゲリラ闘争していた晩年の『ゲバラ日記』が有名だけど、このたびキューバ革命時の日記『ある戦士の日記』(300ページ)が海外で敢行されたとのこと。嬉しいけど、なんでそんな最も重要な時期の日記がこれまで伏せられてきたんだろう?早く日本語版が出て欲しいッス!
//俳優の地井武男さんがCMで「50、80よろこんで」とやっているアメリカンホームの保険CMが“詐欺まがい”と指摘されている。ケガには保険が出るけど、病気には出ないとのこと。そういう保険があってもいいけど、ちゃんと「病気は保障外」って大声で言わなきゃ企業モラルが問われるよ。
//最近の科学ニュースで一番クラッと来たのが「反物質を16分も閉じ込めることに成功」っていうやつ。宇宙の始まりには物質と反物質が同じくらいあったけど、次第に反物質が消滅し、現在はほぼ物質だけの世界になった。超文系の僕には“反物質”といえば、『さらば宇宙戦艦ヤマト』のテレサとか、『イデオン』(ソロシップ)の反物質エンジンとか、接触すると超ヤバいエネルギーっていうイメージがある。それを16分も閉じ込めた?物質の中に?もう何がなんだか(汗)。
//先月のニュースになるけど、マンガ『ワンピース』が中国の新聞で第1話から連載が始まることに。向こうでの元々の名前は『海賊王』。でも、シンガポール沖のマラッカ海峡などではリアルに海賊被害が出ているので『航海王』に改名されるみたい。大陸の読者数はハンパじゃないから、アジアでもさらに人気が過熱しそうっすね。
 6月18日…昨日発売された荒木先生の著作『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論〜偏愛的ホラー映画100選』、仕事があってまだ全部読めてませんが、この本、まるで荒木先生が目の前で“熱く”語りかけて下さってるようで、めちゃくちゃ引き込まれますね!言葉の端々にホラー映画への怒濤の愛がにじみ出ていて、製作者への敬意に満ちあふれてます。先生が描かれたエイリアンやダミアン、ジェイソンなどの挿絵も貴重。ゾンビ映画を「全員が平等で群れてしかも自由」「癒やされるホラー映画」と表現するあたり、目からウロコです。興行的にあまりヒットしなかった『ミスト』が先生のベスト10に入ってて超嬉しい!(Ama 798円)
//ツイッターの読者が1000人を突破。登録して下さった方有難うございます!いまだに上手く使いこなせていませんが、コンビニの食べ物の話題とか、サイトに書くほどじゃないけど誰かに話したくなる、そういう時に便利ですね。/ただし、ホームページは誤字脱字を発見したらすぐに修正できるけど、ツイッターはそれが出来ないので、呟くときの緊張感がハンパじゃないです。ヘタをすりゃデマの発信源になるのに、著名人で社会問題についてガンガン発言している人は、その勇気を尊敬しまくりデス。
//ドラマ『JIN』に登場する、ドーナツにあんこを塗った“安道名津”(あんどーなつ)が、セブンイレブンで発売され、3日間で60万個の売り上げを記録したそうだ。近所にセブンイレブンがないので、発売から半月経ってもいまだ食せず。値段が120円と手頃なので是非食べたいッス。
//マンガ『よつばと!』に出てくるダンボールの人形“ダンボー”のフィギュア写真を集めたサイトを見て、詩心が溢れるハイクオリティーな写真群(コチラとかコチラとか!)にホッッコリした。思わず壁紙にしたくなる作品がいろいろ。
 6月17日…ここ2日間の更新では、読者の方から頂いた「君が代起立強制条例」への“賛成意見”を紹介しましたが、今日は“反対意見”を紹介しようと思います。
●私だったら起立しない教師がいたところで「あぁ、この人はそういう考えを持っているんだなぁ」と、その人の考えが一つ分かって良かったと思うだけです。そんなに(自分と異なることが)許せないものなんでしょうか?内面の多様性を認めること、受け入れることこそが大事だと思います。
●(不起立教師の中に過激な人がいる事について)こうしたことは右だとか左だとかとは関係なく、本人の資質の問題なので、「左派は云々」みたいに一般化するのは無理があるのでは。そういうレッテルの貼り方は、アニメやゲームのマニアが犯罪を犯したからといって、他の全てのアニメやゲームのマニアも同一視する人たちと同じやり方だと思います。
●「君が代問題」を論じるにあたり、あまりにマイノリティ(不起立者)への擁護が足りないということに危惧を感じました。「私はこう思う!」という意見表明がマジョリティからは嫌われ、弾かれる。…ジョージ・オーウェルの『1984年』を思い出すような光景です。正直私は怖いです。これが民主国家であるはずの日本の姿なのでしょうか。「出る杭は打たれる」と言います。しかし、思想および良心の自由における杭は、たとえそれが自分と意見を異にするものであっても絶対に打たせてはならないと思います
●(卒業式は)「生徒を送り出す重大な行事」であるゆえに立てないのだと思います。君が代が軍歌であると考えることは、過去への反省の表れです。戦争中の出兵に際して教師が責任を感じているからこそ立てないのです。
●反対する人にとっては、まだ戦争は終わっていないのです。多くの日本人は真にケジメを付けて前向きになっているというのではなく、単に忘却しただけだと思います。心の問題を法では解けません。
●これは個人の自由と権利の問題だと思います(当然ですが、他人を傷つける自由や命を奪う権利などありません)。自分の持っている権利はすべての人が等しく持っている、ということです。「規則を守る、守らない」の問題でもありません。一部の人達の思想が「正しい」と定義され、法律化してしまうことが問題なのです(それが許されるならナチス党政権下のユダヤ人弾圧も正しいことになってしまう)。また「子供に規則を分からせる方法」は「教師が国歌斉唱に起立すること」しかないのでしょうか?もっと効果的な方法はあるのに、どうして(教師がルールを教える方法として)これを選ぶ必要がありますか?
●「文芸ジャンキーパラダイス」の目的、大げさに言えば存在理由ですが、それは「芸術を通した人類の相互理解」を果たすことでしょう。日々カジポンさんが仰っていることはそこに集約されます。今回の「君が代問題」がなぜジャンパラで取り沙汰されているか?その答えは「思想・良心の自由」を、文字通り血を流してかたち作ってきた、あるいは後世に残そうとした偉人たちの存在を、カジポンさんは見続けてきたからです。その偉人とはチェ・ゲバラであり、平塚雷鳥であり、ゲーテであり、ニーチェであり、カミュであり、ピカソであり、そしてベートーベンであったはずです。自身の思想を、苦しみながらも懸命に磨き上げてきた人間のドラマを、カジポンさんは読者である皆さんと共有したいがために本サイトは存在するのではないでしょうか?今回の君が代問題は、「『思想・良心の自由』が幾多の血と歳月をかけて培われたものであることの認識が足りない」ことがキーポイントです。いかに思想や良心を私たちが自由に扱えるかのありがたみや素晴らしさを、私たちはすでに忘れてしまっているのです。勿論その中には僕も含みます。普段、ちゃんとその“恩恵”を意識して「ああ、今日も自由に物事が考えられて幸せだなあ」とは思わないからです。自分と異質な考えを受け入れることがカジポンさんが常日頃仰っていることだと思いますし、またそういう思想を育てるのが芸術の役割ではないでしょうか。(サイト読者は全員管理人と同じ意見になるべきと言っているのではなく)“賛成or反対”の線引きが「職務命令・ルール」に依っていて、「思想・良心の自由」に依るものになっていないことに疑問を感じています。
●確かに、公僕たる公務員や、国家秩序の大切さを子どもに教える先生が国歌斉唱時に起立しないのは良くないという意見は、一理あると思います。しかし、それを規制する法令を作るのは民主国家としてやりすぎです。この条例は一応民主主義に基づいた手続きで可決されたので、一見問題ないように見えます。しかし、民主主義の原動力たる自由を奪うことは、民主国家にとって自殺行為でしかありません。この手の失敗は過去に何度も繰り返されています(民主国家ドイツがナチスの独裁体制に一変した事実や、アメリカで行われた赤狩りなど)。
●ナショナリズムは国家秩序を形作る上で重要ですが、本質的には区別と排除の論理ですので、国の内側にその矛先を向けるときは、細心の注意が必要です。それを自覚した上で「愛国心」を語らないと大変なことになります。国の内側に敵を探し始めた国の行く末は、とても悲惨なものです。
/以上が強制反対派の主な見解です。様々なご意見有難うございました。「ジャンパラ論」を書かれた方の意見を僕が紹介するのは気恥ずかしさがあったのですが、過去の芸術家や思想家が死守してきた「思想・良心の自由」を守る為に、いま声をあげねばサイト開設からの12年間をすべて否定することになると思っているので、サイトの存在意義に踏み込んで下さったのは嬉しかったです。※あと、当然のことですが、今日の日記で強制反対派の意見を載せたからといって、読者の皆さんが同じ意見であらねばならないとは考えていません。
 6月16日…(昨日のつづき/「君が代起立問題」、読者Q&A)
(6)立ちたくない教員は立たなくていいのであれば、制服を着たくない生徒は着なくてもいいし、学校行事に参加したくない生徒は参加しなくてもいいことになってしまうのでは?
→「規則>内心の自由」か「規則<内心の自由」かを考える時に、重要なのは動機や理由ですよね。制服を着たくない理由、学校行事に参加したくない理由が、ちゃんと納得できるものであれば、僕はその生徒の気持ちを否定しません。君が代で“立てない”教師の理由は「大事な子ども達を2度と戦地に送りたくない」「戦争を風化させたくない」であり、その理由であれば僕自身は納得できるので、立たなくても問題に感じません。そもそも、四半世紀前は大阪府下で卒業式に君が代を斉唱した公立高校はゼロ校でした。君が代の起立斉唱が「職務命令になった」のはごく最近なんです。それを「ワガママ教師」というイメージで橋下&石原知事やメディア(特に産経)が流していることに理不尽さを感じています。
(7)胸に一物含むものがあっても、起立して場に合わせるのが大人ではないか。式典後にデモなり運動なりなんなりすれば良い。
→今回、複数の若者からこの意見を頂き、今の日本の一部の若者の「体制順応度」の高さに目まいを感じました。欧州の若者たちは「表現の自由の抑圧」「思想の弾圧」を少しでも匂わせるものには、過剰なまでに反発します。元気ありすぎのデモ連発。それが正しいか間違っているかは別として、「場に合わせるのが大人ではないか」という意見は、体制側をニンマリとほくそ笑ませるだけかと…。「反体制派はKY」と、不都合な“大人じゃない人”は異端に認定され叩かれる。僕が権力者なら「日本の(一部の)若者はなんて従順でコントロールしやすいんだろう」と万々歳です。とにかく、あまりに内面の自由の価値を低く見過ぎているように感じます。むしろ若者には「大人であろうと正しいと思ったことを貫いて欲しい」と反骨教師(ラストサムライ)にエールを送って欲しいのですが…。r(^_^;) ※日本の大人も、僕を含めて相当ダメダメですが、あくまでもこの半月に頂いたご意見には、義務化賛成派は若者が多く、反対派は大人が多っかたという事実を述べています。
(8)不起立教師が人権や思想の深い思い入れがあって立たないのだ、と理解できる生徒はそんなにいると思えない。子ども達に伝えたい主張があるなら、まずそれを言葉で説明しないと「あの先生はなぜ立たないの?サボり?」と思われただけで終わる可能性のほうがずっと高い。
→これも複数の若者からの意見で、とても破壊力がありました。要するに、教育現場で戦争体験の語り継ぎが決定的に不足しているのです。だから先生の心境を想像出来ない。筋を通した不起立をサボリという言葉で表現されない為に、仮に不起立の理由をクラスで語れば、すぐに保守的な親から「ウチの子に妙なことを吹き込むな」とクレームが入ります。一方で、生徒からは「説明がないと不起立の真意が分からない」と言われ、不起立教師の心労は大変なものでしょう…。
(9)国歌斉唱時に起立もしない者は教師になる資格がない。公務員がそういう思想を持っているということが問題。
→まるでどこかの共産国家のようではありませんか。愛国心のカタチの多様性を認めず、内心の自由を徹底して否定し、あまりに国家に力を与えすぎると、国民は自分で自分の首を絞めることになるのでは(戦前の治安維持法のように)。不起立=反日ではないのです。
(10)国旗や国歌を変えても過去は清算されない。過去の歴史を今に繋がるものとして受け止めるために日の丸・君が代を受け入れるべき。
→これも不起立教師が誤解を受けている大きな点です。この国があり、今の自分がある、それはちゃんと分かっているのです。日の丸・君が代を変えろという声は不起立教師から殆どあがっていません。日の丸・君が代が憎いのではなく、歴史の受け止め方が、強制派の人とは異なるのです。過去に教え子を積極的に戦場へ送り出したことへの反省が、不起立という“表現”として出てきたもの。大事なことは、そういう少数派を数の力で排除するのか、しないのか、そこです。思想・表現の自由は民主主義国家の血肉です
(後書き)強制派の中に、「教師への起立強制は仕方ないけど、生徒に強制することには反対」という人が数人いました。東京都では着席している生徒の数を調査して、その担任を罰するところまで来ています(条例がない時点ですらこの状況)。もし生徒が慕っている担任であれば「僕が座っていると先生が罰せられる」というプレッシャーで立つことになり、結局は生徒にも暗黙の強制になっているので、法の力で思想を規制することには安易に賛成せず、もっと慎重になるべきと思います。現状は、思想信条の自由がないがしろにされすぎだと思います。一人でも多くの強制派の人が「不起立教師の考え方には賛成できないが、そのように考える権利は認めるし、法で罰則を与えることには反対だ」という立場になってもらえることを願ってこのコラムを終わります。
(以上、ご意見有難うございました)
 6月15日…管理人と異なる意見を掲示板に書き込んだりメールで送ることは、人によってはとても勇気がいることだと思う。まして、オフ会で会っていたり、何年も前からの読者の方は特に。そういう人が、HNを変えることなく、堂々と自論(反対意見)を書かれることに敬意を表します。それを前提に今日の日記を読んで下さい。
/僕が「君が代起立強制条例に反対」と6/1の日記で表明してから、今日まで半月の間に“義務化賛成派”の方からたくさんのご意見を頂きました。すべての方に個々に返事を書くのは物理的に不可能なので、主な意見は以下の10個に集約されると思い、この場を借りて見解を書かせて頂きますね。
(1)自分たちの国歌や国旗にいつまで卑屈にならないといけないのか。国歌・国旗を蔑(ないがし)ろにしてはいけない。公務員は国旗国歌を否定してはいけない。
→不起立の教師は卑屈になっている訳でも、蔑ろにしている訳でも、否定している訳でもないのです。その旗のもと、その歌のもとで、戦争を行い、また子ども達を戦場に送り出したという事実が“こだわり”となり、苦しみ、葛藤しているのです。そもそも、戦争への反省は過ちを繰り返さない為に必要であり、「反省=卑屈」という図式ではないと思います。戦争体験者が高齢となり少なくなってきた今、教育者が戦争の記憶を風化させないことは大切なことではないでしょうか。
(2)公務員なら国の方針に従うべき。ちゃんと法律に従って日の丸に向かい、君が代を起立斉唱すべき。民間会社で職務命令に従わない社員はクビ。
→公務員には中立性が求められるため、内面の自由に一定の束縛があるのは仕方ないですが、他人の斉唱を妨害する訳じゃなく、45秒間座っている程度の自由であれば、自由と民主主義を掲げる国家では保障するべきではないでしょうか。「座ってるせいで気分を害された」と怒ってる人は、もっと他者に寛容であって欲しいです。「人の数だけ価値観も多様だよね」と考えるのが成熟した市民社会ではありませんか。/あと、公務員が常に上からの命令に従わねばならぬかですが、国のトップが道を誤る可能性があることは歴史が物語っている訳で(ドイツや日本だけではなく、毛沢東、スターリン、金正日、ポル・ポト、“大量破壊兵器がある”のブッシュ等々)、時と場合によっては公務員にも抵抗する権利があると思います。現在、公務員の数は400万人(国家公務員100万人、地方公務員300万人)です。400万人全員が指導者の決めたことにはいっさい反論できないって、そこまで公務員を縛ることはないと思います。そんなことを言い出したら、公務員に選挙権があることすら「中立性を損なう」と問題になります。反民主的な職務命令には抗議の声をあげる権利があり、教育者であればいっそう心の自由が尊重されねばならぬと考えています。
(3)いつまでも戦争と君が代を絡めるのは止めて欲しい。
→事実として、君が代は戦争と直結していた時代があったうえ、戦争で肉親が犠牲になった被害者がまだ存命中です。“絡めるな”というのは酷(こく)ではないかと…。
(4)校歌が嫌いだからって、自分だけ座って校歌を歌わないのはダメなのに、何で不起立派の人は国歌ならそれがOKなんでしょうか?
→決定的な違いは、校歌は戦争と関係がないことです。むしろ、「君が代」だけが歌わないと処罰されることに“何かおかしいぞ”と疑問を持って頂けると良いのですが…。
(5)「個人の心の自由」は尊重されるべきだが、公序良俗に反しない範囲での“自由”に過ぎない。不起立教師は“自由”を履き違えている。
→くどいようですが、45秒間静かに座っているという、ただそれだけの行為が“公序良俗に反する”とは僕には思えません。特に若い人に法律を誤解している人が多いのですが、そもそも「国旗国歌法」には罰則条項がないのです。制定時に君が代を歌わないという自由を保障しているからです。しかし、内面のことなど無視して、どうしても歌わせたい人がいる。「強制する法律がなければ作ればいい」、そのように考えて大阪に誕生したのが、全国初となる「君が代斉唱起立強制条例」であり、これから秋に可決しようとしている「起立しなければクビ条例」なんです。教育界への国旗国歌導入には大きな混乱があり、広島では校長が自殺する悲劇がありました。保守派は日教組が校長を追い込んだということをさかんに吹聴していますが、こちらのサイトに、『亡くなった校長は「君が代」をやる意志は全くありませんでした。だから、文科省からきた辰野裕一教育長に対して手紙を書いています。「私は解放教育、人権教育をやってきた人間として、身分制を称える歌(君が代)を歌えということは、自分の中で、教育者として矛盾を感じます。この矛盾をどういうふうに解決したらいいのかお教えください」というものです』とあります。また、『(自殺当日である)日曜の朝、教育委員会の人事の誰かが(校長の自宅)に押しかけ、その1時間半後かに納屋で首を吊っているんです。これは明らかに殺人です』とも…。
“公序良俗”というものは「ゴミを道に捨てない」「妊婦さんに座席を譲る」というような誰もが納得できる事柄であり、このように議論があるものにその言葉を使うことに違和感を持っています。
(後半のQ&Aは明日に)
 6月14日…たとえば自分と正反対の価値観を持っている人がいたとして、僕はその人の意見には反対でも、価値観は人それぞれだから、「そういう考え方もアリ」と思って心に留めておく。異なる思想を持っている人を、わざわざ法律を作って罰を与え、自分の考えを押し付けようとは思わない。「君が代で立たない教師には厳罰を」「クビにして当然」という意見に触れる度、どうして“その教師の中ではまだ戦争が終わってないんだな”ではなく、「法で排除せよ!」になるのかと、ただただ悲しくなる。45秒間静かに座っているだけのことが許されない社会を、民主国家と呼べるのかな…。公務員が他の職業より内面の自由に制限があるのは分かるけど、座ってるだけで処分されるって、どうしても現代市民社会では“やり過ぎ”って思えてしまう。/今、サイト読者の方からこの問題に関する質問やご意見、それに対する僕の回答をまとめています。明日の日記でアップしますね。
 6月13日…(つづき/歴代全天皇巡礼レポ・その3)※初回は6/11分
第77代後白河天皇…保元の乱、平治の乱、源平争乱など戦乱続きの時代にあって、平清盛、源頼朝、源義経、木曾義仲など武士の力を巧みに利用し、用済みになれば他勢力に討伐させるという後白河天皇の策士ぶりは、あの源頼朝をして「日本国第一の大天狗」と言わしめたほど。
第81代安徳天皇…壇ノ浦の源平合戦で、祖母(清盛の妻)に抱かれて入水。6歳で崩御というのは歴代最年少。小さな手を合わせて念仏を唱えた後、祖母の「波の下にも都がございます」の言葉と共に海の中へ。めっさ可哀相。
第82代後鳥羽天皇…鎌倉幕府打倒を掲げ「承久の乱」で挙兵したものの、11倍の兵力差に完敗。後鳥羽院自身は隠岐島に、息子の順徳上皇は佐渡島へ流された。後鳥羽院は一度も都に戻れず18年後に崩御。後鳥羽院の子孫以外の人間が天皇となって若死にすると、後鳥羽院の怨霊のたたりとされた。佐渡島で後鳥羽院崩御の知らせを聞いた順徳天皇は「これ以上生きる意味がない」と“断食死”を選んだ。壮絶。そして順徳天皇の子、仲恭天皇は鎌倉幕府によって廃位とされ、在位が歴代最短の2ヶ月半しかなかった…。※皇室の紋が「菊花紋」になったのは、後鳥羽天皇が好んで印に使っていたのが始まり。
第102代後花園天皇…在位中に室町6代将軍足利義教が宴席で暗殺されたりしたけど、他の天皇に比べれば平穏な人生。特筆したいのは陵墓の場所。パッと見が絶壁に造られたように見える。ノルウェーの作曲家グリーグの墓を彷彿させた。
/以上が新規&追記分です。写真だけアップして生涯の解説が追いついてない天皇は残り約50人(124人中)。一日一人ずつ書いていけば、8月上旬には陵墓巡礼ページが完成するハズ。果てしない道のりだけど、一人一人の人生を調べていると、「第何代は誰々」というような記号化された知識ではなく、各帝に熱い血が脈打っていくのを肌で感じて感慨深い。辞世の句など、時にはキーを打つ指が止まるほど感動することも。/それにしても、島流しにあったり、刺客に襲われたり、怨霊を恐れていたり、なんと修羅場をくぐっている帝の多いことか。皇位継承をめぐる謀略の嵐は読んでて胸が苦しくなる。佐渡島で断食死した順徳天皇の辞世の句「思いきや 雲の上をば 余所に見て 真野の入り 江にて 朽ち果てむとは」(思っても見なかった、雲の行き先を想像しながら佐渡・真野湾の入江で朽ち果ててしまうとは)が泣ける。
 6月12日…(つづき/歴代全天皇巡礼レポ・その2)
第49代光仁天皇…後継者の桓武天皇の謀略によって無実の夫人と子(本来の皇位継承者)を変死に追い込んでしまい、その怨霊によって平城京では天変地異や凶兆が続き、遷都を決定することに…。
第56代清和天皇…源頼朝、足利尊氏、新田義貞、武田信玄、今川義元、明智光秀など多くの名将を輩出した“清和源氏”の祖先。さらに天皇の実名に“仁”がつくようになったのは清和天皇の惟仁(これひと)に始まる。こうしたことから歴史ファンには有名な帝だけど、陵墓は京都のすっごい山奥!それまで京都市街の火葬塚に足を運んで「墓参をした」ことにしてたけど、やっと公式の陵墓を巡礼できて良かった。※車を出してくれた読者のK氏に感謝!ちなみに今までで最もハードな陵墓巡礼は淳和天皇で、“登山”に往復3時間半かかった。
第75代崇徳天皇…「保元の乱」で後白河天皇&平清盛から夜襲を受けて敗北。讃岐国(香川県坂出)に流される。それから8年間、京の都に戻ることを夢見ながら許されず、最後は「怨霊となって復讐する」と世を呪いながら崩御。その後、「保元の乱」で崇徳帝に敵対した有力皇族に次々と不幸があり、栄華を極めた清盛は死に平家は滅亡し、鎌倉幕府が樹立され朝廷は権力を武士に奪われた。こうしたことから、崇徳帝の怨霊は菅原道真と共に都の権力者から最も畏怖される存在となり、明治天皇は即位の際に京都に崇徳帝の御霊(みたま)を祀る神社を創建した。
第76代近衛天皇…16歳という若さで早逝。陵墓は歴代天皇で唯一仏式の塔があって非常に珍しいうえ、紅葉が美しかったので画像だけでも是非!(つづく)
 6月11日…歴代全天皇&著名皇族、合計134名の巡礼レポページに、これまで未アップだった画像を加えた、約750枚の画像すべて掲載しました。著名皇族は、『平家物語』の最後を締めくくった建礼門院(子は壇ノ浦で入水した安徳天皇)、清少納言が仕えた中宮定子、紫式部が仕えた藤原彰子など。歴代天皇で新規に画像や解説がアップされた主な帝は次の通り。
第32代崇峻天皇…宮内庁が暗殺の事実を公式に認めている唯一の帝。蘇我馬子の謀略で臣下に殺害された。悲劇的な最期だけど、墓所は川べりにあり、朝もやが陽射しに照らされて美しかった。素晴らしさが写真だけでは伝わりにくいかと思い、動画(18秒)でも紹介。神秘的で息をのまれるかと!
第34代舒明天皇…“あの”中大兄皇子の父。参道の石段が鋭角にカコン、カコン、カコンと曲がり、空間表現に設計者のセンスが光る。陵墓に“カッコイイ”という表現は不適切かも知れないけど、そう呟きたくなるほど造形美に惚れぼれ。
第47代淳仁天皇…先帝(女帝)が僧侶・道鏡を寵愛し過ぎるため、これを忠告したところ激怒させてしまう。クーデター騒動にも巻き込まれ、無実の罪で先帝に廃位を宣告され淡路島に流された。翌年、島からの脱出を試みて捕まり、翌日に謎の急死…。明治になるまで歴代天皇に列せられなかった。※陵墓が淡路島ということもあって簡単に行けず、この淳仁天皇が未巡礼の最後の一人だった。車を出してくれた読者の I 氏に感謝!(明日に続く)
 6月10日…スペイン・バルセロナに催されたカタルーニャ国際賞の授賞式にて、村上春樹さんが行なったスピーチ全文を毎日jpが掲載。大震災や原発問題について、村上さんのような現代日本を代表する文学者が、どんな言葉を使って世界に思いを語るのか興味深く読んだ。そして、良心の塊と言おうか、隅々にまで誠意が溢れた一文に胸を打たれた。新聞社のサイトはすぐに記事が消えてしまうので、以下にスピーチから印象に残った部分を抜粋&紹介→
●『なぜこのような悲惨な事態がもたらされたのか、その原因はほぼ明らかです。原子力発電所を建設した人々が、これほど大きな津波の到来を想定していなかったためです。何人かの専門家は、かつて同じ規模の大津波がこの地方を襲ったことを指摘し、安全基準の見直しを求めていたのですが、電力会社はそれを真剣には取り上げなかった。なぜなら、何百年かに一度あるかないかという大津波のために、大金を投資するのは、営利企業の歓迎するところではなかったからです。
また原子力発電所の安全対策を厳しく管理するべき政府も、原子力政策を推し進めるために、その安全基準のレベルを下げていた節が見受けられます。
我々はそのような事情を調査し、もし過ちがあったなら、明らかにしなくてはなりません。その過ちのために、少なくとも十万を超える数の人々が、土地を捨て、生活を変えることを余儀なくされたのです。我々は腹を立てなくてはならない。当然のことです。
日本人はなぜか、もともとあまり腹を立てない民族です。我慢することには長けているけれど、感情を爆発させるのはそれほど得意ではない。そういうところはあるいは、バルセロナ市民とは少し違っているかもしれません。でも今回は、さすがの日本国民も真剣に腹を立てることでしょう。
しかしそれと同時に我々は、そのような歪んだ構造の存在をこれまで許してきた、あるいは黙認してきた我々自身をも、糾弾しなくてはならないでしょう。今回の事態は、我々の倫理や規範に深くかかわる問題であるからです。
ご存じのように、我々日本人は歴史上唯一、核爆弾を投下された経験を持つ国民です。1945年8月、広島と長崎という二つの都市に、米軍の爆撃機によって原子爆弾が投下され、合わせて20万を超す人命が失われました。死者のほとんどが非武装の一般市民でした。しかしここでは、その是非を問うことはしません。
僕がここで言いたいのは、爆撃直後の20万の死者だけではなく、生き残った人の多くがその後、放射能被曝の症状に苦しみながら、時間をかけて亡くなっていったということです。核爆弾がどれほど破壊的なものであり、放射能がこの世界に、人間の身に、どれほど深い傷跡を残すものかを、我々はそれらの人々の犠牲の上に学んだのです。
戦後の日本の歩みには二つの大きな根幹がありました。ひとつは経済の復興であり、もうひとつは戦争行為の放棄です。どのようなことがあっても二度と武力を行使することはしない、経済的に豊かになること、そして平和を希求すること、その二つが日本という国家の新しい指針となりました。広島にある原爆死没者慰霊碑にはこのような言葉が刻まれています。
「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませんから」
素晴らしい言葉です。我々は被害者であると同時に、加害者でもある。そこにはそういう意味がこめられています。核という圧倒的な力の前では、我々は誰しも被害者であり、また加害者でもあるのです。その力の脅威にさらされているという点においては、我々はすべて被害者でありますし、その力を引き出したという点においては、またその力の行使を防げなかったという点においては、我々はすべて加害者でもあります
そして原爆投下から66年が経過した今、福島第一発電所は、三カ月にわたって放射能をまき散らし、周辺の土壌や海や空気を汚染し続けています。それをいつどのようにして止められるのか、まだ誰にもわかっていません。これは我々日本人が歴史上体験する、二度目の大きな核の被害ですが、今回は誰かに爆弾を落とされたわけではありません。我々日本人自身がそのお膳立てをし、自らの手で過ちを犯し、我々自身の国土を損ない、我々自身の生活を破壊しているのです。
何故そんなことになったのか?戦後長いあいだ我々が抱き続けてきた核に対する拒否感は、いったいどこに消えてしまったのでしょう?我々が一貫して求めていた平和で豊かな社会は、何によって損なわれ、歪められてしまったのでしょう?
理由は簡単です。「効率」です。
原子炉は効率が良い発電システムであると、電力会社は主張します。つまり利益が上がるシステムであるわけです。また日本政府は、とくにオイルショック以降、原油供給の安定性に疑問を持ち、原子力発電を国策として推し進めるようになりました。電力会社は膨大な金を宣伝費としてばらまき、メディアを買収し、原子力発電はどこまでも安全だという幻想を国民に植え付けてきました
そして気がついたときには、日本の発電量の約30パーセントが原子力発電によってまかなわれるようになっていました。国民がよく知らないうちに、地震の多い狭い島国の日本が、世界で三番目に原発の多い国になっていたのです。
そうなるともうあと戻りはできません。既成事実がつくられてしまったわけです。原子力発電に危惧を抱く人々に対しては「じゃああなたは電気が足りなくてもいいんですね」という脅しのような質問が向けられます。国民の間にも「原発に頼るのも、まあ仕方ないか」という気分が広がります。高温多湿の日本で、夏場にエアコンが使えなくなるのは、ほとんど拷問に等しいからです。原発に疑問を呈する人々には、「非現実的な夢想家」というレッテルが貼られていきます
そのようにして我々はここにいます。効率的であったはずの原子炉は、今や地獄の蓋を開けてしまったかのような、無惨な状態に陥っています。それが現実です。
原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、実は現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかった。それを彼らは「現実」という言葉に置き換え、論理をすり替えていたのです。
それは日本が長年にわたって誇ってきた「技術力」神話の崩壊であると同時に、そのような「すり替え」を許してきた、我々日本人の倫理と規範の敗北でもありました。我々は電力会社を非難し、政府を非難します。それは当然のことであり、必要なことです。しかし同時に、我々は自らをも告発しなくてはなりません。我々は被害者であると同時に、加害者でもあるのです。そのことを厳しく見つめなおさなくてはなりません。そうしないことには、またどこかで同じ失敗が繰り返されるでしょう
「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませんから」
我々はもう一度その言葉を心に刻まなくてはなりません。』
我々日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった。それが僕の意見です
我々は技術力を結集し、持てる叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求すべきだったのです。たとえ世界中が「原子力ほど効率の良いエネルギーはない。それを使わない日本人は馬鹿だ」とあざ笑ったとしても、我々は原爆体験によって植え付けられた、核に対するアレルギーを、妥協することなく持ち続けるべきだった。核を使わないエネルギーの開発を、日本の戦後の歩みの、中心命題に据えるべきだったのです。
それは広島と長崎で亡くなった多くの犠牲者に対する、我々の集合的責任の取り方となったはずです。日本にはそのような骨太の倫理と規範が、そして社会的メッセージが必要だった。それは我々日本人が世界に真に貢献できる、大きな機会となったはずです。しかし急速な経済発展の途上で、「効率」という安易な基準に流され、その大事な道筋を我々は見失ってしまったのです。』『日本で、このカタルーニャで、あなた方や私たちが等しく「非現実的な夢想家」になることができたら、そのような国境や文化を超えて開かれた「精神のコミュニティー」を形作ることができたら、どんなに素敵だろうと思います。それこそがこの近年、様々な深刻な災害や、悲惨きわまりないテロルを通過してきた我々の、再生への出発点になるのではないかと、僕は考えます。我々は夢を見ることを恐れてはなりません。そして我々の足取りを、「効率」や「便宜」という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはなりません。我々は力強い足取りで前に進んでいく「非現実的な夢想家」でなくてはならないのです。人はいつか死んで、消えていきます。しかし人間性は残ります。それはいつまでも受け継がれていくものです。我々はまず、その力を信じるものでなくてはなりません。』
 6月9日…長いスレッドを再構成した“まとめサイト”は、編集者の手腕で文学に昇華されることがある。この『旧石器時代から現在に近づいてくるスレ』まとめは、50レスごとに次の時代に進み1000レスで22世紀まで行くという着想もユニークだし、編集者がコメントに大ナタを振るっているのでサクサク進み、得も言われぬ疾走感がある。時代が動いていくエネルギーって、一行レスの繰り返しからでも感じるんだな。カタルシスさえある。歴史ファンがクスリと笑える小ネタも多く、ここ数ヶ月で読んだ“まとめモノ”では一番面白かった♪
//自衛隊が開発した“空飛ぶ球体”、リンク先の2分の動画に見入った。SF映画に出てくる追跡ロボットみたいで、こんなの追っかけてきたら涙目になるわ〜。
//前回の『JIN』、めっさ良かった!京都で龍馬が進める大政奉還と、江戸で仁先生が行なっていた“麻酔なしの帝王切開”の赤ちゃん出産シーンを、同時進行で見せる演出にしてやられた。“密度が濃くて2時間くらい見てる気がする”、そう思って時計を見たらまだ30分しか経ってなくて驚いた。残り3話。ついに龍馬暗殺の日がやって来る。
//ドラえもんファンの手による“漫画で読む「ドラえもん最終回」”。16ページの短編。以前から有名だったそうなんだけど、僕は初めて読んだ。これすごく良いですね。サブキャラの個性がちゃんと出ているし、絵のタッチもF・不二雄先生そのまま。最後のコマはこれ以上ないと思えるほどの出来っす。【追記】読者の方から、この作品は5年以上前に発表されたもので、当初は著作権者の小学館・藤子プロ側は黙認していたものの、完成度の高さから“真作”と勘違いした者が続出したため、著作権侵害を通告したという情報を頂きました。裁判は終わり、今は“利益を得ない限り黙認”、という状況のようです。これらを踏まえた上でお読み下さい。
 6月8日…読者の方から6月11日に全国規模で行われる脱原発デモの開催情報サイトを教えて頂きました。リンク先の日本地図から各地の集合時間・場所の詳細にジャンプできます(地図上のバーで拡大すると見やすい)。土曜の天気予報、ちょっと微妙ですね。沖縄はもう梅雨明けしたそう。早ッ!※村上春樹さんがスペインで「日本人は核にノーと言い続けるべきだった」と反原発スピーチを行ったと速報!
//「幸せをはかる“物差し”の種類が、海外に比べて日本は少ない」というコラムに共感。墓巡礼で国外に出る度に思うんだけど、海外には社会(他人)に迷惑をかけずに、自分の思い描く幸福、その人独自の価値観に従い幸せを追求する人が多い。同じ人生は2つとないのだから、幸せをはかる物差しが違って当然。それゆえ、良い意味で周囲の目が気にならない。そして個々人の“物差し”が異なると分かっているからこそ、他者の価値観も自身同様に尊重できる。自分が特別なように相手も特別と考える、健全な個人主義。日本人も良い部分を残しながら、物差しの種類を増やしていければ、他人との差異に追い詰められる人も少なくなると思うんだけどな。
//フォトショップなど画像加工ツールを駆使できる“画像職人”ってホントすごい。先日爆笑したのが「(俳優の)照英が泣きながらiPadにスパゲティを盛っている画像ありませんか?明日の法廷で証拠として必要なんですっ!」という質問に対する答えをまとめたサイト。「照英が泣きながら異星人の投げる地球をアクエリアスのペットボトルで打っている画像ください。これがないと借金が返せないんです!どうかお願いします!」「照英がコンビニの前で猫じゃらしと格闘している画像が至急必要なんです!助けて下さい!」など、絶対にあり得ない状況なのに、証拠写真が次々とアップされる様子は圧巻の一言。質問する側も文章が面白いなぁ。※2枚目の画像だけシモに走ってますが、ああいう子孫繁栄の御神体はホントにあるので(汗)。
 6月7日…大阪で可決された全国初の「君が代起立強制条例」について、反対意見を書いた6/1〜6/4の日記について様々な意見を頂いてます。賛成派の方、僕と意見が異なるにもかかわらず、冷静に思いを語って下さり有難うございます。
/掲示板では賛成派と反対派が3:1。メールでは逆に1:3で僕と同じ反対派の方が多い。反対派の人、勇気を出して公の場でも語りましょう。ネット界では2ちゃんだけ見てると賛成派の声が大きく聞こえるけど、ライブドアブログでは反対派の方が多い。保守の自民党府議団さえ反対しているのは、それくらいヤバい条例だから。大阪の日教組は既に壊滅寸前の弱小組織であり、この問題ではどうでもいい話。
/僕は公務員であっても内心の自由を行政が弾圧する権利はないと考えている。国が過ちを犯すことがあるんだから当たり前。“お上の決めたことには従え”“全員ロボットになれ“なら戦前と一緒。どこの共産国家かって感じ。
/そもそも、何年も文芸ジャンキー・パラダイスで芸術家や文学者という内面の表現者を熱烈に支持し、応援してきた僕が、こんなファシズム国家のような条例に賛成できるわけがない。歴史上、思想の自由を権力者から守る為に、いったいどれだけ多くの人が殺されてきたか。何千、何万というレベルじゃない。やっと『思想及び良心の自由は、これを侵してはならない』と憲法に刻めるとこまできたんだ。何度でも言う。「他者の心の自由を奪う法令に安易に賛成しちゃダメだ」「多数派が数の力で少数派を排除しちゃダメだ」と。(不起立教師は日本が嫌いだから君が代で立てない訳じゃない。戦前の教育者が君が代を利用して若者を戦争に送った事実があるため、教育者であればこそ、こだわりとなって晴れの場で歌えない。みんな悩んでる。そういう人を、“お前の愛国心は間違いで俺の愛国心が正解”と抑圧するやり方は、成熟した民主国家のやることじゃない)
 6月6日…スヌーピーが活躍する『ピーナッツ』の作者、チャールズ・シュルツさんの墓巡礼記を大幅に加筆しました。アメリカの警官と友達になったという点でも、僕の24年間の墓参人生で最も印象に残った巡礼のひとつデス!/幕末四大人斬りと呼ばれる、土佐藩の岡田以蔵、肥後藩の河上彦斎、薩摩藩の中村半次郎、同じく薩摩の田中新兵衛のうち、これまで未墓参だったと田中新兵衛と河上彦斎の巡礼レポートをアップしました。田中新兵衛が眠る京都・即宗院は薩摩藩の公式菩提寺であり、幕末から維新にかけて他界した薩摩藩士の墓が多い。一般非公開のお寺なので、資料としても貴重かと。河上彦斎は『るろうに剣心』の主人公剣心のモデル。お墓は東京の池上本門寺です。
//政府の国家戦略室がまとめたエネルギー戦略素案の結果は「原発推進姿勢を堅持」。ズッコケまくり。嫌な予感はしていた。浜岡原発が止まった後、他にも活断層に隣接している原発はたくさんあるのに、政府からは「早期稼働再開」の話しか聞こえてこなかった。結局、民主党も原発の推進路線から離れられない。原発事故を起こさず地震も少ないドイツが脱原発を決定したのに、四方を海に囲まれ、地震だらけの日本が今後も推進していくってマジなのか。今すぐ全廃しろなんて言わない。せめて、「これ以上は建設せず、自然エネルギーを導入しながら徐々に廃炉にしていく」くらい言えないのか。(ウランだって埋蔵量は限られている)
/福井の敦賀原発で配管に33カ所も穴があき、そこから微量の放射性ガスが外部に漏れた。驚いたのは1987年の運転開始から、一度もこの配管を点検してこなかったこと。この手の話ばかり。
/震災から3ヶ月目となる6月11日に、新宿で脱原発の大規模デモがあるとのこと。ヨーロッパ型の明るいカーニバルのような“サウンドデモ”といい、これは4月に山本太郎さんが参加したやつだと思う。関東圏在住で上記リンクの開催趣旨に賛同できる方は、ぜひ意思表明をされては。
//今週の少年ジャンプ、『ナルト』『ワンピース』『バクマン』全部当たりだった。ナルトは2年くらい前から、憎しみの連鎖をどうやって絶つかという大きなテーマに入っていて、ワンピースの方も同様のテーマを最近描き始めている。岸本先生、尾田先生が、どのようにこの解決策が簡単に見つからない問題に答えを提示していくのか、目が離せない。今回メモった良いセリフ。/「私の人生に勝手に謝らないで!!捨てたもんじゃないのよ?今楽しいもん」(『ワンピース』)/「父ちゃんは…四代目火影は“失敗”なんかしてねぇ!!!」(『ナルト』)。後者は読者じゃないと意味が分からないけど、『ナルト』を読んで久々に落涙。子どもにこう言われる親になりたい。心底、そう思う。
 6月5日…5/21のNHKニュースによると、アメリカ上院のレビン軍事委員長やウェブ議員(東アジア太平洋小委員長)が、普天間基地問題の解決策として、嘉手納基地の航空戦力の一部をグアムなどに移したうえで、普天間と嘉手納の両基地を統合する案を提言した。レビン軍事委員長は4月に沖縄を訪れており、地元の根強い反対意見に触れ、また東日本大震災で日本側に膨大な財政支出が見込まれることから、5/11の時点で「(従来の日米合意は)非現実的で、実現不可能、財政支出不能な計画」と批判していた。その後、沖縄県の仲井真知事が、嘉手納基地の早朝夜間の騒音発生回数が昨年度5320回を記録し過去最高になっていることを踏まえ、“統合すると今度は嘉手納周辺の人々がさらなる苦しみを背負うことになる”と同案を否定。それを受け、嘉手納の一部をグアムに移し、普天間部隊を嘉手納に移す玉突き移動をすることで、実質的には負担増にならぬよう工夫すると新たに提案したんだ。これは「乗った!」と食いつくべき。日本側はこういう議員とドンドン会って米政府を動かしていかないと。レビン議員と会った前原前外相は「同案を前向きに捉えたい」と言ってるけど、まったく同じ日のニュースで「辺野古移設を推進」って真逆のことを別の米議員と確認していたので(なんじゃそりゃあああ)、ちゃんとレビン案を進めるのか注視したい。
//非暴力で独裁政権を倒したチュニジアやエジプトの人々。一方、これまでずっと武力闘争を続けてきたアルカイダ。僕はビン・ラディンがどのように中東革命を見ているのか知りたかった。平和革命を支持することは、テロ活動を繰り返す自分たちを否定することになるからだ。先日公開された、彼が殺害される一週間前に録音した声明は、“非暴力は生ぬるい”といった発言はなく、民衆デモを称え、「革命の太陽が昇り、チュニジアに光が差した。国に平穏をもたらし、人々を幸せにした。すぐにエジプトの勇士たちを鼓舞し、為政者たちを恐れさせた」「変化の風はすべてのイスラム諸国で吹くだろう」とし、“各国の民衆デモを支援する新たな組織づくりせねば”と促していた。テロをしても民衆はついて来ないと気付いたのだろうか。実際、中東革命以降、過激派は急速に人々の支持を失っているときく。一連のこの流れを見て、アメリカの有名な政治風刺コメディアン、スティーブン・コルベアが、こんなことを言っていた。「ブッシュはテロリストを殺すことでアラブを民主化しようとしたが、実は彼は順番を間違った。アラブが民主化したら、テロリストを殺すことができたのだ」。/シリア全土で大規模デモがあり、治安部隊の発砲で120人が死亡したと報道されている。子どもが拷問死したという疑惑は民衆の怒りに火を注ぎ、サダト独裁政権崩壊のカウントダウンが本格的に始まった感がある。イエメンでも2日前に大統領が出国しており、もしかするとリビアよりも先にシリアやイエメンで民衆が勝利するかも。
//自転車に乗って下り坂をノーブレーキで自由加速するとき、鳥になったような開放感と、コケたらシャレにならんという緊張感に包まれ、なんとも言えない高揚感がある。でもそれは見晴らしの良い、無人の広い坂道限定。昨夏に石清水八幡宮で開催されたダウン・ヒルのレース映像(1分50秒)は、石段という狭く不安定な場所でペダルを漕いでることにおったまげた。こんなの絶対ムリ!速攻でバランスを崩してしまう。ゴールまで行けるだけでスゴイ。あと、南米のどこかの街を下っていくタイムトライアルも、途中でジャンプ台があったりあり得なさすぎる(3分)。なんちゅう剛胆な野郎たち!
 6月4日…(「国歌起立条例反対」・その4/ラスト※6/1が最初)
/卒業式で、その日一曲歌わないだけで、何十年も毎日授業をやってきた教師をクビにしようとか、再雇用させないとか、その発想はあまりに時代錯誤だ。どうして「ああ、この人は歌わない人なんだな」で終わらず、“厳罰を与えよ”になってしまうのか。起立強制派は、国旗国歌に反対する自由が日本にあることが許せないのか。思想の自由がある民主国家では気に入らないのか。北朝鮮のようにしたいのか。僕は橋下知事の脱原発発言を高く評価しているし、市民目線に立った発言に何度も拍手を送ってきた。それだけに、この「君が代起立斉唱」>「思想・良心の自由」という判断が残念でならない。
憲法94条には「地方公共団体は“法律の範囲内”で条例を制定することができる」とある。僕にしてみれば明確に第19条「思想及び良心の自由」の保障に違反しているのだから、起立条例可決はあり得ない。教育基本法16条1項でも、教育に対する“不当な支配”を禁止している。憲法99条は「公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」とあり、憲法違反の通達や条例に従ってはならぬとある。この視点から見れば、不起立教師は憲法を忠実に守っている。良心に基づく不起立教師と、それを免職という言葉で脅迫して意に従わせようとする権力者。思想の自由を認めない為政者は、中東の独裁者や金正日と同じだ。橋下知事はあんなに猛烈に金正日を叩いているのに、やってることが重なるのは本人としても不本意ではないのか。
/旧日本軍の首脳はアジア解放を大義名分にする一方で、補給線を極端に軽視し、兵士の食糧は現地調達を基本にしていた。日本軍に身内を殺されたり、少ない食糧を徴発され飢餓に苦しんだ人は、日の丸や君が代にトラウマ的な負のイメージを持っている。肉親を殺されたアジア、特に中国の人々にとって、日の丸や君が代は侵略のシンボルであり、そのような人たちにすれば、橋下知事がやろうとしていることは、ドイツにおいて卒業式でナチの軍旗を掲げて旧ドイツ国歌やナチ式敬礼を教師に強要するのと同じように映るだろう(日本人には全く異なるものでも)。これは想像力の問題なんだ。そういう被害者の感情に共感できる人を、共感できない人が罰しようとしているわけで、これはあまりに理不尽すぎる。「60年以上昔のことでも、いまだに苦しんでいる人がいるかも知れない」、こう想像することは人間として大切なこと。加害者にとっては「過ぎた話」でも、被害者にとっては現在進行形の苦しみで、まだ歴史の1ページなっていなんだ。
学校という場所は、世間にはいろんな考え方があることを学ぶ所でもある。式典進行を妨げる行為をするなら問題だけど、立たない教師がいたところで何が問題なのか?様々な教師がいることを各家庭で親が話せば良いし、子どもにとっても「あの信念はどこから来るのだろう」と戦争について考えるきっかけになる。
愛国心を育むのは歴史教育でなく、現在の世の中のあり方。“自己責任”という言葉で弱者を切り捨てる社会、汚職に手を染める政治家や天下り先確保に奔走する官僚、利益のためなら経営倫理などどこ吹く風の大企業、サービス残業で疲れ果てた親、先進国では類を見ない自殺大国、こうした問題を改善するのが最優先なのに、教師を強制的に起立斉唱させても、それをもって子どもが国に誇りを持つとは思えない。恒常的な大人社会の腐敗を正すことこそが何より重要。愛国心を国民に強要することで国家の体を維持しているような国は、そんなことでしか求心力が保てないわけで、先があまり長くない。
/最後に。思想・信条の自由、表現の自由は何世紀にもかけて民衆が獲得してきた大切な権利だ。これを手に入れるためにどれほど多くの命が消えていったか。そんな簡単に手放していいものじゃない。保守論客で国旗・国歌に敬意を払えと言っている人に、自分と意見の異なる人に敬意を払えない人がなんと多いことか。君が代強制への拒否はマナー違反でも非常識でもなく、憲法で正当に保障された思想・良心の自由という権利。その大切な自由をワガママだと思い込まされている人に言いたい。他者の心の自由を奪う法令に安易に賛成しちゃダメだ。僕のような“風変わりな”愛国者を容認するのか、法を作って駆逐するのか。日本は前者であって欲しい。思想が一色に染まってる方が不健全だ。
【補足】
※昨日、全国初となる教職員への「君が代起立斉唱条例」が大阪府議会で採決された。公明、自民、民主、共産の4会派が一致して反対したけど、過半数を占める維新の会などの賛成多数で可決された。賛成59票、反対48票。あと、もう少しだったのに…無念。条例の正式名は「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」とのこと。今後、この条例の合憲・違憲をめぐる憲法判断に入っていくだろう。※春の統一地方選では“大阪維新の会”のマニフェストに「君が代起立条例」はなかった。府民は地域活性化や財政改革の手腕に期待して維新の会に投票したのに、選挙後の最初の議会に出してきた重要条例案の一つがマニフェストにない「君が代起立条例」って、それは違うだろう。知事は「不起立教師の存在を知って」提出したというけど、反骨教師がいるのは何年も前から分かってたハズ。条例にするなら全候補者のポスターに「“維新の会”は全教師の内心の自由を否定し、国旗に向かって強制的に起立斉唱させます。どんなに真面目な先生でも国歌の45秒間座っていれば問答無用でクビにします。不起立の理由が侵略戦争の過ちを繰り返したくないという思いでもクビ、逆らえば全員クビ」と書いてよ。府議会第2会派の公明党は、これまで党是に掲げてきた平和・人権を今こそ前面に出し、知事に抵抗して欲しい。※日中戦争について一言。保守派は「中国側から満州とか上海租界に攻撃してきた。侵略を始めたのは中国」という。実際の最初の攻撃はどっちとか、そこに日本軍がいた事実はスルーしたとして、たとえ正当防衛であったとしても、はるか内地の南京や重慶まで攻略するのは理由として無理があると僕は考えている。大陸だけで100万人も兵を送っているわけだし。「中国を支配せねばロシアが攻めてくる」論にしても、あのタイミングでロシアが日本列島侵略まで考えていた明白な証拠(文書)って、まだ見たことない。
※保守の一部は今も“日教組憎し”と息巻いているけど、既に体制側に全面降伏したボロボロの日教組を相手にいつまでシャドーボクシングしているのだろう。日教組は1995年9月の定期大会で、「学習指導要領を認める」「最高議決機関は職員会議でなく校長」「任命主任制度への反対闘争を終結」「日の丸・君が代強制への反対闘争の棚上げ」という文部省(当時)との協調路線を宣言し、最盛期に約9割あった組織率は、今や3割以下になっている。今春、大阪で不起立を貫いた38人の教師はラストサムライ。
※かつて日本がファシズムに走ったとき、多くのメディアは警鐘を鳴らさなかった(むしろ煽った)。今回の「国歌起立強制条例」や最高裁の「職務命令・合憲判断」に対しては、以下の報道機関がちゃんと反対意見を社説に載せたことを、未来の日本人のために記録しておく。→朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、中日新聞、北海道新聞、沖縄タイムス、琉球新報、信濃毎日新聞、西日本新聞、中国新聞、徳島新聞、南日本新聞。また、反対声明を日弁連と大阪弁護士会が出した。
 6月3日…(「国歌起立条例反対」つづき・その3)
/若い人に知って欲しいんだけど、「日の丸」「君が代」は1999年まで法律上の“国旗・国歌”じゃなかった。1985年の調査では、大阪府下で卒業式に君が代を斉唱した高校はゼロ(!)。法律が可決されたのは、公明党が自民と蜜月関係になっていく過程で、賛成票を投じたからだ。僕はこの時、公明党を支持している友人に疑問をぶつけた。「創価学会の創立者、牧口常三郎さんは戦時中に不敬罪で検挙されて獄死し、幹部は根こそぎ逮捕され、機関誌も廃刊命令を受け大弾圧されたのに、なんで国旗国歌法に協力するんだ」。友人いわく「自民がタカ派路線を突っ走らないよう、公明が側でブレーキをかけてるんだ。その証拠に、小渕首相は可決されても強制しないと言っている」。実際、国旗国歌法をめぐる衆院本会議で、小渕首相は「政府は国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません」と答弁していた。野中官房長官も「強制的ではなく、自然に哲学的に育まれていく努力が必要」と考えを示した。でも、僕はめちゃくちゃ不安だった。すぐに拡大解釈されはしないかと。
懸念は的中した。今や処罰が当たり前になった。各地の教育委員会は法制化を理由に、全国の公立学校で日の丸掲揚、君が代斉唱を強力に押し進め、法制化からたった4年で卒業式での実施率がほぼ100%になった(特に都教委@石原は04年春の卒業式で193人を懲戒処分する徹底ぶり)。国旗国歌法に罰則がないのに、条例や地方公務員法を根拠に罰しようとする。懲戒となった教員は担任から外されるなど露骨な報復を受けた。「公務員なんだから職務命令を守れ。従えないなら民間企業に行け」、このような論理だけが前面に出て、過去の戦争や天皇神格化を反省するという教師の思いは微塵も考慮されなくなった。
/橋下知事はツイッターで「公務員なら君が代に敬意を払え」と府内1701校の教員約5万5500人に対し、一方的に意見を押し付けるだけで歴史的背景に目を向けようとしないし、「身分保障に甘えるな」と見当違いの批判をしている。不起立教師をワガママな駄々っ子としてしか見てないことに驚くばかり。「これは君が代問題ではない。教員は職務命令を無視できるのか?の問題」と言うが、その職務命令が内心の自由を保護する憲法とモロにぶつかっている事実を見ようとしない。式典の進行を妨害した訳でもないのに、「起立は社会常識」として“ルール違反者”のレッテル貼りで問題をすり替えている。国民の義務は納税や勤労であり、国歌斉唱での起立じゃない。僕の学生時代は日の丸・君が代がなくても、粛々と卒業式は行われていた。むしろ強制が始まってからあちこちで混乱が出ている。教育委員会は卒業式に監視員を送り、着席している生徒が多い学校は、「しっかり指導しろ」と校長に圧力をかけるという話も聞く。それが本当なら、生徒への間接的な強制になっており、橋下知事の君が代起立条例が、なし崩し的に生徒や保護者に適用されていかないか心配だ。
/既に大阪では処分覚悟で不起立を貫く教師は激減し、今年4月の入学式で不起立だったのは府立高校教員約9千人中わずか38人だ。橋下知事はこの38人を目の敵にし、秋の府議会で「3回違反で免職(クビ)」条例を通すつもりだ。ちなみに都教委の場合は不起立1回で戒告、2回で減給、3回で停職。橋下案は“免職”なので石原知事顔負けの厳罰だ。今年3月に東京高裁は日の丸・君が代をめぐる教職員167人の処分を「懲戒権の乱用」として取り消す判決をしている。この時はまっこと嬉しかった。ビバ・デモクラシー。しかし、卒業式でただ一度だけ起立を拒否して戒告処分を受けた元教諭が、定年後に不起立を理由に再雇用を拒否された事例(他の不祥事でもっと重い処分を受けた教員は採用された)では、5/30に最高裁が「秩序の確保が必要であり校長の職務命令は不当ではない」と元教諭の訴えを退けた。内心の自由の問題を素通りした判決に失望。職務命令は合憲とだけ論じ、不採用の当否は判断しなかった。
“秩序の確保”とはなんぞや。45秒間黙って座っていただけで、他人の斉唱を邪魔していない。まして演奏を中止させた訳でもない。思想弾圧もいいところ。最高裁に対しては昨年8月にノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さんや作家の赤川次郎さんら506人が、都教委の日の丸・君が代強制を批判した上で、「人権保障の最後の砦として、最高裁判所がその名にふさわしい人権感覚のあふれた判決を」とアピール文を発表していたのに、その声は届かなかった。ただ、判決の補足意見で「強制が教育現場を萎縮させるのであれば、教育の生命が失われることにもなりかねない」とは付いた。それが分かってるなら原告勝訴でいいじゃないか。少数者の権利を保護することは司法の大切な役割であるはず。
(つづく・その4/ラストへ)
 6月2日…(「国歌起立条例反対」つづき・その2)
日本国憲法憲法19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」。この美しい条文とその精神を守る為、橋下知事による教員への「君が代強制起立条例」に反対する意見を書きたい。誤解がないよう先に書いておくけど、僕は日本各地にある歴代天皇124代の墓をすべて墓参し(北朝の天皇まで墓参)、鹿児島・知覧(神風特攻隊基地)や靖国神社・遊就館で、ゼロ戦や人間魚雷「回天」で散った若者の遺書に涙し、ニューギニアやトラック諸島など南方戦線を訪れ戦跡(日本兵慰霊碑)で合掌し、沖縄でも海軍司令部壕や守備隊自決の地を訪れ、ロシアではシベリア抑留者墓地に墓参し、頭山満や北一輝にも墓参し、皇居で催された今上天皇御即位二十年記念特別展に大阪から足を運び、中国のチベット抑圧に反対するためダライ・ラマ法王日本代表部でいろいろ勉強し、能や歌舞伎、文楽といった日本の伝統芸能、そして浮世絵や仏像彫刻など日本美術をこよなく愛し、様々な日本文学を読み、邦画では黒澤映画全作品を鑑賞するなど、文化・芸術面も含めて日本への愛は筋金入りだ。建国記念日に橿原神宮(神武天皇の皇居跡)に行くなど、行為だけを見れば右派そのもの。っていうか、右翼でも全天皇陵を墓参した人はそう多くないだろう。
その一方で、対米戦争は防衛戦争であったとしても、中国を攻めたことを侵略行為と考えてるし(調べれば調べるほど侵略)、朝鮮民衆への“三・一運動”弾圧は黒歴史だし、皇室への敬意は守り継がれた文化の保持者としての敬意であり、作られた身分差別としての皇族崇拝に違和感を持っているので(子どもにまで“さま”とか敬語を使うのはやり過ぎ)、僕のような人間は戦時中なら「非国民」として獄中行きだ。こんなに日本を愛しているのに、僕の“愛し方”ではダメなのだ。権力者の望む愛し方だけが“正解”であり許される。だが、過去の負の部分をなかったことにして、都合の良いことだけを教えるなら、文化大革命や天安門事件をスルーする中国共産党と同じだ。
/不起立の教師は日本を愛してない訳じゃない。保守の人には理解してもらい難いけど、むしろ日本を愛しているからこそ簡単に立てないんだ。国旗と国歌だから抵抗しているんじゃなくて、かつて侵略戦争の象徴だった日の丸と君が代だから葛藤している。戦時中に教師は国家・天皇への忠誠をうたって子ども達を戦地に送り出した。「君が代」の“君”は、元歌では恋人という説もあるけど、戦時中は明らかに天皇だったし、国歌法制化の審議でも政府統一見解で「天皇と解釈するのが適当である」となっている。「オリンピックやワールドカップで君が代を歌えるなら、教育現場でも君が代を歌えるだろ」とか、そういう単純な問題じゃないんだ。「日本だけが悪いんじゃない」「どの先進国も侵略行為をやっていた」という意見もあるけど、本来の日本人の美徳ってそうじゃないだろう。それは盗人猛々しいというもの。たとえ同じ事をした連中が言い訳しても、自分に過ちがあれば潔く謝罪するのが日本人の美学だ。僕は自分の子どもの担任には「みんながやってたから罪はない」と開き直る人より、過去の過ちをちゃんと見つめて反省し、未来への教訓としていける人間になって欲しい。都合の悪い事実から目を逸らさないというプライドの問題でもある。欧米諸国が自らの植民地でやったことを知らん顔しても、日本だけはちゃんと迷惑をかけた国の人々に真心が伝わるよう謝罪して、より深い意味で“美しい国”になって欲しいんだ。これは自虐なんかじゃない。そんなことで日本に自信がなくなったり、愛国心が消えはしない。過去を反省しない方が、恥ずかしくて日本に自信を持てない。(つづく・その3へ)
 6月1日…橋下知事率いる“大阪維新の会”が府議会に提出した、「国歌斉唱時に教職員の起立を義務付ける条例案」の採決が、3日に迫っている。知事は「この条例が可決されると、次は罰則条項を盛り込むつもり」と公言している。斉唱時に起立しないと罰則なんて、そんなの普通の民主主義国家じゃあり得ない。内心の自由や基本的人権を制約するめちゃくちゃ重要な条例なのに、府の本会議に提出されたのが5/27、採決が6/3。たった1週間では論議を尽くすことは到底不可能。第一、多くの府民は採決が迫っていることを知らない。維新の会は議会多数派なので成立される可能性が大。“愛国心”についてネットで語ると議論がヒートしやすいので、慎重に言葉を選び、橋下派の人にも受け入れられるような反対論を目指し、いま急いでキーを叩いてます。
//現在の天皇陛下が、教育現場での国旗国歌の強制に反対した有名なエピソードを紹介。2004年10月28日、当時の東京都教育委員・米長邦雄氏が赤坂御用地の園遊会で陛下と交わした会話。
陛下:教育委員会として本当にご苦労さまです。
米長:はい、一生懸命頑張っております。
陛下:どうですか?
米長:日本中の学校に国旗を揚げて、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます。
陛下:ああそうですか。
米長:今、頑張っております。
陛下:やはり、あれですね、強制になるという事でない事が望ましいですね。
米長:ああ、もう、もちろんそうです。本当に素晴らしいお言葉を頂きまして有難うございました。
(国歌起立問題、明日に続く)
//昨日の日記で「福島県知事と宮城県知事は早く水道の数値を測定をすべき」と意見を書いたのですが、その後読者の方から測定結果が出ていることを教えて頂きました(日記の最後に追記)。自分の調べ不足で両知事を責めてしまい申し訳ありませんでした。
 5月31日…生活基盤を考えると、誰でも簡単に引っ越しできないため、退避の話題は被災地の人を追い詰めやすく、非常にデリケートな問題だ。
/しかしながら、チェルノブイリ事故のとき、隠ぺい体質のある旧ソビエト政府でさえ、年間5ミリシーベルト以上の地域は強制退避させていた事実がある。日本政府は年間20ミリシーベルトを計画的避難区域の基準にしており、「甘すぎる」と国際社会から批判されている。旧ソ連の年間5ミリシーベルトを時間当たりに平均化すると、毎時0.57マイクロシーベルト。福島原発事故の約1ヶ月後の放射能マップを見てみると、福島県の半分ほどが0.5マイクロ以上の避難レベルであり、人口の多い福島市や郡山市はチェルノブイリ退避基準の約4倍にあたる2マイクロ以上になっている(現在はもっと下がっているはず。信頼できるものを探しているところ。行政の発表は地上18mで測定していたり不正確すぎる)。放射線が子どもに対してどれだけ危険かは、小出先生の解説動画(11分30秒から3分半を参照)が分かりやすい。50歳以上の人間と比較すると、0歳児が受ける放射線の影響は約300倍だ。だからこそ、一般の大人はともかく、妊婦と子どもだけでも安全な場所に政府が責任を持って避難させるべきだと思う。数多くの研究報告がチェルノブイリ後の癌の増加を示し、疫学的な測定結果の裏付けもある。
/「(いま)何も行動しなければ、僕は自分を許せない」と、俳優の山本太郎さんは今月23日に、文科省の前で福島県の親たちと一緒に、“子どもが受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下にすべき”と訴えた(当日の画像)。これらの運動が行政を動かし、27日に文科省の高木大臣が会見を開き「福島県の学校に通う子どもが受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下にすることを目指し、毎時1マイクロシーベルト以上の線量のある学校に対しては費用の支援もおこなう」と発表した。“子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク”の代表者いわく、「福島出身でもない山本さんが、わたしたちと一緒に声をあげてくれたことは本当に心強かった。わたしは彼に、勇気を出してくれてありがとう、と言いたいです」。国の原子力政策や原発のずさんな管理体制に文句を言う芸能人はいるけれど、実際に文科省の前で抗議運動する人はいない。以前、山本さんは「(原発)反対。って言うと、芸能界で仕事干されるんです」と言っていた。そして先日、所属事務所を辞めたことを明らかに。
/先の文科省の「新目標1ミリシーベルト」宣言は喜ばしいけれど、あくまでも“学校で浴びる放射線量”であり、学校以外は含まれていない。山本さんは福島の子どもたちを疎開させるべく立ち上げられたプロジェクト『オペレーション・コドモタチ』で、福島の親たちに疎開を呼びかける7分半に及ぶ動画を公開した。動画の中では「親のエゴで無理心中させるな」と、かなりキツイ表現を使っている。当然、反発も多い。「郷土愛があって復興しようと行動している被災地の住民に対して、後ろから鉄砲を撃つような行動だ」「このようなキャンペーンは、いたずらに風評被害を助長し結果的に被災者に迷惑をかけてしまう」「引っ越し出来ない事情を抱えた親をさらに苦しめる言葉だ」「発信力があるのだから、もう少し節度のある行動をとれ」など、色々批判されている。果たして山本さんの行動は“節度がない”ものなのか?
/防災というものは、危険を大きめに評価し、最悪の事態も考えて、先手をうって対策をとるのが大原則。もし被害を過大に評価していたことが後で分かれば、“対応が過大だったけど、人命が失われないで良かった”とみんなで胸を撫で下ろせば良い。今回の様な大事故は日本では初めてなので、本当の怖さはまだ誰も分からない。もしこのままチェルノブイリの退避基準を超える地域に住んでいる人が、数年後に健康被害が出たときに、山本さんを批判している人はどのように「責任」をとってくれるのだろう。それに山本さんは「ずっと離れろ」と言ってる訳じゃない。「収束するというなら、その時まで一時的に疎開しましょう」と訴えているんだ。彼は実際に郡山市など各地の避難所を回り、現地の状況も見ている。けっして安全な場所から文化人気取りで無責任なメッセージを流しているんじゃない。ネットで彼に対する酷い中傷を見ると、妊婦や子ども達を安全圏に避難させない行政にその怒りを向けるべきではと、やりきれない気持ちになる。
※原発事故はいまだに新たな問題が次々と出てくるし、被災地の人は極度の精神的疲労感から「もう放っておいてくれ!」となるのは当然だと思う。ただそれでも、妊婦や子ども達に何かが起こってからでは遅いため、疎開について国民レベルで考えていかなくちゃいけないと思う。
※福島県と宮城県は水道の放射能濃度が「計器の故障」を理由に、事故から2ヶ月半経った今でも数値が公表されてないのが心配。【追記】読者の方から別サイトでそれぞれ数値が公開されており(福島の水道 / 宮城の水道)、しかも安全基準内であることを教えて頂きました。本当に良かった!情報を有難うございました!
 5月30日…昨日、東京上野(日暮里)で開催された谷中霊園巡墓会、往復夜行バスの強行軍だったけど、本当に参加して良かった!一行は約25人。5人のガイドさんが「幕臣」「新選組」「旧華族」「抜刀隊(西南の役)」「徳川家」など、得意分野を役割分担して語るという本格的な巡墓会(行程3時間半/天候・台風)。谷中霊園には何度も訪れているけど、基本的に画家、作家、俳優などを中心に巡礼していたので、この日初めて墓前に立った墓が7割以上。特に印象に残った墓&人物は次の通り。
・薩長に刃向かった彰義隊の黒幕で、新政府に捕らわれてから絶食死を選んだ覚王院義観(寛永寺執当)
・大久保利通の暗殺後に自首し、斬首前に故郷・金沢の方角に向かって三拝九拝&母親に先立つ不孝を詫びた長連豪
・西南戦争の田原坂の激戦で、警視隊による斬り込みを敢行した上田良貞。上田が率いた100余名の警視官=抜刀隊は、あえて銃を持たずに刀だけで薩摩の敵陣に乗り込み撃破した。
・戊辰戦争で官軍に敗れて自刃した渋沢栄一の養子・渋沢平九郎
・西南戦争終結時の鹿児島県令(知事)岩村通俊。岩村は敗北した薩摩武士の墓を建てる際、西郷の墓を墓地の中心に置き、生存者の証言を参考にして、西郷と親しかった者から順番に周囲に墓碑を並べた。
・土佐藩士で“あの”吉田東洋の息子・吉田正春
・25歳の若さで老中に抜擢された、開国派の阿部正弘。黒船ペリーの対応策を諸藩から募る。篤姫と家定の婚姻を実現。
・8代将軍吉宗の次男から続く田安徳川家の歴代墓
・薩長同盟実現の為、龍馬と共に桂小五郎を下関で説得した黒岩直方※正面に吉田茂の実父の墓があった
・鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞の子孫で新田勤王党の首領・新田俊純
このように、人選がとにかく渋い!故人への深いリスペクトが炸裂し、長丁場でもユーモアを忘れないガイドさんのトークに聞き惚れた(雨が横殴りになると傘を捨てて熱弁!)。配布された手作りのテキストも充実しており、ウチのサイトでも開催前日ではなく、もっと前から宣伝すれば良かったと後悔。谷中には数多くの著名人が眠っているため、第2弾を今年11月に開催するとのこと。万難を排して参加したい!
/私事だけど、昨日の巡墓会に「中学生の頃から10年近く文芸ジャンキーを読んでます」「白鯨やロシア文学、芸術に触れるきっかけになった」という青年がいて、涙がチョチョ切れるほど嬉しかった。サイトを更新する度に、“どうしてもっと感情をうまく言葉に出来ないのか”と、己の文才のなさに心が折れそうになっているので、10年も読み続けてくれている人の存在は、もう有難すぎて(涙)。最近いろいろ疲れてたんですが、FFのラストエリクサーを飲んでる時にドラクエのベホマズンをかけられたくらい回復した(笑)。※彼(O君)との会話で気づいたんだけど、いつの間にかサイト12周年の5月12日が過ぎてた!例年は“本日で何周年”とか書いてるのに、今年は浜岡原発の話題オンリー。それくらい浜岡停止が嬉しかった。
//俳優の山本太郎さんの脱原発運動のこと、もうちょい情報を集めてからコメントしますね。あと、君が代問題@橋下知事のことも、大阪府民として早くコメントしないと。“愛国心”には色々なカタチがある。それにしても、関西の“文化人”の沈黙ぶりには恐れ入る。
 5月28日…急ですが、今夜の夜行バスで上京し、明日(日曜)午後1時からJR山手線「日暮里」駅前の谷中霊園で開催される巡墓会に参加します!幕末に活躍した先人たちを偲ぶ巡墓会。定員30名とのことですが、まだいけるそうなので、歴史好きの方、是非申し込まれてみませんか(公式WEB)。参加費は1500円とのこと。昨秋、染井霊園編に参加したのですが、めちゃくちゃ勉強になったし、知的好奇心が満たされました。それで今回、台風で中止になるかも分からないのに、夜行バスに乗り込む次第デス!
/次回の更新は30日。
 5月27日…(電力会社と知識人・ラスト※25日が最初
/僕は原発事故から1ヶ月ほどずっと疑問だった。どうして原発推進派はドヤ顔で「放射線はそんなに怖くない」と主張できるのか、その自信はどこから来るのかと。勝間氏や保守論客の論拠を想像してみるに、以下のような“権威ある専門家”の言葉を信じているからじゃないだろうか。
●山下俊一・長崎大大学院教授「放射線の影響は、ニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます」(山下教授は文科省「原子力損害賠償紛争審査会」委員であり、福島県に委嘱された「放射線健康リスク管理アドバイザー」でもある)
●中村仁信・阪大教授(放射線防護委員会委員長)「低い放射線は体に良い。活性酸素が増えるだけ
※近藤誠・慶大医学部講師による反論「専門家なら“低線量被曝でも発がんの可能性あり”と明言すべき」
●長瀧重信・長崎大名誉教授は首相官邸HPで「チェルノブイリの明確な犠牲者は28人」と主張※極端な過小評価!
●稲恭宏博士「福島原発の敷地内にそのままの服装で入っても問題ない。逆に体の疲れが取れて元気になる」
※稲博士(動画)についてはコチラのブログで論議されている。
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さて。3日にわたったこの話も最後の核心に。今度は原発推進派の学者を“擁護”してみる。チェルノブイリ事故の犠牲者数について、現地の科学者らは最新の論文で、約100万人という膨大な人数を報告している。しかし、原発推進派は旧ソ連政府が発表した犠牲者「33人」や、IAEA(国際原子力機関)が公式発表している「4千人」という人数だけを信じ、また、近年多発している各種の癌、白血病については、「因果関係が認められない」という公式見解のみを受け入れている。だから、「放射線はそんなに怖くない」という結論になる。しかし、NHK『終わりなき人体汚染』『汚された大地で』を見れば、事故と癌患者の因果関係は明白だ。旧ソ連政府はメンツの問題&医療補償費を抑えるために被害者数を少なくしようとするし、原発作業員の追跡調査も資金難を理由に9年で終了している。また、IAEAも原子力を推進する立場であり、不利な情報を認めようとしない(IAEA自体が利権団体)。僕はここにチェルノブイリ事故の事故調査委員長で「汚染地帯の住民には放射能による健康影響は認められない」と報告した重松逸造氏の名前を出したい。このブログによると、重松氏は水俣病の調査責任者で、「水俣病被害者とチッソの因果関係はない」と発表した人物。イタイイタイ病の原因調査でも「発症過程とカドミウム中毒の関連性は見つからず」と報告。原爆の“黒い雨”についても、調査責任者として「人体影響を明確に示唆するデータは得られなかった」。重松氏が調査すると、ことごとく国家に都合の良い結果になってしまう。だが、重松氏は16年間も広島の放射線影響研究所の理事長を勤めた放射線の専門家。いくらなんでも、チェルノブイリで無責任な調査はしないだろうと思いきや、ジャーナリストの広河隆一氏が現地取材をした番組(7分52秒)で唖然となった。
●要約
・1990年(事故4年後)にIAEAの調査団がチェルノブイリ近辺を訪れ、翌年に事故調査委員長の重松氏が「住民の健康被害はまったくない」と発表。
・だが、実際には原発の北隣りの町に住んでいる子どもの甲状腺癌は平均的な発症率の7800倍だった。
・現地の放射線医療研究所のドロズド医師「子どもの健康と放射線が因果関係があるのは、放射性ヨウ素の分布図を見れば一目瞭然。IAEAの調査責任者・重松委員長は調査不足」
・国連の機関、しかも広島の医学者がリーダーだから公正な調査があると信じていたのに安全宣言が出たので住民は絶句した。
・現地の医者の話では、重松氏ら調査団は、汚染がひどいところには入っていない。遠くから食料を持参して、現地のものを口にしないで、それでいて安全宣言をした。この医師はとても怒っている。怖くて食べられないなら“危険だ”というべき。
結局、こういうずさんな調査で、被害を限りなく過小評価し、それをIAEAが公式発表とし、「これは国際機関が発表したものだ」と原発推進派の学者がデータを振りかざして自論を展開、電力会社がそれに便乗、こういう構造が出来上がった。これが事故後2ヶ月半に、様々な新聞記事やドキュメンタリー番組を見て、僕の把握した全体像。間違いがあれば随時訂正していきます。長文を最後まで読んで下さり、有難うございました。
 5月26日…(電力会社と知識人・つづき/その2)
この問題を語り始めると、例えば「放射性物質が実際よりも怖いと思われていることが問題」と、“反原発派は無知”と言わんばかりの勝間和代氏は中部電力のCMで原発をPRしてたとか、そういう電力会社との蜜月関係に触れざるを得なくなる。猪木氏の“1億円”は巨額なだけに情報ソースが必要と思い貼っておくけれど、僕はリンク先の「週刊金曜日」の記事全体を支持している訳じゃない。同記事ではタレントまで槍玉にあげている。所属事務所がとってきた仕事をタレントが断ることは難しいので、学者・文化人とタレントをひとまとめにするのは違和感がある。いわゆる魔女狩りだ。僕だって、事故前に反原発を強く訴えてこなかった点で大きな事は言えない。
/とはいえ、原発がなくても電力は足りていたことが明らかになり、原発が活断層の上にあったり、冷却機能喪失の可能性を何度指摘されても無視していたことが分かっても、いまだに世論調査で「これからも原発は必要」という意見が根強い状況を見ると、発言に影響力のある文化人は、今どう思っているか語ってくれたらって思う。特に推進派で知られる大御所、弘兼憲史氏、大槻義彦氏、草野仁氏、松本零士氏(999特別編)、茂木健一郎氏あたりが…。けっして嫌味で言ってるんじゃない。いま脱原発に方向転換し、電力会社の送電部門を分離&発電を自由化させないと、日本の電気料金は欧州の2倍、アメリカの3倍というムダな構造が永遠に変わらない。原発擁護CMや高い役員報酬は電気料金の値下げに回す方が、庶民の家計は助かるし、全国の企業活動の支援にもなる。その点、事故前に反原発派の学者を“オオカミ少年”扱いしていた北野武氏が、「安全というなら東京湾に原発を作れ」と主張を変えたのは、皆が考える良いきっかけになったし、そう言ってくれて嬉しい。
/昨日の日記の朝生動画で言えば、ネット界の重鎮・経済学者の池田信夫氏は、原発事故でこれほど広範囲に被害が出ているのに「20mの津波対策をやれば、火力よりコストが高くなってしまう」と、人命の話ではなくソロバンを弾く話をしている。その時点でついて行けないんだけど、そもそも同氏が「安い」という原発の発電コストには、年間の原子力関連予算5000億円も、莫大な廃炉&核廃棄物処理コストも含まれていない。経済学者であればこそ、コスト試算はシビアにお願いしたい。
/やしきたかじん氏が持ち番組に原発擁護派の学者ばかり出すせいか、“低線量の被曝は問題ない”と思い込んでいる保守論客が少なくない。ブログで論陣を張っている田母神氏、三宅久之氏などはその典型。自民議員&元東電副社長(現顧問)の加納時男氏は「むしろ低線量は体に良いという説もある」「反原発派の河野太郎は自民を出て社民へ行け」と気炎を吐き、櫻井よしこ氏も浜岡停止に反対している。在特会の原発支持デモにしろ、東電がスポンサーの右派系雑誌『WiLL』にしろ、原発推進が右派知識人のステータスかと思うほどの“右へならえ”ぶり。うーむ。
/ハッキリ言っておきたい。「低線量の被曝は免疫を強め、健康のためになる」「一定量までなら害はない」という学説は、既に2005年の時点で米国科学アカデミーが完全に否定している。僕だって福島のことを考えると、“健康説”が本当ならどんなに良いかと思う。でも、米国科学アカデミーの報告書は、世界の最新データを基に放射線被曝は低線量でも発癌リスクがあると結論づけている。日本政府が年間20ミリシーベルトを避難基準にしているのは、原発労働者や放射線医師など専門職の被曝線量限度=「5年間で100ミリシーベルト」が参考になっているけど、同アカデミーは5年で100ミリの被曝でも1%の人が癌になると報告している。“1%”は低く思えるけど、1千万人のうち10万人が癌になるということだ。国際がん研究機関が15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、限度内の低線量被曝で癌の危険が高まることを把握し、国際社会では「被曝にはこれ以下なら安全と言える量はない」という考えが主流だ。国際放射線防護委員会(ICRP)や1985年にノーベル平和賞を受賞した「社会的責任を果たすための医師団」も同様の主張をしている。
浜岡原発に8年10ヶ月勤務して累計50ミリシーベルト被曝し、白血病のために29歳の若さで他界した嶋橋伸之さんは労災認定されたリンク先には福島第一原発に11ヶ月勤務して、累計40ミリシーベルトの被曝で白血病になって他界した人が労災認定されたケースも記載されている。累計40ミリで労災認定なのに、菅内閣の退避基準が妊婦や子どもを含めて年間20ミリという異常さ。この労災資料を首相は熟読して欲しい。
(つづく・次がラスト)
 5月25日…マンガ・レビューの続きを書くつもりだったけど、3日ほど前から、YouTubeの原発関係の動画が片っ端から削除され始めたので、先にそっちの話をしたい。「また原発の話か」と思われるかもしれないけど、これから書く事は、最終的に今後の社会のあり方に関わることなので、どうしても語っておきたいんだ。
//最初に最優先で紹介したい動画「ニュースの深層〜電力会社と知識人」(9分42秒)。この映像では、電力会社が“安全神話”を国民に信じ込ませるために、毎年巨額の宣伝費を学者やメディアにばらまいていることが語られている(東電だけで年間243億円、業界全体では2千億円とも)。PR誌のインタビューを受けるだけでギャラが500万円とか、気の遠くなるような金額が費やされている。この動画でジャーナリストの青木理さんが強く批判している「朝まで生テレビ」はコチラの映像(最初の3分半のみ)。3月末の放送分だけど、あまりの楽観主義にクラッとくる。
/ジャーナリストの高野孟(はじめ)氏が明かした、朝ナマ収録の舞台裏が生々しい。「当初、テレビ朝日首脳陣は“原発問題は取り上げるな”と番組サイドに宣告した。当然、田原も番組サイドも「今この時期に他に何をやれと言うのか」と反発したが、局は「何でそんなに原発問題にこだわるのか」と押し返す。何でと言ったって、今全国民がこれほど関心を持っている問題はないじゃないか。すったもんだの挙げ句、推進派中心の当たり障りない顔ぶれで、しかも原発問題に絞らずに穏健に行うことで妥協が成り立ったらしい。それでも局側は心配で、幹部が勢揃いして田原が暴走しないか監視し、CMの度ごとに「これまでのところは、まあ妥当だ」とかプロデューサーに圧力をかけ続けたと言う」。…タブーはなしとされている朝生ですらこれだ。他の番組の状況も推して知るべし。NHKでさえ、政府・東電の対応を厳しく批判していた水野解説委員(画像)を一時期干していたという話もある(NHKの広報は否定しているけど、毎日ニュースを見ていて、僕も“水野氏は最近出てこないな”ってその頃感じていた)。
/東電の高額ギャラについては、イラストレーターのみうらじゅん氏も“東電が依頼してきた4コマ漫画のギャラは500万円よりもっと多かった”と証言。みうら氏はその仕事を断ったが、理由が「僕みたいな奴にたくさんギャラをくれるのは怪しい」。いかにも同氏らしい(笑)。とにかく動いているお金の額がハンパじゃない。青森の知事選で、アントニオ猪木氏が原発凍結派の候補から150万円で応援を依頼されると、これを知った推進派候補のバックにいた電事連から“1億円”を提示されたという。桁が違いすぎる。不況になってから多くの企業がテレビ局にCMの撤退や減額を持ち出すなか、電力会社だけは言い値を値切ることなくポンポン出す。こうなると、マスコミはうかつに批判できなくなる。
(つづく・その2へ)
 5月24日…(マンガ・レビューその2)
●『ヴィンランド・サガ』…メディア芸術祭09年大賞。現在10巻まで刊行。作者は宇宙を舞台にした人間ドラマ『プラネテス』で一世を風靡した幸村誠先生。本作品の舞台は前作とうってかわり、11世紀の英国VSデンマーク戦争!主人公トルフィンの父はヴァイキング最強の戦士トールズ。晩年の父は剣を捨てアイスランドに渡り、農夫として静かに暮らす道を選ぶ。父は他界する前、トルフィンに「本当の戦士には剣など要らぬ」と諭す。トルフィンには父の言葉が理解できず、剣を握りヴァイキングとして戦場を駆け巡る。幸村先生はヴァイキングのおおらかさを愛しながらも、けっして彼らを美化しない。“本業”である無慈悲な略奪、それに伴う村人虐殺、“戦利品”である女性や子どもの人身売買など、鬼畜な蛮行も正面から描いている。“豪快で気持ちの良い野郎ども”という方向に単純に持っていかない。7巻の後書きにはこんな言葉が。「ヴァイキング戦士は恥をかくのが何より嫌いだったそうです。暴力や死におじけづく者、侮辱されて復讐しない者は意気地なしでした。(略)ボクは痛いのも死ぬのも怖いです。殴り合いとかおっかないことをするくらいなら、ほんと、プライドなくていいです。もしそれで仲間外れにされるなら、仕方ないです。それでもいいです。“プライド第一”、これが、ヴァイキングの性質で、ボクの嫌いな部分のひとつです」。巻が進むにつれ、トルフィンは剣(暴力)との決別を考え始める。これは少年マンガ的には危険な賭けだ。僕が思うに、幸村先生が選んだ道は、マンガ界では修羅の道。武器を捨てた人間を描いて物語を盛り上げるのは極めて難しい。一般ウケが良いのは、敵の大軍を相手に天才剣士の主人公が大奮戦し、逆転勝利するといった展開。爽快感があるし、暴力と暴力の衝突が生む、マイナスではあるが圧倒的なエネルギーは読者の心を掴みやすい。しかし、トルフィンが剣を捨てれば、作品としては一気に地味な話になる。幸村先生があえてそちらの道を選んだのは、どうしても伝えたいことがあるからだろう。“失速”の危険を冒してまで読者に何を語りかけようとしているのか、今後の展開にいっそう注目したい。/賊の親分アシェラッドは、冷酷だけど志の高さで読者を惹きつける。主人公を完全に食ってしまうほどの強烈な存在感。善や悪で割り切れない大人物だ。/「こんな戦いに意味などない。だからもう死ぬな」という台詞で僕の心を鷲掴みにした、クヌート殿下の今後も楽しみ。殿下の理想主義は“神”を無用にした→「私はこの地上に楽園を作るぞ。平和で豊かな、生き苦しむ者達のための理想郷を…。私の代では成し得ぬかもしれぬ。それでも、最初の一歩を私が踏み出すのだ。神はきっと私を愛で、御許へ召(め)そうとするだろう。その時、私は神にこう言うのだ。“もはや天の国も試練も要らぬ。我々の楽園は地上にある”とな」。
※ぶっちゃけ、1巻の時点では、中世イングランドという舞台設定があまりに自分の生活からかけ離れていて、作品に感情移入し辛かった。ところが、2巻のトールズの過去話、3巻のロンドン合戦(敵将トルケル大暴れ)とドンドン引き込まれていった。あの5巻から8巻までの異常な盛り上がり&カタルシスは、日本マンガ史に語り継がれるかと!※1巻(Ama
●『鋼の錬金術師』…25巻までの感想は以前に書いたので、26巻&最終巻(27巻)レビュー。どこまでスケールがでかくなるんだという怒濤のクライマックス。敵がどんなに神がかった強さでも、決して諦めずに仲間と協力して立ち向かう姿は、それだけでグッとくる。「我は神。生物の頂点に立った」と人類を見下している敵に向かって、「人間からは賢者の石ができ、賢者の石からは人造人間(ホムンクルス)ができる。では人造人間からは何ができる?何を産む?破壊しかもたらさぬ存在を神と呼べるのか?究極の存在にでもなったつもりだろうが、どん詰まりなんだよ、お前は」という啖呵が最高。究極生物=進化のどん詰まりという発想は痛快!/「歴史ある宗教や文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ。おまえの手で民族を死から救え」という台詞も良い。強欲の塊だったグリードが“もう十分だ。なんも要らねぇや”と、魂の友を得て浄化されるのもビリビリ感電。/エドとアルの深い兄弟愛にもウルウルきたけど、一番泣けたのは最終巻で本編後のオマケ・コーナーにあった、天国(?)でのエドの両親の会話。「やあ」「あら、もう来たの」「あの子達と一緒に老いて死ぬって言ってたのに約束破ったわね?」「ひどいな、先に約束を破ったのは君だ」「あは。そうでした」--このまま会話はしばらく続くんだけど、2人の表情が実に良い。私事だけど、僕の子どもは40歳を過ぎてから生まれたので、一緒に居られる時間は20代から育てている人からするとはるかに短い。それもあって、こういう台詞には滅法弱い。ハッピーエンドで本当に良かった!※最終巻(Ama
(マンガ・レビュー、明日に続く)
 5月23日…世の中には無数の名作と呼ばれるマンガがある。しかもどんどん新作が発表される。一方、日々の生活で読むことが出来る時間は限られている。作品をチョイスする際に僕が参考にしているのは、文化庁メディア芸術祭・マンガ部門(文化庁主催※1997-)、手塚治虫文化賞マンガ大賞(朝日主催※1997-)、マンガ大賞(各書店の漫画担当者など有志で構成されるマンガ大賞実行委員会主催※2008-)という3つのマンガ賞。これらのマンガ賞は講談社や小学館といった出版社の枠を超えたもので、ノミネート作品のジャンルも幅広く、とても重宝している(マンガ大賞は“最新刊が8巻以内”という制約があるけど、受賞作がその後に脱力展開になったとは今のところ聞いてない。一方、手塚治虫文化賞は「ドラゴンヘッド」「MONSTER」のように受賞後に失速する作品も少なくない、汗)。これらの賞を受賞して気になっているところに、友人やサイト読者の方から熱烈なお薦め情報をもらい、我慢できなくなって発作的に“大人買い”したり、ネットカフェに走るというパターンが多い。以下、この半年間に読んだ作品の感想デス!
●『ちはやふる』…09年マンガ大賞受賞。現在12巻まで刊行。激ハマリ。めちゃくちゃ良い。百人一首をこよなく愛する高校生の青春が描かれる(彼らを指導する大人たちも百人一首へのLOVE爆発)。高校かるた部という地味めなクラブ活動に、こんなにも胸熱になり引き込まれるとは!登場キャラ全員がいきいきと動き、ライバル校の脇役まで血が通っている。捨てキャラがいず、誰もが必然性があって登場している(皆に見せ場がある)。試合シーンは個人戦も団体戦(5人対5人)も手に汗握りまくり。ぶっちゃけ、読み始めるまでは「すぐに試合展開がネタ切れになるのでは?」と疑っていた。だって、野球マンガならバント、スクイズなど多彩なバリエーションが攻守にあり、ルールも多様だ。でも百人一首は「上の句を聞いて下の句を取る」、それだけしかない。強者の条件は、「早く取れる」という超シンプルなもの。ところが!作者の末次由紀先生は、全試合を異なる展開にしている!高い聴力の選手、ズバ抜けて高い記憶力の選手、スピード重視型の選手、“歌”の虜になった選手、様々な選手が登場する。ネタバレになるから詳しく書けないけど、“そうくるか!”と小膝を叩くような、精神の駆け引きの描き方が非常に上手い。掲載誌が女性漫画誌ゆえ、“恋愛要素だらけなんじゃ?”という予想はことごとくハズレ、あるキャラをして「このマンガ、恋バナ砂漠じゃん!」と叫ばせるほど、ストイックな戦いが繰り広げられる。主将の真島という、イケメン・長身・金持ちがいて、僕が“即・敵認定”したキャラがいるんだけど、物語が進むごとに彼の優しさ、不器用さ、運のなさ(汗)が積み重なり、最新巻まで読んだ時点で、もう彼が何か良いセリフを言う度に涙腺が決壊しそうに。ヤツを応援せずにはいられない。ヒロインのライバルの若宮詩暢(しのぶ)という恐ろしくキャラ立ちした選手、ヒョロくんというイジワルに見えて超努力家の選手、ライバル校のデータ集めに奔走している仲間想いの机くん、ルックスはイマイチでも真島より男気がある肉まん君、泣きながら素振りしている千早、出てくる誰もが愛おしいッス。
※個人的にグッと来たセリフ→「“ここにいたらいいのに”って思う人は、もう“家族”なんだって。つきあいの長さも深さも関係なく」/「泣くな。おれはまだ泣いていいほど懸(か)けていない。“悔しい”だけでいい」/「強くなりたい。この一秒を、ただの一秒にしたくない」/「万全を尽くしたって負けるときは負ける。だからこそ、せめて万全を」/「本当に高いプライドは人を地道にさせる。目線を上げたまま」/「負けることに疲れるんじゃない。期待に応えられないことに疲れていくんだ」/「順位とか最近気にならなくなったんだ」/「(故)綿谷先生にまた会える。きみのかるたは綿谷先生そっくりだから」/「知れば知るほど不思議だわ、競技かるたって…。男女の別なく、体格の別なく、年齢の別なく、知性と体力の別なく、読まれた瞬間に千年まえとつながる。そんな競技いくつもない」以上。※1巻(Ama
●『3月のライオン』…2011年マンガ大賞受賞。現在5巻まで刊行。作者は『ハチクロ』の羽海野チカ先生。孤独なプロ棋士高校生が、誠実に周囲と接しながら、ヒビの入った心を修復していく物語。コマとコマをつなぐ主人公の内面のつぶやきがとても詩的で、繊細な文学に触れている感じ。将棋の対局シーンは、善人であっても“才能”がなければ敗北するわけで、応援している棋士が追い詰められていく過程は、キリキリと胃が痛む。オヤジ連中の描き方もうまい。島田八段の帰郷エピソードにホロリ。5巻まできて物語の輪郭が見えてきた。あかり・ひなた・モモの三姉妹、みんな幸せになって欲しい。
※個人的にグッと来たセリフ→「自分のひとりぽっちに気をとられ、誰かのひとりぽっちに気づけないでいた。まぬけな僕に除夜の鐘はしんしんとふりつもり、大きな河みたいにゆっくりと、新しい年がやって来ようとしていた」/「多分“逃げなかった”って記憶が欲しかったんだと思います」/「おかぁさん・・・おかぁさ・・・っっん」/「不思議だ、人はこんなにも時が過ぎた後で、全く違う方向から、嵐のように救われる事がある。ありがとう、君は僕の恩人だ。約束する。僕がついてる。一生かかっても、僕は君に恩を返すよ」/あとがきの作者のつぶやき「“よつばと”のとーちゃんのパンツの柄と、ヒロインの一人のワンピースの模様(スクリーントーン)が一緒だった!」。※1巻(Ama
(マンガ・レビューは明日に続きます)
//複数の読者の方から、21日付の日記冒頭にアップしている動画は、「動画のタイトルがおかしいために混乱が出ているのでは」とご指摘頂きました。YouTubeの題名「自然放射線と人工放射線の違い」は、「自然放射性物質と人工放射性物質の違い」が正しいと思われます。
 5月22日…昨日の放射性物質についての記事ですが、冒頭に当方が参考にした解説動画のリンクを貼っておきました。“反原発派のトンデモ説”ではというご指摘もあったのですが、動画ではハッキリと「人工放射能(人工放射性物質)は体内に濃縮・蓄積する。自然放射能(天然放射性物質)は体内に濃縮・蓄積しない」と出ているし、ネット評も特に荒れてなかったのでガセではないと思ったので紹介しました。学者の市川定夫さんは原発周辺の草花(ムラサキツユクサ)が突然変異している事実を突き止め、放射線は微量でも影響があるという説をとられてます。もし市川さんの説が間違っていたら申し訳ないです。m(_ _)m
//『ちはやふる』『ヴィンランド・サガ』『シャカリキ!』『鋼の錬金術師』『ガンダム ジ・オリジン』その他、この半年間に読んだ秀作マンガの感想をイッキにアップするつもり。話題の『進撃の巨人』は2巻まで読了。『ジョジョリオン』、ミステリアスなオープニングになりましたね。『ちはやふる』が掲載されている『BE・LOVE』、男が読んでも面白いッス。芥川龍之介の物語、良かったなぁ。
 5月21日…微量放射線の遺伝的影響を研究している市川定夫さんが解説する、「自然放射性物質と人工放射性物質の違い」(5分※タイトルが“放射線”になってるのは“放射性物質”の間違い)を見て目からウロコ。→原発推進派の学者は、原発が出す放射性物質を、しきりに自然界の放射性物質と比較する。「普通に生きてるだけで自然界から世界平均で2.4mSv(ミリシーベルト)被曝してる。だから、そもそも従来の日本の限度量・年間1mSvが低すぎる。プラス1mSvでほぼ世界平均になるだけ」って。僕も当初は、“世界には放射線の強い土地でも普通に人が住んでいる”という言葉を聞いて、“けっこう人間には適応力があるんだな”って思ってた。「宇宙からも放射線は飛んできてる。放射線を怖がりすぎ」、そんな言葉も聞かされた。東電のHPには“飛行機に乗るだけで浴びてるけどOK”と解説ページが設けられている。でも、これらの推進派の論理は、自然の放射性物質と人工の放射性物質をわざとゴッチャにしており、両者は根本的に異なるものだった。/天然の放射性物質は体内に濃縮されないし、蓄積もしない(厳密に言えば、自然界にはカリウム40と炭素14という2つのの放射能を持つ原子=放射性同位体があるけど微々たるもの)。全ての生き物はそういう危険な元素を体内に蓄えないように適応してきた。ところが、人間が原子炉で作った人工の放射性物質は、生物の体内で濃縮され、蓄積される。性質が決定的に違うんだ。それを「世界平均2.4mSv」「東京〜NY往復で0.19mSv」と放射線の数字にだけスポットを当て、重要な“性質の違い”をスルーしている。
/ストロンチウムはカルシウムと似ており骨に集まるけど、天然のものは無害だから入って来ても平気。ところが、同じストロンチウムでも原子炉が生み出すものは放射性を帯びているため、体内に入って内側から被曝させ、白血病や骨髄腫の要因になる。
/天然のヨウ素は放射線を出さない“非放射性”物質だから、ホルモンを分泌する甲状腺に集まっても無問題。でも、原発から出る「放射性ヨウ素」は甲状腺癌を引き起こすし、ホルモンにかかわるので子どもほど重傷になる。半減期の長さが問題になってるセシウムだって、天然のものは非放射性だ。容易に体内に取り込まれるような物質に、放射性を帯びさせてはいけなかったんだ。
 5月20日…与謝野経財相が福島原発事故について「“神様の仕業”としか説明できず東電に賠償責任はない」「東電は安全対策に最高の知恵を働かせた」と発言。僕はイスからずり落ちた。人災の証拠が連日のように伝えられているし、過去に津波対策の不十分さを何度も指摘されていたのに、「神様の仕業」って。さすがは推進派のボス・中曽根元首相の秘蔵っ子で日本原子力発電出身。このような現状認識でも経財相を更迭されないし、野党が“失言”として追求することもない。7時のニュースでトップになるかと思いきや、発言を短く紹介しただけで殆どスルー。大手新聞も同様。まったくもって脱力。
//『ETV特集 放射能汚染地図〜福島原発事故2ヶ月の記録』の“再々放送”が早くも5/28(土)に決定。それも深夜ではなく午後3時というマトモな時間。YouTubeの方にもアップされており、1週間で15万アクセスになっている模様。ご多忙な方はパート1(14分半)だけでも是非。/読者の方から、YouTubeから消えた場合のサイトを教えて頂きました(後半に保存先リンク)。/文字起こしを始めている方もいるみたいですね。
 5月19日…特報!今日の朝日新聞朝刊で、集英社が出した荒木飛呂彦先生特集の全面広告がスゴイ!カラーで歴代ジョジョ主人公が8人描かれている永久保存版ッス!(全員新規描き下ろしのラフ画!)
//本日、深夜1時半からNHK『放射能汚染地図〜福島原発事故2ヶ月の記録』が再放送されます!これは15日にオンエアされたばかりのもの。手元のテレビガイドには当初の別番組が載っているので、おそらく番組放映後に膨大な数の再放送要望メッセージが届き、急遽4日後のアンコール放送になったんだと思う。NHK教育で放送されたものを、メジャーな総合テレビで流すってのも意気込みを感じる。ただし!なぜゆえ深夜1時半…それが現時点の限界か。
(以下、昨日のつづき・後編)
僕がこのドキュメンタリー『放射能汚染地図』を見て感動したのは、原発推進派の学者が「安全です」「メルトダウンはあり得ません」と繰り返していたのに、NHKは事故直後から反原発派の科学者と一緒にちゃんと現地取材していたこと。御用学者が東京のTVスタジオにいるときに、彼らは一番危険な時期に調査に向かっている。90分という限られた時間に、行政の的外れな対応と無責任さ、農家の悲劇、畜産業の崩壊、子ども達の受難、残されたペットたち、プルトニウム…番組スタッフが2ヶ月間抱き続けてきた“国民に伝えたかったこと”がぎっしり詰まっている。大半のニュースが“安全神話”をプッシュしていた頃、現地にいたETVのスタッフの焦燥感はどれほど大きかったろう。当番組を制作した大森淳郎ディレクター、七沢潔ディレクター、そして取材陣の4人(石原大史氏、梅原勇樹氏、池座雅之氏、渡辺考氏)に心から敬意を表します!
/以下、当番組の放送中に某大型掲示板であがった声を紹介。→
・正直NHKを見直した、コレを放送する勇気に拍手
原発番組の地上波で、「初めて」まともな番組を見た
・NHKがついに政府と東電に牙をむいた
これが取材というもんだな。記者クラブで談合して政府広報を垂れ流すのが取材ではない
・嗚呼、NHKの本気はすごすぎる
・NHKすごい英断だな がんばれ!
・データ、CG全てがすばらしかった
・生まれてはじめて、再放送要望をメールした
・ゴールデンタイムに総合でやれよ
・日曜の総合ダーウィンと江を潰して放送するべきだった
・全局で一斉に同時間に放送するべき
・全国民に強制で見せるべきだろ
・放送までこぎつけた関係者に感謝!
・よくやったと思う。文科省と総務省の監視下で。勇気あるわ
・「ただちに」発言の批判してるがディレクターは大丈夫か?
・これ作ったスタッフ、左遷覚悟だろな。命がけでGJだった
・神番組。衝撃的な内容といい印象的なエンディングといいNHKが米国の放送局だったらピューリッツアー賞間違いない
この番組はシリーズ化してくれ。国民の生命と財産を守る為に頼む
・犬のパンダ、無事だったよ!!
 5月18日…(つづき・中編)
・避難所の駐車場が毎時80マイクロ=年間700ミリシーベルトというホットスポット(超高濃度汚染区域)に、支援も受けられずに暮らしている避難民がいた。80マイクロは12時間で年間限度の1ミリに達してしまう。屋内にいても3分の1は入ってくる。影響は避けられない。避難民は番組取材中に研究者が真実を告げたおかげで、より安全圏へ逃げることができた(その12日後になって行政から退避指示がきた)。
・チェルノブイリの放射性物質では380万ベクレル/m2が最高値だった。ところが、原発から4km地点の双葉町山田では、民家の庭から「1億6600万ベクレル/m2」のヨウ素131、「2120万ベクレル/m2」のセシウムが検出された。※チェルノブイリでは55万5000ベクレル/m2以上が強制避難地域。
・風向きの結果、福島原発1号機の放射性物質は太平洋へ、2号機は福島市へ、3号機は東京方面に向かった。
・報道では避難民の中に除染対象の人はゼロと発表されていたが、実際には除染されている人がいた。
・長年、原発の危険性を訴えてきた原子力工学者の今中哲二さんが、30km圏外の飯舘村で計測中に、測定器を持ったまま「現実とは思えない」と絶句したシーンが印象に残る。数値は30マイクロ=年間263ミリ。今中さんは、こんな事態にならないように、これまで30年以上も運動を続けきた。「今ここで起きている汚染がどういうものか、きちんと特定して、測定し記録する。そして歴史に残す。それが僕の仕事です」。
・猛毒のプルトニウムを調査するべく、番組の科学者たちが福島第一原発の敷地内で土壌サンプルを採ろうと試みるが、正門であえなく追い返される。非協力的な東電。やむなく正門から1km地点の土壌を採取。しかし、番組内ではこの調査結果が明かされなかった。まだ検査中なのか、それともオンエアできない事情があったのか。後日談が皆無なので余計に気になる。
・番組内では数組の被災農家に取材していた。シベリア抑留から帰還して、鶏50羽から始めた養鶏業のお爺さん。60年かけて3万羽まで増やしたのに、エサ業者が放射線を恐れて配達してくれず、3万羽のすべてが餓死してしまった。空のエサ箱をつついていた鶏の映像が悲しい。生き甲斐を奪われたに等しく、この痛みは金銭の補償では癒えないと感じた。
・震災から2ヶ月間に、木村さんと放射線測定の草分け・岡野雅治さんが、調査のために福島県内を走った距離は3000キロ。沖縄から稚内までの直線距離を超えた。
(つづく)
 5月17日…放送後に大きな話題となっているNHK教育『ETV特集 放射能汚染地図』。番組で放射線を測定していた木村真三さん(43)は厚労相の放射線医学研究所に所属し、自主的にチェルノブイリの調査に向かった人物。福島原発の事故が起きると研究所の幹部から自発的な調査をしないよう指示された。木村さんは辞表を出して福島へ調査に行った。その理由はシンプル「3歳の子どもがいるんです」。番組は90分もあったので以下に僕がメモった内容をまとめておきます。報道に出てないことがいろいろ取り上げられていた。
※基本情報…1年間にさらされてよい“人工放射線”の限度は年間1ミリシーベルト=平均毎時0.12マイクロシーベルト(ICRP勧告)。
・放射性物質は風に乗って“まだら状”に散らばっている。原発に近ければ危険、遠ければ安全という訳ではない。今回の測定で4km地点と30km地点が一緒というケースもあった。
・福島市や郡山市は原発から約60km離れているが、放射性物質は山の谷間を移動し、拡散しないまま到達した。※解説動画(1分19秒)
・それなのに政府が決めた避難範囲は円形。結果的に、避難住民の行き先が、もっと汚染されている地域という本末転倒な状態も起きている。※参考資料
・チェルノブイリ原発はいまだに30km以内は退避地域。ところが福島市の学校の校庭脇を計測すると、現在のチェルノブイリ原発の「3km圏」と同じ汚染度。
・福島原発から遠く離れた福島市の公園がチェルノブイリ避難基準の5倍強。
・日本政府は事故前の限度量の基準だった1ミリシーベルトを、事故後一気に20ミリシーベルトまで引き上げた。従来、20ミリは原発労働者や医師など仕事で放射線に携わる「男性」の1年間の限界。これを子ども、妊婦まで含めた国民全体に当てはめた。しかも実際はこれに内部被曝が加わる。
・福島から東京の参議院議員会館やってきた市民が「子どもは公園や砂場で遊ぶもの。年間の限度量20ミリシーベルトを撤回してくれ」と訴えると、文科省の役人が「これは原子力安全委員会に助言を求めて決まった数値であり、20ミリシーベルトで健康に問題はない。もちろん低いほどいいが」。すると隣にいた原子力安全委員会の代表が「20ミリシーベルトを基準とすることは認められない。これは原子力安全委員会としてハッキリと申し上げる」。話がバラバラ。国が子どもを守る活動の足かせになっている。※20ミリシーベルトで125人に1人が癌になるという。子どもの場合、5倍も影響を受けるため、25人に1人が癌を発病する計算になる。
(つづく)
//昨日16日、『ガンダム』『ナウシカ』『イデオン』『タイムボカン』『うる星やつら』など100作品以上のアニメで美術監督を務め、『ガッチャマン』のゴッドフェニックスや『マッハGoGoGo』のマッハ号などメカ・デザインを手がけた中村光毅(みつき)さんが死去。享年67歳。『ダグラム』『キャシャーン』なども担当しており、僕の世代のアニメファンなら誰もが知っている美術監督さん。そして、俳優で30年以上も“アタック25”の司会を務めた児玉清さんも同日死去。享年77歳。児玉さんが演じた『龍馬伝』の龍馬の父役は深く印象に残った。桂浜で夢を語る龍馬を見つめる父の優しい瞳に泣けた。お二人のご冥福を祈ります。
//まだ38.5度。インフル反応なく、鼻水ないので、喉全体の炎症とのこと。夜中に39.2度になったんだけど、この年になると39度超えは身体の辛さがハンパないっすね…。
 5月16日…昨夜教育テレビでオンエアされた『ETV特集 ネットワーク放射能汚染地図』、これまで報道されなかった事実がいろいろ明かされ衝撃を受けた(僕はもっと必死に録画をお薦めするべきだった!)。無闇に危険を煽るのではなく、正確な知識の伝授に努めた90分。番組内に登場した手弁当の科学者の皆さん、そして誠実に取材し、行政を批判する内容であっても、勇気を出して現実を放送したNHKスタッフに敬意を表したい。日記にポイントをまとめたいんだけど、体調を崩して約39度あり、今日は安静にして明日アップしたく…!(>_<)
//大相撲、新入幕なのにいきなり9連勝中の魁聖(かいせい・ブラジル出身)。ガチンコ場所で白星が白鵬と並んでいるってスゴイ。
 5月15日…(つづき・後編)日本政府が東海原発のプルトニウムを核兵器の材料に考えていたというスクープ特番・NHK『核を求めた日本』(49分)。番組は約50分もあるので多忙な方のために内容を抜粋。
・佐藤栄作首相は非核三原則を宣言してノーベル平和賞を受賞したが、同時期に核保有を極秘裏に模索していた。
・大きな力を持つ国連安保理事会の常任理事国、米・英・ロ・仏・中はいずれも核保有国。日本政府は極秘で西ドイツに接触し、「大国の条件は核兵器所持」「(敗戦国である)日本とドイツが再び手を結ぶことが肝要だ」と、核武装の誘いをかける。1969年の密談で日本の外交官が「日本は憲法9条があることで、平和利用の名の下に、(IAEAなど)誰にも止められることなく原子力の技術を手に入れた。日本は核弾頭を作るための核物質を抽出することが出来る」と言い、これを聞いたドイツ代表は驚愕した。※日本はこの密談の半年前に「核拡散防止条約」に署名していた。
・佐藤首相の側近が残した極秘文書には、核兵器を作る具体的な方法まで書かれている。当時運転を開始したばかりの原発第1号、茨城県東海村の東海発電所を核兵器の原料を作れる場所として記載。東海原発では純度の高いプルトニウムが年間100kg作れ、それは長崎型原爆10発以上製造可能な量だった。日本は必要と考えれば比較的に短期間で核兵器を作ることが出来る、それが首相周辺の見解。
・こうしたドイツとの秘密交渉や沖縄への米軍核持ち込みを実名で明かしたのが、元外務事務次官・村田良平さん。村田さんは癌で他界する1ヶ月前にNHKに事実を話した。「私がこれ(核持ち込み証言)をやってなかったら、永久にごまかし(核密約)が闇の中に消えたと思う」。
・村田さんと密談したのは西ドイツの元首相府副長官エゴン・バール氏。当初、バール氏は「顔は出さない」という条件で取材に応えていたが、村田さんの誠実なビデオメッセージを見てカメラに顔を公開し、40年前の秘密協議について初めて重い口を開いた。
・番組後半では国連で行われた核軍縮決議・全562件のうち、日本の賛成率が平均55%しかなかった(40%の年もあった)ことも明かされる。被爆国日本が全ての決議に賛成できないのは米政府の顔色を伺っていたから。多くの核軍縮決議を提案してきたメキシコの元軍縮大使いわく「日本にはがっかりさせられました。核実験や核兵器に反対する国を全世界から探すとすれば、日本しかありません。日本は本来、核兵器廃絶の先頭に立つべき国なのです」。
今の日本には長崎型原爆2000発分のプルトニウムがある。核武装を訴えるタカ派の評論家に原発擁護派がやたらと多い現状と符合すると思いつつこの動画を見終えた。
//民主党内閣の去年の官房機密費は12億3千万円。このうち未使用分はたった91万円。毎月1億円も何に使っているのか。これらの使途は非公開。民主党は野党時代に情報公開を求めていたのに、自らが政権をとったら“やっぱり秘密”では筋が通らない。
 5月14日…福島原発3号機の温度上昇が不気味すぎる。なんで水をぶっかけても上昇が止まらないんだ。うーむ。
//地震多発国の日本になぜ危険な原発が建設されたのか。NHK『原発導入のシナリオ』に触れた4/13の日記で、米国の水爆実験に漁船が巻き込まれた第五福竜丸事件(1954年)をきっかけに日本で反核運動が盛り上がり、それが反米、野党支持に繋がることに危機感を持った日米の政権中枢が、“原子力の平和利用”という切り口で日本人の核アレルギーを取り除こうとしたと書いた。「原子力は夢のエネルギー」「日本は被曝したからこそ原子力を平和利用することに価値がある」という大キャンペーンが巨大メディアの音頭で展開されたという。
/先日の新聞記事にもそのことが詳細に書かれていた。
・05年に米国の国立第2公文書館から発掘されたCIA機密文書には、CIAが「ポダム」と組んで日本の世論を動かしていたことが書かれていた。この「ポダム」とは、原子力委員会の初代委員長を務め「日本の原子力の父」と呼ばれる正力松太郎(読売新聞社社主・日本テレビ社長)の暗号名だった。
・日本初の原子力関連予算を要求したのは中曽根康弘元首相ら。予算が衆院を通過したのは「第五福竜丸事件」が明るみに出る約2週間前。中曽根氏は科学技術庁(現文科省)初代長官に就任した正力氏と原子力事業を推進した。
・オイルショック翌年、田中角栄元首相が原発の立地支援の為の交付金などを定めた電源3法を成立。日本は原発一辺倒に突き進む。
このように、正力(ポダム)→中曽根→田中というラインで原子力産業が拡大していったとのこと。
//これらを踏まえ、元々は「反米世論を封じるため」に導入された原発に、オイルショックで「石油エネルギー依存からの脱却」という意味が加わり、巨額の原発利権に企業、政治家、官僚、御用学者がいっせいに群がった--そのように全体を見ていた。ところが、先日読者の方から、NHK『核を求めた日本』という衝撃的なスクープ番組を教えて頂き、政府が核兵器生産を視野に入れていたことを知った。(後編につづく)
 5月13日…米国ニューヨーク出身の日本文化研究者ドナルド・キーンさん(88歳)が、先日、日本国籍を取得し日本に永住する意思を表明したことに感動。その経緯をインタビュー記事から紹介→「(今年1月に病で入院した際)あとどのくらい生きるか分からないと考え、残りの人生をどこで過ごすか真面目に考えるようになった。そして達したのが、一番住みやすい所は日本、という結論だった。かねてから日本の友人などに恵まれたことに対し、感謝の気持ちを伝えたいと思っていたところ、大震災が起こった。テレビで物凄い津波の映像を見て、日本の国籍を取ろうという気持ちが固まった。私の決断が日本の人たちに勇気を与えると言ってくれた日本人もいる。日本を離れる野球選手なども多いなかで、一人だけ日本に向かうのだから、驚く人もいたが、反対する人はいなかった」。このキーンさんの想いが本当に嬉しい…!
//富士急ハイランドで7月に開業する新コースター『高飛車』の完成予想図にたまげた。最大落下角度121度って、なんだこりゃー!
//“オシャレな靴紐の結び方”を紹介したサイトが面白かった。こんなに結び方ってバラエティに富んでいたんですね!格子型にも出来るみたい。
//第50回静岡ホビーショーで展示されているガンダムファンの作品、実物を見てみたいなぁ。このドロス内部は無重力感もよく出ている。ホワイトベース内部もメカメカしくてガノタ魂をくすぐられる。(レポ・サイト
//マクドナルドの値段設定って不思議。ダブルチーズバーガー(290円)を食べるよりもチーズバーガー(120円)ふたつ重ねて食べるほうが、値段的にも量的にもトクだし、ドリンクについても、シェイクM(230円)1個を頼むよりシェイクS(100円)2個のほうが安いんだよねぇ。ちなみに、米国ではポテトをマックシェイクに浸けて食べてる人をよく見かけた(実際美味しい)。あと、ポテトをハンバーガーに挟むのも結構いける。
 5月12日…8日の日記から4回に分けて浜岡原発の問題点をまとめました。多忙な方でもパパッと一読して分かるようにと、ポイントを整理し箇条書きにしています。浜岡の問題は、同じように活断層の上に建っている他の原発にも言えることなので、ぜひ御一読頂ければ幸いデス。読む時間がないという方は、第3回でリンクを貼った、浜岡原発設計に関わった元原発技術者の12分間の告発(YouTube)だけでもご覧下さい。短時間で多くの貴重な情報が出てきます。NHKはこういう人にインタビューをとりにいけばいいのに。
 5月11日…(つづき・その4/ラスト)
//ド素人の僕が調べただけでもこれだけ問題点がある。現状がこうだからこそ、静岡県の川勝知事は第一声が「総理の英断に敬意を表します」だったし、志賀原発を抱える石川県の谷本知事も「立地の特殊性を考慮し安全を最優先に考えた結果、判断したものと受け止めている」と評価している。政敵である自民の河野太郎氏さえ「浜岡が止まっても電力不足にならない」と支持している。一方、「あまりにも唐突だ」「なぜ浜岡なのか」と反対する自民の谷垣総裁や石破氏、公明・山口代表、民主小沢グループの一部、玄海原発がある佐賀県の古川知事、伊方原発がある愛媛県の中村知事、その他北海道、青森、新潟、茨城、福井、鹿児島の各知事にはため息が出た。浜岡の問題点は、人の上に立つ者なら知っておいて欲しいし、むしろ「止めるのが遅すぎる」と怒って欲しかった。浜岡に何かあったら、放射性物質は静岡から偏西風にのって関東を直撃し、首都圏も壊滅する。本当に浜岡の危険性を何も知らないなら政治家としてあまりに不勉強だし、知っていて「唐突」に感じているなら危機管理能力に疑問を感じてしまう。地震の活動期に入った以上、電力が不足しようと代替機がなかろうと、今すぐ止めねばホント危なすぎる。
//最後に大事なこと。総理の口から、まだ“廃炉”という言葉が出ていない。福島原発を見ても分かるように、せっかく運転停止になっても、燃料棒や放射性廃棄物がドッサリ浜岡に残っていては危険度はそんなに変わらない。冷却機能がストップすれば悪夢再びだ。廃炉になった1号機&2号機、休止中の3号機の燃料貯蔵プールには燃料がまだ大量に保管されている。完全冷却には時間がかかるし、今回停止する4&5号機と合わせて、一刻も早く燃料棒などを安全な場所へ搬送するよう指示を出して欲しい。3月の津波映像を見れば、15mの防波壁を作ったことろで、次々と襲ってくる津波を防げないのは一目瞭然。枝野官房長官は「浜岡原発は止めても止めなくても危険」と発言しており、意味は分かっているはず。菅政権が次にやらねばいけないのは、浜岡以外の安全性の徹底的な見直し。美浜原発と敦賀原発は活断層の上に建っており、40年という原発の寿命を突破し老朽化が進んでいる。伊方原発の近くには大きな活断層が走っている。待ったなしだ。
※廃炉で問題になる雇用不安には約4300億円もある原子力関連予算を回すべき。国策で原発を増やした以上、国が責任をとらないと。
※浜岡1、2号機が08年に廃炉となったのは、稼働が1970年代で古かったのと、耐震工事に計3千億円かかるから。
※原発は年に一度定期検査で停止する。震災以降、次々と定期検査に入っているけど、求められる安全レベルが高くなり、再稼働の許可が下りにくくなっている。このままいくと夏までに全54基中、実に42基が停止ということに。この夏さえ節電や火力・水力でなんとか乗り切れば、脱原発への流れは加速するんじゃないかな。
 5月10日…(つづき・その3)
★『浜岡原発の何がヤバイか・15の理由』(下)
(11)配管などに欠陥工事の証言があり、それを裏付けるように、1988年に1号機で原子炉圧力容器配管溶接部から水漏れ、01年に1号炉原子炉底から水漏れ&1号炉配管爆発事故が起きる。これを受けて同じ構造の2、3号機も一時運転停止。
(12)浜岡原発の発電能力は中部電力の中で15%に過ぎず、稼働させ続けるリスクに見合わない。
(13)そもそも、中部電力には原発を除いても3100万kWの供給力がある。昨年の猛暑でも使用量は最大2698万kWであり15%も余っていた。この事実をスルーして計画停電を匂わせるやり方はフェアなのか。
(14)福島第一や浜岡原発設計に関わった元原発技術者の菊池洋一さんが「浜岡原発は基礎工事から配管まで欠陥だらけ」「せめて東海地震の後まで停止してくれ」と魂の叫び(12分・必見!)。血の出るような叫びと言ってもいい。菊池さんは浜岡の停止運動のため03年に宮崎から静岡に転居して危険を訴え続けた。「格納容器が頑丈でも直下型だと配管同士がぶつかって壊れる」「保安院で3時間訴えても他人事で話を聞いてくれないばかりか、“福島の避難民が阪神大震災の被災者より元気なのは少量の放射能を浴びてるから”などと稲(恭宏)博士の持論を持ち出してくる始末」「東電から出入り禁止業者にされたくないので、工事を担当した下請けはみんな事故ったことを隠す」。※菊池さんは元GE社の製造工程管理チーフ・エンジニアで原子炉の製造に携わってきた。「若い頃は青春のすべてをかけて原発を作ってきたが、今は命がけで止めようとしている」。
(15)浜岡2号炉や福島原発2号炉の設計を担当した技術者の証言(リンク先後半)。浜岡2号炉は耐震シミュレーションで「建物が完全につぶれる」という結果が出てしまった。この技術者は「耐震が持たないので会社を辞めた」とのこと。いわく「浜岡原発は世界に放射能を撒き散らす最悪の事態を引き起こす可能性があります。過去に設計に関わった者として、そのことを明確に申し上げます」。
(明日に続く)
 5月9日…(つづき・その2)
★『浜岡原発の何がヤバイか・15の理由』(上)
(1)浜岡原発は東海地震の想定震源域の“真上”に位置する。近くには3つのプレートの境目がある。
(2)発電所の近隣は活断層だらけで(8km以内に8本)、敷地内にも活断層の疑いがあるものが2本走っている。
(3)東海地震は100〜150年周期で発生しており、前回は1854年の安政東海地震(M8.4)。今年は157年目でいつ来てもおかしくない。※政府の地震調査研究推進本部によると東海地震が今後30年間に起こる確率は87%。
(4)3月の大地震をきっかけに日本は地震の活動期に入った。過去には東海、東南海、南海の3つの地震が連動した巨大地震が起きている。極めて危険な状態。
(5)福島原発は震源地と離れていたから初期微動を感知して緊急停止ができた。浜岡原発は震源地の真上であり、緊急停止するまもなく本震を食らう。
(6)原子炉の耐震計算は横波(水平方向の揺れ)に対してのみ行っている。直下型は最初の突き上げが凄まじいため、運転停止の制御棒を挿入しようとしても、燃料棒にぶつかったり、破損したりして、挿入できなくなる可能性がある。原子炉が制御不能に陥れば、核反応が止まらなくなりメルトダウン(炉心熔融)に至る。
(7)07年の新潟中越沖地震(M6.8)で柏崎原発に993ガルの震動があった。近年、中部電力は格納容器などの耐震補強に力を入れていたが、その想定は1000ガルの揺れ。これでは東海地震を到底しのげない。
(8)津波対策が不十分。長年、8mの津波を想定してきた。先月、海抜15mの防波壁を作る計画を発表するも、完成予定は2年後。しかもあくまでも“壁”なので津波の巨大エネルギーを防げない。※浜岡の敷地高は6〜8m。
(9)原発の建っている場所は、かつて海の中だった。ゆえに地盤も弱く、09年の駿河湾地震(M6.5、震度6弱)で敷地内に最大約20cmの地盤隆起や沈下が見つかった。大きな地盤沈下があれば格納容器が無事でも配管が切断してしまう。
(10)上記の駿河湾地震の際、5号機(138万kW=国内最大の原発)の原子炉建屋内で、約250本ある制御棒のうち約30本の駆動装置が故障。使用済み燃料を入れた貯水槽の放射能濃度が通常の50倍に上昇し、タービン建屋壁面にひびが入り床面のデッキプレートを固定するボルト24本が折れた。「5号機の炉は新しいから安全」云々以前に、地盤が異常に柔らかい。4号機でも原子炉内の中性子測定装置の一部が動作不能(4号機も泥岩の上にある)。中部電力の耐震想定はM8.5までだけど、M6.5ですらこの有り様。東海地震が東南海・南海地震と連動すればM9になる可能性もあるのに…。(明日に続く)
 5月8日…複数の原発技術者や学者から「日本一危険な原発」「別格」「Sクラス」と危険性が指摘されてきた中部電力の浜岡原発(静岡)。菅総理が一昨日、稼働中の4、5号機、定期検査中の3号機も含め、浜岡の全原子炉の稼働停止を要請したというニュースで見て、思わず「うおお!」と立ち上がった。昨年7月の総理就任以来、僕は初めてテレビ画面の菅氏に向かって拍手を送った。しかし、この決断に反対している人も少なくない。そういう声の中には、「停止要請の理由」に異議を唱えているのではなく、「菅総理が言ったから」「民主党だから」叩いているように見えるものもある。その気持ちは分かる。これまで菅総理はロクなことをしなかった。やること為すこと行き当たりばったりに見え、今回の停止要請も“思いつきで言ってるのでは?”と疑われても仕方がない。しかし、総理大臣が安全性を理由に原発を停止させるのは史上初のことであり、「国民の安全>原発利権」を明確にした紛れもない快挙だ。
/菅氏は民主党最大の支持母体「連合」の反発も覚悟しているはず。「連合」元会長の笹森清(現内閣特別顧問)は全国の電力会社の労働組合=電力総連出身で、「連合」現事務局長の南雲弘行も電力総連。民主党内には電力総連出身の国会議員が複数いるし、春の統一地方選挙でも電力総連(組合員約22万人)から14人の民主党候補者が出た。それでも、この件では支持母体に毅然と向き合ったんだ。
/それらを踏まえると、浜岡停止を“いつものパフォーマンス”という一言で両断したくない。次回の『浜岡原発の何がヤバイか』を読んで頂けると、“停止要請”についてストンと納得できるかと!
(明日に続く)

 5月7日…宇宙関係のニュースやコラムは、生活・仕事に追われて視野が狭くなっているときに、その圧倒的なスケールでもって脳をリセットしてくれるから好きだ。
/こちらのサイトでは大宇宙から見た地球の位置を、画像で分かりやすく説明している。1枚目は地球の近景。以降、太陽系、銀河系、銀河団、超銀河団とエリアが拡大していく。しかもこれはあくまでも“観測可能”な領域のみ。感想欄に「“宇宙に比べたら、自分はなんてちっぽけな存在なんだ”ってよくいうけど、これはちっぽけどころではすまされないレベル」ってあったのがツボにハマって噴き出した。※拡大画像
/国際宇宙ステーションからNASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)の宇宙飛行士らが撮影した美しい地球の画像にウットリ。リンク先(英語)には現在34点が掲載されており、個人的にトップ5は(5)夜側のスペインと星々、(4)フランス・地中海沿岸に反射する月光、(3)ハワイと宇宙ステーション、(2)宇宙から見たオーロラ、そして第1位が“地球&月”!漆黒の闇に浮かぶ青い地球の美しいこと!パソコンの壁紙に使えそうな写真がいっぱい♪先述した英文リンクには撮影地点など細かい情報が載ってます。圧巻!
 5月6日…近年、大きな社会問題になっている児童虐待。「しつけ」と「虐待」の境界線は親によって異なるため、周囲からは理不尽な暴力に見えても、それを指摘されると「これはしつけだ」と押し切る親も少なくない。こちらのサイトによると、スイスはこの問題を根本的に解決するべく、家庭内での体罰を“すべて規制”する体罰禁止法を制定し、それをきっかけに世界28カ国で家庭内の体罰が全面的に禁止されたという。体罰を与える親は、自分自身が幼少期に体罰を受けたことが多い事実を受け、フランスでは次のような体罰防止のCM(32秒)がオンエアされており、強い印象を残す(子どもを平手打ちした親を、その母親が「パルドン(ごめんなさい)」と抱きしめている)。/僕は子ども時代に、親や教師から体罰を受けても、それは明らかに自分に非があると分かっていたので、反省しこそすれ恨むことはなかった。とはいえ、国内で虐待死がこれだけ頻繁に報道されている以上、こうした法規制が必要なのかも。もちろん、問題を起こしているのは一部の親だけ。でも、一律に体罰を禁止する法律があれば、周囲の人も行動に移しやすいんじゃないかな。命が失われてからでは手遅れだ。
//SMAPのコンサートに行ったことがある友人が、彼らのパフォーマンスはスゴイって絶賛していたけど、この動画(5分26秒)を見て納得。一人一人のダンスがハイレベルで、ステージの演出も実にゴージャス。思わず見入ってしまった。
 5月5日…大きな事件が続いて、ここに自分のことを書くのを忘れていたのですが、先月発売された『月刊石材4月号』と『クロノス日本語版5月号』(Ama)に連載コラムを書いてます。『石材』では鼠小僧次郎吉の巡礼ルポ、『クロノス』では映画『トイ・ストーリー3』を紹介。アカデミー長編アニメーション賞に輝いた『トイ・ストーリー3』は、オモチャの視点から“出会いと別れ”を美しく描きあげた傑作!心が繋がっていれば物理的な距離は重要じゃなくなる!共に歩むことができる!
この映画はラストシーンがめちゃくちゃ素晴らしく、そこを語らなければレビューにならないので、以下、“完全ネタバレ”で書きます。未見の方は鑑賞後にお読み下さいネ。字数の関係で雑誌コラムに書けなかった部分を加筆し、以下の紹介文を最終決定版としたく!
●主人公はカウボーイ人形のウッディ。持ち主のアンディは小さい頃からウッディや仲間のオモチャとよく遊んでいたけど、思春期になるとオモチャを卒業し、今は17歳になって大学生活を始めるため家を出る準備をしている。アンディの部屋は妹モリーのものとなり、オモチャは黒いポリ袋に入れられ屋根裏へ片付けられることに。ウッディたちは「いつかこうなることは分かってたろ」と互いに励まし合い、アンディやモリーに子どもが生まれる日まで長い眠り(スリープモード)に入る覚悟を決める。ところが、ある手違いからアンディにゴミ扱いされたと勘違いしたオモチャたちは、自ら保育園へ寄付される段ボールに入ることを決意。オモチャにとって最高の喜びは子どもに遊んでもらうことであり、その意味で保育園は天国だった。「屋根裏よりよっぽど良い!」と喜び合うオモチャたち。ところが、保育園の幼少組にあてがわれた為、遊び方を知らない幼児たちは彼らを恐ろしいほど乱暴に扱う。しかも、保育園のオモチャ社会は、過去のトラウマで人間不信に陥った熊のぬいぐるみ・ロッツォが独裁者として君臨する暗黒世界だった。ウッディは「僕らはアンディの元へ帰るべきだ」と仲間を説得、かくして保育園からの大脱出劇が展開される。
何度も窮地に陥りながらも危機一髪のところで逃げ延び、なんとかアンディの部屋へ戻ってきたオモチャたち。そこでウッディは、アンディの母親が「ずっと一緒にいられたらいいのに」と泣きながら、独り立ちしていく我が子を抱きしめている様子を見る。それまでアンディの近くにいることにこだわっていたウッディは、“一緒にいる”ことは距離の問題ではないと気づく。離れていても心は通じることを知る。一方、アンディもまた“オモチャがいるべき所は暗い屋根裏じゃない”と思い、近所のオモチャが大好きな4歳の女の子ボニーに贈ることにする。ボニーの家を訪れたアンディは、庭で遊ぶ彼女と向き合い、一個一個のオモチャのあだ名や思い出を語りながら、「僕の宝物なんだ」「大切にしてね」と手渡していく。そしてボニーと2人でウッディたちと心ゆくまで遊んだ後、アンディはオモチャに微笑みかけ「ありがとう…みんな」と感謝して去って行った。小さくなるアンディの車を、ウッディは「あばよ、相棒」と見送る。明るい陽射しに包まれ、両者は新たな生活を歩み始めた--。
1995年に世界初の長編CGアニメーション作品となるパート1が公開されてから15年。前作からも11年ぶり。これ以上ないという最高の形できっちり終わり、近年では珍しい充実したシリーズ完結編となった。冒頭の大列車強盗アクションでワクワクした後、大学に行くアンディがオモチャを“仕分ける”シーンからラストまで、全編にわたって涙あり笑いありのアッという間の103分。スペイン語モードのラテンなバズや、バービーに良い所を見せようとするケンは抱腹絶倒だ。脚本でさすがと思ったのは、保育園で“砲丸投げ”など酷い目にあってもけっして幼児たちを悪く見せないところ。オモチャたちは「イモムシ組の子はまだ私たちと遊ぶ年齢になっていないんだ。私たちにはもっと大きいチョウチョ組の子があってる」と、子どもに悪気はなくまだ小さすぎて上手く遊べないだけとフォローしている。何より忘れられないのが、保育園からの逃避行中に、運悪くゴミ処理施設に運ばれたエピソード。ベルトコンベアに乗ったオモチャたちの先に待っているものは溶鉱炉。当初は逃げようともがくものの、次第に溶鉱炉が接近。運命を悟ったオモチャたちは、互いに黙って手を握り合ってひとつになり、目を閉じて最期の瞬間を“気高く”迎えようとする。最初に手を差し出したバズの目を思い出すだけで泣きそうに。

ラストのアンディとの別れは後世まで映画ファンに語り継がれるだろう。アンディが自らの半身同然のオモチャをボニーに渡す場面は、ルノアールの絵画のように美しい緑と日光にあふれ神がかっていた。オモチャに感情移入していた僕は、アンディの「宝物」「ありがとう」、この短いたった2つの言葉で救済され、すべてが報われた気がした。別れは切ないけどそこに悲壮さはない。心が確かに繋がっている実感があるからだ。これがあれば前進できる。新しい生活に希望を感じる1本!
※字幕を読んでいる時間がもったいないほど画面の隅々まで遊び心満載なので、日本語吹替えをお薦め。声優陣は全員めっさ上手かった!(Ama
 5月4日…カプチーノの表面にハートを描いたりすることをデザインカプチーノと呼ぶそうなんだけど、コチラのブログで『ジョジョの奇妙な冒険』の名犬(迷犬?)イギーが描かれていてビックリ!ふおお、目とか細かい部分をどうやって描くんだろう!?
※と思っていたら分かりやすい動画がYouTubeにあった!(4分)なるほど、楊枝を巧みに使うのか〜!泡立て方も超重要とのこと。
//閉幕したフィギュアスケートの世界選手権。最終日のエキシビションでは、ホスト国のロシアが日本へ応援メッセージを贈ってくれた。リンクの中央に立つ日本人選手を、他国の選手たちが囲み、照明を使ってリンクに日の丸を浮かび上がらせるという嬉しい演出(白いリンクだから赤いライトを中心に集めれば日章旗になる)。ところが、このロシアからの贈り物をフジテレビは地上波で中継しなかった(僕もCSを見た人の情報で知った)。前日までの競技をリピート放送したり、スタジオ・トークを入れたりするよりも、いま重要なのは被災地への温かいエールと思うんだけど、なんでフジテレビがそういう判断をしたのか分からない。現地では詩の朗読などもあったらしく、詳細はこちらのブログで知ることが出来る。/女子シングルは安藤選手が4年ぶり2度目の世界王者。ショートプログラムの柔らかい動きに感嘆!スランプの時期を越え、堂々の世界一。浅田選手は小さなミスがあったけど転倒はしてなかったので、フリーで出た点数の低さに“?”。…っていうか、採点方式なんだけど、前から言ってるように“加点”システムは審査員1人1点までにして欲しい。僕のような素人目には、あそこまで極端な点差になるのは違和感がある。選手自身はみんなどう思っているんだろう。
※追記。男子シングルのフリーでフランスのジュベールがベートーヴェンの第九で滑っていた!ボレロとかG線上のアリアは見たことがあるけど、“第九”は初めてだったので、それだけで感動の頂点に。
//静止画像の一部分だけを動かした作品を20点紹介したサイトに見入る。画面全体が動く普通の動画より、写真と思い込んでいるものが動く方がインパクトあるね。音のない世界には少し怖さもあり、何かを体験したような印象が残る。
//YouTubeで話題になってる1歳5ヶ月の男の子がサッカーごっこをしている20秒動画にホッコリ。こちらのサイトによると、この子は08年に本田選手が所属していたオランダのクラブチームと10年契約を結んだとか!(笑)
 5月3日…サイト読者の方から、アンパンマンの作者・やなせたかし氏(92歳)が“正義”について語ったインタビューを教えて頂き、胸に感じるものがあったので紹介します。以下、リンク先(ポストセブン)の記事から抜粋。→
・「『アンパンマン』を創作する際の僕の強い動機が、「正義とはなにか」ということです。正義とは実は簡単なことなのです。困っている人を助けること。ひもじい思いをしている人に、パンの一切れを差し出す行為を「正義」と呼ぶのです。なにも相手の国にミサイルを撃ち込んだり、国家を転覆させようと大きなことを企てる必要はありません。アメリカにはアメリカの“正義”があり、フセインにはフセインの“正義”がある。アラブにも、イスラエルにもお互いの“正義”がある。つまりこれらの“正義”は立場によって変わる。でも困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても「正しいこと」には変わりません。絶対的な正義なのです」
・「正義って相手を倒すことじゃないんですよ。アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ。だってバイキンマンにはバイキンマンなりの正義を持っているかも知れないから。それに正義って、普通の人が行うものなんです。政治家みたいな偉い人や強い人だけが行うものではない。普通の人が目の前で溺れる子どもを見て思わず助けるために河に飛び込んでしまうような行為をいうのです。ただし普通の人なので、助けに行って自分が代わりに溺れ死んでしまうかも知れない。それでも助けざるを得ない。つまり、正義を行う人は自分が傷つくことも覚悟しなくてはいけない。今で喩えると、原発事故に防護服を着て立ち向かっている人々がいます。自分たちが被爆する恐れがあるのに、事故をなんとかしなくてはという想いで放射能が満ちた施設に向かっていく。あれをもって、「正義」というのです。怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、怪獣との闘いで壊された街を復元しようと立ちあがる普通の人々がヒーローであり、正義なのです」。思想や宗教、価値観の違いを理由に殺せという「正義」ではなく、“困った人にパン差し出す”という「正義」を人々が追い求めれば、どんなに素晴らしい世界になるだろう。
//アメコミのヒーロー、スーパーマンが連載誌の最新号で米国籍を捨てたという。理由が“私は米政府の手先じゃない”。イランの民主化運動を支持するスーパーマンは、自分の意見であっても相手が米政府の意見と捉えて反発することから、米国籍が活動の障害になるとを悩んでいたようだ。こんなにシリアスな話をやっていたのか!
 5月2日…中東ではエジプトやチュニジアの革命により、人々が非暴力でも政権交代は可能だと気づき(リビアは別として)、イスラム過激派への支持が今まで以上に失われてきたという。そんな折、飛び込んできたのが米軍によるビンラディン射殺のニュース。これまでに何度か死亡説が流れたので、当初は影武者と疑っていたけど、この記事には“DNA鑑定をした後に水葬を行った”とあり本人のようだ。
/マイケル・ムーアの映画でもビンラディン一族とブッシュ家がズブズブの関係だったことがすっぱ抜かれてたし、裁判をやってテロの詳しい背景を明らかにして欲しかった。でも、“奪還作戦”の名の下に人質事件などが次々と起きる可能性があり、それは難しかったか。イスラムの習慣ではない水葬にしたのは、土葬にしてそこが聖地になることを恐れたのかも。
/国際社会の対応には困惑が混じる。今回の作戦が国家による個人を狙った暗殺であり、作戦舞台となったパキスタンが事前通知のないことを怒っているため、国際法上の問題も出てくるだろう。国連の戦犯法廷の元判事は「米国にとって危険人物なら、誰でも殺して良いことになってしまう」とコメント。欧州でも疑問の声があがっている。“正義”の反対は別の“正義”という現状において、あらたな混乱が生まないことを切に願っている。
2011年はまだ上半期なのに、本当にいろいろなことが起きる。
 5月1日…複数の読者の方から公開中のフィンランド映画『100,000年後の安全』を薦めて頂いた。フィンランドでは原発から出た廃棄物を地下500メートルに埋め、“10万年保存する”計画があるという。地下施設にどんどん廃棄物を運び込み、満杯になると施設を封鎖し、二度と開けない。問題は10万年が経つまでに、未来の人々が遺跡や宝物庫と思って掘り出さないか。どうすれば危険性を確実に伝えることができるのか。そもそも、未来人は僕らの言語や記号を理解するのか。絵で説明するべきか。作品中には「(3万年前の)ネアンデルタール人と我々は意思疎通できるのか?」という言葉があり、それを考えると“10万年”という数字にクラッと目眩を覚える。僕は単純に「廃棄物は地下深くに埋めればいい」って思っていたけど、未来の子孫の安全性をどうするかまで考えたことがなかった。※各地で公開日が異なる。詳細は公式WEBから。
//この映画を彷彿させるのが2009年に放送されたNHKスペシャル『原発解体〜世界の現場は警告する』。原発解体の現場に初めてカメラが入った貴重なドキュメント。09年時点で閉鎖された原発は世界に約120基あるんだけど、各国とも共通の悩みを持っていた。それは解体した原子炉、鉄骨、パイプなど膨大な汚染瓦礫や核燃料廃棄物を“捨てる場所がない”というもの。深さ600mの場所に埋めてはみたたものの、地下水がにじみ出てきて処分場を閉鎖…そんなケースが相次いでいる。東海村でも一部で解体工事が始まっているけど、もともと解体のことを考えて原発は建設されておらず、設計図も随所で欠け、作業は何度も壁にぶつかっている(日本政府はいまだに解体を考慮した原発設計を義務づけていない)。1956年に世界初の原発を稼働させた英国は、廃棄物を捨てる場所がないため発電所内に貯蔵施設をつくって保管している。英国は今後25基の解体を控えているが、その費用は実に11兆円。運転を続ける限り放射性廃棄物が出るのは分かっているのに、処分場がないまま原発を稼働させるなど、原発を推進している人たちがどれほど無計画にやっているかが露わになったNHKスペシャルだ。
動画リンク(全3本。YouTubeは削除されてしまった)。この動画も消えていたら、文字起こししているブログがあるのでご参考に。








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