8月21日…このサイトは「芸術を通して、人間は民族や文化が違っても、相違点より共通点の方がはるかに多いことを知る」「愛国心とは他国を憎むことではなく、自国の文化を愛すること」、これらをモットーに更新しています。現在、日記の更新が遅れているのは、本日行われた2度目のフジテレビ・デモについて、慎重に言葉を選びながらコメントをまとめているからです。僕の立場がいわゆる右派・左派と異なるものなので、文章化するのに四苦八苦。言葉がうまく出て来ず、のたうちまわっております。でも、今このタイミングで文字化しておかねば、いろんなことがあいまいになって先に進めないんです。r(^_^;) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8月20日…宇宙から地球を見下ろせる“宇宙ホテル”が2016年までに開業するとのこと。運営はロシア企業。客室は4部屋あり、“ソユーズ”のロケットで片道2日かけて到達するそうだ。気になる宿泊費は、交通費と5日間の滞在費で約7600万円(ノーッ!)。リンク先にはホテル内の完成予想画像もあり、想像がいろいろ膨らむ。食事も当然提供されるけど、宇宙空間でのアルコールは御法度らしい。無重力で酒を飲んだらめっさ酔いが回りそう(笑)。客室には銀河を眺めるための天体双眼鏡も完備。7600万なんて庶民には到底出せないけど、30年くらいしたらライバルのホテルもロケットも増えて格安になるといいな。宇宙ユースホステル、30年じゃ無理かなぁ。 //報道によると、全日空とマレーシアのエアアジアが共同で新会社「エアアジア・ジャパン」を設立し、来夏の国内就航(東京〜大阪)を目指すという。エアアジアの最高経営責任者(CEO)いわく「エアアジアの運賃は一時間あたり30ドル(約2400円)ぐらい。大阪に30ドルで行ければランチを食べに行くこともできる」。マジで東京〜大阪が2400円になればバスより安い。安全面に問題がないなら利用しまくる。就航が楽しみ。 //民主党の代表選、前原氏が首相になりそうな雰囲気。前原氏は5ヶ月前に献金問題で外相を辞任したばかり。就任するとまた泥沼になって復興が遅れそう。民主党の議員は両院で411名。それだけいて、完全にクリーンで指導力のある候補者はいないのか…。いずれにせよ、真夏の停電危機も乗り越えたし、誰が首相になろうと脱原発路線は守ってくれ。 //迷走が続く永田町の中央政府に愛想を尽かし、熊本の市民農園に新政府を立ち上げたというニュース(画像クリックで拡大)。年間3万円で暮らせる国家を目指すという。今夏は福島の子ども達約50人をサマースクールに受け入れたという。「生き延びる方法を提示するのがアート。ぎりぎり冗談の、ぎりぎり本気」という言葉が力強い。 //リビアの夜明け目前!どんな独裁体制もやがて滅ぶ。 |
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8月19日…全国23カ所の美術館の年間スケジュールをチェックし、2011年下半期〜2012年上半期のオススメ展覧会情報をアップ!今年は3月に大震災があったものの、中止となった大型展覧会は『プーシキン美術館展』だけで、あとはみんな頑張って開催にこぎ着けている。チョイスした展覧会は14本。イチオシは仏像界の最強イケメン、京都・東寺の帝釈天の東京国立博物館への出張デス。開催は9/25マデ。ちなみにこの帝釈天が仏像イケメンズのベース担当っす!(笑)。是非、今後の鑑賞の参考に! | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8月18日…ミュージシャンのプリンスといえば、エキセントリック&ファンキーなロックというイメージが強く、ビートルズの音楽世界とはまったく接点がないように思っていた。それだけに、元ビートルズの故ジョージ・ハリスンの追悼ライブで演奏された『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』で、“泣きのギター”を引きまくっている姿にジーンときた(読者の方に教えて頂きました!)。動画の冒頭で一番奥に映っている、赤い帽子の派手な男がプリンス。ちなみに、ステージ中央の老紳士がトム・ペティ、トムの後方でアコギを弾いている青年がダーニ・ハリスン(ジョージの息子。父親にそっくり!)。プリンスは一番右端にいるため、前半は画面に全然映らない。“プリンスなのに影が薄ッ!”って思ってたら、中盤からラストまで一番オイシイ部分を頂いてた。原曲ではエリック・クラプトンが担当していたギター・パートを、ステージから落ちそうになるほど弾きまくり!その様子をジョージの息子が嬉しそうに見ているのが微笑ましい。普段のプリンスはセクシャルなビジュアル面が目立つけれど、そのギター・テクニックは音楽ファンから高く評価されており、このライブでも存分に名演奏を聴かせてくれる。ビートルズの『ホワイト・アルバム』に入っているこの曲は、イブシ銀の輝きを放つ傑作。良いメロディーなのはもちろん、歌詞がこれまた素晴らしいので以下に紹介。 ジョージいわく、楽曲のテーマは「愛情が薄くなってしまった現代人への嘆き」。 ●『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』(6分24秒)※プリンスのオンステージ状態は3分半付近から! 君たちを見ていると愛は眠りこけているようだ 僕のギターは静かに泣いている 床に目をやるとすっかり埃に覆い尽くされている その中で僕のギターはむせび泣き続けている どうして誰も人の愛し方を君たちに教えなかったのだろう どうやって君たちを操っていたのか分からないけど、君たちは売り買いされていたんだ 世界に目を向けた僕は、それが回っていることに気付いた 僕のギターが忍び泣いている時もずっと あらゆる過ちから僕らはしっかりと学ばなくちゃいけないんだ 僕のギターは今も優しく泣いている どうして君たちは脇道にそれてしまったんだろう 君たちはすっかり踏み外してしまった どうやって君たちは逆に進んでしまったのか 誰も君たちに警告しなかった 君たちの誰を見つめても、愛が眠りこけているのが見える ずっと僕のギターはむせび泣いている 僕は君たちを見ている…僕のギターは静かに泣き続けている |
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8月17日…帰省の5日間は、もうすぐ2歳になる子どもを連れて人混みの中を初めて大移動。金沢の21世紀美術館の『大鉄道展』、いしかわ動物園の『ナイトズー』(夜間動物園)、長野県の『諏訪湖祭湖上花火大会』に足を運び、来年の大河ドラマ『清盛』関連の取材で、木曽・宮ノ越の木曾義仲の資料館、義仲&巴御前ら義仲側近の墓を訪れ、最後に愛知県南部、伊勢湾沿岸の野間大坊へ、清盛の母&頼朝・義経兄弟の父親・源義朝の墓&信長三男で当地で自刃した織田信孝(のぶたか)の墓を巡礼し、近所のビーチで息子に初めて海を見せ、ついでに海水浴させた。関西→北陸→信州→東海という長距離移動なので子どもがキツそうなら途中で計画を変更して帰宅しようと思ってたんだけど、北陸や長野は涼しかったので、体調は大丈夫だったみたい。親族の墓参や挨拶まわりも含めて、なんとか5日間の行程を終えることが出来た。ロバート・A・ハインラインのSF小説『夏への扉』を持参し、電車の中で読むつもりだったけど、子どもの世話に追われてたったの8ページしか読めなかったことだけが誤算だった。電車の中で奇声を発する絶叫チャイルドになったらどうしようかハラハラしたけど、親の“ド緊張”が彼に伝わったのか、本当に満員の時は神妙にしていたので助かった(汗)。 /公共の場で騒いでいる幼児について、僕は長年大きな誤解をしていた。子どもが生まれる前は、ファミレスで騒いでいる子どもがいると「親はどういう教育をしているんだろ」とか、電車の中でむずかってギャースカと泣いてる子がいれば、「あーもう、うるさい」「なんで車を使わないのか」って思ってた。子育てして分かったのは、生後8ヶ月くらいまではドンドン身長が伸びていくけど(1ヶ月4cmとか!)、1歳頃から成長がゆるやかになって、1歳半に歩き始めると、中身はまだ赤ちゃんとあまり変わらないのに、外見だけ3歳くらいに見えてしまうこと。3歳児なら色々話すことが出来るし、親の言ってることも完璧に分かる。でも、1歳半はまだ喋ることさえロクにできない。言葉が話せない子は、泣いて感情を伝えることしかできないから泣いているだけ。つまり、かつての僕は、まだ1歳半くらいの子を3歳児と間違えて「どういう教育を」とか思ってたんだ。2歳前になると自我ができて「イヤイヤ期」が始まる(俗に言う“魔の2歳児”)。食事、着替え、何でも自分でやりたいのに、手足を自由に動かせないので失敗し、それがもどかしくてカンシャクを起こして泣きわめく。おそらく、レストランで泣いてる子は、スプーンですくったものが口に入る前に落ちてしまったり、ワサビなど食べられないものを食べようとして親に止められ、気を損ねて泣いているんだろう。小さすぎて言葉が通じない子の親に「ちゃんと言ってきかせろ」というのも無理な話。「車を使え」というのも、幼児がチャイルドシートに長時間固定される辛さを分かっていなかった。渋滞に巻き込まれたら、エアコンが効き難くて暑くなるし、子どもにはキツすぎる。電車で移動する方が子どもにはラクだ。 /あと、多くの幼児は眠たくなると泣く。大人からすると、“眠たいならとっとと寝りゃいいじゃん”って思うけど、大人だってなかなか寝付けない時はある。その“寝付けない”という状態が小さな子どもには極めて不快なもので、ああやって“眠いのに上手く寝られないヨ〜”って泣いてるんだ。それが、電車の中だったりすると、親は他の乗客から「黙らせろ」と厳しい視線を向けられることになる。でも、腹が減ってるならお菓子や飲み物で泣き止ませられるけど、寝付けないっていうのは抱っこしか対策法がないんだよね…。 /こういうことが分かってから、1歳や2歳の幼児がワーンワーンと泣いてても不快に感じなくなったし、むしろ、“いろいろ上手くいかなくて辛いね、悲しいね”ってその子に同情するようになった(&親にはエール)。 ※ただし、明らかにもうすぐ小学生という子が公共の場で騒いでいる場合は別。それは親や社会がしっかり教育していかなくちゃならない。とりあえず、この日記を読んだ人が、外出先で「幼児の泣き声がうるさい」という不快感を持った時に、原因が分かることで少しでもイライラが減ればと思って書いた次第デス。 |
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8月12日…お盆は帰省するので、次回の更新は17日になります。番組情報をまとめてアップしておきますね。/BSプレミアムで映画『人間の條件』をやることを知り仰天。なぜなら、この作品は「全6部、計9時間31分」というウルトラ超大作だから!日中戦争の狂気の中で、理性を失わずにヒューマニズムを貫き通した男の物語。仲代達矢の鬼気迫る熱演は映画ファンの間で伝説になっている。めったにテレビでオンエアされないので、この機会に是非。 //サイトのオフ会を11月下旬〜12月上旬の間に大阪で開催します。正確な日程は9/10までに発表します(会場の抽選結果待ち)。12時間ほど場所を確保できるので、直接、いろんな話題を話しましょう! //荒木先生公式WEBにワムウ、カーズ、ミスタ、ジョルノの可動フィギュア原型キタッ!ジョセフ、シーザー発売の後にブチャラティになったから、2部敵は製品化されないと思ってた。“柱の男たち”に光が当たって良かった! //テレンス・マリック監督の最新作『ツリー・オブ・ライフ』、公開初日に観てきた!哲学性、芸術性が全面に出ていて、いわゆるエンターテインメント性はほぼ皆無。間違いなく賛否が分かれると思う。僕は断固“賛”!帰省後に詳しいレビューを書きマス。宇宙&地球の歴史と、家族問題(父子の確執)という、マクロとミクロを並行してして語る神業に圧倒された!マリック版『2001年宇宙の旅』!予告編にも一部が入ってる「愛することでしか幸せになれない。愛がなければ人生は瞬(またた)く間に過ぎ去る」が凄い説得力。※スメタナ作曲の『モルダウ』、本編でも流れます。それもたっぷりと!幼児期のシーンだけでも映画代のモトはとれた。 8月11日…公開中のハリポタ完結編、『ハリー・ポッターと死の秘宝 パート2』、めっちゃ良かったです!劇場の大スクリーンで観る価値がある映画ッス!予告編(2分38秒)にも出てるけど、ホグワーツ魔法学校での攻防戦が実に壮大!見応えあり!嗚呼、スネイプ先生! |
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8月10日…福島の原発事故以降、あまりに数多くの原発関連動画がYouTubeにあがり、電力業界や行政の問題点を考える時に、どれを視聴すれば良いのか分からないという人も多いと思う。僕なりに各種動画を見て、この2本を見れば現状と今後の問題点が分かるというものを見つけたので以下に紹介。 ●官僚でありながら反官僚、“官僚の良心”といわれる古賀茂明氏が、国や電力会社の問題点、特に電力業界改革の最重要ポイントとなる、発送電分離の大切さを分かりやすく語った解説動画/その1(13分)、その2(8分)。合計約20分あるけど、この20分は絶対に無駄にならない。未来のエネルギーをこれから考えていく時に、必ずこの20分で得た知識が役に立つハズ!“その1”の最初の10分だけでも視聴をお薦めしマス! ●東大の児玉龍彦教授(東大先端科学技術研究センター教授)が衆議院厚生労働委員会で、政治家を相手に“満身の怒り”を表明した歴史的スピーチ「放射線の健康への影響」(16分)。児玉教授は“内部被曝”研究のスペシャリスト。「福島第一原発から漏出している放射線量は、熱量で広島型原爆の29.6個分、ウランは20個分に相当する。1年後の汚染物の残存量は、広島は1000分の1になったが福島は10分の1に過ぎない」と語り、その上で子ども達を救うために優先すべきことを説き、政治家のノロノロした対応は犯罪そのものと糾弾している。全身全霊をかけた魂の答弁!字幕が付いているのでとても分かりやすくなっている。既に一度動画が削除されているので、是非残っているうちに視聴を。 /先日、民主、自民、公明が“裏大連立”で成立させた“原子力損害賠償支援機構法”(東電救済法)によって、電力改革を行わなくても東電が救済されることが決まった。この法案は、東電が賠償できない分は、国民一人一人が東電の代わりに賠償しようというもの。あれだけ大きな事故なんだから、一企業が賠償できなきゃ血税が投入されるのは分かる。でも、モノには順序があるだろう!送電線を売却すれば5兆円のお金が出てくるのにそれをやらない、電力会社が積み立ててきた原発再処理積立金の2.7兆円もそのまま、東電の社員には普通に夏のボーナスが出てるし、徹底した経営合理化やリストラ案が決まったという話も聞かない。震災前に各方面から事故の危険性を指摘されていたのに無視、定期点検で虚偽報告、そんないい加減な経営をしてきたのに、“国民が血税で東電を救う”賠償方法だけ決まって、経営陣は殆どそのまま…。この法案は、東電に「脱原発や電力自由化なんて目指さなくてもいいんだよ」と言ってるようなもの。これまで通りのやり方で国民が賠償してくれるのに、企業体質にメスを入れることなど期待できない。せめて、送電線の分離を最低条件にして、東電救済法を採決して欲しかった(衆議院で議論されたのはたった2時間半)。 /今月4日、海江田経産相が原発事故の対応責任を問う形で、経産省事務次官、資源エネルギー庁長官、原子力安全・保安院長の3名を更迭した。ここで重要なのは、電力改革に積極的で行動力のある人物を抜擢することなのに、後任人事は従来の慣例通り、経産省内の“順送り人事”。外部の専門家を入れないと、これじゃ更迭した意味がない。現在、脱原発派は新しい事務次官に、日記の冒頭で紹介した改革派官僚の古賀茂明氏(経済産業省大臣官房付)を、そして原子力安全・保安院長には同じく上記の東大・児玉龍彦教授を抜擢するよう訴えている。 |
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8月9日…(続き。反韓流について、初回は8/7の日記) /僕は歌舞伎、能、万葉集、浮世絵、黒澤映画など、様々な日本美術や伝統文化に触れる中で、日本文化に対する圧倒的な誇りと愛を持っているので、どんな外国文化が入って来ようと平気だ。それで自国の文化が傷ついたり、汚されたりするなんて考えもしない。日本文化はそんなにヤワじゃない。だから、韓流ドラマがテレビに多くても「文化侵略だ!」なんてこれっぽっちも思わないし、テレビ局がそうしたいのならお好きにドーゾという感じだ。反韓流を叫ぶ人には、もっと堂々としてればいいし、何も不安がることはないって思う。韓流を文化侵略と捉える人は、愛国心を口にするだけで日本の伝統文化や古典文学に、実際に深く触れていないのだろう。ちゃんと日本美術や古典芸能を味わっていたら、海外の文化が入ってきても余裕で楽しめると思うんだけど。文化の優劣がどっちにあるかではなく、「どちらの文化もそれぞれ優れている」でいいと思うんだけどな。 /デモの動画(1分)を見ると、お台場に集まっている家族連れなど観光客に向かって「お前らここで遊んでる場合じゃねえぞ」「お前ら目を覚ませ」「騙されんなよ!」と叫び、最後は“君が代斉唱”&「天皇陛下バンザーイ!」と万歳三唱で終わっている(コチラの3分48秒付近)。動画を撮影している人も「これはちょっと違う」と困惑しているけど、本当の右翼なら“安易に陛下を利用するな”と怒るんじゃ?「フジは強引な韓流押しを止めろ」と訴えるのがデモの主旨なのに、ここで天皇が出てくると運動全体が別のものに変わってしまう気が。 /いつの世でも、資本主義、社会主義にかかわらず、支配層は自分たちに国民の怒りが向かないよう、弱者同士をいがみ合わせて、高みの見物をきめこんできた。ネット上には弱者同士を憎ませるような怪文書が飛び交っている。右派は大型掲示板に「民団新聞に在日が日本支配を語る投書がある」として、“在日韓国人、魯漢圭氏”の文章をしきりに貼り付けている。こんな内容のものを新聞に載せるのかと疑っていたら、案の定、内容を大きく変えた悪質なデマだった。お台場に集まった若者たちに、行動するエネルギーがあるのは確か。みんな、胸に正義感を持って足を運んだのだろう。でも、ガス抜きで“義心”をレイシスト(差別主義者)に利用されないように。これまで何度か書いているけど、日本の人口約1億3千万のうち、在日韓国・朝鮮人の数はわずか60万人。日本人の約220分の1しかいない。「日本が支配される」と騒いでいるレイシストは、日本人がそれだけ間抜けと言ってるのと同じだ。っていうか、もし在日の人が220倍の日本人を支配できたら、よっぽど優秀な人々ということになる。韓流よりも、高域暴力団や汚職官僚、原発利権に群がる原発マフィアの方が、もっと直接的に僕らの社会にダメージを与えているんだから、お台場デモをやる情熱で山口組の本部を囲むとか霞ヶ関や東電前でシュプレヒコールをある方が、真の意味で美しい日本に繋がると思う。 【追記】僕の韓流開眼は遅かった。「冬ソナ」ブームを冷めた目で見てた。目からウロコになったのは、韓流ドラマ『ファン・ジニ』。身分差別の中で自分の信じた芸術を貫く姿に、心を鷲掴みにされた。「愛とはゆるやかな調べだ。早い調子で軽やかに進むのではなく、ゆったりとして物悲しくも聴こえるが、情緒に溢れる。そんな調べだ」など、セリフも美しい。特に良かったのは第17話「舞えぬ鶴」と第18話「空白の舞譜」。滝泣きのあまり脱水状態になった。サントラまで買ってしまった!反韓流の人が、ちゃんと韓国映画やドラマを見た上で批判しているなら良いんだけど、見もせずに叩いている人のなら、次の5本の映画をお薦めしたい。どの作品も圧倒され、鑑賞後はすぐに立てなかった。『トンマッコルにようこそ』『JSA』『風の丘を越えて』『ブラザーフッド』『シルミド』。以上、長文を読んで下さり有難うございました。短所だけをクローズアップした、無用な憎しみが広がりませんように。 |
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8月8日…(続き。反韓流について) /いわゆる“韓流”に対する僕の考え方は、アメリカ文化やフランス文化と一緒。様々な外国文化のひとつであり、それ以上でも以下でもない。日本に入って来た文化・芸術で、良いものは残るし、偽物であれば消える、それだけのことだ。映画館に行けば半分以上がアメリカ映画に席巻されているし、都会の至る所にマクドナルトがあるけど、だからといって米国大使館に「文化侵略だ!」と抗議することはない。ハリウッド作品が面白く、チーズバーガーが上手いから残った。韓流ブームは、電通やメディアが「いまコレが流行っている」と仕掛けた“作られたブーム”だけど、内容がカラッポであれば、どんなに宣伝してもブームは持続しない。「冬ソナ」だけで終わらなかったのは、他のドラマでも韓国の俳優たちが素晴らしい演技を見せ、“東方神起”“KARA”などが、高いレベルの歌唱力を持ち、ダンス・パフォーマンスに優れ、ファンを大切にしてきたからだ。ペ・ヨンジュンが人格者であることはアンチの少なさからも分かる。特筆したいのは、韓流スターたちが東日本大震災にあたって行った義援金の規模と速さだ。日本のセレブに殆ど動きが見えなかった被災初期の段階で、韓流スターたちは軒並み数千万という多額の寄付をしてくれた。金額もさることながら、僕はその“スピード”に胸を打たれた。“周りを見てから動く”とか、そういうのがない。韓流嫌いの愛国ブログって、こういう事実をスルーしていることが多いように見える。 /ただ、フジもやり方をもっと考えればいいのにって思う。テレビ欄に「韓日プロゴルフ対抗戦」「サッカー韓日戦」って表記したら、「なんで“日韓”じゃないんだ」って反応が出てくるのは分かりきったこと。浅田真央選手に対する敬意を欠いた態度もそう。キム・ヨナ選手を押す一方で、このパネルは酷すぎる。コラじゃないかと目を疑ってしまった。この辺は僕の理解を超えている。 /僕が小学生の頃、テレビには米国ドラマが溢れかえっていた。やがてそれらは淘汰され、大半が日本のドラマになった。日本人の琴線は日本人が一番分かっているからだ。近年、テレビ局は長引く不況により、高い制作費を払って自力でドラマを作ることを止め、格安の放映権料を払うだけで番組枠が埋まる韓流ドラマを頻繁に流している。韓流ドラマの枠が増えるということは、日本のドラマがその分オンエアされない訳だし、安易に海外ドラマばかり流していたら、民放のドラマ制作力がますます落ちてしまう。だから、俳優の高岡蒼甫さんがツイッターで「もうフジは見ない」と抗議の声をあげたのは理解できる。その後のネット上の流れが、「だからこそ、韓流に負けない素晴らしい作品を作ろう」「内容と質で韓流ドラマをねじ伏せよう」と気概のあるポジティヴ方向に進まず、「韓流をヒイキするフジを叩け」という、非生産的なネガティブ方向に進んでいったのが残念。新しいものを作るより、今あるものを叩く方がラクということか。(つづく) |
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8月7日…今日から4日間は、漫画レビューを一時休んで時事問題(脱原発&フジテレビ反韓流デモ)を語りたい。 //九州電力の“やらせ”メール事件の背後に、原発超推進派として知られる佐賀県の古川知事がいたことが発覚。知事は否定してるけど、九電幹部のメモ内容が非常に具体的であり、僕は知事よりもこの幹部の方を信じる(そもそも知事を陥れるメリットが無い)。/九電やらせメールが明らかになった時、他の電力会社も同様のことを日常的にやってるんじゃないかと、疑いの目が向けられた。その結果、電力会社どころか、原子力産業を監視する立場にある経産省の「原子力安全・保安院」が積極的に中部電力や四国電力に“やらせ”を依頼していたことが明らかになった。そこまで経産省&電力業界は腐りきっているのか。やらせによる世論誘導は本当にタチが悪い。※国側(自民政権時代)のやらせ問題まとめサイト。まさかのジョセフ(笑)。 //フジテレビによる韓流押しへの抗議デモが、お台場のフジ本社前で行われた。また、フジの有力スポンサー・花王に対してネットで不買運動が起き、花王製品のアマゾン・レビューは軒並み一ツ星になっている。僕は一連の動きを不思議な思いで見ていた。これまで、保守派から“売国”扱いされたのは、リベラルな朝日・毎日だった。僕にしてみれば、フジ・サンケイ・グループといえば自民にベッタリの保守メディアの代表格であり(反戦・反核番組も他局より少ない)、そのフジが右派に叩かれているのは何とも奇妙な光景だった。 /奇妙と言えば、花王なんかじゃなく、産経新聞の不買を広めれば、同じグループのフジテレビに直接ダメージを与えられると思うんだけど、反韓流派は産経新聞を批判しないんだよね。「お台場デモ」のことを産経新聞は黙殺して報道しないのに、そのことに対して怒らない。それは産経新聞が歴史教科書問題でタカ派的な発言を繰り返しており、竹島についても強硬派だからなんだろう。フジ・サンケイ・グループのダブルスタンダード(二重基準)っぷりに保守派も混乱していると思う。 /でも、混乱する必要はない。ことは単純だ。要は“金儲け”の話だ。フジテレビは昔からブームのネタになりそうなものを嗅ぎ分ける能力はズバ抜けていた。視聴率の一人勝ちも、その能力をフルに発揮した結果だ。彼らは「韓流」がオイシイものになると見定めた。「東方神起」「KARA」「少女時代」など、日本で人気の韓流アーティストの著作権管理は、ことごとくフジテレビの子会社“フジパシフィック音楽出版”が抑えている(JASRACのデータベースですぐに分かる)。同社は09年に過去最高の営業利益をあげている。K-POPブームが莫大な利益を生むのなら、そのブームを拡大させたいのが企業論理。節操など無い。すべてカネ。だから、フジが日本を売ろうとしているとか、韓国の陰謀で乗っ取られるとか、そういう風に見ている人は、ちょっと深呼吸して落ち着いた方がいい。(つづく) |
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8月6日…マンガ・集中レビューその12 ●『カラマーゾフの兄弟/第2巻』(2011)…近年、純文学を漫画化・アニメ化するケースが増えている。原作が長編小説の場合、メインのあらすじだけが映像化され、サイドストーリーは大幅にカットされることが少なくない。その結果、熱心な原作ファンからは、“あのシーンがない”“このシーンもカットされた”と激しく糾弾されることになる。それゆえ、非難されるリスクを背負ってコミック化に挑む漫画家さんの勇気と覚悟に心から脱帽している。特に内面世界を掘り下げていくロシア文学は、読み込むだけで膨大なエネルギーを要することから、コミカライズは相当“タフ”なものになる。 /昨年、それらロシア文学の中でも、エベレスト級の超大作『カラマーゾフの兄弟』(byドストエフスキー)に漫画家・及川由美さんが挑み始めた。第一巻では、ミーチャ、イワン、アリョーシャの3兄弟だけじゃなく、放蕩親父や使用人スメルジャコフも丁寧に性格描写されていたことから、“この漫画家さんの原作愛は本物だ”と、胸中で熱いエールを送っていた。 /先月、待望の第二巻が1年4ヶ月ぶり刊行された。原作ではシリアスな宗教論が出てくる部分であり、どんな形になるのか想像出来なかった。無宗教に近い日本人にとって、ドストエフスキーがこだわっていた神をめぐる問題はさほど重要でないため、編集者の判断でごっそり削られることも充分考えられた。“カラマーゾフ”をエンターテインメント重視の犯罪サスペンスとしてコミック化するなら、宗教云々は不必要なパートだ。でも宗教論は間違いなく物語のひとつの“核”。これ抜きの“カラマーゾフ”はあり得ない。 /読み始めて、僕の懸念は杞憂、無用の心配であることが分かった!イワン&アリョーシャの『大審問官』付近の一連の宗教論争が約50ページも描かれていた!イワンは修道士である弟アリョーシャに様々なことを語る。以下はその抜粋。セリフからイワンの苦悩や憤怒(義憤)が伝わると思う。彼は特に“児童虐待”を憎悪していた(当時のロシアでも、幼児が虐待死する深刻な事件が起きていた)。イワンはその理不尽を放置している神に抗議しているんだ。 ・「(児童虐待について)いったいどうしてこんな事が起こらなくてはいけないんだ!?これは父親が(エデンの園で)食べたリンゴの罪を子供が償っているんだと言うやつもいるが…そんな…バカな話があるかよ!?子供はまだ何も食べちゃいないんだぜ!?」。 ・「(神は人間が作ったものとして)神の存在がどうしても必要なんだという考えが、よく人間みたいに野蛮で汚い動物の頭に忍び込めたよな。そのこと自体は本当に神聖で感動的だと思わないか?だから俺は神を認めている」。 ・「恐らく…ああいった(児童虐待などの)悪行や苦悩が未来の“永久調和”の肥料(こやし)になるのだろう。だけど…だけどさ、いくらなんだってその代償が大きすぎるよ!!そんな永久の調和なんてものは、(虐待され)臭い便所の中で“神サマ”にお祈りしていた女の子の一粒の涙にも値しない。アリョーシャ、俺は神を認めないんじゃない。神の創った世界を認めないんだ。“調和”への入場券なんて渡されたら、つつしんで神にお返しするね」 ・「責め殺された子供たちの血の上に築かれた…今の自分の幸福を赦す事ができるかい?」 ・「それだよ!!“だけど”!!その“だけど”がくせ者なんだよ!!」 ・「イワン兄さんは“あの人”(キリスト)の事を忘れている…。いや、イワンが“あの人”の事を忘れるはずがなかったんだ。もし“あの人”の事を忘れていたなら、イワンの不信がここまで絶望化する事はなかったのかもしれない」 /“神の実在は認めても、子供が苦しむような神が創ったこの世界を否定する”、西欧の人々はこうしたイワンの苦悩に触れ、強い衝撃を受けたという。無神論者のことは「変わったヤツ」「罰当たり」と無視できても、倫理や正義に基づいて神を糾弾するイワンの言葉は、軽く受け流せないものだったからだ。 /次巻はカラマーゾフ家に最大の事件が起きる怒濤の展開が待っている。嗚呼、ミーチャ!幻冬舎はコミックの売上高に左右されず、“カラマーゾフ”と係わった出版人としての名誉を重んじ、及川先生が望むだけのページ数を確保して欲しい!(Ama) |
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8月5日…マンガ・集中レビューその11 ●『ダニー・ボーイ』(2008)…作者・島田虎之介。全1巻。前作『トロイメライ』が手塚治虫文化賞新生賞に輝いている。島田先生は漫画家としてはかなり遅い39歳のデビュー。単行本が2年に1冊出ていて、現在4作品。『ダニー・ボーイ』が一番新しい。絵柄は版画のようですごく特徴がある。最初は見慣れないタッチに抵抗があって読みにくく感じたけど、次第にその絵柄が持つ不思議な魅力にハマっていた。荒木先生の『ジョジョ』と同様に、“この物語はこの絵柄で描かれて初めて生命が宿る”と感じるようになった。一台の古いピアノをめぐる人間模様『トロイメライ』も良かったけど、『ダニー・ボーイ』はさらにその何倍も素晴らしかった。 /作中では“伊藤幸男(サチオ)”という1970年代半ばにブロードウェイで脚光を浴びた男の人生が、出生時に彼を取り上げた助産婦から、晩年を知っている航空管制官まで、9人の視点から鮮やかに描き出される。 /サチオは天性の傑出した美声を持っており、9人の人間はみんな一度聴いたら忘れられない声として彼を記憶している。そしてその声をふとした瞬間に思い出し、当時の自分のことを振り返る。つまり、サチオを通して9人の過去も語られるという構成になっているんだ。 /随所にロングカットやフェードアウトなど映画的な表現方法が使われており、各自の表情のズームアップから回想シーンに入っていく下りは、漫画を読んでいることを忘れてしまいそうになる。登場人物と一緒に時が巻き戻され、“今から魔法の時間が始まるぞ”っていう空気に包まれる。 /9人の記憶は特別大きな事件が語られるわけじゃない。でも、どれもエピソードの後に良い余韻がある。サチオは天真爛漫で性格に裏表がなく、心底から音楽を愛している。そんなサチオを見て、みんな忘れていた何かを思い出す。サチオがアメリカでオーディションを受けたとき、歌を聴いた後の審査員が「(次の候補者は)もうしばらく待たせておけ。まだ歌が残ってる」と目を閉じているシーンが特にジンワリときた。 /作品名の「ダニー・ボーイ」(5分21秒)は同名のアイルランド民謡からきている。サチオが飛行機に乗って口ずさむ歌。同曲を聴きながらこの漫画を読むと、頭の天辺からつま先まで作品世界にドップリ浸ることができる。島田先生が『ダニー・ボーイ』を描かれたのは47歳の時。年齢が持つ余裕というのか、コマ運びが実にゆったりとしていて、若手漫画家と同じ漫画という表現方法を使っていても、全然違うジャンルの芸術のようだ。1巻読み切りなので、機会があれば皆さんも是非。読み終えた後、心に太陽の陽射しと青空が残った。 ※本書を薦めて下さった読者の方々、有難うございました! /こちらのサイトによると、モデルになったのは1990年に飛行機事故で他界した元劇団四季のイサオ・サトウさんで、氏は実際に『太平洋序曲』でトニー賞助演男優賞にノミネートされたという。(Ama) |
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8月4日…マンガ・集中レビューその10 ●『えへん、龍之介』(2011)…作者・松田奈緒子。全一巻。昨年暮れ、妻が女性漫画誌『BE・LOVE』を読みながら「なんか、芥川龍之介の漫画があるよ」と教えてくれ、半信半疑でページを開くと、ひとコマ目のセリフが「よう!室生君」。正直、ブッ飛んだ。詩人の室生犀星(さいせい)の名前が漫画誌に!?犀星だけじゃない。この作品には、龍之介が親交を結んだ、萩原朔太郎、谷崎潤一郎、平塚雷鳥、菊池寛、川端康成(学生)、夏目漱石(想い出)、当時の文壇の文士達が次々と登場し、大杉栄ら時代を象徴する思想家も出てくる!そして、ちゃんと語ってる!全一巻なので、各キャラの出番は短いんだけど、それでも“とりあえず出しました”的な印象はなく、みんな画中で呼吸している。っていうか、大杉栄が出てくる漫画なんて、男性漫画誌を含めても記憶にない。感無量。大正末期から昭和初期にかけて時代の息吹が、どのページにも濃縮されていた! /松田先生が龍之介を見つめる目はどこまでも優しい。室生犀星のセリフに人物観がよく出ている。「少し書いては頭から読みなおし、長考の末また書いて、気に入らなければ全て捨てて、また一から書き直す。気が遠くなるほどの彫琢(ちょうたく)を施す緻密さと、女の罠にコロリとはまる間抜けさと、一緒に抱える愛すべき男。我が友、芥川龍之介」。巻末の作者の言葉はこうだ「今までいろんな編集さんにお見せしても“渋すぎてウチではちょっと”“レンアイものじゃないと載せられない”。芥川が描きたいと思って早や20年!やっとこの日がきました!!」。いやはや、並々ならぬ意気込みを感じる。陰気でしかめっ面というイメージのある“文豪”が、この作品では“人間・芥川龍之介”として生命力を持って描かれる。 /当作品は1冊なのに、印象に残ったセリフがたくさんある。 ・「批評家にコケにされても、僕は僕の信じるモノを書かなきゃならない。作品だけはゆずれない。僕の自由の王国なのだ」 ・「(自分自身に)おい、お前。覚悟はできているか。人生は進むしかない薔薇色の悪夢だぞ」 ・「物を書かない僕は凡人です。廃人になっても物を書く人間として生きたいのです!」 ・「ただ前に進むしかない。苦しかろうが、つらかろうが。そして空に消えてゆく」 悲壮ではあるけど決意を秘めた言葉はカッコ良い。一方、ユーモアを感じるシーンも多い。例えば、強盗にあった龍之介が、お金を差し出した後、立ち去る強盗に声を掛ける場面。「時に君…君はなぜ泥棒になったんだい?もう仕事は終わったんだろ?ちょっと話していけよ」。“小説のネタになるかもしれん”と思ってるんだ。編集者との締め切りをめぐる攻防戦も楽しい。 /川端康成との会話も胸に響いた。「芥川さんほどの人でも…あるんですかスランプ」「だって君。新しいモノを書こうと呻吟(しんぎん)苦労した作品を出したとたん、批評家どもに八つ裂きにされる。うんざりだよ」「(芥川さんの作品は)新しいのに、優雅で古典的均衡があって美しい。間違いなく次の百年を継ぐ橋になると思います」。 /萩原朔太郎が夜中に家の屋根に登って近所を見渡すシーンも素晴らしい。「高台にあるのが芥川の家。あれが室生の家。芥川はまだ起きているか。室生は寝たか…。終電はとうに過ぎて、あれは貨物列車。車輪のリズムが朝をつれてくる…」。足下の猫がお前は幸福かい?という目で見ている。「幸福である必要があるかい?僕たちはただ、百年残る言葉を探しているのだ。そのために今生きているのだ」。泣ける。 /だが、最も胸が熱くなったのは、ごく平凡でありきたりな家族団らんシーン。僕らは龍之介が30代で自殺することを知ってる。だから、奥さんや小さな子ども達の笑顔を見てると、その後に訪れる悲しみが思われてたまらない気持ちになる。奥さんが晩年の龍之介に「ぼくが自殺したらどうする?」と問われて「お父さん…あなたにとって、この世は地獄なのですか?子どもたちや家族、ご友人や私などがいても、あなたを救えないほどの地獄なのですか?」と悩む姿が切ない。龍之介が死んだ時、長男・比呂志は7歳、次男・多加志は5歳、三男・也寸志は2歳。この作品では次男に汽車ポッポを見せに行くなど、龍之介は子煩悩な一面を幾度か見せている。「ポッポ見にいくか?」「あい!」。子どもらはあんなに父のことが大好きだったし、必要としていたのに…。なんとか子どもの為だけでも生きられなかったか…。ちなみに次男は終戦直前に23歳の若さでビルマに散っている。長男は俳優に、三男は作曲家になった。 /大杉栄は官憲に尾行されているところを川端康成の下宿にかくまってもらい、そこで龍之介と出会った。関東大震災が起き、そのドサクサで大杉栄や左翼活動家、朝鮮人がデマで殺害されたことに対し、龍之介は「(震災直後の)この混乱期に、見てきたようなデマがなぜ出るのだ?しかも一斉に…」と権力を疑った。後年、このデマを流したのは正力松太郎と分かっているが、こういうことにもちゃんと漫画誌で触れていることに感心した。 /漫画であると同時に文学のたたずまいを感じさせる本作品。キャラの絵は軽妙で、筆致も奔放。文豪たちの表情は特徴をよく捉えていて、松田先生ならではの味わいがある。また、子どもたちの動作がいちいち可愛く、赤ちゃんのお尻の大きさとか、この年齢ならこの大きさっていうリアリティも出ている。 /終戦の年の東京大空襲で、龍之介の生家も手帳などの遺品も、全部燃えてしまった。日本が空襲される前に降伏していたら、多くの人命が救われたのはもちろんんこと、どれほど無数の学術的資料が残されていたか…! /アマゾンの書評を見ると、“ここが史実と違う”“そこも史実じゃない”と、ボロクソに罵倒して星1個を付けてる龍之介ファンがいる。でもブログなどを検索すると一般の人にはとても好評だ。この漫画をきっかけに芥川文学を読もうという人もいた。大切なのは史実の正確さよりも、龍之介の魂が描かれているかどうかだと思う。それについていえば120点だ。全6話約180ページという制約がある中で、龍之介がときにジョークを言いながら、自死を選ぶまで壊れていく過程がきっちり描かれている。絶命シーンや亡骸を描かなかったのは、作者の優しさと見た。本作品から伝わってくるのは龍之介への怒濤の愛。現代の僕らは、生まれた時代が異なるため、大正文士たちの交流を見聞きすることが叶わない。漫画というカタチで、龍之介、朔太郎、犀星が酒を飲んでいる部屋に同席できて深く感動。彼らの顔を見てるだけで至福の時間になる。松田先生の20年越しの想い、確かに受け止めました!(Ama) |
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8月3日…“へのへのもへじ”って人間以外で描けたりするんですねぇ。 //マンガ・集中レビューその9 ●『ヒストリエ』(2003)…2010年文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞に輝いた歴史漫画。6巻まで既刊。作者は『寄生獣』で知られる岩明均先生で、デビュー前から構想を温めていた作品。主人公はアレキサンダー大王の書記官エウメネス。紀元前4世紀のギリシャなど古代オリエント世界が舞台(昨日の『テルマエ・ロマエ』より400年古い)。友人の家で何気なく第1巻を手に取ったところ、第1話からいきなり古代ギリシャの大哲人アリストテレスが登場し、「ぬぁわにー!?この漫画、アリストテレスが出てるぞ!」とテンションが速攻でMAXに。アリストテレスが出てくる漫画などそうあるもんじゃない。しかも友人いわく「6巻からアレキサンダーが活躍し始めるんだぜ」「!?」。漫画によく登場する英雄は、信長やナポレオンなど、中世〜近世の人物が大半。だが、本作で描かれるのは紀元前のアレキサンダー!この新鮮さ、そりゃあヒットする訳だ。全巻一気買い。その価値は十分にあった。 /エウメネスは実在の人物だけど、プルタルコス著の『プルターク英雄伝』には、前半生について「祖国を追われた者」としか記されていない。なぜエウメネスは故郷を追われたのか。岩明先生は「エウメネスは生粋のギリシャ人ではなく、蛮族(バルバロイ)と蔑称で呼ばれていた遊牧騎馬民族スキタイ出身だった」という切り口で、故郷を追われ奴隷身分からマケドニア王の側近にまで這い上がっていく過程を1巻〜5巻までかけて描いた。これがまっこと、手に汗握る展開!エウメネスは非常に頭が切れるうえ剣の達人でもあるんだけど、ひょうひょうとして嫌味な部分がなく、とても感情移入しやすい好人物。特に、ヘロドトスやホメロスの書物をこよなく愛する“文学マニア”である点も、僕の中で加点しまくりだ。自分からは争いを起こさないが、身に降りかかる火の粉はクールに倍返し、ってのもツボ。 /前述したように物語の本筋となるアレクサンダーは6巻まで一向に出て来ない。でも、“いつになったらアレクが出てくるんだ”なんて一度も思わなかった。それくらい波瀾万丈。普段は沈着冷静なエウメネスが第3巻で感情を爆発させるシーンがあり、その部分のセリフを忠実に紹介。「だました…だました…今まで…ぼくを…ぼくを…よく…も、よくもぼくを…よくもぼくをォ!!だましたなァ!!よくも今まで!!ずっと今まで!!よくもぼくをォ!!なんであんな…あんなに…。よくもだましたアアアア!!だましてくれたなアアアアア!!ぼくを…!!ずっとぼくを…!!今まで…!!今まで…!!今まで…!今まで…」。状況説明がなくても、ただ事じゃないのは分かると思う。そんな前半生。 /既に十二分に盛り上がっているのに、6巻でさらにアレキサンダーと出会ってしまう。この作品はエウメネスを主人公にした時点で成功を約束されたようなもの。史実では、この先ギリシャ征服を皮切りに、南はエジプト、東はインド近辺まで空前の大帝国を築いていくことになる。エウメネスは書記官という文官でありながら、意表を突く作戦で兵を巧みに運用するなど、これからも痛快な戦術で読者にカタルシスを与え続けてくれるだろう。 /アレキサンダーは30代前半で他界するので短い生涯なんだけど、連載が現在のペースで進むと、僕の予想では大王が他界するのが第40巻あたり、そしてエウメネスが没するのが60巻あたり。問題は7年間で6冊という執筆ペース。ゲーテがファウストを60年間かけて完成させたように、岩明先生のライフワークになりそう。自分の健康に注意して最終回まで見届けたい! ※『ヒストリエ』で思わずメモったセリフ。「書物から得た知識の多くが、ほったらかしにしておけばいつまでも“他人”なのだが、第三者にわかりやすく紹介してみせる事で、初めて“身内”になってゆく」(3巻)「人はそれぞれ…スッキリしないものをいくつか抱えたまま生きてる…それが普通なんだと思う。心に傷を負ったままでも、楽しく暮らす事はできるさ」(5巻)。 ※(1巻Ama) |
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8月2日…マンガ・集中レビューその8 ●『テルマエ・ロマエ』(2008)…2010年マンガ大賞&手塚治虫文化賞短編賞を受賞。作者は海外在住の漫画家ヤマザキマリさん。第1巻だけで50万冊も売れ、マンガ大賞にも輝いており、期待しまくって手に取った(3巻まで既刊)。「テルマエ・ロマエ」はラテン語で「ローマの浴場」の意。日本の銭湯のように、古代ローマには至る所に公衆浴場があった。 /舞台は西暦130年代、賢帝ハドリアヌス治世のローマ。主人公は風呂の設計技師ルシウス・モデストゥス。仕事一筋の真面目な男だ。この誰よりも風呂を愛するルシウスが、毎回のように現代日本の露天風呂や銭湯にタイムスリップするという奇想天外な物語。大ヒットも納得、非常に面白い!ルシウスは日本人のことを「平たい顔族」と呼び、ローマ帝国とは全く異なる文明に衝撃を受けつつも、持ち前の探求心から日本の風呂文化の長所を必死で学ぼうとする。 /タイムスリップを扱った作品は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ある日どこかで』『JIN』のようにアタリが多い。カルチャーギャップが生む笑いは鉄板だ。でも、それだけならここまで話題になっていない。ツボは“意外性”“風呂トリビア”だ。古代ローマとアジアの島国・日本という、一見まったく接点がない両者なのに、どちらの市民もお風呂が超大好きという一点から“魂レベル”で理解し合えるのがグッド!文字通りの“ハダカの付き合い”は、時代の壁も心の垣根もたやすく取っ払う。この漫画は、日本人にとっての日常の1ページである入浴行為が、いかに創意と工夫に溢れているかをローマ人の視点でユーモラスに解説してくれる。文化再発見ってヤツだ。「この案もいただいたぞ!」と喜ぶルシウスの興奮が伝わり、彼が考案したものを見て、“なるほど、ローマ風にこうアレンジしたか!”と小膝を叩いてしまう。 /初めて露天風呂に入った山賊の至福の表情や会話が良い「たまらんな…この毒気が抜けていく感じ…」「オレ、何かもうどーでもいいわ…生まれ変わりそうだ…」。日本の温泉街でラーメン屋の親父に“5円”を払うシーンも楽しい。「黄金の輝きと中心に穴を空けた手の込んだ作り…これは相当に価値のある通貨とみた!この調理人の腕にはこれくらいの報酬があって当然であろう。ほんの感謝のしるしだ!」。 /ヤマザキ先生は外国暮らしが長く、湯船への憧れと執着がピークに達しており、“古代ローマ人ならこの想いを分かってくれるハズ”と、この“風呂讃歌”を描き始めたとのこと。先生いわく「ヨーロッパにはお風呂も銭湯もないから、お湯につかりたくてもつかれない。でも、そこら中に古代ローマ時代の浴場の遺跡がある。昔はあったのになぜ今ないのか、それがもどかしくて」。 /単行本にはエピソードごとに作者のコラムが入っており、博物学的な幅広い視野から風呂文化の考察が綴られている。根底を貫くものは風呂LOVE。温泉地のお土産ひとつをとっても「世の中には日常の緊張や様々な義務感から解放されて伸びたパンツのゴムみたいな精神状態にならないと、欲しいと思えない“物”というのが存在するということを、温泉街の土産物は教えてくれます」と一家言を持っている。 /ヤマザキ先生は「(連載を)薄く延ばして長くやるつもりはない」「もう最後は考えてある」と公言している。2巻までは基本的に1話完結。僕はそれがもったいなかった。“このネタはもっと広げられるのに!”って。3巻で初めて3話連続の物語・温泉街編が出てきた(屈指の名エピソード!)。1話完結が多いのは、それだけ語りたいことが多いのだろう。世の中には無理やり話を伸ばしてズルズル連載する漫画がたくさんあるので、その姿勢はカッコ良い。既に映画化が決定しており、なんと主演は阿部寛さんと上戸彩さん。阿部さんがローマ人のメイクをするのかな?コピーは「すべての“風呂”はローマに通ず」。予告編を見てもサッパリ不明だけど、セットが凄まじいことになってるのは分かった!(笑) ※12月に刊行予定の第4巻は特別仕様のアマゾン限定版(風呂で読める?)があるとのこと。(Ama) |
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8月1日…7月下旬に最後のスペース・シャトル「アトランティス」が宇宙ステーションから無事に帰還し、シャトルは約30年の歴史に幕を閉じた。このラスト・フライトでは素晴らしい写真が撮影された。シャトルが大気圏に突入した時、たまたま宇宙ステーションがシャトルの着陸地=フロリダ州ケネディ宇宙センターの上空を飛行する軌道にいたことから、30年間で初めて“宇宙から見た”大気圏突入の様子の撮影に成功したんだ。「宇宙ステーションの窓からは、こんなふうに帰って行くシャトルが見えるのか!」と、一生かかっても見られそうにない光景だけに思わず見入ってしまった。 シャトルは大気との摩擦で輝きながら降下! //マンガ・集中レビューその7 ●『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』…22巻〜連載最終回までレビュー。10年に及ぶ漫画版ファースト・ガンダムがついに完結。これまでにドズルの恋、ガルマの青春時代、マ・クベの漢気、若きハモンさん、ジオン側にアニメにはないオリジナルのエピソードが多数あった。それらを安彦良和さんの絵で読め、ファンにとって至福の10年だった。人物描写が上手いのはもちろんのこと、安彦さんのメカって独特の丸みがあるせいか、生命力を感じるんだよね。『THE ORIGIN』はアニメ化が決定しており、現在のアニメ技術で甦るファーストがどんなものになるのか、考えただけでドキワクだ。期待値は天井知らず。声優さんは、既にブライト、セイラ、マ・クベ、ドズルが他界しており、ドラえもんのように総入れ替えになるかも知れない。以下、ネタバレありレビュー(といってもアニメ版と同じラストなので、ファンにはネタバレというほどのものじゃない)。 /キシリア暗殺後のシャアはアニメ版だと遠景&ヘルメットで表情不明だけど、漫画版ではシャアの“歓喜の表情”がアップで描かれていた。“我ついに仇を討ち取ったり”、そんな顔! /ア・バオア・クーに乗り込んだセイラさんが、反乱軍のリーダーになる展開は面白かった。ランバ・ラルの部下が言った「ラル様が生きてこの場におられたら」に胸熱。 /ワッケイン戦死後のブライトがカッコイイ→「本艦はこれよりア・バオア・クーに強行着陸する!全艦これに続け!!全戦力を揚陸(ようりく)する!健闘せよ、僚艦諸君!!」。 /不沈空母、巨大なドロスがチベ1隻の爆発ごときでダメージを受けるのはチョット…。ヤマトの七色星団オチを思い出した(汗)。 /ウルウルきたのはカイのセリフ。ドライな性格のカイがこのセリフを言うから余計に良い→「オレ達の任務が決まったぜハヤト!あいつ(ホワイトベース)を護るんだよ。ここの攻防戦は連邦とジオンにとってはそりゃ重要だろうけど、オレ達にはもっと大事なことがある。だってあれはよ、あいつは…サイド7からこっち、ずうっとオレ達の家だったんじゃねえか」。 /ア・バオア・クー戦のアムロ脱出は『めぐりあい宇宙』そのもの(BGMまで!)。手堅いといえば手堅いけど、テレビ放送が打ち切りにならなければ、月面グラナダ攻略を経てサイド3のジオン本国にホワイトベースは突入することになっていたから、そっちのストーリーも見てみたかったな。番外編でやってくれないかなぁ。 ※“ガンダムエース”に掲載された安彦さんと大河原さんの対談より。 (大河原)「なんかもう異常だよね。30年も続くっていうのは(笑)」 (安彦)「あるポイントを超えちゃうとエンドレスになるのかもしれない。そこを超えられない可能性だってあったんだよね。幸運にもGガンダムでそこを乗り越えられたんで、あとは百年経ってもまだ続いているかも」 この会話に驚いた。僕は「Gガンダム」も好きだけど、あまりにファーストとかけ離れた内容なので、安彦さんは否定的に考えていると思ってた。ところが“幸運にもGガンダムのおかげで”と感謝している!つまり、Gガンによって、ニュータイプやジオンなど出て来なくても、自由にガンダムを作ってオッケーになり(それが良いか悪いかは別として)、新たに「W」「SEED」「00」などで平成のファンが生まれるキッカケになった。市場はさらに拡大し、30年経っても新作が登場するコンテンツに成長できた。ユニコーンに繋がった! ※『ガンダムエース』では『THE ORIGIN』完結を受け、『Zガンダム』の連載が始まった。漫画版はシャアが主人公!ペンを握るのはキャラ・デザを担当した北爪宏幸さん。Zの後日談である“逆襲のシャア”では、シャアは「地球を破壊しなければ人類は永遠に地球から自立できない」とまで考えている。冷静なシャアがそこまで突飛な発想に至る背景には、相当酷い体験をしないとならないハズで、北爪さんいわく「内容的にTV版より悲惨な形になるかも知れない」。好評だった『THE ORIGIN』と比較され大きなプレッシャーがあると思うけど、新たなZ像を楽しみにしている。 |
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7月31日…マンガ・集中レビューその6 ●『COPPELION/コッペリオン』(2008)…作者・井上智徳。福島で原発事故が起きる前に、原発問題を扱ったマンガはわずかしない。『パエトーン』(山岸凉子)、“ゴルゴ13”の第213話『2万5千年の荒野』(さいとう・たかを)、東電事故によって連載中断になった『白竜〜LEGEND〜/原子力マフィア編』(原作・天王寺大/劇画・渡辺みちお)、そして今から紹介する『コッペリオン』(サイト読者の方から教えて頂きました)、僕が知っているのはこの4作品だけ。『コッペリオン』以外は短編や挿入エピソードのひとつなので、原発事故のみを描いて10巻以上も物語が続いている唯一の漫画作品と言っていいだろう。 /舞台は2036年の東京。“新都電力”が東京湾に建設した「お台場原発」がメルトダウン事故を起こし、東京は死の街と化す。政府は生存者を救出するため、放射能の中でも生きられるよう遺伝子操作をした人間「コッペリオン」を生み出し、都心に向かわせる(コッペリオンが何人いるかはまだ不明)。物語はコッペリオンの女子高生3人を中心に展開し、強制退避区域の中で個人的な事情で生活している人々との交流が描かれる(救助を拒否する人もいる)。 /2008年に連載がスタートした本作品。井上先生は今の福島の状況をどう感じているのだろう。震災の約1年前、2010年5月に刊行された第7巻に、原発設計に係わった人物の言葉として、こんな台詞が出ていた。「お台場原子力発電所…当時私はあの巨大施設の現場チーフを任されていたんだ。ところが表向きのクリーンな印象とは異なり、内部の実情はひどいものだった。国は莫大な予算を原子力に投じてはいたが…本来安全対策に遣われるべき費用のほとんどがカットされていた。噂では利権に群がる官僚や政治家たちにむしり取られ…意味のない公共事業(ハコモノ)へ回されたとか…。果ては原子炉の管理業務までもが外部へ委託され、会社の人間は1人また1人…危険な現場から立ち去っていった。その時思ったよ。これがこの国システムなんだってな。とっくに歯車は壊れていたんだ。にもかかわらず…誰もが見て見ぬフリをし続けた。そのツケがあの原発事故だったというわけさ」。また、「原子炉の定期点検は金がかかる…だから…社の命令で回数を大幅に減らしたんだ!そのせいであんなことに…あれは…あの事故は人災だったんだ!!」「こんな地震大国に原発を建てるのがそもそもの間違いだったんだ」とも。 福島の事故後に明らかになった、電力会社のずざんな危機管理を見抜いているようなセリフだ。掲載誌は講談社の週刊ヤングマガジン。“原子力村”と対立するセリフを載せた英断に敬意を表したい(施工業者も三菱をもじった三ツ星重工)。作品内で東京競馬場は集団墓地となっており“高濃度汚染地帯”と化している。人骨にストロンチウムが堆積しているためだ。第2巻には「樹木はカリウムによって葉の水分を調整する。セシウム137はカリウムに成りすまして木の中に入り込む」というセリフもある。この作品にはセシウム、ヨウ素、シーベルト、そういった言葉がいろいろ出てくる。事故前に読んでいたら、実生活と縁のない元素や単位ゆえ、記憶に残らず素通りしていただろう。いま読むと、注釈を読まなくてもセシウムの半減期が長いことが分かる…。放射性物質に詳しくなる必要もなく、生きていけたら良かったのに。 /物語には自衛隊の反乱部隊が出てくる。彼らは原発事故の救助にあたった部隊で、政府に見捨てられ、書類上では全滅した事になっていた。こういうエピソードもすべて震災前に描かれていた。 /作品の評価が難しいのは途中から人間ドラマよりもバトル描写が増えたこと。コッペリオンに選ばれた者は、遺伝子操作の副産物として特殊能力を持っており、空中に浮かんだり、放電攻撃ができたりする。そして、価値観の異なるコッペリオン同士がサイキック・バトルを展開する。僕はこの作品がどこを目指しているのか分からなくなった。超能力者同士の戦いは他のマンガでゴマンとあるわけで、あまりそこに比重を置かなくても良いのでは(汗)。ド派手な超能力対決がなくても、「放射能に対抗する体を持つ者が汚染区域で救助作業を行う」という、それだけで様々なドラマが生まれるし、幾らでも物語を掘り下げることが出来ると思う。苦言をもうひとつ。毎回のように最初の数ページを前回のラスト数ページと同じにするのは止めて欲しい。バラエティー番組でCM明けの巻き戻しを見せられてる気分。週刊誌ではよくても単行本でやられると脱力。とにもかくにも、現実となった原発事故を受けて、今後どのように作品が進んでいくのか注目しています。※一番好きなキャラは男子学生でコッペリオンの黒澤遥人君! ※日記冒頭で触れた『ゴルゴ13』の「2万5千年の荒野」はこちらのサイトであらすじが読めます。1984年の作品。次のセリフが印象的だった。「ロスが死の世界になる。それはどのくらいの期間かね」「原子炉のウラン235は分裂してプルトニウム239という毒性の強い同位体になります。その半減期は2万5千年」「2万5千年の荒野か」。この2年後にチェルノブイリ原発の事故が起きた。さいとう先生の問題提議は実に早かった。 //「ツイッターでNHK_PRさんがジョジョってます!」と読者の方から教えて頂きました。確かに荒木節が炸裂したツイート!日曜深夜にこのハイテンション。最近、NHKもハッチャケることが増えてきましたね(笑)。約35万人にフォローされてるって凄いなぁ。 |
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7月30日…マンガ・集中レビューその5 ●『進撃の巨人』(2009)…作者・諫山創(いさやま・はじめ)。現在4巻まで刊行され、今年の講談社漫画賞少年部門を受賞。どこの本屋でも平積みになっており、話題性につられ手に取ってみた。ストーリーは実に奇抜。舞台は人類の大半が死滅した後の世界。人口が激減した理由は、人類をエサとして捕食する巨人族(身長は3mから60m!)が突如出現したから。生き残った人々は巨大な石壁を三重に建設し、その内部で畑を耕し、身を寄せ合って生き続けた。100年が経った頃、前例がないほどの超大型巨人が現れ、一番外側の壁が破壊されてしまう。これによって、人類を守るものは二重の壁だけになってしまった。“坐して死を待つよりも”と反撃を試みる人々。無敵に見えた巨人族にも弱点はあり、首の後ろを攻撃されると絶命した。だが、弱点が分かったところで、巨人の数が多く容易に近づけない。攻撃を試みる度に膨大な戦死者が出た。閉塞感に包まれるなか、ある日、巨人の中に人間の味方をする者が出現する。なぜ?ストーリーは多くの謎を含みながら現在進行形で進んでいる。 /巨人族がどのように誕生したのかは何も語られていない。読者はいきなりこのハードな世界に放り込まれる。巨人族は人型&裸体で無表情。生殖器はない。中年のオッサンのような外見が多く、形容しがたい不気味さがある。たぶん小学生の時に読んでいたら、夜に眠れなくなってた。 /普通の漫画なら生き残って今後の物語に絡んできそうな人物が、戦闘が始まると虫けらのように死んでいくので、読んでる時の緊張感がハンパない。名前と顔が一致する前に食べられてしまうんだよね…。巨人族としては、人間が鶏や豚を食べるように捕食しているだけで、明確な悪意はない。僕らが唐揚げを食べる時に、鳥に悪意を持っていないのと同じ。諫山先生が当作品を通して何を描こうとしているのか、4巻の段階ではまだ見えていないので今後の展開が楽しみ。 /ひとつ特筆したいことが。2巻はめちゃくちゃ盛り上がるところで終わるんだけど、予告ページをめくると「オレ達の戦いはこれからだ!!!ご愛読ありがとうございました」と見開きで出てきて仰天した!さらにページをめくると正式な次巻予告が載っていた(笑)。このブラック過ぎるジョークを許可した講談社の担当さんは器が大きい。3巻の巻末の予告はさらにカオス。『(次巻から)怒涛の料理バトル編突入!!「こ、このスープは!?」「しまった!!もう玉ねぎしかない!!」「チクショー金持ちめ!!肉食わせろ!!」「こうなったら…盗むしかない…!!」限られた土地の限られた食材で、いかにして肉料理(高カロリー)に立ち向かうのか!?』と、ちゃんとキャラの絵を描き本気で遊んでいた。ニセ予告が楽しすぎる。4巻の巻末も期待したけど、残念ながらジョーク・ページはなかった。また5巻で何かやってくれるといいな。 ※ちなみに諫山先生は最初に『ジャンプ』編集部に原稿を持ち込んだという。面接でジャンプ向けに作風を変えるように言われ、それを拒否して『マガジン』に持ち込み連載が実現したんだって。ジャンプの逃した魚は大きいぜよ〜。 ●『幽☆遊☆白書』(1990)…作者・冨樫義博。全19巻。ジャンプの黄金時代を支えた人気作。連載時は仙水編から読んでいたので、1巻より再読。主人公は、人間界に紛れて悪さをする妖怪を成敗する霊界探偵・浦飯幽助。悪友の桑原、妖怪でありながら遊助と共闘する蔵馬、飛影らとの間に育まれる友情も作品の見所。ツンデレの飛影が3人におちょくられるのが楽しい。当初は探偵モノだったけど、途中から暗黒武術会のトーナメント・バトルに突入。戸愚呂(とぐろ)弟という強敵と死闘を繰り広げる。戸愚呂は筋肉増強30%でもかなり強いのに、80%、100%と変化していくのでビビッた。敗れた戸愚呂弟が、自戒のため地獄の最下層に行くシーンには孤高の美を感じた。元・霊界探偵の仙水とのバトルは、仙水が人間の暗黒面に絶望して敵に回ったのでちょっと同情。仙水が堕ちるきっかけとなったビデオ『黒の章』には、「人間が今まで犯した罪の中で、最も残酷で非道な行為だけが何万時間も記録されている」といい、そりゃキツイと思った…。戸愚呂弟も悲しい過去を持っていたし、本作品には妖怪より酷い人間がけっこう出てくる。少年漫画的な「人間=善」の図式ではなく、負の面も逃げずに描いているので人気作になったのかも。/重い展開があったりするなか、ホッとするのはムードメーカー的なドジっ娘キャラ、霊界案内人・ぼたんの存在。彼女の朗らかさ、快活さは、暗い物語にあって貴重な光源であり、あの笑顔に随分癒やされた。/一番好きなキャラは桑原。メインキャラの中では唯一の生粋の人間。誰よりも根性があり、友を大切にする。1巻で「ツラぁ貸せよ」と悪党に絡まれた時に、「ああいいぜ。けどオレは手ェ出さねーから、(オレを)気ィ済むまで殴ったらとっとと帰れよ」と返したのが痺れた。少年漫画で見たセリフの中でカッコイイ台詞の五指に入るかも!(再読を薦めて下さった読者の方、有難うございました) ※あまり大風呂敷を広げると小っ恥ずかしいんですが、仙水タイプの人に見せる『白の章』を作ってるつもりで、このサイトを12年間更新してきた気が。『黒の章』を見て見ぬふりするのではなく、その存在を認めた上で、「『白の章』だってスゴイのがあるんだぜ。人間も捨てたモンじゃないぜ」って言えたらいいな。今の更新ペースでいくと、あと30年くらいで、当サイトは目指している完成形になると思う。その時、僕は約70歳。ギリギリ間に合うはず。 |
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7月29日…これまでに何度か地球の絶景写真を集めたサイトを紹介したことがあるけど、その中でもコチラはかなりの美しさかとッ!どの写真も見入ってしまう。巨大なお月さまのヤツはCGらしいけど、原則的に“加工なし”の模様。僕が壁紙にしたくなったのは、薄闇の雪と池、エイの頭上に浮かぶ舟、超高層プール等々。 //マンガ・集中レビューその4 ●『シャカリキ!』(1992)…作者・曽田正人。全18巻。自転車競技(ロードレース)を描いた力作。作中の「自転車にバックギヤはない。前進し続けるしかねーんだ!!!」は座右の銘にしたいほどの名言。この作品を読んで“自転車乗り”になった人も多いといい、僕もツール・ド・フランスをチェックするようになった。臨場感のあるレース場面に風を感じ、雨天の日は顔に当たる雨粒を感じ、ゴール後は自分まで全身が筋肉痛になっている気がした。 /個人的にスポーツ漫画における名作の条件は次の3点と考えてマス。 (1)勝利に至るまでの主人公の努力が丁寧に描かれていること。 (2)勝因にラッキーが含まれても良いけど、あくまでも努力>幸運。 (3)試合やレースで敗れていった者の胸中がキッチリ描かれていること。勝者の栄光より、敗者の挫折を描く方が難しい。しかも人生では挫折の方が圧倒的に多い。 『シャカリキ!』はこれら3点を完璧に抑えていた。特に、最重要である(3)がしっかり描かれていた。勝利の美酒を味わった選手が、その達成感から自転車に乗り続けるのは説明がなくても分かる。しかし、僕にとって興味があるのは、負けても負けても、自転車レースへの情熱を失わない選手の心理。“天才”を前に完敗した選手が、それでも挑戦する気持ちを抱き続ける姿にこそ、凡人の僕は感動してしまう。どんなにレースが苦しくても「この乗り物がなけりゃ生きてみたいとも思わない!!」という選手たちにグッと来る。 /当漫画を読むまで知らなかったんだけど、自転車レースには仲間を勝たせるためにレースに参加している選手がいる。「風除け」となってサポートしたり、相手チームのペースを攪乱するためにスパートをかけたりする完全に裏方の要員だ。そういうサポート選手にもしっかり光を当てていた。“彼の努力が報われて欲しい!”とエールにも力が入る。 /長い登り坂コースで懸命にペダルを踏んでいた選手たちが、1人、また1人と脱落し、自転車から降りていくレース終盤は、リタイヤした選手の無念さが分かるだけに、その場に駆けていって健闘を讃えたくなる。 /主人公のテルは、自転車で坂道を登るのが三度の飯より好きな「坂バカ」。彼は登り坂が長ければ長いほど目が輝く。“こんなに登ったのに、やっとこさ半分。また同じだけこの坂を楽しめる!”と考えてしまう人物。曽田先生はそんな彼をこよなく愛し、「坂バカ」と書いて「クライマー」と読ませていた。登っている姿は、鼻水を垂れ、舌を出し、汗まみれで美しいとは言えない。それなのにカッコイイ。ヘロヘロになっているテルが、リタイヤするどころか、「今までが…休憩やあ!生き返ったで!」と再加速するシーンとかめっさ熱い。鳩村先輩、ユタ、ハリス、監督、自転車屋の親父さん、気持ちの良いキャラが多かった。 /この漫画を読破したのは、京都のネットカフェ。泊まりがけで墓巡礼をしている時だった。京都は一方通行や細道が多いゆえ移動はレンタサイクルがメイン。市街地の端っこは坂道が多く、夏は猛暑だし、道を間違えることが続くと心が折れそうになる。でも、『シャカリキ!』のテルのお陰で、眼前に登り坂が見えた時、それまで「ゲゲッ!」と思っていたのが、「俺の大好物だーッ!頂きます!」と登り始めることが出来るようになった。心の持ちようで肉体への負担は劇的に軽くなる。もっと早く読んでおけば良かった!※『シャカリキ!』を薦めてくれた我が盟友、盛岡のU氏に感謝! |
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7月28日…今月10日に世界的振付家のローラン・プティさんが亡くなっていたことを、読者の方に教えて頂くまで全く知らなかった!不覚!享年87歳。ライバルのモーリス・ベジャールさん亡き後、最後の巨匠と呼ばれたプティさん。訃報はもっとニュースで大々的に報道して欲しかった。追悼で動画を検索したら、なんとYouTubeに同氏の名を一躍有名にした『若者と死』がアップされていた!初演は1946年。詩人ジャン・コクトーとタッグを組んだ本作品は、バッハの荘厳な楽曲“パッサカリアとフーガ”と相まって、バレエ史に残る傑作デス! ★YouTube『若者と死/後半〜ラストまで』(7分8秒) 物語はシンプルかつ非情。主人公はパリのアパート屋根裏に住む貧しい青年。彼は恋人(実は死神)に翻弄されたあげく捨てられる。彼女は去り際にロープで首吊り用の輪っかを作り、部屋を出て行く。独り残された若者は…。彼が絶命すると、死神の姿となった恋人が現れ、彼の魂をいずこかへ導いていく。※圧巻なのは若者が死んだ瞬間に狭い部屋の壁が消え、パリの夜景が眼下に広がること。孤独な若者が、命を断つことで初めて世界と繋がったかのような印象を与える。この作品を振り付けた時、プティさんはまだ22歳という若さ! //30日夕方にBSプレミアムでオンエアされる『今日はとことんムーミン一家』にて、フィンランドにあるテーマパーク「ムーミンワールド」に取材カメラが入るとのこと!このムーミンワールドはディズニーランドやUSJと違って絶叫マシーンのような乗り物は皆無。着ぐるみのムーミンが園内をウロウロしているだけ(少なくとも2005年時点ではそうだった)。それなのに、めちゃくちゃ幸福感に包まれる素晴らしい施設だった!リアルに再現されたムーミンハウスに入れたり、ヘムレンさんの家にお邪魔できたり、それだけでも脳内に多幸物質が分泌されるんだけど、園内にるチビッコたちの笑顔、笑顔、また笑顔が、その場にいるだけで至福の境地に連れて行ってくれる。過激な乗り物がなくても大満足。6年前に作成したレポート・ページは、その後チマチマと加筆していますので、よろしければ是非御一読を! //マンガ・レビューその3 ●『ベルセルク』34&35巻…西洋の鎧を着た兵士が画面一杯&無数に登場し、しかも全兵士の鎧のデザインが微妙に異なっているなど、相変わらず恐ろしいほど緻密に描かれている。雲を突くほど巨大になったガニシュカが、味方を踏んでしまったり色々ヤバすぎる。連載の方が何度も休載になるんだけど、原稿を見ればその間もずっとこの兵士たちを描いてたんだろうなと、三浦先生の奮戦が伝わってくる。…とはいえ!34巻でついにグリフィス率いる新生・鷹の団が本格的に参戦し、ガニシュカとの総力戦となり、“うおお、これで一気に物語がラストに向けて動き出すぞ!”と思いきや、なんで35巻から弱っちい幽霊船や、漁村の民と戦う“寄り道”が始まるんだぁああ。もうグリフィスを出したんだから、ガッツたちをぶつけていかないと…。1年に1冊しか出ないのに、35巻はストーリーが殆ど進んでおらず、このままではラストまで無事に完走できるのか心配になってしまう(汗)。手塚治虫文化賞マンガ優秀賞。 ●『バガボンド』32&33巻…京都での大きな戦いはすべて終わり、残すところは佐々木小次郎との対決のみとなった武蔵。自分が命を奪ってきた剣士たちの幻影に悩まされるなど、精神の奥深いところでもがいている。両巻とも派手な決闘もなく展開としては地味だけど、小次郎との決戦に向けて必要なステップだと思う。上記のベルセルク同様、休載の嵐になっている訳だけど、NHK『プロフェッショナル』で井上先生の創作の苦闘っぷり=納得できるセリフや絵(キャラの目)を描くために悶絶している姿を見て、長い休載を自然に受け入れた自分がいる。既にバガボンドは哲学書に近づいており、先生の中で最後に到達した“これ以外にはない”というラストの一コマが、どんなものになるか凄く楽しみ。文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞。※ちなみに33巻の最後には“34巻は2010年秋発売予定”と告知が載ってる。 //休載と言えば、8月から『HUNTER×HUNTER』の連載再開っすね!(8/8合併号より) |
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7月27日…先週の大河ドラマ『江』は、秀吉から謀反の疑いをかけられ切腹する豊臣秀次(秀吉の姉の子)が主人公の回。秀吉は長年実子がいなかった為、甥の秀次を関白にしたが、後に秀頼が誕生。まだ幼児の秀頼を関白にしたい秀吉にっとて、現関白・秀次の存在が邪魔になり、彼を自刃に追い込み、さらにはその妻、側室、子どもなど(3歳の子まで!)、近親者39名を皆殺しにした。朝鮮侵略と同様に晩年の秀吉の狂気を伝える出来事なんだけど、秀吉役の岸谷五朗さんの鬼気迫る演技に戦慄。目が完全に逝ってる。コミカルなシーンとのギャップが大きく、余計に怖かった。 /もっと特筆したいのは、秀次役・北村有起哉(ゆきや)さんの切腹に至るまでの演技!これまでの歴史ドラマでは、秀次の死はナレーションだけでサラリと済まされることも多く、まる1話を使って秀次の最期を描いたものは貴重。北村有起哉さんという俳優を知らなかったんだけど、実に気持ちを引き込む演技をする。秀吉の使者・石田三成に「(謀反の話は)噂に過ぎぬとは存じますが」と言われた時の「当たり前だッ!」と立ち上がって天を仰ぐシーンは、秀吉にとって邪魔者であることを薄々感じていただけに、“来るべきものが来た”という心境も伝わってきて心を揺さぶられた。読書家で教養人の秀次は、自刃前に江が面会に行った時も、監禁された部屋の燭台の灯りで書物を読み耽っていた。“濡れ衣であると秀吉に直訴すべき”という江に、“もうよい、ワシは疲れた”と秀次。「もうワシは行きたいんじゃ。ワシが居ても良い場所。ワシが居ることが許される場所。弟秀勝(江の亡夫)のおる場所じゃ。秀勝に会ってそちの話でもするわ。おさな(江の娘)の話もな」。長い間、秀次と江は性格の違いから距離があった。その江が“考え直して”と説得する姿に、「そちとはもう少し、いろんな話をしておけば良かったのう」と笑う秀次。そして高野山の寺で夕陽を見ながら腹を切った。秀吉が尾張の百姓のままであれば、秀次も27歳で死ぬなんてことにはならなかったろうな…。30日(土)昼に再放送があるので是非! ※この回、タイトルは『秀忠に嫁げ』なんだけど、結婚話はラスト4分だけ。『秀次の最期』にして欲しかったけど、その題名じゃ視聴率は狙えないと思ったのかなぁ。時代劇マンガ『竹光侍』実写化の際は、主人公と顔が似てる北村有起哉さん主演を希望! //マンガ・レビューその2 ●『ぼくらの』(2004)…作者・鬼頭莫宏(きとう・もひろ)。2010年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。「15人の子ども達(中学1年生の男女)が巨大ロボットを操縦して、地球に来襲した敵ロボットと1対1で戦うバトルゲーム」。それだけなら、どこにでもある物語。以下、最低限のネタバレ込みでレビュー。この作品がヘビーなのは、“パラレルワールド”対決という恐怖の設定。平行世界が増えすぎないよう、余分な枝葉(別の宇宙)を刈り取るゲーム。つまり、各々のロボットは所属する宇宙の代表。なんちゅうスケールの話!バトルには絶句するルールがある。 (1)戦闘に負ければ地球を含むこの宇宙が消滅 (2)戦闘に勝った場合でもパイロットだけは死ぬ。15人の操縦者はどんどん減っていく (3)48時間以内に勝敗がつかない場合は両者敗北でどちらの宇宙も消える (4)ロボットは操縦者が若いほど強い (5)戦闘後、次の操縦者はランダムに決まる。 このルールを読んだだけで、どれだけシビアなストーリーか察しがつくと思う。「戦闘に勝っても死ぬ」というのは実に残酷なルール。“こんなゲームに参加したくない、でも勝たなければ親や兄弟、愛する人がみんな死ぬ”。だから、自分が死ぬと分かっていて、敵を倒すしかないんだ。しかもタイムリミットが48時間なので早く決着をつけねばならない…。 /誰だって死にたくない。まして中学一年なんて人生はこれからだ。この作品で胸を打たれるのは、子ども達の“死に支度”。いつ自分が操縦者に選ばれても良いよう、家族や周囲の人に目一杯優しくする(子どもながらに!)。親を悲しませたくないので、彼らは親に自分が15人の1人であることを言えない。泣ける…。 /この作品は、子どもが主人公ではあるけど、子を失った後の親の姿もしっかり描かれている。打ちひしがれた親たち。子に先立たれる親の気持ちを考えると、本当に胸が引き裂かれそうになる。僕は子どもが生まれる前、親の視点から少年少女の登場キャラを見ることなんて殆どなかった。最近は、常に親モードで読んでしまう。印象に残ったエピソードをひとつ紹介。先に死んでしまった操縦者の親に、残った子ども達が「最期の様子」を伝えるために家を訪ねるシーン(その子だってもうすぐ死ぬことが決定しているのに)。出来るだけ詳細に、覚えていることを全て話そうとする子ども達。作者は思い出を語ることの大切さをこう書いていた。「普通なら語るに値しないようなそんなつまらないエピソードさえ、この2人(両親)にとってはかけがえのない物のはずだから。それはこれ以上増えることをやめてしまった物。今残されている分を大事にしていかなくてはいけない物」。そして、この両親は子どもの友だちが帰った後にこう思う「あの子達は残り少ない貴重な時間をさいて、俺達のために来てくれたんだ。わかるか?それは、とてつもないことだよ」。他にも、ある操縦者は勝利後に降り始めた雪に見とれる「雪…か。(数秒後に死ぬのに)こんなことくらいでも、運がいいとか幸せだとか、思えるもんだよなぁ」。『ぼくらの』をちょっとシリアスなロボット漫画くらいのレベルで思っていたことを反省。お薦めして下さった読者の方、有難うございました!※全11巻。第10巻が特に良い! |
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7月26日…文化庁メディア芸術祭、手塚治虫文化賞、マンガ大賞などで名前があがった作品を中心に、5月下旬にマンガレビューを書き始めたんだけど、『ちはやふる』『ヴィンランド・サガ』『3月のライオン』『鋼の錬金術師』で止まっていたので、今日から気合いを入れて10作品以上書きたい!往年の名作も入ってます。 ●『ダイの大冒険』(1989)…原作・三条陸/作画・稲田浩司。連載が始まった時にはもう20代前半。絵柄から“小中学生向け”と思い込み、恥ずかしながら40歳を過ぎるまで20年以上未読だった。数ヶ月前、複数の読者の方から「絶対に読んで下さい」と力説して頂き、友人の家にあった文庫サイズ全22巻(単行本なら全37巻)を借り、仕事の合間に読み進んでいった。四十男が読んでも充分泣ける、めっさ良い物語だった!単純な勧善懲悪ではなく、時には“それって魔物が善で人間が悪なのでは”と考えさせられることもしばしば。以下、古い作品ゆえネタバレ込みで感想。 /最初はポップの小者っぷりに脱力していたけど、彼がまさかあれほど大化けするとは!真の主人公と言っていい。ポップがバランにメガンテ(自爆呪文)を使った回は、少年ジャンプ史上、歴代最高の読者アンケートが寄せられたという。特筆したいは魔王ハドラーの男気。主人公サイドにとって、“好敵手”と書いて“トモ”と読ませる存在。倒されても倒されても、武人の誇りをかけて戦う姿に痺れた。 /本作は敵も味方も自分にコンプレックスを持っているキャラが多く、数度の挫折と修行を通して、やがて勝敗ではなく戦いの内容に納得できるかどうかを重視する境地になる(敗北しても「貴様に負けるなら悔いはない」ってヤツ)。命を削って他者の為に戦うシーンが多いのも胸熱。また、少年漫画ではかつて戦ったライバルが味方になる瞬間が最もハイテンションになるけど、そういうシーンもたくさん用意されている(ヒムも化けたね)。 /全22巻のうち、クライマックスである大魔王バーンの大魔宮(バーンパレス)にルーラで突入するのが第16巻。ということは、そこから最終巻まで7巻分あるわけで、全体の3分の1がクライマックスということに。読破後は、登場人物と一緒に長い戦いを終えた心地よい疲労感を味わった。人気漫画になるハズだ。 /唯一のマイナス点があるとすれば、ヒュンケル、ヒム、ラーハルト、アバンなど、死んだはずのキャラの復活が多いこと。もちろん、生きていたのは嬉しいんだけど、心の隅で“あの涙は何だったのか”と…。特に反則と感じたのは、これはゲームのドラクエにある魔法だから仕方ないんだけど、死者を復活させる蘇生魔法ザオラルの存在。この魔法があると「死んでもザオラルあるし…」って戦闘から緊張感を奪ってしまう(DBは悟空が頭の上に“輪っか”を付け始めてハラハラが消えた)。とはいえ、『ダイの大冒険』ではザオラルが出てきたのは一度だけで、やたらと乱用しなかったので、作者は“わかってる”って思った。よく一度だけで我慢したと思う。 /このマンガはセリフの言い回しが実にカッコイイので、思わずメモったセリフTOP10を最後に紹介! ・1位「…神よっ!!人間の神よっ!!!魔族のオレが…初めて祈る…!!!もし本当に…おまえに人命を司る力があるのなら、こいつをっ…!!この素晴らしい男だけは生かしてくれっ!!!オレのような悪魔のためにこいつを死なせないでくれっ!!!…神よッ!!!!」(ハドラー) ・2位「残りの人生が50年だって5分だって同じ事だ!!!一瞬…!!だけど…閃光のように…!!!まぶしく燃えて生き抜いてやるっ!!!それがおれたち人間の生き方だっ!!!」(ポップ) ・3位「真の勇者とは自らよりも、むしろみんなに勇気を湧きおこさせてくれる者なんだ」(ノヴァ) ・4位「オレごときがこんな攻撃をくらい続けていたら確実に死ぬさ…!だがオレの生命とおまえの力(パワー)の交換なら悪い条件じゃない…!」(クロコダイン) ・5位「人間は強い…!そして優しい生き物だ!ともに力を合わせ喜びと悲しみを分かちあうことができるんだ。ただ強いだけのオレたち魔物とは違う…!」(クロコダイン) ・6位「ヘッ…涙もすぐ蒸発しちまうような色気のねぇ死に場所だが…いっしょに行こうぜ。アバン先生のいるあの世へさ…」(ポップ) ・7位「魔族の人生は密度が薄い…人間の何倍も生きられるもんだからダラダラ生きるヤツが多い。何百年生きたってカラッポの人生もある…!こんなにうまい酒が飲めたやつは何人もいないさ…!オレは今満足しきっている!!」(ロン・ベルク) ・8位 「確かに人間はたまに酷いことをするよ。勝手なことをしたり、いじめたり、仲間外れにしたり…でも、中にはそうじゃない人間もいるんだ!臆病だけど一生懸命頑張って正しい事をしようと努力している…それが…それが…こいつだったのに…!!!」(ダイ) ・9位「これが正義かっ!!?こんなものがっ…!!!こんなものが正義であってたまるかっ!!!!」(ダイ) ・10位「ヒュンケルよ…オレは男の価値というのは、どれだけ過去へのこだわりを捨てられるかで決まると思っている。たとえ生き恥をさらし万人に蔑まれようとも、己の信ずる道を歩めるならそれでいいじゃないか」(クロコダイン) ・次点「ハチの巣にしてくれる…!!!」「ハチの巣とやらに興味がある。どうやってやるんだ?」(ラーハルト) ※一番“萌えた”シーンは、マリンスライムの“マリべえ”が、ネズミのチウ隊長を助けるためにフェンブレンの右足に噛みつく場面(12巻)。可愛い口で戦う姿がけな気!本作をお薦めして下さったすべての方に感謝! “マリべえ”を見てるだけで癒やされた(12巻) /『ダイの大冒険』だけでこんなに長くなったので、他の作品はまた明日に! //星新一さん、筒井康隆さんらと共に日本を代表するSF作家の1人、小松左京さんが他界。享年80歳。『日本沈没』『復活の日』『首都消失』』など、多くの作品が映画化された。“左京”のペンネームは“左翼の京大生”から来ているとのこと。英国のエイミー・ワインハウスさんといい、最近訃報が続きますね。彼女は27歳という若さ。ジャニス、ジミヘン、ジム・モリソン、カート・コバーン、ブライアン・ジョーンズと同じ、27歳。 |
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7月25日…ノルウェーと中国で起きた大事件、大事故について。 //22日に発生したノルウェーの連続テロ事件は、移民受け入れ路線の現政権を支持する10代後半の若者たち700人に向けて、反移民・反イスラムの極右の男が銃を乱射し、約100人が殺害されたという凄まじいもの。ノルウェーの人口は500万人と少なく、そこで約100人の犠牲者が出たのは、人口比にすると日本で約2万人が殺害されたに等しい。国民は筆舌に尽くし難い衝撃を受けているだろう。犯人は移民が憎い→自分と同じように移民を憎まない同国民が許せない、と移民ではなく同じノルウェー人を大量殺害している点でも、漆黒の怨嗟を感じる。犯人はキリスト教原理主義者というが、イスラム教原理主義者がイラクやアフガンで、米国が憎い→米軍と戦わない同国人が憎いと、同じイスラム教徒に自爆攻撃しているのとダブった。両宗教とも大半の信者は温厚で親切なのに…。僕はイスラム圏を訪れて、何度も人々の心の温かさに感動した。真心を込めて旅人をもてなしてくれる。中には財布を狙っている悪党もいるけど、それはキリスト教圏も同じだ(僕が強盗やスリの被害にあったのは全部キリスト教圏)。犯人もヨルダン、トルコ、シリアなどを訪れたり、珠玉のイラン映画(「運動靴と赤い金魚」「友だちのうちはどこ?」「少女の髪どめ」)などを観れば、“イスラムは敵じゃない”と、移民政策に異議はあっても大量殺人まで走ることはなかったと思う。 /ムンクやグリーグの墓巡礼で初めてノルウェーを訪れたのは1989年。その後、02年、05年、そして一昨年と、墓参に行くたびに、国土の美しさや人々の優しさに感動し、車椅子でどこでも行ける充実した福祉社会に、“これなら税金の高さが納得できるかも”と胸を打たれたもの。何一つ危険な目に遭った事は無い。確かにこの20年で移民の人は増えた。でも、社会不安の原因になってるようには見えなかった。いまだに、この恐ろしいニュースが信じられない。/犯人はネットの中で憎しみをつのらせていったと報道されており、これはネット社会が抱えた新しい問題だ。EU各国やロシアにはネオナチのように排他的な差別主義者が少なくない事から、このノルウェーのテロ事件は各国にとって対岸の火事ではなく、言論の自由が保障されている民主主義国にあって、どうすれば犯人のような人間を社会が生まずに済むか論議されていくだろう。日本でも大型掲示板などに「○○人を追い出せ」と、特定の国籍の人間に向けて憎しみに満ちた書き込みをする人がしょっちゅういる。中には「殺せ」「駆除せよ」とまで書く人もいるが、対象が民族全体であり個人名じゃないので逮捕されないし、また、多くの人は「まさか憎いからといって、実際に殺しはしないだろう」と思ってスルーしている。殆どの大人は、過去の体験と照らし合わせて「どこの国にも、善人もいれば悪党もいる」と考え、外国人と向き合った時に、相手が所属する民族ではなく個人として接する。問題は若い子たち。純粋だから、「○○人はこういうヤツ」と、ひとくくりした思い込み意見を鵜呑みにしてしまう。それが分かっていて、若者の純粋な感情を利用しようとする大人が一番許せない。/ノルウェーの犯人は裁判を通して声明を出すそうだ。事件の全容はこれから分かってくる。その時にまた、思っていることを書きたい。世界は悲劇から教訓を学ばねば。 //23日夜に起きた中国の高速鉄道の衝突落下事故。車両が高架から転落している映像は事故の深刻さを物語っている。開業前から、工事担当者が「私なら乗らない。危険すぎる」と発言するほど、安全性に疑問の声が上がっていた鉄道。実際、運行開始から何度も不具合を重ねており、まさに起きるべくして起きたという印象。驚いたのは、生存者がまだいたかも知れないのに、アッという間に現場に車両を埋め、1日半で運転を再開したこと(JR福知山線は55日後だった)。常識的には生存者の捜索後、車両を保存して、事故原因の分析や遺品の回収にあたるものだけど、その場に埋めるとは、さすがに人権軽視の中国共産党というか、全く予想もしなかった対応だ。「生存者はいない」として車両切断中に2歳女児が救出されたことからも、捜索不足は明らかだ。また、乗客の数に対して死傷者が少なすぎる、遺体が何処にもないと問題になっており、これは場合によっては中共政府の終わりの始まりになるかも。思想的な民主化運動であれば中共は弾圧できても、「人命軽視の政権はコリゴリ」という政府批判は、武力で押さえつければ逆効果だし、それで市民に犠牲者が出れば、爆発的に反政府運動が拡大する。こちらも今後予断を許さない。※追記。日記のアップ後にニュースを見たら、埋められた車両が掘り起こされていた!何がしたいんだ中共政府は!?証拠隠滅の疑惑の目に耐えられなくて車両保存を決めたんだろうけど、遺体が出てきて生き埋めの可能性を糾弾される方向に事態が進むと思う。 //アニメーション監督・芦田豊雄さんが他界。享年67歳。アニメ版「北斗の拳」を監督。キャラクターデザイナーとして「銀河漂流バイファム」「ミンキーモモ」などを手がけ、僕の世代には馴染み深いアニメ関係者。冥福を祈ります。※懐かしのロボット・アニメ『UFO戦士ダイアポロン』(OP、1分15秒)のキャラデザも芦田さんだったのか!リンクはOPだけどED曲に名前が出てた。 |
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7月24日…民主にも自民にも原発推進派がウヨウヨいる中で、福島第一の事故前から核燃料サイクルに反対し、孤軍奮闘してきた自民の河野太郎議員。社民や共産には脱原発派がたくさんいるけど、自民でずっと原発の安全性に警鐘を鳴らしてきたのは河野氏だけ。僕は以前、同氏がちょっと苦手だった。言葉遣いがキツいとうか、無闇に敵を増やすタイプ。でも、先日の自民党総合エネルギー政策特命委員会(講師に原発維新派の親玉、甘利明議員や野田毅議員を迎えており、いわば“原発利権を死守するぞ”的な決起集会)で、河野議員が以下の7つの質問をぶつけたことを知り、その気骨に感動してしまった。 1.毎年出てくる千トンの使用済み核燃料に対して、再処理工場の能力は800トンしかない。再処理プルトニウムを使うはずの“もんじゅ”も壊れている。なぜ、辻褄が合わないのに自民は全量再処理の法律を制定させたのか。 2.なぜ自民は反対を押し切って、保安院を経産省の下に設置したのか。 3.なぜ自民は全ての環境法令について原発を適用除外にしたのか。 4.なぜ自民は高レベル放射性廃棄物を出す原発が、CO2を出さないという理由だけでクリーンエネルギーと呼ばれるのを認めてきたのか。 5.昭和47年(1972)に通産省と環境庁が結んだ国立公園内の地熱発電の開発の凍結に関する覚書が現在有効なら、なぜ自民はこの覚書を無効にしなかったのか。 6.半導体工場など一部の限られた事業者が必要としている高品質の電力を、全ての消費者に高価格で供給することはおかしい。特別な電力は事業者が自ら調達すべきもの。なぜこれが議論にならなかったのか。 7.電力業界は一部自由化を口実に、原発のコストなど重要な情報を『企業秘密』、非公開とした。なぜ自民は、こんないい加減な電力自由化を認め、必要な情報を隠すことを許してきたのか。 河野氏は別の自由報道協会のインタビューで「送電と発電が別になると、誰でも送電線を使えるようになる。そうなると、東電は競争が生まれ独占が崩れることを恐れている」と、電力業界改革の“本丸”である「発電・送電部門の分離」にも触れている。いろんな意味で、この人は“ガチ”。甘利明議員を前に臆することなく、質問を叩き付けた勇気を讃えたい。※詳しくは河野議員のWEBで。 /以下、311後にメモった河野議員の発言より。 ●原発が推進されてきた理由…「日本の原子力は全体が利権になっている。電力会社はとにかく地域独占を崩されたくない、送電と発電の一体化を維持したい。それを守ってくれる経済産業省の意向を汲む、天下りをどんどん受け入れる。経産省にしてみれば、前任者のやってきたことを否定できずに来た。原子力、核、放射線と名前の付いた公益法人、独立行政法人が山ほどある。そこにお金を上手く回して天下りさせる。電力会社も広告宣伝費で協力金を撒いてきた。自民党も献金を受け、パーティ券を買ってもらった。民主党は電力会社の労働組合に票を集めてもらっている。学会も電力会社から研究開発費をもらい、就職先を用意してもらってきた。さらに政府の意向に沿った発言をしていると、審議会のメンバーに入れてもらえる。マスコミは広告宣伝費をたくさんもらって、原子力政策の批判はしない。みんなが黙っていれば、美味しいものがたくさんある。そういう状況が続いてきた」 ●救済されるべきは東電ではない…「なぜ最初から国民負担で東電を救済しなければならないのか。事故の責任者として、東電には逆立ちしても鼻血も出ないという状況まで賠償させなければならない。送電網を含め、資産の売却も必須だ。送電と発電の分離に至らないような枠組みは、国民が許してはいけない」「他の電力会社に負担させ、電力料金を引き上げて、それに充てるなどというのは言語道断だ。それならば、まず、原子力環境整備促進・資金管理センターに積み立てた3兆円を使うべきだ。この3兆円には手をつけずに、電力料金を引き上げるなどとはとんでもない」「東電は、全てを賠償金のために準備するべきで、無駄な広告など、即刻やめるべきだ。ぜひ地元の国会議員に電話して、国民にまず負担させるような、こんな東電救済をやめろと声を上げてほしい!」 ●「テレビも経営が苦しいのはわかるが、だからと言って、広告宣伝費で心まで売ってしまうのはマスコミとしてどうなのか」「東電の経営責任はうやむやのままだ」 ●『安全神話』…「原発の『安全神話』を作ってきたのは自民党と経産省、電力会社だ。自民党は電力会社から金をもらい、立地自治体に補助金を出しやすい制度を整えてきた。通産省は電力会社に金を出させて公益法人を作り天下っている。東芝や日立などメーカーに加え、建設業界など産業界も原発建設を後押しした。電力会社は大学に研究費を出し、都合の良いことしか言わない御用学者を作り出す。多額の広告代をもらうマスコミは批判が緩み、巨悪と添い寝してきた。政・官・産・学・メディアの五角形が『安全神話』を作った」 ※ちなみに河野議員は「国籍法改悪の首謀者」というデマを2ちゃんに書かれたことがる。経緯はウィキに掲載されている。 //最後に。資料として『御用学者リスト』(リンク)と、『原発と政治家@ウィキ』(リンク)を貼っておく。魔女狩り的なものには反対なので、ずっと両リストへのリンクを貼って来なかったけど、原発推進派の巻き返しが激しいのと、事故直後に「メルトダウンはあり得ない」「笑っていれば放射能を浴びても癌にならない」と言ってた学者が、素知らぬ顔でテレビに出てくるので貼ることにした。こうして言質を取っておくのは、これ以上デマを流させないための予防線にもなる。あと、これらのリストは書きっぱなしで放置されておらず、意見が脱原発に変わった場合は追記されているので、過ちがずっと晒され続ける訳じゃない。/ジャーナリストの広瀬隆氏と明石昇二郎氏が、東電の最高幹部や子どもへの放射線の危険性を過小評価した学者ら32名を、業務上過失致死傷などで東京地検特捜部に告発した。安全対策を怠って大事故を招けば刑事罰を受けるのは当然。司法は原発事故を「天災」と見て事故は予測不可能=無罪とするのか、それとも「人災」として罰するのか。どんな展開になるのか見守りたい。 |
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7月23日…先日、指揮者の小澤征爾さんが日本美術協会・世界文化賞に選ばれた。小澤さんは主催の日本美術協会を通じて東日本大震災について「原子力を使わなくても生活できる国に」というメッセージを寄せた。「原発の問題をここで良い方に持っていかなければいけない。日本人には強い力があると信じている」「(脱原発は)日本の力を示す一番のチャンス。若い世代がどうやってそのことを分かるかが、これから数カ月の問題だと思う」。 //今月中旬、原発推進派の与謝野経財相(日本原子力発電の元社員)が、記者からの“原発のリスクへの反省がないのでは”という質問に対し、「そう思っていただいて結構だ」と語ったことに絶句した。福島があんなことになって、悲嘆した農家や酪農家に自殺者まで出ているのに、「反省ないと思ってもらって結構」だなんてよく大臣が言えたものだ。与謝野氏は以前に「原子力がなければ生活レベルが江戸時代まで戻る」とホラを吹いていたけど、また同様のことを言っている。時事通信の記事には「(この発言は)居直りと取られかねず、波紋を広げそうだ」と書いているけど、波紋は“まったく”広がらなかった。こんなに無神経な発言をしたら、民主政権内部から進退を問う怒りの声が聞こえてしかるべきなのに、全然聞こえてこない。 /黙りこくっている民主党議員の理由のひとつに考えられるのが、電力会社の労組「電力総連」とのズブズブ。合計8740万円もの献金を受けていたことが分かっている。特に金額が多かったトップ4は、小林正夫議員4000万円、藤原正司議員3300万円、中山義活議員700万円、吉田治議員700万円。電力総連は原発推進派。見返りも求めず約9千万もの大金を献金すると思えない。仙石氏、渡部氏、前原氏らは推進派として有名だ。 //民主党内閣がこのていたらくなので、自民に是非しっかりしてもらいたいけど、昨日の日記で触れた「イタリア国民の94%が脱原発派」という投票結果について、石原伸晃自民党幹事長が「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは、心情としては分かる」と論じたのは本当に最悪。石原氏が原発に賛成するのは自由だし、それを主張する権利もある(石原家は弟の石原良純氏も父の都知事も熱心な原発推進派で知られる)。しかし、公党の幹事長がイタリア人の94%が正常な判断力を失い、精神的に異常な状態にあると侮辱する権利はない。イタリアは時折大きな地震に襲われる。福島の現状を知った同国の人々が、原発は危険過ぎると判断することのどこがヒステリーというのか…。 /自民の次の衆院選公約は「原発維持」「消費税10%」「核兵器の持ち込み容認」という。自民については個人献金の72.5%が東京電力など電力9社の役員・OBらによることが昨日共同通信の調べで判明した。個人献金については建築業界より多く、電力会社の役員の92%が献金していこというから圧巻だ。このお金は回り回って電気料金に上乗せされている。個人献金の7割以上を占める相手の意向に左右されず、果たして議員は自分の理念を貫けるのか。っていうか、貫いてもらわないと何のための政党助成金かって話になる。個人的に注視しているのは、事故後に自民の中で真っ先に原発維持を訴えて「エネルギー政策合同会議」と立ち上げた面々。委員長:甘利明(あまり・あきら/元経済産業相)、委員長代理:細田博之(元官房長官)、副委員長:西村康稔(衆院議員/前回の総裁選で脱原発・河野太郎への刺客となり谷垣氏をアシスト)、参与:加納時男(元参院議員/元東電副社長・現顧問)、顧問:野田毅(衆議院議員)&森英介(衆議院議員)、事務局長:高市早苗(衆議院議員)、事務局次長:佐藤ゆかり(参議院議員)。この8名はまだ福島第一がどうなるか分からない4/5の時点で当会議を結成して原発推進を力説し、“原発マフィア”と批判されている。この会議について、同じ自民の河野太郎議員いわく「推進派がズラリと並び、引退した加納時男氏まで座る。次の選挙でそういう議員を落とすしかない。国民の目が必要だ。3月11日で隠してきたうみが全部出た。自民党がやるべきことは謝罪だ。利権で原子力行政をゆがめたのだから。政府には原子力政策を促進した中曽根康弘元首相に近い与謝野馨氏がいる。与謝野氏の発言は、明らかに東電を守ろうとしている」。こういう河野氏のような発言が党内から出てくるところが、自民の懐の深さであり、再生の可能性を期待できるところだ。(つづく) |
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7月22日…先日のNHKニュースで、イタリア市民が街頭インタビューに「福島の事故を見て確信した。原子力は時代遅れの技術なのだ」と答えているのを見て、目からウロコだった。これまで電力会社の宣伝で“原子力=科学の最先端”と擦り込まれて来たけど、それを“時代遅れ”と表現していた。確かに、燃料代がタダで永遠に手に入る自然エネルギーに対し、原子力は数十年後に枯渇する資源・ウランを燃料にしている点でも遅れているし、正真正銘のクリーンエネルギーである太陽光・風力・地熱に対し、無害になるまで数万年もかかる核のゴミを大量に生んでいる点でも、原発は過去の産物だ(しかも核廃棄物は捨てる場所が無い)。どうして僕も含め、多くの日本人は「CO2が出ない」という、ただその一点だけで「原子力はクリーンエネルギー」なんてコピーを受け入れてたんだろう。放射性物質がクリーンなわけないのに。/何をもって“最先端の技術”とするか。熱効率?コスト?僕は事故時に1人でも犠牲者が少なく済む技術を最先端と考えている。価値基準は“人命”。原発のように、事故が起きれば命のみならず国土まで失う大規模災害になるものより、少しでも人命が失われない技術の方を、“科学の最先端”と呼びたい。 //先月行われた、原発凍結賛否を決めるイタリアでの国民投票は、凍結賛成94%という驚異的な結果が出た。ドイツにおいても今月上旬に「脱原発法」が成立し、法的に全廃炉へ向かって行く事に。事故の当事者ではない独伊が脱原発へ舵を切っているのに、大型地震多発地帯に位置する日本が現状維持では、独伊の国民から「日本人は何も学んでいない」と呆れられるだろう。俳優の菅原文太さんが戦前の日独伊三国同盟を引き合いに出し、「ドイツが原発にさようならと宣言し、イタリーが国民投票で原発をやめるとハッキリさせたが、日本だけは政治家が誰もそういうことを言わない。今度は原発をやめる三国同盟を作ればいい」と、“脱原発日独伊三国同盟”を提案したことに、“なるほど確かに同じメンバーだ”と小膝を打った。かつての三国同盟は世界に誇れたものじゃないけど、今度のは胸を張れる。リンク先には西田敏行さんの「東電が防災に対してずさんだったことがハッキリわかった。M9・0の地震がスマトラ沖であったことを知っていて、『M9・0が想定外』なんてとんでもない話だ。『想定外』は絶対に言ってはならないし、あってはならない」という怒りの言葉も載っていた。大物芸能人がこういうメッセージを出す事は大きな意味があると思う。/今や脱原発派芸能人の象徴的存在となった山本太郎さん。“芸能界で仕事を干される”ことを覚悟して、原発反対のツイッターを書き込んだ時の心境をこう語っている「(ツイッターで)呟いた後、格好悪いけど大泣きしました…。何かを失う怖さからじゃなく、自分自身が解放された喜びで涙が止まらなかった。やっと人間に戻れた、って。事務所にいづらくなるのも想像できたけど、人としての優先順位を考えれば、口をつぐんで仕事を続けるという選択肢は僕にはなかった」。サラッと書き込んだようなツイートだったけど、そんな背景があったとは。 //いま政府内に定年を65歳にしようという動きが出ている。僕が学生の頃、60歳になれば定年になり、年金でささやかな第2の人生を歩めるものと思っていた。贅沢な生活が出来なくても良い、好きな音楽を聴きながら静かに本を読む、そんな日々を送れたら幸せだった。でも、旧自民政権は年金のスタートを65歳に引き上げ、民主党政権は65歳定年制を検討している。定年が延びればその分欠員が出ないので、企業は新卒を採用しなくなり、ますます若者の就職難が加速する。リンク先には「(定年延長は)若者軽視のこれまでの“めちゃくちゃな”政策が積み重なった結果だ。それは、政治的に若者たちがおとなしく、意見表明をしなかったため、“政治家は若者が怖くなかった”ことも要因だ」とある。フランスやイギリス、ドイツなどは若者の街頭デモを政府が恐れ、実際に若者の抗議運動で政策が変更されたりしている。かつての日本の学生運動は、先鋭化し、内部分裂の果てに自滅していったけど、ああいった歪んだ形ではなく、若者たちが再び街頭に出るようになるにはどうすればいいのか…。65歳まで働き70歳で他界すれば5年しか趣味に生きられない。うーむ。 |
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7月21日…よく「速読術」を指南する講座や本の広告を見かける。僕は本を読むのが遅く、これは文芸研究家として致命的だ。マンガだって各コマをなめるように読むので、ネットカフェで1冊読むのに1時間かかってしまい、「ゲッ!本を買った方が安かったじゃん!」という本末転倒なことも幾度かある。/20代の頃、ロシア文学の大長編と“格闘”する際に(事実バトル)、速読が可能ならどんなに便利だろうと思って、目の動きを上→下ではなく右→左に出来るようトレーニングしたことがあった。でも僕の場合、それをやってしまうと、ストーリーを追う事は出来ても、感情の変化が追いつかないことが分かった。喜怒哀楽が湧き上がる前に物語が先へ進んでしまうんだ。主人公と一緒に泣いたり悩んだりする時間が必要で、しかもグッときたセリフに線を引いてノートに書き写しつつ読んでいるので(それが後に「救命ロープ」の名言集になった)、必ず鑑賞には一定の時間が必要なんだ。その意味では音楽と同じだ。/先日、「スローリーディング」について語っているサイトで“抜き書き”を薦めていたので、“おおッ、まさに自分がやってたのはコレだ”って思った。リンク先に載っていた中谷彰宏氏の言葉「あなたの人生は、移動ですか?旅ですか?移動の人にはマイナスの回り道も、旅の人には楽しみになる」と、それについてのコメント“旅の目的は、目的地にたどり着くことではない。道中をたのしみながら、日常では出会うことのできない、新しい発見や出会い・成長をたのしむことだ。あなたも、読書という「旅」をたのしんでみませんか?”に120%賛成! //8月23日に発売されるファッション誌『SPUR』にジョジョの番外編、岸辺露伴のアナザー・ストーリーが掲載されるとのこと!ジャンプ系のマンガが女性向けモード誌に載るのは前代未聞。ジョジョが「マンガ・アート」として認知されているのが嬉しい! //最近、激ハマリのコンビニ・スイーツを2つ紹介(両方ファミマ)。どちらも150円前後。 (1)大満足ゼリーdeゼロ・コーラ風味(マルハニチロ食品)…ゼロカロリー系ゼリーの傑作。懐かしの10円アメ玉のコーラ味がする。モチモチ食感のキューブが入っているので、何かを食べたという満足感もあり、ダイエットにGOOD。すんごい暑い時は、このゼリーを食べながらコカコーラZEROを飲むんだけど、これがもう、何ともいえずリッチな気分になる。「これでゼロカロリーなんだぜ!?」みたいな(笑)。 (2)深層水・塩ソフト(横山冷菓)…バニラアイスと塩の相性がこんなに良いとは!コンビニのソフトクリームでこんなに旨かったのは初めて!今週、狂ったように4日連続で食べてる。富山湾の海洋深層水を100%原料としたミネラル豊富な“塩”使ったソフトクリームだ。上記のゼロカロリー・ゼリーのダイエット効果が台無しなんだけど、ソレはソレ、コレはコレ!(☆o☆) |
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7月20日…何気なく子どもとEテレ『ピタゴラスイッチ』を見ていたら、サッカー日本女子の代表8名が「アルゴリズム体操」(1分12秒)を踊っていた!収録したのはドイツに出国する前とのこと。この後、世界一になったんだよなぁ。今や、めっさ貴重な映像かと!運動神経抜群の澤選手が、一番ぎこちない動きをしているのが可笑しい。(*^v^*) //『同姓同名辞典』なるサイトを偶然見つけた(検索BOXはリンク先の一番下)。資料のベースが電話帳(=世帯主)なので、女性や若者の名前は極端に少ない。それでも、1300万人以上という膨大な数の名前が載っており、僕も同姓同名の人を奈良と兵庫に見つけた。奈良の方は校長先生をやっていた。自分と同じ名字の人にリアル社会で会ったことがないので、なんかこう、「実はおたくと同じ名前なんですよ!」とこちらから会いに行きたくなる。めっさ引かれると思うけど(笑)。 //ダンディズム溢れる渋い演技でファンが多かった名優原田芳雄さんが肺炎で他界。享年71歳。5月の頃は元気に歩いていたといい、2ヶ月で急速に病魔が進行したことになる。桃井かおりさんは米国からお見舞いに駆けつけたが間に合わなかったとのこと。『竜馬暗殺』『ツィゴイネルワイゼン』『寝盗られ宗介』、良い映画がたくさんあった。あの野太いドスの効いた声とタフな役柄から、病魔に倒れるなんて想像できなかった。心から冥福を祈ります。 |
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7月19日…以前、自分のサイトへの国別アクセス数が分かるツールを導入していたけど、06年の調査を最後に(500万ヒット時)、業者のサービスが終了してしまい、現状がよく分からなかった。今回、米国人の“ジョリーンさん”がジョジョ立ちページをくまなく閲覧されていたことを知り、5年ぶりに調査することに。そして、アクセス元をカワイイ国旗で教えてくれ、しかも無料のツールを見つけたので、7/15にテスト導入してみた!対象にしたのはトップページとジョジョ立ち教室。両ページのみだと訪問者は限定されるけど、国別の割合を出すには充分参考になる。海外からのアクセスに限っていえば、トップページにそれほど需要があると思えないので、殆どジョジョファンだろう。そして、結果は以下のように!台湾の人は親日的と聞いていたけど、まさかこれほどとは!→ (7/15〜) 5年前はアメリカがぶっちぎりで1位だったけど、今は僅差で台湾が2位につけている(前は両者に10倍の差があった)。台湾の人口を考えると、20日19時時点の「358」は中国の「53」、韓国の「14」と比べると驚異的なものがある。先日は台湾からの震災義援金がついに200億円を突破したという報道もあった。アクセス数という面からも、台湾の親日ぶりがズバ抜けているのが分かる。 /“旗マーク”のみでは国名が分かりにくいと思い、「国名データ」も表示。ここ数日はジョリーンさんたちが「USA」のページを見に来ているので、それを考えると、平時は台湾が1位なんじゃないだろーか。/地理の勉強になる「地図データ」版もあり、これはある意味、「世界ジョジョラーMAP」とも言える。サイト管理人というか、1人のジョジョファンとしてこの地図版は胸熱。欧州や北米からのアクセスは「OTAKU」文化の浸透を伝えるニュースである程度予測出来るんだけど、中東(ヨルダン)、アフリカ(ケニア、ジブチ、エジプト、アルジェリア)、南米(コロンビア、アルゼンチン、ボリビア、チリ、ペルー、ブラジル,、ウルグアイ)、中央アジア(カザフスタン、バングラディシュ、モンゴル、カンボジア)、大洋の島々(ドミニカ、マルタ、プエルトリコ、モルディブ)の旗を見ると、“こんなに遠い国から!”“文化も全然違うのに!”と目頭が熱くなる。現地の人だけじゃなく、日本からの海外青年協力隊や商社の駐在員として頑張ってる人かも知れない。モニター上では数字でしか表示されない、異国の地の読者の人のことに、いろいろ想いを馳せる世界地図デス。 |
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7月18日…日本女子、W杯優勝!!!!!相手は2008年からずっと世界ランキング1位のアメリカ。先制点を獲られ、延長でも先に獲られ、その都度、終了間際に追いついた日本。24回も戦って一度も勝てなかった相手に、W杯の決勝という大舞台で逆転勝利。諦めない事の大切さを言葉でなく心で理解したッ!男子サッカーを観て感動することはあったけど、リアルに涙が溢れたのは初めて。泣いている自分にビックリした。ニュースで結果を見た人は「泣くなんて大袈裟」と思うかも知れないけど、生中継の前半戦は、見ているだけで心が折れそうになるくらい、絶望的なほど米国が強かったので、それだけに感動もデカかったんデス。身長だって全然違うし、途方もない苦難の果てにたどり着いた歓喜の表情にウルウル。そして、本当に最後の瞬間まで諦めてはダメだと実感した。2点目の澤選手のキックは、スローモーションで確認しても何であの角度から入ったのか分からないミラクル・シュート。PK戦はそれまでアメリカのミサイル・シュートを見てるうえ、不利とされる後攻だったので不安だったけど、蓋を開けてみれば海堀選手の連続スーパーセーブ!3本連続で外れた時に、“もしや!”と胸が高鳴り、その後の熊谷選手の3点目で優勝が決定した時は雄叫びを上げた!トロフィーを授与された時の、「せーの!わーい!」の万歳シーンでまた涙腺決壊。なんて幸せそうなんだ。日本の女子サッカーが始まって30年。初めての決勝進出で初優勝とか、あまりにドラマチック。得点王、大会MVP、優勝という3冠を達成した澤選手は、穂希(ほまれ)っていう名前も素晴らしいね。あと、日本が「フェアプレー賞」を獲得したことも、もっともっと大きく報道すべきでは!1次リーグはイエローカードがゼロ!反則をしなくてもテクニックで勝ち進めるってホント格好いい。 /日本女子の待遇問題が既に指摘され始めてるけど、多くの選手が昼間はレジ打ちなどバイトで生活費を工面し、夜8時頃から練習していると僕も報道で知った。もっとも好条件である「INAC神戸」でさえ月給は10万前後。澤選手いわく「そもそも給料が出ること自体が珍しいケース」。W杯の勝利ボーナスは、男子が南アで1勝200万を支給されたのに、女子はわずか10万円。優勝報酬も男子の3000万円に比べ350万円と大き過ぎる差がある。米国の競技人口167万人に対して日本は4.6万人しかにない。今大会で女子サッカー代表を目指す若者が増えるであろう今こそ、待遇改善の好機かと! /こちらの海外のニュースサイトの女子W杯写真特集がめちゃめちゃGOOD!米国美人キーパーのソロ選手の写真が若干多い気がするけど(笑)。 /オバマ大統領の声明が素晴らしかったので追記。「我々のチームは2度に渡ってリードした。しかし日本チームの凄まじい粘り、あれこそ真の日本の姿だった。日本はあの悲劇的な災害からも粘り強く立ち上がるだろう、必ずだ。おめでとう日本、ありがとうUSA」。 |
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7月17日…ちょっと仕事が溜まって危険水域に近づいているので、日記は明日に!m(_
_)m /何もないというのはあんまりなので、ちょっと笑ってしまったニュース「ケンシロウがラオウを下す」をリンク。開催中の大相撲名古屋場所・序二段の取組で、西53枚目の「北斗」と、同57枚目の羅王丸(らおうまる)が初対戦。北斗は『北斗の拳』からしこ名を取ったが、羅王丸は本名がリアルに伊藤羅王。勝利した北斗は「力士としてより、北斗の拳のファンとして絶対に負けられなかった」とのこと。(*^o^*) |
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7月16日…先日紹介した、アメリカのワシントンDCやニュージャージーで開催された、アメリカ人による『ジョジョ立ち教室USA』の特集ページを作成!新たに主催者の“ジョリーンさん”とメールでやり取りした内容を反映させ、イベントの画像も増えていマス。お楽しみ下さい♪ //昨年、開催10年目という節目に終了した「M-1グランプリ」。今年、その後を継いで年末に催される「THE MANZAI 2011」の本戦出場芸人が決定した。昨年末、あれだけ“今回で最後!”と連呼していたので、今年もお笑いコンテストがあることに若干引っかかるものの、今度はM-1にあった出場資格(結成10年以内)のルールが取っ払われるので、大ベテランと若手の対決を見られるのが興味深い。 //『龍馬伝』で一気に知名度があがった土佐藩の武市半平太。義心に基づいて行動したのに、藩によって切腹を申しつけられた“武市先生”の獄中詩が新たに発見された。そこに書かれていたのは「恨無限(恨み限りなし)」。山内容堂公は維新の後も、切腹させたことをずっと後悔していたという。 //『魔女の宅急便』のトリビア集。キキとウルスラ(森の画家さん)が同じ声優とは驚いた。まったく気がつかなかった!声優ってすごいねぇ。宮崎さんが語る「ジジが話せなくなった理由」など、知らないエピソードが載ってて興味深く読んだ。 //昨夜の『美の巨人たち』、前に放送された「アテネの学堂」とは演出が異なっていたけど(前回はラファエロを役者が演じた感動的なドラマがあった)、一番大事なラファエロの言葉「我らの時代こそ、かつて最も偉大だった古代ギリシャの時代と肩を並べるほど素晴らしい時代なのだ」が最後に流れたので満足! //日曜深夜3時から女子サッカーW杯決勝の中継っすね。キックオフは3:45。翌日が祝日なので、この時間帯としては驚異的な視聴率になりそう! |
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7月15日…オーストラリアの南端で撮られた天の川の写真を紹介しているサイトに見入った(コレとかコレ)!めっさ美しい夜空。関連動画(2分42秒)もあり、こちらはYouTubeの画面右下の拡大ボタンをクリックすることをオススメ!最大画面で見る南天の星々は宝石箱のよう。 //歌舞伎役者の中村吉右衛門さん(67)が人間国宝に選ばれた!銀座の歌舞伎座で初めて観た舞台が吉右衛門さんの「籠釣瓶花街酔醒」だったので、個人的に感無量。俳優としても映画『心中天網島』の鬼気迫る熱演にノックアウトされたので、今回の選出が本当に嬉しい。歴代歌舞伎役者では22人目の人間国宝。現在、歌舞伎界で存命の人間国宝は、四代目中村雀右衛門さん、四代目坂田藤十郎さん(中村鴈治郎)、七代目中村芝翫さん、六代目澤村田之助さん、七代目尾上菊五郎さん、そして今回の吉右衛門さんの6名になった(五代目中村富十郎さんは今年1月に他界)。※人気の団十郎さんや勘三郎さんはまだ人間国宝じゃない。 //@JOJOさんで知ったんだけど、『鋼の錬金術師』WEBに荒川弘先生とジョジョの荒木飛呂彦先生の夢の対談が載ってます!まさか荒木先生の“ハガレン論”、荒川先生の“ジョジョ論”を読むことが出来るとは!2人の作家が相手の作品の感想を言い合うって面白いなぁ。荒木先生の発言で噴いたのは「シュトロハイムはもう身体半分が機械鎧みたいなものだからね。『鋼』の世界にいても違和感ないですよ」。確かに全身武器のサイボーグ・シュトロハイムはあの世界に馴染みまくりッス(笑)。また「(ジョジョでは)人間のゲスな部分も避けずに踏み込もう」という覚悟のくだりで“ゲス”という言葉に荒木節を感じた。承太郎とエドが背中合わせにビシッて決めてる合作絵が激レアすぎる! //16日夜オンエアされる『美の巨人たち』は、ダ・ビンチさえその才能に感嘆した若き天才画家ラファエロが、ヴァチカンのサン・ピエトロ大寺院に描いた壁画「アテネの学堂」が取り上げられる。番組では過去に一度この作品が登場しており、それは『美の巨人たち』10年の歴史の中で、僕にとってベストワンの内容だった!もしも今回同じ内容とすれば、是非1人でも多くの人に見て欲しい。37歳で病死したラファエロ。「アテネの学堂」はソクラテスやプラトン、ピタゴラスなど古代ギリシャの偉人たちをラファエロが描いたものだけど、その人物モデルとなっているのは、同時代に活躍しているダ・ビンチやミケランジェロなど、ルネッサンスの天才たち。ラファエロ(当時25歳)は「今、僕が生きているこの時代は、優れた芸術や新しい科学に満ち、古代ギリシャに負けないくらい素晴らしいものなんだ!」と目を輝かせて宣言しているんだ。人間讃歌の咆哮!ラファエロの興奮、人類全体への怒濤の愛、隣りの部屋で天井画“天地創造”を描いてるミケランジェロへのリスペクトが伝わってきて、もう何度録画DISCを再生したか分からない。どうか、以前の放送分がベースになっていますように! |
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7月15日…オーストラリアの南端で撮られた天の川の写真を紹介しているサイトに見入った(コレとかコレ)!めっさ美しい夜空。関連動画(2分42秒)もあり、こちらはYouTubeの画面右下の拡大ボタンをクリックすることをオススメ!最大画面で見る南天の星々は宝石箱のよう。 //歌舞伎役者の中村吉右衛門さん(67)が人間国宝に選ばれた!銀座の歌舞伎座で初めて観た舞台が吉右衛門さんの「籠釣瓶花街酔醒」だったので、個人的に感無量。俳優としても映画『心中天網島』の鬼気迫る熱演にノックアウトされたので、今回の選出が本当に嬉しい。歴代歌舞伎役者では22人目の人間国宝。現在、歌舞伎界で存命の人間国宝は、四代目中村雀右衛門さん、四代目坂田藤十郎さん(中村鴈治郎)、七代目中村芝翫さん、六代目澤村田之助さん、七代目尾上菊五郎さん、そして今回の吉右衛門さんの6名になった(五代目中村富十郎さんは今年1月に他界)。※人気の団十郎さんや勘三郎さんはまだ人間国宝じゃない。 //@JOJOさんで知ったんだけど、『鋼の錬金術師』WEBに荒川弘先生とジョジョの荒木飛呂彦先生の夢の対談が載ってます!まさか荒木先生の“ハガレン論”、荒川先生の“ジョジョ論”を読むことが出来るとは!2人の作家が相手の作品の感想を言い合うって面白いなぁ。荒木先生の発言で噴いたのは「シュトロハイムはもう身体半分が機械鎧みたいなものだからね。『鋼』の世界にいても違和感ないですよ」。確かに全身武器のサイボーグ・シュトロハイムはあの世界に馴染みまくりッス(笑)。また「(ジョジョでは)人間のゲスな部分も避けずに踏み込もう」という覚悟のくだりで“ゲス”という言葉に荒木節を感じた。承太郎とエドが背中合わせにビシッて決めてる合作絵が激レアすぎる! //16日夜オンエアされる『美の巨人たち』は、ダ・ビンチさえその才能に感嘆した若き天才画家ラファエロが、ヴァチカンのサン・ピエトロ大寺院に描いた壁画「アテネの学堂」が取り上げられる。番組では過去に一度この作品が登場しており、それは『美の巨人たち』10年の歴史の中で、僕にとってベストワンの内容だった!もしも今回同じ内容とすれば、是非1人でも多くの人に見て欲しい。37歳で病死したラファエロ。「アテネの学堂」はソクラテスやプラトン、ピタゴラスなど古代ギリシャの偉人たちをラファエロが描いたものだけど、その人物モデルとなっているのは、同時代に活躍しているダ・ビンチやミケランジェロなど、ルネッサンスの天才たち。ラファエロ(当時25歳)は「今、僕が生きているこの時代は、優れた芸術や新しい科学に満ち、古代ギリシャに負けないくらい素晴らしいものなんだ!」と目を輝かせて宣言しているんだ。人間讃歌の咆哮!ラファエロの興奮、人類全体への怒濤の愛、隣りの部屋で天井画“天地創造”を描いてるミケランジェロへのリスペクトが伝わってきて、もう何度録画DISCを再生したか分からない。どうか、以前の放送分がベースになっていますように! |
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7月14日…(つづき)ここ最近の動きで一番脱力したのは、九州電力の“やらせメール”事件。玄海原発(佐賀)の運転再開を目指して放送された、国主催の「説明番組」に、九電関係者が一般市民を装って「再稼働“賛成”メール」を大量に送りつけたというもの。番組に寄せられた意見は再稼働に賛成が286通、反対は163通。しかし、実際は反対意見の方が多く、賛成意見の半数以上が“やらせ”だった。発覚当初は「課長クラスが独断で指示した」だったのが、その後「部長クラス」「副社長の意見を反映」となったのも印象を悪くした。“やらせ”指示書では遠回しに「職場からの投稿はアシがつくので気をつけろ」(一般市民を装い自宅から送れ)とわざわざ念を押しているうえ、見本となる“例文”を記載しているケースもあった。 /この事件で呆れたのは、3.11後、何度も電力会社は定期検査のごまかしや隠ぺい体質を批判されてきたのに、まったくその反省が見えないこと。マトモな社員がいれば「こんなやり方は卑怯だ」「さすがにこれはマズイだろ」という声が出てきて“やらせ”は中止になりそうなものだけど、実際には前述したように賛成意見の5割以上の“やらせ”があった。こんなことが発覚したら社長退任&再稼働凍結になるのに、それすらも判断できないほど九電幹部の現状認識が国民感覚から遊離している。福島の事故は人災の面が強く、だからこそ、電力会社の人間は信頼を取り戻すために誠実さが求められていた。それがこの有り様。震災後でさえこんなことをするんだから、震災前はもっと恒常的に“やらせ”が起きてたんじゃないかと疑ってしまう。※“やらせ”でこれだけ憤ったのは小泉政権のタウンミーティング問題以来(ウィキ)。あれは質問者に謝礼金まで出してたのが酷かった(経費1回当たり約2200万円)。 /古川佐賀県知事と岸本玄海町長が原発推進派であることから、3日前、脱原発派150人が「再稼働中止の請願書」を知事に手渡すため佐賀県庁を訪れた。ところが知事は出て来ず、入口が封鎖された。これで頭に来た市民団体が強行突入し、県職員がバリケードを築くという騒乱状態になった。この時、最前線で「非暴力でいこう!」「暴力はなし!暴力はなし!」「暴力沙汰になったら誰もプラスにならない」と市民団体に自制を求めていたのが俳優の山本太郎さんだった。県側に「こんなもの(バリケード)があるから、皆のテンションが上がってしまう。落ち着いて話し合える環境を作るためにこれをどけて下さい」と語っているリンク先の動画を見て、熱血漢のイメージがある山本さんは、とても冷静な人というのがよく分かった。※別の新聞記事で、この市民団体が「再稼働反対」の旗だけじゃなく「9条を変えるな」の旗も掲げていたのが気になった。僕は護憲派だけど、脱原発運動の場に9条云々を絡めるのはよくない。保守の中にも脱原発派がいるのにタッグを組めなくなる。あくまでも「脱原発」というその一点だけで運動を進めるべき。/昨日の日記で触れた玄海原発周辺住民の白血病率について、読者の方から「九州は元々ウイルス性白血病(ATL)が多く、死亡率は佐賀よりも鹿児島や長崎の方が高い」と教えて頂きました(情報有難うございました)。ソースは西日本新聞。記事によると、九州ではウイルス性白血病の死亡率(03-07年)が全市町村の約5分の1、54市町で全国平均の2倍以上になっており、うち16市町は3倍を超えている。ATLはウイルス感染から発症まで平均55年と非常に長い。だから、厳密に原発との関連性を考えるなら、原発稼働から55年が経った2030年以降のデータを待たねばならない。でも、それは20年も先の話。現に“発病確率”だけを見ると玄海町>唐津市>佐賀県と、同じ県内で原発に近づくほど高くなっている点、玄海町は全国平均の2、3倍というレベルじゃなく“7倍”(11倍の年もあったという)という点を考慮すると、まだシロとは言い切れないと思う…。ドイツのように5歳以下の子どものデータを政府は早急に作成して欲しい。 //女子サッカーW杯、朝5時に起きて後半戦から見た。スウェーデンの選手は背の高い人ばかり。日本チームと平均10cmの差があるそうだ。それだけにヘディングで競り勝って点を入れたことに大喝采。また、3点目の川澄選手の超ロングシュートは“キャプ翼”でも見てるかのようだった。なんであんな長距離からノーバウンドでクリーンに決められるのか!ほんとビックリした。あと、女子サッカーはイエローカードや反則がめっさ少ない。とても美しいサッカー。決勝の日本VSアメリカは18日の朝3時に中継開始。3時!日曜の夜は早く寝ないと。※試合ダイジェスト(4分) |
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7月13日…先週末のNHK『徹底討論どうする原発』は様々な問題に切り込んだ良い討論番組だった。特筆したいのは、ドイツ政府の公的調査で判明した「原発周辺住む5歳未満の子どもに癌が多い」と事実をオンエアしたこと。 もう少し詳しく話そう。ドイツの放射線保護庁は1980-2003年に、国内16カ所の原発から5キロ圏内の5歳以下の子どもの健康を調査した。その結果、白血病を発病した幼児は、全国平均17人に対して、原発周辺は37名だった。発病の確率は2倍以上。同様に小児癌は1.6倍だった。事故が起きていない原発周辺でどうして癌が増えるのか?通常運転で出ている“全く問題ない”とされている低レベルの放射線が、何らかの影響を与えているのか?調査結果が発表されたのは2007年。あまりに電力会社にとって都合が悪いデータであり、日本のメディアは殆ど報道していない。少なくとも、僕がTVで見たのは今回のNHKが初めてだ。 ※2008年の時点で、既に報告書に触れているサイトがあった! /同様の話題をネットで検索していて、衝撃的な記載に出合った。今“やらせメール”で問題となっている佐賀県の玄海原発周辺の健康データだ。恐ろしいことに、原発に近づくほど白血病患者が増えている。厚労省が「人口動態調査」で公表している白血病患者について、03年〜07年の5年間のデータは以下の通り。 ●人口10万人あたりの白血病による死者数 ・全国平均…5〜6人 ・佐賀県全体…9〜10人 ・唐津保健所管内(玄海原発は唐津市)…15〜16人 ・玄海町…38〜39人 ※玄海町の人口は約6700人なので、“10万人あたり”で換算すると1人=15人に相当。だから実数は2人強。“なんだ2人強か”という問題じゃない。人口が少ないのに03年以外毎年発病者が出ている状況が問題。 ソースはコチラ。よく調べておられる。さらに検索すると、2009年に唐津の市議が市議会でこの件について質問していた。ドイツ政府が脱原発を決定したのは、前述した調査結果も大きな要因になっている。原発推進派はドイツのデータや玄海原発周辺の健康データをどう思っているのだろう。 ※低線量被曝の危険性について補足。戦後、妊婦の自然流産率は医学の発達と共に減少してきたが、1957年から増加に転じた。増加前の数値に戻ったのは1990年。この間に何があったのか。大気圏内の核実験だ。各地に放射性物質を含む雨が降ったが「ただちに影響はない」とされた。放射線は細胞分裂に強い影響を与えるので、細胞分裂を盛んにしている胎児が最もダメージを受ける(ソースは田中優氏の講演動画、最後の部分)。 //僕は12日の日記で書いた理由から佐賀・玄海原発の運転再開に反対している。でも、佐賀県の古川康知事も地元玄海町の岸本町長も、原発の「超推進派」として知られており、僕は悲観的だった。 ・古川康知事…父親が九州電力の社員で、玄海原子力発電所のPR館の元館長。知事自身もプルサーマル導入を「県民投票の必要なし」と押し進め、首相の浜岡原発停止要請に対しては、他の知事に先駆けて不快感を示している。 ・岸本英雄町長…言い方は悪いけど、僕から見れば原発利権の権化。同町の原発関連工事は、岸本町長の弟が経営する「岸本組」が独占的に受注している。町長就任から4年8カ月間で、九電から総額約17億円分を受注し、町長自身も株主として「岸本組」から約1千万円を得ている。政治倫理について、熊本県八代市は市長や議員の3親等(おじやおい)内の親族企業が市発注工事を受注することを禁じる条例を制定している。こうした倫理条例は、内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%の自治体が導入済みだけど、佐賀県はわずか10%に過ぎない(リンク)。 このような状況から、玄海の再稼働は時間の問題と言わざるを得なかった。そこに起きたのが、九電の“やらせ”メール事件だった。(つづく) |
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7月12日…久しぶりに原発関連のことを。春の段階より、僕はますます脱原発に傾いている。そして問題点もシンプルになった。僕は玄海原発の再稼働に反対、というか以下の懸念が解決されるまでどの原発も運転再開に反対。調べれば調べるほど、今までは「運が良かっただけ」と思わずにいられない。 (1)使用済み燃料プールは殆ど丸裸。どうすんの? 年に一度、原発には定期点検がある。検査期間は平均4ヶ月半。その間、燃料棒は頑丈な格納容器から外のプールに移される(例・福島4号機)。つまり、一年の3分の1は、水しか入ってないプールに浸かってるだけで、周囲にはあのモロい建屋しかない。今、4号機の使用済み燃料プールは外側から丸見えの状態。建屋はなんとか倒壊を免れているけど、もし倒壊して火災が起きればむき出しの燃料プールからプルトニウムやウラン、セシウム、ストロンチウムが気化してしまう。最近、アメリカ原子力規制委員会(NRC)の委員長が「事故後に在日アメリカ人に対して原発から約80km以上離れるように指示したのは、4号機で火災が起きるのを恐れたから」と語ったとのこと(ソース。めっさ長文)。燃料プールが格納容器なみに頑丈な施設にならないと「安全対策完了」とは認められない。※ その意味では浜岡のプールに燃料棒がある限り、浜岡は停まっても全然安全じゃない。 (2)配管の強度が不足。どうすんの? 先日の関電の株主総会で、「テポドン(弾道ミサイル)が命中しても大丈夫か」という“爆弾質問”があった。関電側は「テポドンが着弾しても原子炉は壊れません!」と根拠を示さずに言い切ったが、小出助教いわく「仮に格納容器が壊れなくても、配管1本が壊れるだけでメルトダウンが起こりえる。格納容器が大丈夫だからというのは、もともと成り立たないバカげた返答」。どんなに原子炉格納容器が頑丈でも、配管の強度には限界がある。格納容器の周囲には無数の配管が張り巡らされており、これがズレたり割れたり外れたりする。2007年の地震で新潟の柏崎、石川の志賀の配管が壊れ、今年の3月に福島第一、第二、青森の東通、宮城の女川、茨城の東海の各原発の配管が壊れた。つまり、 「震度6」の地震を乗り切った東日本の原発は皆無。しかも既にある配管を太くするのは、他の配管とぶつかって不可能な場所がある上、膨大な経費と時間を要し極めて困難。でも、この重要な配管の強度問題が解決しないと、危なすぎて稼働を認められない。福島原発は地震で配管の強度が落ちたところに津波が直撃して、短時間で大事故に繋がった。政府も各電力会社も「非常用電源が確保できた」ことを理由に再稼働させようとしている。それは論点のすり替えであり、電源が確保できたって配管が壊れていたら燃料棒を冷やすことは不可能。 //原発推進派はしきりに「原発がないと電力不足で企業活動に支障が出る」「電気料金も値上がりする」というけど、仮に本当だとして、それらは日本列島に住み続けられたらの話だ。福島の事故では基本的に風が海上に吹いてたけど、もしあれが3日連続で西南に吹いてたら、本当に東日本は終わってた。福島がこんな状態で、新たにどこかの原発が事故を起こせば、もう企業活動がどうのこうのというレベルじゃなくなる。風向き次第で住む土地そのものがなくなる。しかも、近年になって活断層が周辺に見つかる原発の多いこと! ※関連リンクいろいろ→ ・国際エネルギー機関(IEA)が指摘「日本は原子力発電の不足分を補うだけの十分な石油火力発電による余剰能力を有している」 ・“東電は原発だけではなく、火力発電の耐震性もサボっていた”「計画停電のウソ」 ・橋下知事、「関電社長は恐怖心をあおり商品を売りつける霊感商法の商売人」 ・東電やめたら電気代3割も安くなった! //僕は“原発必要悪”の論調には断固反対。日本は資源がないから原発が必要というけど、ウランだって今世紀中に枯渇する希少な資源だ(油田はどんどん見つかってるけど)。将来のエネルギーをめぐる戦争を避けるためにも、プラント建設が比較的に容易とされる天然ガス(LNG)発電で急場をしのぎつつ、無尽蔵に手に入り輸入する必要のない太陽光線や風、地熱を利用するエネルギー・システムを早急に国家プロジェクトとして推進すべきかと! ※一応、日記に書くだけじゃなく、内閣府にも送ってみたけど、なんでここまで個人情報を書かないと受け付けてもらえないのか、ちょっと首を傾げてしまう。 |
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7月11日…美しい日本の風景を、自分がその場にいるような臨場感で味わうことができる『8分で日本の1日を回れる動画』がすごく良かった。NHKの人気番組“世界ふれあい街歩き”のように、カメラが歩行者の目線で動く。移動がゆっくりだから、周囲の自然の音や生活音もよく聞こえる。撮影者は北海道から沖縄までよく足を運んでいるなぁ。めっさ高画質だから、画面最大まで引き延ばしてOK。っていうか、最大まで拡大して見て欲しい!風雅な日本列島の名景を、部屋にいながらにして楽しめる8分間デス。 //Eテレの『N響アワー』には、音楽に関する雑学を紹介するミニコーナーがある。以前にあった「作曲家のファミリーネームを直訳したらどうなるか?」という回が面白かった。メモった内容は以下の通り。 ・バッハ…小川(これはけっこう有名) ・ベートーヴェン…赤カブ菜園(まさかそんな意味だったとは!) ・ショパン…荒々しい打撃(優しい音楽とのギャップがすごい) ・シェーンベルク…美しい山(きれいな名前っすね) ・ブルックナー…橋本(橋の近くに住んでいたのかな) ・ラフマニノフ…温和(静かな曲が多いので他の人よりかはイメージに近い) ・シュトラウス… ダチョウ、花束(全然異なる2つの意味があるらしい) ・スメタナ…サワークリーム(ツバがわきそうな名前) ・ボロディン…ひげ(日本人で“髭さん”っていう名字の人には、まだ出会ったことがないなぁ) |
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7月10日…仕事の関係で手に取ったネイティブ・アメリカンの本にグッときた言葉が載っていたので紹介。書いたのはオジブウェー族の血をひくブラックウルフ・ジョーンズさん。→
//今夏、地元(大阪)で初めてセミの声。例年は七夕には鳴いているので遅いなって思ってたけど、声が聞こえてきて安心した。梅雨も明け、いよいよ夏本番。スイカがうまい。 |
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7月9日…ジョジョネタ連続更新のラスト! //“ジョジョ立ちUSA”を見た読者の方から「今、海外ジョジョラー動画が熱いッ!!」と各国のジョジョファンがYouTubeにアップしている動画を教えて頂いた。 ●爆裂!「ザ・ワールド&WRRRYYYY!」(1分23秒) 次々といろんな外国人が「ザ・ワールド!」って叫んでるんだけど、発音が日本語風に「ZA WARUDO!」と舌足らずになっているのが可笑しい。後半はWRRYYYの嵐。これはオリジナル・アニメや影絵ゲームの影響かと!(ゲームの元サイト、もう消えていて遊べないんですね。もったいない!) ●カナダの空気を震わせた大人数WRRRYYY!(11秒) 日本人が想像している以上に「WRRYYY!」は世界に広がっているのかも! ●北欧フィンランド・ヘルシンキの無駄無駄WRRYYY!(17秒) ジョジョファンはアメリカ大陸だけじゃない。ヨーロッパにもたくさんいるぞ! ※冗談抜きで、自分の考えたパフォーマンスが、遠くフィンランドで再現されているって今日の今日まで知らなかった。彼らはすごく楽しそうだし、なんかこう目頭が熱くなった。YouTubeに感謝。(T_T) //ネットにアップされてるジョジョ関連動画でもっともクール&スタイリッシュと思うのが、以前に日記で紹介した「iPod」とジョジョキャラのコラボ動画。ここ1、2年に当サイトを閲覧し始めた方の為に再掲! ●ジョジョの奇妙なiPod(31秒) 既に50万人以上が見ている傑作動画。歴代ジョースターが次々とシルエットで登場しダンスしまくる。音楽もめっさカッコイイ! ●ジョジョの奇妙なiPod6部(47秒) 個性的なパフォーマンスがいっぱい!僕のイチオシ!6部には女性キャラが多いのでダンスにバラエティーがある。魅了されまくり! ●JOJO BOSS iPod(33秒) 不覚!今日までこの動画の存在を知らなかった!ボス軍団が動くヤツがあったのか〜!冒頭のカーズ様から、恐竜Dio、大統領といった新しい7部キャラ、ファン・サービスのドッピオ、デッドマンズQまで30秒にギュギュッと入っている! ●ジョジョ iPod風画像/味方バージョン(3分12秒) 登場キャラは23キャラ。こちらはシルエットが動かず、スライドのように映し出されるだけなんだけど、各キャラのポージングや構図が素晴らしく、いつも最後まで見てしまう。主人公を支えてくれた親友や師匠がビートルズのゲット・バックをBGMに登場するのが胸熱。 ●ジョジョ iPod風画像/敵バージョン(3分4秒) 登場キャラはなんと33キャラ!100人以上いるスタンド使いから誰が選ばれたのか、どのように性格が表現されているか見てるだけで楽しい(例えばギアッチョはギターを叩き壊している)。後半でボスが連続登場すると「うおおおお!」ってテンションが上がる! //オールカラー大型本『岸辺露伴ルーブルへ行く』(Ama)は、完売となって一時期トンデモないプレミア価格になってたけど、今は再販されて定価でゲット可能に。あこぎな転売屋から買わずに済んで良かったデス。r(^_^;) ※全ページがカラーだと美術書みたい!眼福であります! |
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7月8日…実は昨日紹介したアメリカでの『ジョジョ立ち教室』には続きがあって、主催者の“ジョリーンさん”は「これからもジョジョを布教しまくる!」という言葉通り、つい先月、NYにほど近い東ニュージャージーで開催された『Anime NEXT』なるイベントで、2度目のジョジョ立ち教室を企画!「会場に入りきれないほど集まりました!」とのこと!新たに届いた集合写真を拝見すると、“人種のつるぼ”といわれるNYに近いせいか、前回のワシントンDCよりも多様な人々が集まっている。そして、和気あいあいとジョジョ立ちしている姿を見てこう思った。アメリカは移民の国。それだけに、異なるルーツを持つ者が同じポージングをみんなで一緒にやることに、ジーンと来る一体感があるんじゃないだろうか。しかも、ジョジョ立ちは難しく見えてもポイントを抑えれば美しく立てるので、達成感やカタルシスを味わうことが出来る。ポージングが高い難易度になるほど「オー・マイ・ガッ!」とか喜んで挑戦していそう。楽しそうにジョジョ立ちしている写真を見ながら、そんなことを考えた。
アメリカ人は陽気な人が多いとはいえ、大半が初対面という状況では企画する側も緊張するだろう。だが、それでもジョリーンさんを突き動かしたのは「ジョジョの素晴らしさを広めたい」という熱烈な想い。そうさせてしまう“力”がジョジョにはある。あらためて、そのような作品を生み出した荒木先生の偉大さを感じずにはいられない。今回のイベントではブラックモアの傘など、小道具も登場し始めている。アメリカでのジョジョ立ち教室が、回数を重ねるにつれどんな風になっていくのか、今後が本当に楽しみデス。(*^o^*) |
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7月7日…今年の1月、アメリカから「Hello! WRRYYYYYY!」と始まる超ハイテンションなメールが届いた。内容は「私はジョジョを愛するアメリカ人で数年前からジョジョ立ち教室のファンでした。来月、首都ワシントンDC近郊のアニメ&マンガ祭『Katsucon』でジョジョ立ち教室を企画しており、ジョジョを知らないイベント参加者にジョジョの魅力を伝えるつもりです。貴サイトを資料に使ってもいいですか」という内容だった。返事は当然“オフコース!”。そして翌月、「イベントは大成功でした!」と報告メールが。届いた画像や動画を見て、スクリーンを使った本格的なジョジョ立ち教室ということが分かった!(ご本人はジョリーンのコスプレをしていたので、以後“ジョリーンさん”と呼びます)。ジョジョ以外のアニメ・コスをしている人が多数写っていることから、ジョリーンさんが頑張ってイベント告知を行ったことが分かる。このジョジョ布教にかける並々ならぬ意気込み!画像はサイトにアップOKとのことなので以下に紹介!
2003年にサイトへアップしたジョジョ立ち教室。その3年後に荒木先生の前で披露することになり、8年後の今年、サイトを閲覧したアメリカ人によって、ワシントンDCで開催される…インターネット時代ならではの超展開というか、ネット普及がなければジョリーンさんもあのページを見ず、Eメールが存在しなければ住所を知らない相手と交流するのは不可能だった。アメリカから現像した写真を封筒に入れ国際郵便で出す、そんな手間をかけなくても、Eメールにデジカメ画像を添付&クリックするだけで1分後には届くという、ドラえもんもびっくりの未来世界に生きているんだなと、感慨深くやり取りを交わしていた。ほんと1990年代前半までの世界と激変している。 ジョリーンさんいわく「第6部はフロリダが舞台だし、第7部は米国全土が舞台なので、アメリカ人も入り込みやすいんです」「これからもどんどんジョジョの魅力を伝えていきます!」。イベントのフィナーレに、日本のジョジョ立ち教室同様に、承太郎とDIOの『オラオラVS無駄無駄100連発inUSA』(14秒)を敢行し、YouTubeに動画をアップされていマス。参加者がとても楽しそうにしているのでホッコリ癒やされました♪ ※2003年のオラオラVS無駄無駄…in渋谷(23秒)いつの間にYouTubeに!? |
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7月6日…今日から数日間、日記はジョジョネタに特化! /多くのジョジョ・ファンの方は既にご存知と思いますが、『荒木飛呂彦公式サイト』が4月から公開中。かなりの頻度で更新されており、西尾維新版の小説ジョジョ告知や、待望のシーザーフィギュア化など、様々な情報に溢れてます。 /第7部『スティール・ボール・ラン』完結に合わせて公開された集英社のSBRムービー(1分半)、彩色されたSBR世界が実にシブイ。「一番の近道は遠回りだった。遠回りこそが俺の最短の道だった」「本当に廻り道だった。本当に、本当に、なんて遠い廻り道…「ありがとう」…それしか言う言葉が見つからない」、このセリフの余韻がなんとも言えずジンワリくる。 /当サイトのジョジョコーナーには、“ジョジョ絵師”と呼ばれる絵描きさんが集う「お絵描き板」があります。絵板は03年に開設され、今年で8年目。サーバーの容量に限度があるので、どんな力作でもやがて流れてしまうのですが、“なんとか後世に遺したい!”と感動した作品を、ジョジョ美術館(全11館)というページに展示&保管してマス。この度、2009年以来2年ぶりに全11館に新作をアップしました。その数、約300点!(総計約2700点) 各部別キャラお題を開催した1部、2部、5部、6部の各キャラ館のほか、絵師の皆さんがジョジョ愛を爆発させた作品を集めた“お祭り会場”が大幅にパワーアップ! 何時間もかけて作画された力作を、PCの前にいながらにして鑑賞できる喜び。ジョジョファンの一人として、素晴らしい作品で魅了して下さった絵師の皆さんに、心から御礼を申し上げます!ディ・モルト・グラッツェ(超有難うゴザイマス)! ★追加情報は次の通り。新規作品には「UP」印が入ってます。 ●ジョジョ美術館/本館…7点追加 ●ジョジョ美術館/お祭り広場…140点追加(圧巻!) ●第1部キャラ館…33点追加/●第2部キャラ館…20点追加 ●第3部キャラ館…3点追加/●第4部キャラ館…17点追加 ●第5部キャラ館…28点追加/●第6部キャラ館…24点追加 ●第7部キャラ館…3点追加/●名画・コラボ館…3点追加 ●ゲーム・コラボ館…2点追加 本来なら、この日記で新作約300点すべてについて魅力を言及したいのですが、スペース的に限界があるので、断腸の思いで15点を厳選し、以下に紹介します。美術館の方でより大きいサイズで展示してますので、どうそ足をお運び下さいませ♪
★そして!以下はこの2年間の最多投稿者、sibataさんの作品群!溢れるアイデア!ほとばしるキャラ愛!「sibata無双」「イケメン奉行」、様々な呼称で他の絵師さんからも讃えられた、めくるめく“sibataさんワールド”を最後に紹介させて頂きマス!
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7月5日…今日はサイト読者の方からのお薦め動画や歌を紹介! //スタジオ・ジブリが作ったチャゲ&飛鳥のPV『On Your Mark』(6分30秒)。宮崎駿さんが作った希望の作品とも、逆に最もダークな作品ともいわれる本作。放射能に汚染された土地で天使(ナウシカ?)を救出するというストーリーなんだけど、東電の事故前と事故後では印象が随分異なる(制作は1995年)。以前はボーッと背景を見ていたけど、今なら無人の村が避難指定地域って分かるし、最後の煙突も原発(スリーマイル型)って一目で分かる。ハッピーエンドと解釈するなら“天使”は希望の象徴で、天使を大空へ放つことで“希望を守った”ということになる。悲劇として見るなら(1)不自然な時間の巻き戻しがある落下シーンは、やはり2人は死亡していて、天使の空想が展開される(2)冒頭のカルト宗教無差別殺戮で少女を殺した場面から、後は全部警官の現実逃避の妄想※岡田斗司夫説。ウィキより(3)最後に道から外れて車が停車したのは2人が放射能で死んだから(岡田説)、等々。普通なら悲劇解釈は“陰謀論”的な扱いを受けるけど、宮崎監督自身が「歌詞をわざと曲解した」「悪意に満ちた映画」と語っているので、あながち深読みし過ぎって言えないんだよね…。きっと監督自身がそういう精神状態の時期だたんだろう。 //マイケル・ジャクソンの『アース・ソング』(7分20秒/和訳付)が素晴らしい。「世の中を変えよう」というメッセージ性に富んだ曲ってことは知ってたんだけど、日本語の歌詞字幕が付いてる動画を見つけられず、これまで正確な意味を知らずに聴いていた。この動画のおかげでマイケルの思いがより伝わってきた。撮影は乱開発されるアマゾンの熱帯雨林、内戦後の旧ユーゴ、タンザニアの密猟地、ニューヨーク州の山火事現場で実際に行われたとのこと。サビの「無関心はやめてくれ、もっと関心を持ってくれ」「森の小道はどうなるんだ。嘆願にもかかわらず森を燃やしてしまった/聖なる地はどうなるんだ。対立する主義によって引き裂かれてしまった/無実の市民はどうなるんだ。彼を自由に出来ないのか」「どこで間違ってしまったんだ!」は、マイケルの魂の叫びに聞こえる。ほんと、惜しい人を亡くした。 //石川さゆりさんが歌う『ウイスキーがお好きでしょ』(3分)。この動画がスゴイのは、バックバンドにいるピアノ担当者の即興演奏(“古田りんず”さんという名前らしい)。生放送中にいきなりこの曲を歌うことになった石川さんに頼まれ、その場でぶっつけ本番の伴奏をするんだけど、これが“伴奏”という言葉で片付けられない、情緒豊かで聞き惚れてしまう名演奏!プロ演奏家の底力を垣間見て鳥肌が立った。 //Eテレで朝6時35分からやっている『フックブックロー』(公式WEB)のOP歌詞が実に良いので以下に紹介。 ♪はしっても あるいても/ちきゅうのスピードは おなじです あせっても のんびりでも/ちゃんとあしたは くるんです いそぐときほど くちぶえふこう/かなしいときほど にっこりえがお フック ブック ロー/しあわせはいつも うしろから フック ブック ロー/おいついてくるよ だからここらで そよかぜを あおぞらを/ちょっとしんこきゅう ※NHKの歌サイトに歌詞があり、曲も途中まで試聴可能。 //掲示板を中心に様々なアート情報を教えて頂き、まっこと有難うございました! |
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7月4日…上映中の『X-MENファースト・ジェネレーション』レビュー。大傑作!97点!SFアクションというジャンルを超えた、非常に優れた人間ドラマ!よもや“X-MEN”でこれほど落涙するとは。遺伝子の突然変異によって超人的なパワーが覚醒した人間たち(ミュータント)の苦悩を描いた「X-MEN」シリーズ。副題に“ファースト・ジェネレーション”とあるように、これまで制作された作品の過去話、「エピソード1」にあたる。他作品を未見でも物語が分かるという意味でもオススメ!以下、重要ネタバレを避けて魅力を解説。 /まず冒頭シーンがアウシュヴィッツ強制収容所から始まることに仰天した。なんというシリアスな幕開け。ユダヤ人のエリック少年(後のマグニートー)はそこで壮絶な体験をし、特殊能力を開花させる。戦後、成長した彼はナチスの収容所関係者への復讐を開始。各地で暮らすミュータントは、差別されることを恐れて“能力”を隠し、ひっそり生きている。エリックもまた“人と違う”能力ゆえに孤独を抱えていたが、「エリック、君だけじゃない」と心を開き接してくれたのが、最強テレパシストのチャールズ(後のプロフェッサーX)だった。2人は互いに尊敬しあい、深い友情で結ばれていく。 /当作品の時代設定は米ソの冷戦が激しさを増した1960年代。脚本が上手いと思ったのは、世界征服を企む邪悪なミュータントの“ショウ”を登場させ、キューバ危機の黒幕になっていく展開。フィクションと史実を巧みに織り交ぜ、ドラマに緊張感を持たせている。ショウは世界征服の邪魔となる米ソの2大国を核戦争で自滅させようと画策し、チャールズとエリックはそれを阻止するために、各地からミュータントをスカウトして「X-MEN」を結成する(このスカウト・シーンにファンサービスあり!)。 /当作品がただのバトル映画じゃないのは、正面から“差別”という人間の負の感情を描いていること。ミュータントと人間の共存を願うチャールズに対し、ユダヤとして迫害を受けた過去を持つエリックは、ミュータントは社会の新しいマイノリティーであり、人間は早晩ミュータントをバケモノ扱いし、差別し、“同胞たちは殺害される”と危機意識を持つ。事実、人間には未知なるもの、自分が理解できない現象を恐れる傾向がある。クライマックスで空をあるモノが覆い尽くすんだけど、その光景の絶望感たるやもう…。 /僕は基本的に「憎しみの連鎖を断ち切ろうとする」チャールズを応援しているけど、エリックの「このままでは多数派(ミュータント以外の人間)に絶滅させられる」という悲壮感、焦燥感はヒシヒシと伝わるし、時と場合によってはエリック派に立つかも知れない。この年齢になっても立ち位置がゆらぐことを認めざるを得ない、そういった心境に立たせる名脚本の力作だ。本作でチャールズとエリックの友情が丁寧に描かれたことで、以前に公開された「X-MEN」3部作の評価まで高くなった。この映画を観てから3部作を観ると、宿敵にも肩入れしたくなるんじゃないかな。 /他人と違うことを恥じ、“みんなと同じになりたい”と苦悩するキャラが、心の成長と共に“この違いは誇りだ”と、相違点を受け入れるようになる、そういう物語を見られるのは嬉しい。違いを肯定してくれる物語に感謝。是非続編を観たい! //先日、知人がマンガ『ダイの大冒険』を全巻ドカッと貸してくれた。いろんな読者の方から熱烈に薦められてきた本作品。読むのが楽しみ。あと、シリーズ全体が高く評価されている『メタルギアソリッド』(PSゲーム/1作目)を購入したので、仕事の合間をぬって少しずつプレイしていきたい。反核メッセージが込められているとのこと。 |
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7月3日…「九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からん」「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない」「本当は、仮設はあなた方の仕事だ」「(漁港の集約は)県でコンセンサスをとれよ。そうしないと、我々は何もしないぞ」。松本龍復興担当相が被災地の岩手、宮城両県を就任後初めて訪問して知事に言った言葉がこれ。さらに酷いのは、会談の時間通りに現れた宮城の村井知事に対し、松本大臣の方が先に来たことを指し「客を待たせるな」と叱責。その上で「これ(叱責)はオフレコ。書いた社(メディア)は終わりだから」とマスコミを脅迫(ニュース動画、1分半)。そりゃあ辞任騒動に発展するだろう。ここまで来ると“言葉のあや”とかそういうレベルじゃない。会談後、村井知事が「国と地方自治体は主従関係にはございません。対等の関係にございますので、命令口調はあまりよろしくないと思います」と不快感を述べたのはもっともだ。そもそも、松本大臣は最初に復興の遅れを両県知事に陳謝するべきだし、国がリーダーシップをとって知恵を出すべきなのに、一体何を勘違いしてるのか。松本大臣の真意が“ハッパをかける”ことにあったとしても、被災者に鞭打つような上から目線の言い方で良いワケがない。松本氏の人格を見抜けなかった菅首相には任命責任がある。民主党の国会議員は衆参合わせて407名もいる。人材不足というより、下の者が能力を引き出せないシステムに問題があるのだろう。どうすりゃいいんだろね…うーむ。 //サッカーのU-17選手権、日本代表は強豪アルゼンチンを破り、ニュージーランドに6-0で圧勝し、準々決勝で王者ブラジルを相手に3-2で惜敗した。素晴らしい戦績であり、彼らが成人になったとき日本代表がどこまで強くなっているのか楽しみだ。 //公開中のスピルバーグ制作『SUPER8』レビュー。悪い作品じゃあない。でも、宣伝で「2011年の最高傑作」なんて煽るから、こちらは人生観を変えるほどの感動を期待してしまうし、「E.T.&スタンド・バイ・ミー」といううたい文句も、実際は「クローバーフィールド&ゾンビ(笑)」なので、見事に肩透かしを食らった感じ。以下、予告編で明かされる程度のネタバレ込みでレビュー(観に行く予定がある人は読まない方が良い)。/本作品で致命的なのは、ストーリーにエイリアンが関わる必然性が全くないこと。子ども達の“ゾンビ映画作り”の話はそれだけで充分に面白かったので、普通に「スタンド・バイ・ミー」として描いた方が感動したと思う。最大の問題点は、E.T.と違ってエイリアンに感情移入が出来なかったことにある。それがなければ感動できない。人間を襲っちゃダメ。少年少女が主人公なんだから、一人も死者を出さずに作って欲しかった。あまりに犠牲者を出しすぎだ。さらにいうなら、エイリアンの造形にE.T.のようなキモ可愛さがなく、ただの極悪顔モンスターというのも親近感を持てなくしている(マジでクローバーフィールドの使い回しかと。ケムール人とキュラソ星人、ゴジラとジラースのようなデジャブ感)。物語全体としても、“事件”の全容がわかるまで引っ張る割には、何のひねりもないありきたりな話に…。/ただ、前述したように子ども達のパートは良かったし、エル・ファニング嬢の演技が神がかっていたので、75点は献上したい。エンドロールで流れるミニ・ムービーが一番面白かった。※ちなみに『SUPER 8』のタイトルはコダックの8mmカメラ用のフィルム規格からきている。一昨年、アメリカをグルッと回った時に「SUPER8」という同名の安モーテル(全国チェーン)に泊まりまくったので、あのモーテルが関係するのかと思った(笑)。 |
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7月2日…多くの映画監督や俳優から深く尊敬され、映画界で“生き神”さまのような存在になっているテレンス・マリック監督。同監督の最新作で今年のカンヌ映画祭においてパルムドール(最高賞)に輝いた『ツリー・オブ・ライフ』の予告編(2分11秒)を見て、激しく胸を揺さぶられた。BGMはスメタナ作曲『モルダウ』。なんという詩心あふれる映像美。そして、その美しさに伴う緊張感と、言葉にならない胸の痛み。この尋常ならざる空気は何事!?2分の予告編で映画を1本見たくらい体力を使った。予告編で分かったのは、ブラッド・ピットとショーン・ペンというビッグ・スターが共演すること、父子の確執を描いた作品であること。海外の映画評では絶賛の声と“難解、抽象的すぎる”という否定的な声に分かれている。マリック監督の作品がハリウッド的な単純明快さを重視していないことは『シン・レッド・ライン』で分かっているし、既に覚悟は出来ている。日本公開は8月12日。あと約1ヶ月半。万難を排して劇場へ足を運びたい! //今日、群馬県のJR高崎駅に人気の蒸気機関車(SL)3両が集結し、2手に分かれて“併走”した。信越線をミスターSL“デゴイチ”ことD51、上越線を“貴婦人”C57&38年ぶりに修復されたC61が重連運転(2両連結)で走行!読売ネットの動画はカメラマンが分岐点から撮影しており、左右に分かれていく絶景が映っている(1分23秒)。遠くの方から並んでゆっくり近づいてくる姿に鼻血が…。可能な限り大音量で鑑賞することをお勧め! ナマで見たかったぜよ!(画像/読売) //「世界で捕獲された巨大生物」というサイトで見たヘラジカのでかさに驚愕。まさに“もののけ”! |
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7月1日…(昨日のつづき/映画『Vフォー・ヴェンデッタ』LOVE) /マクティーグ監督はインタビューで“Vはテロリストか”と聞かれ「アメリカ建国の父・ワシントンも英政府から見ればテロリスト、南ア政府からすればアパルトヘイトに抵抗するネルソン・マンデラもそう。テロ犯か自由の戦士かは、歴史だけが答えを出せる」。そしてまた「国民自身がしっかりと政府を監視しないと、どんな世が到来するのか見て欲しい」とも。支配者側か、抑圧される側か、どちらの立場からこの映画を見るかで評価も変わる。原作コミックは1982年から数年間連載され、サッチャー保守政権への反発が込められている。原作でロンドンが第3次世界大戦の戦火を免れたのは、「労働党が政権を執ってイギリスから米軍のミサイルをすべて撤去させ、その結果この国は核の標的にならなかった」という裏設定があるからだ。 製作・脚本を手がけたのは『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟。当時のブッシュ政権への反発が随所に垣間見える。ブッシュの支持母体であるキリスト教右派は同性愛を毛嫌いし、同性婚に猛反対。ウォシャウスキーの兄は女装を好んでおり、ゴードンがゲイというオリジナル設定は抗議の声だろう。また、コーランの美しさを讃えるシーンも映画オリジナルで、イスラムを敵視するネオコンへの確信犯的なメッセージだ。繰り返される盗聴の描写も、テロの“恐怖”を道具に使い、普段であれば可決される訳がない愛国者法を成立させて、市民のメールを覗き盗聴しているブッシュ政権へのレジスタンスに思える。 /製作者の1人、ジョエル・シルバーいわく「これは政治色の濃い映画だと思う。しかしその意味や個人の考えにどう影響するかは、観客の“理解”次第なんだ」。社会への問題意識を持っている者には政治的な作品になるが、現状に満足している者には娯楽アクションにすぎない。映画の制作は2005年。米英が対テロ戦争の真っ只中の時期に、よくこんな議事堂爆砕を試みる映画が公開されたもの(ツインタワーを思わせるため、葛藤があったはず)。制作費が集まっただけでも驚きだ。むろん、本作は安易なテロ推奨映画ではない。“V”は暴力に訴える自分が新時代にふさわしくない事を自覚していた。 巨悪である権力幹部だけじゃなく、下っ端まで殺すのは正義のヒーローとは呼べず、やはりダークヒーローだ。崇高な理念は暴力で汚される。だがしかし、彼はたとえ銃で撃たれても前へ進む。「俺を殺せると思ったのか?この仮面の下には血も肉もない。理念だけさ。理念に銃は効かないぜ」と。その強い精神力が心を掴む。/“V”は文学や音楽をこよなく愛し、ユーモアを大切にする教養人。流れるような台詞回しに聞き惚れてしまう。“V”は『巌窟王』を観ながら1人でチャンバラごっこをする少年のような一面があり、また鼻歌を歌いながらエプロン姿でパンを焼いている可愛らしさもある。そんな多面的な顔を持つ“V”を演じたのは、『マトリックス』のエージェント・スミス役で怪演を見せたヒューゴ・ウィービング。終始マスクをつけていながら豊かな感情が伝わり、声や体の動きだけで仮面の下の表情が想像出来た。“V”の理解者イヴィー役のナタリー・ポートマンもスキンヘッドになって体当たりの熱演。 /僕は独裁や弾圧を徹底批判する本作品のDVDが政府によって発禁となるかどうかが、国家の健全性を見極めるリトマス試験紙だと思ってる。この映画が店頭に並んでいるうちは、その国は大丈夫。まだ民主主義は死んでない。 原作の最後のイヴィーのセリフが良いので紹介。ネタバレになるので“文字反転”で。→「今や、人々を幽閉する牢獄だった社会は廃墟と化した。ドアは開いている。そこから出て行く事も、その場でいがみ合い、新たな看守を待つ事も自由だ。全て彼ら次第だ。そうあるべきなのだ。彼らを率いたりはしない。築き、創造する手助けはするが、人殺しの手伝いはしない。殺人者の時代は終わった。より良き新世界に殺人者の居場所はない」。映画のラストのイヴィーのセリフ、こちらも良い。粉々に崩壊していく議事堂から花火が打ち上がり、Vの字に輝く花火を見つめてイヴィーは思う、「“V”とは私たち皆なのだ、変化を求める者の誰もが“V”なのだ」と。どうか、自由で明るい未来を僕らが築けますように。 ※劇中で印象的に使用されている曲は、チャイコフスキーの大序曲『1812年』のクライマックス! ※『Vフォー・ヴェンデッタ』(Ama)←送料込み991円!3千円で買ったのになぁ。日本語吹き替えが素晴らしいので(字幕より丁寧で分かりやすい)、吹き替えモードもお薦め。 ※ちなみに「タフ・ガイ」という言葉はガイ・フォークスから来ている! |
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