5月31日…画家ムンクの代表作『叫び』が盗難後の修復作業を終え再公開。この絵は“叫び”というタイトルから、絵の中の人物が叫んでいると思っている人が多いけれど、ムンクはこの絵を描いた動機をこう記している--「(ある日オスロで)2人の友人と道を歩いていた。太陽が沈み空が血のように赤くなった。友人達は歩み去って行くが、私は恐怖におののいてその場に立ちすくんだ。そして聞いたのだ、大きな果てしない叫びが自然を貫いていくのを」。つまり、画中の人物が叫んでいるのではなく、外から聞こえてくる叫びに脅え、両耳をふさぐ姿を描いているんだ。叫んでいたのは“世界”!(ある意味そっちの方が怖いっすね)。//船場吉兆が食べ残し料理を使い回して廃業。衛生上の問題もあり、もってのほかだと思う一方、全世界の食料援助の量は年間850万トンなのに、日本国内で廃棄される食料は年間2154万トンという現状がある(ちなみに廃棄コンビニ弁当は540万トン)。日本一国だけで、世界の援助物資(食糧)の約2.5倍も捨てていることになる。金額にして約10兆円。何かこう、食べられる量だけ注文できるシステムを作れたらいいんだけどな。※その際は、小と中が同じ料金でも良いと消費者も考えないとね。//街を歩いていると、時々「自然派食品の店」とうたった期間限定の店舗があり、年配の人を集めて格安食品(3斤100円のパン等)を売っているのを見かける。こうした店は最終的に高額な健康食品や布団を買わせることで以前から問題になっていたが、なかなかこの“餌付け商法”は後を断たない。先日、アール・エフ、ホワイティ、ヘルシーライフ、メビウス、ダイユー、ピュア、ビックジョイの7社が業務停止命令をくらったので、この手の店にはご注意を。//イスラエルでベストセラーになっている『ユダヤ人はいつ、どうやって発明されたか』。驚いたことに、“古代ユダヤ人の子孫は実はパレスチナ人であり、今のユダヤ人の祖先は他の土地のユダヤ教徒”だという。著者はユダヤ人のシュロモ・サンド教授(テルアビブ大)。今のユダヤ人の共通点はユダヤ教だけであり、パレスチナ人を追い出し、旧約聖書を理由に同地でイスラエルを建国したことも“宗教的に根拠がない”としている。イスラエルの初代首相ベングリオンも建国前にパレスチナ人をユダヤ人の子孫と指摘していたが、ユダヤ人の入植で対立が深まる中で、パレスチナ人を子孫とは言わなくなったとのこと。教授は「パレスチナ人を含むすべての市民に平等な権利を与える民主国家を目指すべきだ」と主張し、「これは新説ではなく、建国指導者らが知りながら黙ってきたことをハッキリさせたにすぎない」としている。ユダヤ人の側からこうした意見が出てきたことは特筆に値する。※「通説」ではユダヤ人が2世紀までにローマ帝国に征服され追放されたことになっているが、教授はこれに対して「追放を記録した信頼できる文献はなく、19世紀にユダヤ人の歴史家が作った神話であり、パレスチナ人から土地を奪うことを正当化する為に“2千年の離散の苦しみ”という理由が必要だった」と見解を示している。 | ||||||||
5月30日…ミュージック・ビデオには工夫を凝らしたものが多い。このMacを使った動画(2分46秒)は、歌詞の表示にパソコンのモニターを上手く利用した、ありそうでなかった映像。見入ってしまった。//アカデミー監督賞を85年に受賞し、3度もノミネートされたハリウッドの巨匠シドニー・ポラック監督逝く。享年73歳。コメディの「トッツィー」から社会派作品まで、幅広いジャンルに良作を残した。遺作となったのはニコール・キッドマン&ショーン・ペンが主演した05年の『ザ・インタープリター』。国連を舞台にした暗殺計画を描いた傑作サスペンスだ(是非レンタルして欲しい!)。この映画では、憎しみの連鎖を断ち切るために、どうすれば敵に「復讐したい気持ち」を克服する事が出来るのか悩む人々が描き出される。監督は言う「テーマは言葉VS銃。これは砲弾の代わりに言葉を使う物語なのだ」と。劇中に出てくるアフリカ某国の独裁者は、反政府の抗議運動を全てテロと認定し、政治犯の虐殺を「自由と安全を守る戦いであり“対テロ戦争”だ」と正当化している。これは米国やイスラエルの行動にも当てはまり、当時70歳の老監督が人生の最後に「銃よりも即効性はないが対話こそが平和への道」と本作を残した。映画史上初めて国連本部ビルでのロケが許可されたのは、監督が当時のアナン事務総長に製作意図を直接語ったからだ。「圧制者の銃声が鳴り響く中でも聞こえる音がある。人間の囁き声はどんな音とも違う。それは他の音に打ち勝つ力を持っていた。叫び声ではなく、たとえかすかな声でも、真実を語る時は銃声に勝るのだ」※『ザ・インタープリター』(Ama)。//今年のカンヌ映画祭が閉幕し、大好きな俳優ベニチオ・デル・トロが主演男優賞に輝いて嬉しい!しかも役柄がチェ・ゲバラ!早く日本の公開日が決まらないかな。 //“ヨン様を関空開港以来最多3千人の出迎え”のニュース。冬のソナタでペ・ヨンジュンがブレイクしたのは4年前。いまだにこれだけの人数を集めるのはスゴイっすね。 |
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5月29日…うおッ、半月前(5/12)にサイト9周年を迎えていたのをすっかり忘れていた。サイトを作った動機は芸術家・作家に感謝したかったからだけど、ぶっちゃけ、他にもうひとつ切実な理由があった。9年前、当時の仕事に疲れ果て、友人も少なく、孤独感の中で自分が生きていることを誰かに伝えたくて開設したのが当サイトだった。このトップ日記を毎日更新するのは、無人島や荒野で“のろし”をあげるのと同じで、世界に対して“ここで生きているぞ”というサインだった。1日の最後に更新し、アップした文章を読み返す時は、空に立ちのぼる煙(日記)を見上げながら、“今日も何とか生き延びた”と思っていた。この“のろし”には、映画のこと、音楽のこと、社会のこと、いろんなことを書いていた。当初のサイト訪問者は、当然ながら1日数人だけ。やがて、“のろし”に気づいた人の中で、時々足を運んで下さる方が出てきて、それが更新の新たな原動力になっていった。来年で開設10年。少しでも良質なサイトを目指して精進します。//9年前にサイトを立ち上げた時、最初に掲示板の常連さんになって下さったのがHALさん。そして僕が初めてリンクを貼った個人サイトもHALさんのサイトだった。HALさんは僕より一つ年上の男性で、駆け出しの画家として頑張っていた。その頃、HALさんのサイトにはまだ数点しか載っていなかったけれど、どれも琥珀(こはく)色に輝いていて、古い絵本のようにノスタルジーで溢れていた。僕はHALさん本人と会ってみたくなり、8年前に初めてのオフ会をした。参加者は僕とHALさんだけ(笑)。当時はオフ会がまだ一般的ではなく、初対面ゆえ最初こそ緊張していたけれど、すぐに打ち解け心地良い時間となった。以降、HALさんは山梨県に転居されたこともあり、ずっと会えてなかったけど、先日個展の案内状が届いて僕は大興奮。なんと東京・渋谷のド真ン中、西武百貨店で個展を開くと言うのだ。日本に画家はたくさんいるけれど、そんな場所で個展を催す機会に恵まれる人は限られている。そして会期の初日である昨日、僕は足を運んだ。シブヤ西武B館8階美術画廊『笹本正明展』。HALさん(以後、笹本さん)は会場におられた。ガッチリと握手。それから1時間半、1点1点の作品を全身全霊で味わった。笹本さんは日本画の画材(岩絵具)を使っているので日本画家になるけれど、和紙ではなくキャンバスに描いておられ、絵具もゴッホの如く盛り上げており、日本画を超えて「笹本ワールド」というジャンルを創り上げられていた。この『笹本正明展』は入場無料。6月8日まで開催されているので、皆さんもよろしければ足をお運び下さい。期間中の土日は13-17時まで笹本さんが画廊に来場される予定です。8年ぶりの再会がこのような形で迎えられて本当に良かった!(*^o^*)※HALさんとの初めてのオフ会の思い出。 ※HALさんのサイト『Very Very Glad Day』。
★作品画像の拡大コーナー!(5点) //昨日の花粉症の話題について、読者の方から「今の季節の花粉症はカモガヤ(オーチャードグラス)が犯人」と教えて頂きました。スギのような高い樹を想像していたので、ウィキで画像を見て、1mしかない植物と知って驚いた。ナリは小さいのにやってくれるわ。 |
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5月28日…東京から帰ってきました!今回の4日間の上京は、仕事の取材、演劇イベントの審査員、墓巡礼、画家の友人の個展と大忙し。墓巡礼は連日朝6時から日没まで、重いリュックを背負っての強行軍。5月と思えない炎天下を歩き通し、3日目にマメが右足に3個、左足に1個でき、最終日にはそのマメも潰れて真っ直ぐ歩くことが出来なくなった。巡礼4度目の漱石、約10年ぶりの藤子・F・不二雄先生や石ノ森章太郎先生など、約30名の墓参をしてきたので、また墓コーナーを追記しますね〜!※帰宅して体脂肪を測定したら12%まで絞られ、肉体年齢は「19歳」と表示!4日間歩き続けて、新陳代謝があり得ないほど活発に(笑)。/東京で銭湯に行ったら大人430円で高さにビックリ。//友達がラジオで聞いた話が面白かった。ある番組で「名前が強そうな食べ物ベスト3」をやっていたらしく、結果は第3位が“トムヤンクン”(ムエタイ強そう)、第2位が“ビーフ・ストロガノフ”(ガノフがヤバイ)、そして栄えある第1位は“ゴルゴンゾーラ”!チーズとは思えない強そうな名前。ゴルゴンだけでも危険なのにゾーラという響きがまたデンジャラス!話を聞いてるだけで噴き出しました(爆)。※和食なら何だろう。“鉄火丼”とか?//今週は花粉飛びまくりでクシャミ止まらず。なんでこんな時期に?//当サイトで何度か紹介している大好きなミュージカル『コモンビート』。今年の秋に予定されている関西公演の出演者を現在募集中とのこと!是非皆さんもステージに上がってみませんか。ミュージカルの経験がなくても、イチから指導されるので全く心配ないです(3年前に出演しました!)。興味のある方は5月31日に大阪市住吉区で体験説明会(無料)が催されるので、動きやすい服装でご参加下さい♪//出荷停止中のジョジョ第3部&リミックス最終巻ですが、集英社の最新告知によると、早々にも修正発売されるような雰囲気!確実に良い方向へ進んでいますね!//今日メモった良い言葉--「美術品や文化財というものは、ただの物体ではなくて、千年前や五百年前の人々の精神が形となってそこにあるもの。人々はそれに触れることによって、現代に生きながら過去の人々の精神と交流が出来る。それが、岡倉天心が考える文化財の本質です」(小泉晋弥・茨城大教授、近代美術史)
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5月24日…明日から4日ほど仕事で東日本に行くので、その間はサイトの更新が出来ません。次回更新は28日の深夜になります。おすすめ番組情報を4日分アップしておきますね!//サイクロンで240万人もの被災者を出したミャンマーで、軍事政権によって強行された新憲法案の国民投票。被災者支援の遅れが軍政批判に向く前に、急いでこの投票は実施された。88年に政権を奪った軍部は、憲法を廃止し議会を解散させたので、各国から非難を受けていた。だから国民に承認された憲法を持つことで、民主化が進んでいるとアピールする狙いがあった。だが、この新憲法は、軍政が自分達の権力を守るトンデモ憲法。「国会議員の25%を国軍司令官が指名」と決める一方、「議会で75%が賛成しないと憲法改正不可」とし、事実上、軍部に都合の悪い法律を作れない様にしている。他にも「大統領は軍事に通じた者がなる」「大臣も軍が指名」の他、議員資格に「外国人と距離をおいた者」とあり、英国人と結婚した民主化運動指導者スー・チー女史から立候補資格を奪った。何より酷いのは、国民投票時に「反対票を投じても罰せられない」としていたのに、投票の際に登録させた名前と住所をたどり、反対票を入れた人間を片っ端から逮捕していること。賛成票を入れないと逮捕される国民投票なんて聞いたことがない。軍政にとってこの国民投票は、新憲法で永久に権力が手に入ると同時に、反体制思想を持つ者をあぶり出せる絶好の機会となったわけ。一体どこまで軍政は恥知らずなのか。過酷な自然災害と私利私欲に走る政府の下で、ミャンマー国民の受難は続く。//大相撲夏場所。初優勝したブルガリア人の琴欧洲は、ヨーロッパ出身の力士としても初めての快挙。ウルウルした表情で答えていたインタビュー「言葉にならないほど嬉しい。やっとつかみました」にジーン。//@JOJOさんが更新した「追記2」(リンク先の後半)によると、アラビア語に堪能なジョジョファンが今回の騒動を分析した結果、イスラムでこの宗教問題を煽っているのは、ごく一部の人間とのこと。事実なら、かなりの確率で事態改善の希望が見えてきた! | ||||||||
5月23日…報道によると昨日のジョジョの件で、政府・外務報道官の談話が出た模様(外務省HP)。「日本政府は、不注意とはいえ、同アニメの一部内容により、イスラム教徒の感情が傷つけられたことは遺憾と考える」との内容だ。そして今後の方針として「異なる宗教や文化への理解と敬意を育み」、再発防止に努めるとしている。今日、新たに集英社とアニメ会社はアラビア語の謝罪文を発表したし(丁寧な対応!)、政府が迅速に動いて遺憾表明をしたことで、これで幕引きになることを心から祈りたい。ただ、不安なのは、政府が出てきたことでさらに騒動が大きくなる恐れもあること。しばらくは予断を許さない状況だ。/昨日からの報道を見ていて、本当に政府やマスコミにお願いしたいんだけど、原作にはコーランが登場しないことに、必ず触れて欲しい!今回の外務報道官の談話もそこが抜けている。あくまでもアニメ版のオリジナル・カットなのに、この談話だけを読むと、荒木先生がミスをしたと短絡的に誤解する人を生みかねない。むしろ被害者なのに…。21年もジョジョを連載して、通巻95冊まで刊行して、ずっと人間賛歌を描き続けてきたのに、こんな仕打ちを受けるなんて酷すぎる。もっと慎重に、ガッチリと先生を守って欲しい。ほんと頼みます。/今春に刊行されたジョジョ第6部の文庫本1巻に、先生がこんな後書きを書かれていた。今回の騒動にも当てはまることなので一部を紹介したい。--『「普段は別にどうでもいいと思っているのに、何か急にある時期がやってくると、同じ物事に対して「やっぱりおかしい!」と妙に怒りがわいてくる。「怒(ど)の季節」というのが自分の中にあるんだけど、「怒の季節」に対して「攻撃される季節」というのもある。(車の通行がない時間帯でも信号を守ってる話を軽くしたら)「今時そんなヤツいないだろッ!」とか「ムカつく、いい子ブってんじゃあないの!?」だの「目撃されて2chで書かれるからだろ偽善者!」とまで非難の集中砲火をあび始めた。やばい。「攻撃される季節」がやって来た。間違った事をしたり言ったりで攻撃されるのはしょうがないってのがあるが、何もしてないのに。ていうか信号さえ渡ってもいない。これが「攻撃される季節」。なぜか訳が分からず攻撃されてしまうのだ。こういう時期が訪れた時は、反撃なんかしようものなら、ますます攻撃されて痛めつけられてしまうので、ひたすら季節が終わるのを、花粉症の人が花粉が飛ばなくなるのを耐えしのぶように待つしか方法はない。この季節は「反撃する事は最大の防御には“ならない”のだ」』。--僕は胸を締め付けられた。 | ||||||||
5月22日…今日報道された「ジョジョの悪役がコーランを読み中東で非難を受ける」のニュース(産経、日刊スポ)。情報が錯綜しているので、取急ぎの感想を書きます。→荒木先生は原作にコーランなんて書いておらず、問題のシーンはアニメ会社が勝手に入れたカットなのに、とばっちりもいいところ。僕が心配なのは、イスラム教徒の間で「荒木先生が書いた」と、間違った情報が一人歩きしてしまうこと。“原作にあるかないか”まで、感情的になっている人に考えてもらうにはどうすればいいか。ファンが無闇に騒ぎ立てると騒動が長引いて逆効果になるけど、コーラン絡みのトラブルは対応を間違えると大変なことになるので、黙って嵐が収まるのを待つのは危険。僕が思う今すべきことは2つ。(1)即刻、集英社の幹部が通訳を連れて記事にある最高権威機関アズハルのアトラシュ師のもとへ飛び、誠心誠意を込めて悪意がないことを説明。そこまでする理由は、一度ネットにあがったものは何度でも出回るので、アズハルを味方につけないと延々と叩かれるからだ。文化的理解が足りなかったことを心を込めて詫び、既に出荷を止めて改善の手を打ったことを伝え、アズハルから自制を呼びかけてもらう。サイトに謝罪声明を書くだけではだめだ。(2)その謝罪声明も日本語・英語だけじゃ意味なし。ここでアラビア語も用意することが誠実なメッセージになる。大袈裟じゃない。かつて翻訳家にジハードが発動した筑波大の事件もあり、コーランに関してはいくら慎重になってもなりすぎることはない。イスラム教徒は911以降、自分達が悪く書かれることに神経過敏になっているので、“他意のないミス”と分かってもらえるよう、やれることは全てやるべき。集英社には全力で先生を守って欲しい。後手に回るとさらにイスラム社会へネットで広がり、負の感情が増大してしまう。/NHKのニュースで“ジョジョ第3部(12〜28巻)&DVD6巻出荷停止”とのこと。DVDはわかるけど、なぜ20年前の単行本が?モスクの描写が原因?27巻で花京院のハイエロファントがDIOを攻撃しようとして、モスクの塔にE・スプラッシュが命中&破壊している。でも花京院はモスクを狙った訳じゃなく、あくまで流れ弾なのに…。そこがNGなら27巻だけ出荷停止にすべきと思う。3部丸ごとには賛成できない(それこそ過剰反応)。っていうか、第12巻は9割が第2部のクライマックスだし、カーズとの決着があるので出荷しようよ。なんという巻き込まれ方。まさに「やれやれだぜ」といった状況。※集英社&アニメ会社合同の謝罪文が出ましたね。※荒木先生はイスラムに悪意を持ってないばかりか、6部なんて敵のボスが「神父」だし、7部ではイエスのミイラをバラバラにしてるんだけどね(汗)。3部でもエジプト人ムスリムのアヴドゥルは主人公を助けてくれる味方だ。DIOはコーランを読んだから悪党になったのではなく、100年前のロンドン時代からずっと邪悪だった(同時に、正義の味方ジョルノの父でもある)。/今回は改めてインターネットの怖さを感じた。前後の文脈が無視されて、センセーショナルな部分だけが流れてしまう。ジョジョのアニメは中東で発売されたものではなく、海賊版の違法コピー。まさか販売していない国に、ネットから広がるとは、ほんの10年前まで考えられないことだった。//スターウォーズの最新作になる3DのCGアニメ映画の公開日が8月23日に決定。//大ヒットした邦画『黄泉がえり』がスピルバーグ率いるドリームワークスの手でリメイク決定。記事を読むと、とてつもなく豪華キャストになるみたい。 | ||||||||
5月21日…公開中のサスペンス映画『ミスト』を観て、腰を抜かした。傑作『ショーシャンクの空に』を生んだスティーブン・キングとダラボン監督のタッグなので、感動を求めて劇場へ足を運んだ。ところが内容は、どんなオカルト映画よりも怖い、空前絶後の恐怖を味わうものだった!いろんな意味で一生忘れられない映画。めまいがする。帰宅してもまだ足が微妙に震えてる気が。観に行く人は、何の予備知識もなく行くことをお薦め。本気で恐ろしい。DVDではなく劇場の大スクリーンで観ることが重要。日常から切り離された劇場の暗闇の中で味わうと、あの異常な空間に丸ごと放り込まれる。テレビ鑑賞では家の生活音が聞こえたり携帯が鳴ったりで、現実に引き戻されてしまう。後日、気持が落ち着いてから改めて本気レビューを書ます!(絶対に行くと決めている人は公式サイトを見ない方が良い。ネタバレ気味の予告編が自動的に始まるので。だけど、まだ行くか迷ってる人は、この予告編の尋常じゃない空気に触れて、観たいと思うハズ。鑑賞後、誰かと語り合いたくなる映画ッス)//紛争研究の専門家や英経済誌エコノミストが世界140カ国をランク付けした「世界平和度指数」を発表。比較基準として、戦争や内乱、暴力や組織犯罪、テロの可能性、軍事支出など24項目を分析し数値化した。その結果、世界で最も平和な国はアイスランドで、(2)デンマーク(3)ノルウェー(4)ニュージーランドと続き、日本は5位だった。国内では凶悪事件がよく報道されているけれど、防衛費のGDP比や犯罪率が他国より低いので、140カ国あってもG8で最高の5位になるそうだ(信じ難いけど昨年の殺人事件の数は戦後最低)。他の国はどうなってるんだろうね…。1位のアイスランドの人口は30万と少なく、デンマークは540万、ノルウェーは450万、NZは400万。これを考えると1億3千万人が住んでて5位というのは驚異的かも。以下は(6)アイルランド(7)ポルトガル(8)フィンランド(9)ルクセンブルク(10)オーストリー(14)ドイツ(32)韓国(36)フランス(49)英国(67)中国(97)米国(107)。逆にワースト10は(1)イラク(2)ソマリア(3)スーダン(4)アフガニスタン(5)イスラエル(6)チャド(7)中央アフリカ(8)北朝鮮(9)レバノン(10)ロシア。G8の大半が上位なのに米露だけが極端に低かった。研究者によると、この指標は「世界の指導者たちに対する警鐘」であると同時に、日独の戦後復興と安定が、「いまドン底の順位の国にとって将来の光」になっているという。平和促進の鍵は安定した収入と教育につきると結論づけている。※08年度版リスト※トップ5の国はニュージーランド以外、偶然にも全部捕鯨国っすね。ちなみに、平均寿命の第1位は女性の場合日本だけど、男性はアイスランドがこれまた世界一。//ずっと優勝と縁がなかった琴欧州だけど、今場所は絶好調。朝青龍を破って唯一の全勝(11勝)。明日は1敗の白鵬との直接対決。あと4勝で初優勝なので応援してマス! | ||||||||
5月20日…日本の月探査機『かぐや』が、37年前に月面に着陸したアポロ15号の着地跡を撮影に成功!15号は有人飛行(ウィキ)であり、これで“行った”“行かない”の論争に決着がつくんじゃないかな。//マクドナルドは元店長との裁判に敗訴したことを受け、これまで残業代を払わなかった“名ばかり管理職”に、8月から残業代を支払うことを決定。元店長の戦いは無駄ではなかった。既にセブンイレブンも同様の方針を打ち出しており、この流れは一気に加速されるかも。心身共にボロボロになっている全国の“名ばかり管理職”が、一刻も早く救済されますように。※追記。マクドは代わりに店長手当を廃止するので、待遇改善は期待できないとのこと…非情なり。//イラク駐留米軍の兵士が、「コーラン」に下品な言葉で落書きし、射撃訓練の的にしていたことが発覚。これはヘタすりゃ世界大戦になるような出来事。さすがにブッシュも翌日に速攻で謝罪した。末端の兵士の仕業ということだが、問題はそのような土壌が軍の中にあること。コーランを撃つというのは、善良な10億のイスラム教徒と、イスラム過激派を同一視するようなもの。イラクに駐留しているのなら、本国のアメリカ人以上にイスラム文化を理解していなくては。事態が風刺漫画事件のような大事にならぬよう祈っている。//米兵と言えば、日本で暴行事件を起こした在日米兵の代わりに、日本政府が300万の見舞金を被害者に払うというニュースに目が点。しかも、今回が特例ではなく、過去3年間に10回もあったという。日米地位協定の日本の立場の弱さにゲンナリ。米政府は法律がどうこうではなく、道義的にも払うべきだろう。せめて在日米軍への年間2千億円の“思いやり予算”から引くべし。//先日、現代音楽の演奏動画を紹介して頂いた中で、ギリシャ系フランス人の作曲家クセナキスの『ルボンb』(4分43秒)が、ヤバイほど打楽器サウンドが心地良く、憑かれた様に何度も聴いている。何とも不思議な魅力のある曲! 5月19日…鉄道ファンには仰天・歓喜のニュース。京浜急行電鉄が創立110周年を記念して、なんと車両の実物2両を出品すると発表。“譲渡”という形になるため、価格は配送代等の実費のみ。ただし、重さは35トン、配送代だけで500万(爆)。マニアの中には、これを自宅に改造する猛者もいるのでは。窓が多いので風通しはいいハズ!//“銀河英雄伝説”ファンの諸君!ゲームスパロボ大戦のパロディ、『スーパー銀河英雄伝説大戦』(6分53秒)をご覧あれ!なんちゅうハイクオリティ!BGMもクラシックのド派手系の名曲のオンパレードっす!これを作るのに、どれほど膨大な時間がかかったのだろう。敬礼!//本日『ウルトラジャンプ』6月号発売!スティール・ボール・ランが、とんでもない超展開に!いったい来月はどんな事態になってしまうんだろう。これから1ヶ月が長い〜!※今号の表紙(Ama)、あれを持って40男がレジに並ぶのは、なかなか勇気がいりました(汗)。【SBRネタバレ文字反転】→ルーシーが大統領に叫んだ「悪魔」。一般的には“悪魔の様な人”の意味だろうけど、この作品はキリストの遺骸集めという奇妙なエピソードを一貫して描いていることから、ことによると“悪魔そのもの”を指しているかも知れない。先生は今後そこまで踏み込んでいくのだろうか?ウェカピポ&マジェントの馬車も官邸に向かってるし、来月は大混戦間違いなしっすね!※大統領の体がメタボ体型から3部DIOのボディに変化していて驚いた。これまで4部の間田や玉美のようにホビット化するキャラはいたけれど、ハイパー化したのは大統領が初めてでは?(笑)/今日は『ビッグコミック・スピリッツ』も出てるんだけど、こちらは松本大洋先生の『竹光侍』が連載再開!待ってました!1月末の休載以来、4ヶ月ぶりの復活。素晴らしい人情時代劇なので超お薦めです。春に出た単行本の最新刊4巻(Ama)のラストが、ちょうど今週号に繋がっているので、読み始めるにはグッドタイミング。竹光侍については松本作品の解説ページのラストで魅力を吠えています!//11月にベルリン・フィルが来日コンサートでブラームスの交響曲第1番を演る(東京、神戸)。ウィーン・フィルと並ぶ世界最高のサウンド。聴きたいのは山々だけど、チケットは4万!グハーッ、さすがに4万は無理(涙)。 |
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5月18日…オーディオ機器メーカーの「アイワ」が事業終了。アイワといえば、僕の世代は青春の象徴じゃないだろうか。ソニーのウォークマンが高かった時代、貧乏な学生は安くて多機能なアイワの「カセットボーイ」を愛用していた。コンポやWラジカセだって、どのメーカーよりも安価なのにドルビーC&オートリバースがついていたり豪華な機能。中学・高校を通してどれほどアイワの機器で音楽を楽しんできたか分からない。音楽という芸術との橋渡しになってくれたアイワに感謝!/NECがアナログ映像を劇的に美しく見せる技術を開発。この資料画像が本当ならスゴイ。早く商品化して欲しい。/米科学誌によると、ガムを噛むと一時的に記憶力がアップされるとのこと。バッターボックスに入る野球選手が噛んでるのも、集中力があがるからかもね。/米国映画界で反権力の旗手となっているマイケル・ムーア監督。『華氏911』ではブッシュ家とサウジ王族(ビン・ラディン家を含む)との密接な関係を暴き、カンヌ映画祭で最高賞を獲得している。なんとムーア監督は“新たな疑惑証拠が大量にある”として、その続編制作を発表。これは相当世間を騒がせるドキュメンタリーになりそうだ。来春公開。/小学校の近くで焼きいも屋台を改装し、暴力団が覚醒剤を密売していた。なんという大胆さ。1日に30万を荒稼ぎしており、相変わらず薬物が暴力団の資金源になっている。前から何回も書いているけど、政府や警察はアルカイダのテロと戦うくらいの真剣さで暴力団に挑んでくれ。もし覚醒剤を売っていたのならアルカイダなら、国をあげて壊滅させるだろう。だが、暴力団ならそこまでしない。国民の生活を脅かす点では同じなのに。/7月10日にジョン・レノンの名曲『平和を我等に』の自筆歌詞がオークションにかけられるという。予想落札価格は5千万円前後。うーん、欲しい!/旅の醍醐味のひとつに“ご当地ソフトクリーム”がある。城崎で食べた“カニみそソフト”、小豆島で食べた“しょうゆソフト”、京都の“桜餅ソフト”“冷や奴ソフト”はもう一度食べてみたい。でも、このカキフライ・ソフトの写真にはびっくり。そのまんまだ!どうなんだろ、意外と美味しいのかなぁ。 5月17日…映画レビューばかり続いたので今日は最近チェックした時事ニュースを総まとめ。/今月12日に起きた四川省の大地震。死者は約3万人、負傷者は約20万人、さらにまだ1万人以上が生き埋めになっている。被害を受けたのはチベット族の少数民族が暮らす地域だ。ダム決壊の予測も語られており、恐ろしい事に危険なダムの数は800基にものぼるという。これから雨の多い時期になるので本当に心配だ。/一方、サイクロンで犠牲者13万人という凄まじい被害を受けたミャンマー。ところが各国からの支援物資を軍政が着服し、物資が被災者に届かず市場に「横流し」されているという。この状況でそんなことをするとは。ほんとあの軍政は終わってる。/長野の聖火リレーの時、福原選手の前に出てチベット旗を振ろうとした台湾の男性。彼の父はかつて中国で政治犯として死刑判決を受けた。そして「チベットで亡くなった人たちの事を考えると、ジッとしていられなかった」「気が付いたら飛び出していた」という(福原選手のことは知らなかった)。その動機を理解していれば厳重注意で構わないと思う。だが、長野県警は20日間も拘留し50万円の罰金を請求(威力業務妨害罪)。なんでそんな酷い仕打ちをするのか理解不能。※カンパが50万集まったそうです。/大きな事件が続くのであまり報道されないけど、金融庁から“武富士”に業務改善命令が出された。三和ファイナンスは悪質な取り立てで一部店舗の業務停止。アコムが問題になって広告を自粛する騒動があったのに、まったく懲りてない。/政府はアイヌ民族が先住民族と公式には認めていない。土地や資源の権利補償問題が起きるからだ。昨秋国連で「先住民族の権利に関する宣言」が採択されたことを受け、いま超党派の国会議員が、アイヌを先住民族と認め権利尊重をうたった国会決議文の作成に入っている。これで政府の見解が修正される事を願う。/米国の人口最大のカリフォルニア州で、「同性愛者同士の結婚を認めないのは違憲」とする最高裁判決が出た。同性愛を認めないキリスト教社会でこの判決が出たのは画期的。“好きになった人がたまたま同性だっただけ”という気持を、社会が“間違ってる”と言うことは、やっぱおかしいよ。/自殺について政府が全国規模で初のアンケート調査を実施した結果、本気で自殺を考えたことがある人は、全体の約2割にものぼったとのこと。自殺者の割合は男性が多いんだけど、“考えた事がある”と答えたのは女性の方が多かった。僕がなんとか頑張ってこれたのは次の2つの言葉に出合えたことが大きい。「その時は不幸だと思っていたことが、後で考えてみると、より大きな幸福のために必要だったということが、人生にはよくあるの」(フジ子・ヘミング)「人間が不幸なのは自分が幸福であることを知らないからだ。ただそれだけの理由だ。不幸の方だけを並べたてて、けっして幸福の方は数えようとしないのだ」(ドストエフスキー)。/エンジン&ドライバーを日本関連で構成した“夢の国産チーム”スーパーアグリが、F1界から涙の撤退。億を超える莫大な運営資金を調達出来なかった。去年のカナダGPで佐藤琢磨が王者アロンソを抜いたシーンは鳥肌モノだった。それだけに資金難で解散というのが残念っす。 /17日の『イロモネア』。番組がレギュラー化されて初めて栄冠を勝ち取った漫才コンビ“TKO”。心からおめでとうと言いたい。彼らは大手メジャーの吉本芸人ではなく松竹出身。デビュー18年目、37歳にしてついに全国番組で脚光を浴びた。下積みが長い分、ネタの引き出しも多い。これからさらにブレイクすることを祈ってます!
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5月16日〜『ためしてガッテン!』で披露される料理法には、発想の転換で生まれた目からウロコのものが多い。人気の定番メニュー17種の秘伝料理術をまとめたサイトがめっさ便利なので紹介!放送されたばかりの焼きそば編まで早くも加わっている。食べ物関連でもうひとつ。「最初に食べた人を尊敬したい食べ物」のランキング結果は、1位から順番に、くさや、納豆、ナマコ、フグ、ブルーチーズ、エスカルゴ、ドリアン、ツバメの巣、なれずし、くらげ、ウニ、ウナギ、タコ、あんこう、ヨーグルト、銀杏、コーヒー、きのこ、こんにゃく、キムチ。ナマコやタコを食べた人は、形が形だけにほんと勇気あると思う。//(映画レビュー続き)●ブラックブック(06)…この映画が放つ人々の生きんとする“熱”に圧倒された。主人公のモデルは実在したユダヤ人の女性スパイ。第二次大戦末期のナチス占領下のオランダを舞台に、ドイツ軍への抵抗運動を描く。本作はありきたりな反ナチ映画ではなく、独軍、連合軍、レジスタンス(抵抗ゲリラ)、ユダヤ、それぞれの勢力に、善人もいれば悪党もいることを描いた意味で画期的。主人公ラヘルは家族をナチスに皆殺しにされレジスタンスに参加。彼女は髪を金に染め、ドイツ軍大尉の秘書としてスパイ活動を開始し、占領軍の中枢に接近する。暗くなりがちな戦争ドラマにあって、盗聴器を仕掛ける場面や捕虜の救出作戦のハラハラ感、裏切りに次ぐ裏切りで、一体誰が味方で誰が敵かまったく分からなくなる後半など、ずっと手に汗を握りっぱなしで、立派なエンターテインメント映画に仕上がっていた。“もう敗戦は決定的だから今さら敵を殺す意味はない”と考えるドイツ将校もいれば、正義のレジスタンスが一枚岩でなかったり、連合軍がマヌケだったり、こんなに善悪の境界がない戦争ドラマも珍しい。友人ロニーがこれまた生命力が爆発していて、どこまでも生きる事に貪欲。エネルギッシュな彼女をみてるだけでクラクラする。2時間半の大作なのに、一難去ってまた一難、次々と大ピンチが主人公を襲うので、全く長さを感じなかった。奇才ヴァーホーヴェン監督の手腕は健在。92点。(Ama)【ネタバレ文字反転】→ナチスと戦っていたのに、戦後は連合軍に虐待され、さらに真の悪党が同志にいて、最後はイスラエルで中東戦争に遭遇するという極限状況のフルコース。解放後の糞尿地獄もエグかったけど、歌の上手い主人公が、彼女の家族を殺したナチ野郎のピアノ伴奏で歌う羽目になったシーンが何より辛い。そりゃ彼女も吐くよ…。よくあんなエゲツない設定を考えたもの。それでも彼女はへこたれずに、ひたむきに前だけを向いて生き抜いていく。ウサギの人参をかじったり、チョコ食って空を飛んだり、あのたくましさは見てるだけでこっちもタフになった気が。女優カリス・ファン・ハウテンの名は「苦しみに終わりはないの!」の迫真の叫びで不滅になった。●モンゴル(07)…独・露・モンゴル・カザフスタンの合作で、主役の青年テムジン(後のチンギス・ハーン)を日本の浅野忠信が演じるという国際映画。荘厳で雄大な風景の中で展開する英雄叙事詩。アカデミー賞にノミネートされ話題を集めた。遊牧民の日常生活が細部まで描写されており、異文化に触れる面白さもあって画面に引き込まれる。クライマックスの大軍バトルはかなりの迫力。ハリウッド資本じゃなくてもあんな大規模な合戦を描けると知って新鮮だった。中でも真っ先に二刀流で特攻していく黒鎧の騎馬部隊は男の魂萌え。印象に残ったのは雷についての会話。平原に暮らす遊牧民は雷を非常に怖がっているが、なぜかテムジンは平気。“なぜ怖くないのか”と問われた彼はこう答える「俺にはずっと、隠れたくても隠れる安全な場所がなかった。すると、そのうち雷が怖くなくなった」。孤独を強さに変えたテムジン。このセリフは雷以外にも人生の様々な局面に当てはまる名言だと思う。とはいえ、3つの大きな戦闘以外は物語全体の展開が荒っぽく、「いつの間にこうなったの?」「今、時間が飛んだ?」と思うシーンが何度か目についた。探している人間と広大な大地で偶然出会う場面には思わず“おいおい”とツッコミ。完全版が公開されるのではと思うほど。役者はGOOD。浅野忠信の演技力はさすが。大林監督の『青春デンデケデケデケ』で10代後半の彼を見た時は、まさか15年後にアカデミー賞の会場にいる俳優になるとは思いもしなかった。まだ30代半ばだし、良い俳優になったなぁ。80点。 | ||||||||
5月15日〜(映画レビュー続き)●秒速5センチメートル(07)…予告編。桜の花びらが舞い落ちるスピードは秒速5cmという。なんて詩的なタイトルか。この映画は一人の男の青春を、13歳・栃木編、17歳・種子島編、社会人・東京編と3話構成で描いたアニメ。上映時間は1時間3分しかないけれど、主人公と一緒に年を重ねた気がして、もっと長く観ていた気がする。新海監督の映像美は有名で、今回も気温や湿度まで伝わってくる圧倒的な美麗映像に度肝を抜かれた。最近のアニメは綺麗な絵が多いけれど、その中でも間違いなくトップクラス。詩心もたっぷり。特に第1話の吹雪の鉄道の描写、第2話の南洋の島の夏の夕暮れは、臨場感がハンパじゃなかった。種子島の豊かな自然とゆっくり進む時間が心地良く、マジであの島に住みたいと思った。ロケットの打ち上げも見たい!冬の北関東(1話)とは別の国のようで日本は広いと実感。10代の恋愛話にげんなりという人もいるだろうけど、僕にはぬるいどころか第3話はほとんどホラーに近いものがあった(汗)。山崎まさよしの名曲でたたみ掛ける衝撃の第3話は以下にて。82点。(Ama)【ネタバレ文字反転】→第3話はあまりに残酷。第1話で遠野とアカリはあんなに深く魂が結び付き、第2話でも他の女性に見向きもしなかったのだから、当然第3話で2人は結婚するものと思っていた。ところが、次第に文通の回数が減少し、ポストを眺めるだけに。結局アカリはとっとと他の男と結婚して幸せに暮らす。町ですれ違っても振り返らない(普通の映画ならあそこで振り向くのに!)。よく、男より女の方が現実的というけれど、遠距離恋愛の宿命を見せつけられた。っていうか、遠野のアホタレ!そんなにアカリのことが好きなら、なんで積極的に文通を続けなかったのか。東京で腐りきってるくらいなら、種子島に戻って澄田と幸せになれ!つか、絶対に澄田の方が良い!それから栃木編の外泊は映画的にNG。親が駅まで探しに来るに決まってるし、せっかく風景をリアルに描いているのに演出が非現実的で、「んなアホな」と一気に興醒めしてしまった。そもそも、僕が駅員なら大雪なのに待合室から追い出さない。キスもアウト。2人とも13歳なんて個人的に許せんッ(嫉妬全開)。このあたりがもっと奥手なら、異常なほど高得点になっていた。※澄田の飼い犬、犬小屋じゃなく金タライに入ってて可愛かったね。※ネタバレ動画(4分18秒)●ライラの冒険/黄金の羅針盤(07)…「黄金の羅針盤」「神秘の短剣」「琥珀の望遠鏡」で構成される3部作の第1部。製作費250億円という触れ込みだけど、今さらCG技術に驚くこともない。謎の解明は全部先送りにされているし、クライマックスも想定内のスケールだった。60点。しかし“ダイモン”のアイデアは面白い。“ダイモン”は人間の精神が動物の形となったもので、いつも本体の人間に寄り添っている。動物の種類は個人によって異なり、人間が死ねばダイモンも死ぬ。まさに『ジョジョ』のスタンドそのもの!●アイ・アム・レジェンド(07)…廃墟となったマンハッタンを野生動物が走り抜ける。NYで生き残っているのは主人公と愛犬だけ。ただならぬ雰囲気に冒頭から緊張感に包まれた。サバイバル映画かと思いきや、早い段階で分かる事だから書いちゃうけど、この作品はゾンビ映画、バイオハザードだった。一般のゾンビ映画と異なるのは、主人公が細菌学者なので、ゾンビから逃げるだけじゃなく、普通の人間に戻す治療薬を必死に研究していること。また本作のゾンビは罠を作る知能があるうえ動きも素早く手強い。夜になると襲われるので日没までしか外出できず、太陽の高さを見ながら行動するスリル感もあった。夕暮れ時、ビルの隙間からマンハッタンの地面に差す日光の描写が印象に残った。孤独感を紛らわせる為にマネキンに話しかける演出もいい。ストーリーが後半に向けて失速していったのが惜しい。劇中で何度も流れる音楽は、レゲエの神様ボブ・マーリィの曲。名曲「3羽の小鳥」と共にセリフでもボブの生き様が熱く語られ、ファンとしては嬉しかった。70点。もぬけのからのNYが後からCGと知ってビックリ。あれがCGなら、もう実写との違いは何もない。【ネタバレ文字反転】→感染した愛犬サムを自らの手で逝かせるウィル・スミスは名演を見せ、切なさが身に迫った。後半で生存者の存在を受け入れられなかったのは、それまで彼はあまりにも希望を失い続けてきたので、何かに期待する事、希望を持つ事が怖くてたまらなかったんだと思う。期待が大きいほど失望も深いからね。その意味であの“拒絶”はリアルな反応だった。 ※ボブ・マーリィの名曲『3羽の小鳥』YouTubeで発見!
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5月14日〜数日に分けて計12本の映画をいっきにレビュー。公開中の作品、DVDレンタル、いろいろです。●アポカリプト(06)…前作『パッション』で観客をエルサレム・ゴルゴダの丘に連れて行ったメル・ギブソン監督。徹底した時代考証は衣装や小道具だけでなく、キリストのセリフ(古代アラム語)にまで及び、見る者の度肝を抜いた。そして今作ではマヤ文明の中心地へ観客をタイムスリップさせる。もちろん全編マヤ語だ。主人公の青年は中南米の密林で平和に暮らす少数部族。ある日マヤ帝国の奴隷狩りに会い、村は壊滅し妻子と引き離される。奴隷は太陽神への生け贄であり、心臓を取り出される運命にあった。主人公は妻子と再会する為に決死の逃亡を敢行。迫りくる追っ手を振り切るべく、逃げる、逃げる、逃げる。後半はずっとジャングルを走り続けており、見てるだけで胸がゼーゼー苦しくなる。しかし、走りながらも頭脳戦で不利な状況からランボー並に反撃していくのがカッコイイ。凄惨な場面が多いので万人にお勧め出来ないけど、マヤ帝国に行ってみたい人は是非。密林が開けてマヤの全景を見た瞬間、スケールの大きさに絶句するだろう。ラストも劇的な終わり方だ。85点。(Ama)●ハチミツとクローバー(06)…原作で最も重要な、そのシーンがなくては作品が成り立たないという場面がカットされている、ファンにとっての怨念天誅映画。主要キャラ全員で四つ葉のクローバーを探すシーンをカットし、ハチミツのエピソードもカットし、それでどうして『ハチミツとクローバー』を名乗れるわけ?蒼井優がヒロインを熱演し、櫻井翔の好演もあって最後まで観られたものの、脚本の改悪にホトホト閉口した。悔し涙の25点。●トランスフォーマー(07)…味方のロボたちの性格は一癖あって面白い。メカのバトルは迫力があったけど、カメラワークが速すぎて何をやっているのか分からず。アトラクション・ムービーとしては退屈しなかったので続編も見に行くと思う。内容の薄っぺらさは最初から覚悟していたので怒りはなし。60点。●魔法にかけられて(07)…ディズニー映画のパロディが満載のラブコメ。悪い女王に騙されて、お姫様がディズニーのアニメ世界から現実のNYに飛ばされてしまう。そして王子も彼女を追って今のNYへ。この設定で面白くないはずがない。実際、僕も序盤から楽しく笑っていた。その笑いが凍りついたのは掃除のシーン。お伽噺ではプリンセスが家を掃除する時に可愛いバンビやリスが手伝ってくれるけれど、NYで集まってくるのは蝿、ゴキブリ、ネズミ、鳩。それ自体はウケたけど、ケガで片足しか使えない鳩の描き方に絶句した。この傷ついた鳩も懸命に手伝おうとするんだけど、片足なのでコケたり何をしても上手く行かない。ギャグ・シーンとして作られていたけど、僕は笑えなかった。権力者をコケにするようなブラック・ユーモアは好きだけど、体が不自由な鳩を使ったイジワルな笑いは最低だ(僕は父が障害者なので余計に敏感なのかも)。どうしてディズニーは家族映画にこんなシーンを入れたのだろう。不自由な体を笑う、これが弱肉強食社会・アメリカ的な笑いなのか?しかもその鳩は、一緒に掃除を手伝ったゴキブリを最後にパクリ。大画面で鳩がゴキブリを食べる様子を見せられ吐き気がした。今もまだキツい。この一連のシーンがなければ80点をつけても良い映画なので本当に残念。30点。●キサラギ(07)…若くして死んだ女性アイドルの熱烈なファン(5人)が集まり、死因を解明していく。無数に張り巡らされた伏線が、ラストに向けて一気に収束していく神脚本に鳥肌が立ち、本編を見ている時は「うおお、10年に1本の傑作だ!」と激興奮していた。ところが、スタッフロールが流れてから興醒めするシーンが挿入され、「今までの2時間は何だったんだ…」とガックシ。たった30秒ほどの余計なシーンで、日本映画史に残る世紀の名作がフツーの映画になってしまった。もしエンディングを変えた特別編が公開されたら1億点献上ッ!【ネタバレ文字反転】→ |