日本のメディアは権力中枢と距離を置け
2014.4.9

2013年末に新宿駅や赤坂見附駅に掲示された朝日新聞の広告がツイッターで流れてきて、僕はポスターのコピーに唖然とした。そこには「総理大臣に一目おかれる国民になりたい」とあった。僕の感覚では「国民に一目おかれる人物になりたい」だ。リベラルとされている朝日新聞がこんなゴマすり広告を出す時代になった。産経でさえ、こんな露骨な広告を出さないのでは。
   
※画像はツイッターから。新宿駅、そして赤坂見附駅

まったく、日本のメディア経営者の安倍氏とのズブズブっぷりは目にあまる。保守系の読売・産経だけじゃなく、朝日・毎日だって安倍氏と会食している。欧米のマスコミは暗黙の了解として、メディア経営者は現職の首相・大統領とは接触を控えている。権力との癒着に繋がったり、国民の信頼を損なう恐れがあるからだ。また、複数の欧米諸国では、読売新聞=日テレ、朝日新聞=テレ朝のように、新聞社と放送局が系列となる「クロスオーナーシップ」を禁止・制限する制度が設けられている。なぜなら、新聞社とテレビ局が同系列だと互いに批判できなくなるからだ。情報のチェックだって甘くなる。
政府が公表している「首相動静」から判明した、昨年一年間の安倍氏とメディア関係者の会食は、分かっているだけでこんなにある→
(朝日と毎日は右翼から“左翼メディア”と敵視されているけど、裏では安倍氏と会食。あえて赤字で表示。読売は青字)


1月7日 読売新聞・渡辺恒雄会長/丸の内パレスホテル東京内「和田倉」
1月8日 産経・清原会長、熊坂社長/赤坂ANAホテル内日本料理「雲海」
1月10日 報道関係者 赤坂の日本料理店
2月7日
朝日新聞・木村伊量社長/帝国ホテル内中国料理店「北京」
2月14日 産経新聞・清原武彦会長/芝公園のホテル内中国料理「陽明殿」
2月15日 共同通信・石川聡社長/白金台の日本料理店「壺中庵」
3月8日 日経新聞・喜多恒雄社長/帝国ホテル内フランス料理店「レ・セゾン」
3月13日 報道関係者/赤坂の会員制クラブ
3月15日 フジテレビ・日枝久会長/芝公園のフランス料理「レストランクレッセント」
3月22日
テレ朝早河洋社長/首相公邸
3月28日
毎日新聞・朝比奈豊社長/ホテル椿山荘東京内日本料理「錦水」
4月4日 朝日・蘇我政治部長、時事通信・田崎解説委員、読売・小田解説委員長ら/山王パークタワー内中国料理「溜池山王 聘珍樓」
4月5日 日本テレビ・大久保好男社長/帝国ホテル内宴会場「楠」
5月7日 時事通信西沢社長、田崎史郎解説員ら/東京・丸の内パレスホテル東京内日本料理店「和田倉」
5月8日 読売新聞・渡辺恒雄会長、大久保好男日テレ社長ら/公邸
5月10日 タレント・みのもんた氏ら/公邸
5月14日 中日新聞小出宣昭社長、東京新聞長谷川幸洋論説副主幹/東京・西麻布のフランス料理店「彩季」
5月16日 ジャーナリスト・田原総一朗氏/公邸
6月12日 報道各社の論説委員/東京・赤坂の中国料理店「赤坂璃宮」
6月20日 福井新聞・吉田真士社長、河北新報・一力雅彦社長、信濃毎日・小坂壮太郎社長、静岡新聞・大石剛社長、京都新聞・白石方一会長兼社長/東京・虎ノ門のホテルオークラ中国料理店「桃花林」
6月25日 ジャーナリスト桜井よしこ/公邸
7月1日 読売新聞・飯塚恵子論説委員ら/東京・飯田橋のホテルグランドパレス内の日本料理店「千代田」
7月22日 朝日木村伊量社長、時事通信加藤清隆解説委員、ジャーナリスト後藤謙次氏ら/東京・永田町の日本料理店「黒沢」
7月24日 船橋洋一元朝日新聞主筆ら(昼食)/公邸
7月24日 報道関係者ら(夕食)/東京・永田町の赤坂エクセルホテル東急レストラン「赤坂ジパング」
8月2日 月刊誌WiLLの花田紀凱編集長ら/公邸
8月16日 日枝久フジテレビ会長/富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」バーベキュー
8月18日 日枝久フジテレビ会長/山中湖村のホテルマウント宴会場「メヌエット」
8月20日 日枝久フジテレビ会長/富士吉田市のゴルフ場「富士桜カントリークラブ
8月22日 福山正喜共同通信社長ら報道関係者/赤坂の会員制クラブ「アークヒルズクラブ」
9月10日 読売新聞・渡辺恒雄会長ら報道関係者/丸の内のパレスホテル東京内日本料理店「和田倉」
9月12日 報道関係者/赤坂の中国料理店「赤坂飯店」
9月14日 政治ジャーナリスト・末延吉正氏ら/山梨県鳴沢村の「鳴沢ゴルフ倶楽部」
10月12日 作詞家・秋元康氏/秋元氏邸で昼食
10月17日 元担当記者/東京・永田町の赤坂エクセルホテル東急内のレストラン「赤坂ジパング」
10月23日 BS朝日のインタビュー/東京都渋谷区本町の焼肉店「カレア」
※11月8日 安倍氏と思想的に近い百田尚樹氏、長谷川三千子氏ら4名がNHK経営委員に就任決定。
11月13日 石井直・電通社長、見城徹・幻冬舎社長/公邸
※11月26日 秘密保護法・衆院強行採決
11月27日 俳優・津川雅彦氏/イタリア料理店「ICONIC」
12月2日 読売新聞・渡辺恒雄会長ら/日本料理店「和田倉」
12月6日 秘密保護法・参院強行採決
12月16日 田崎史郎 時事通信解説委員、島田敏男 NHK解説委員、山田孝男 毎日新聞専門編集委員、曽我豪 朝日新聞政治部長ら/東京・永田町の中国料理店「溜池山王 聘珍樓」
12月26日 靖国神社参拝。夜、東京・赤坂のANAホテル内の日本料理店「雲海」で報道各社の政治部長らと2時間以上にわたって会食。
※2014年1月25日 安倍氏と親密な籾井勝人(もみい かつと)氏が「NHK会長」に就任


会食の回数は42回。渡辺恒雄氏と頻繁に会っていることからも、読売グループが全力で安倍氏を支えているのが分かる(読売は積極的に原発を推進)。こんな状況でメディアが権力を監視できるのか。

安倍応援団の金美玲氏が関西の“たかじん”番組で「(オバマが)白人だったら、あのレベルの政治家ではね、大統領に当選しなかった」(能力も無いのに黒人だから大統領になれた)と人種差別発言をしたのは、読売系列の番組で気が緩んだからか。靖国参拝の前に、NHK、朝日、毎日、時事通信の幹部を、参拝後に各紙政治部長を集めて食事しているのがストレートすぎて脱力…。産経の接待が殆どないのは事実上の自民機関誌だから調略の必要性がないのだろう。ちなみに安倍政権の官房機密費(使途非公開)は発足1年2カ月で約17億円。毎日400万円使った計算。

※日本新聞協会は「あらゆる権力から独立したメディアの存在」によって国民の知る権利は保障されると“倫理綱領”を定めている。
日本の“報道の自由度”は下がる一方だ。2014年2月、国際NGO「国境なき記者団」(本部パリ)が『世界報道の自由度ランキング2014』を発表。2010年にはトップクラスの11位であったのに、東電原発事故後に22位となり、2013年には53位、昨年末の秘密保護法の可決で59位まで下がった。これは台湾(50位)や韓国(57位)を下回り、主要先進国で唯一、評価基準「顕著な問題がある国」に振り分けられた。今秋、本格的に秘密保護法が適用され始めると、さらにランキングは急降下するかも…。日本のメディア関係者は危機感をもって欲しい!



【権力者の手に落ちたNHK。もはや公共放送といえず政府の宣伝機関、大本営】

最近のNHKは、天皇陛下が誕生日に出したコメントから「占領下の日本は平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法を作り、様々な改革を行って今日の日本を築きました」「当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」という部分をカットして流さなかったり(時間に余裕のある『ニュース9』で流さないのは意図的としか思えない)、秘密保護法の問題点を国民に伝えず政府の建て前ばかり伝えたり、靖国参拝が世界から批判されたときも「なぜこのタイミングか」と時期的な話題に終始し、戦争指導者の合祀や政教分離問題を検証しなかった。アンネの日記を破った犯人が逮捕された際に「動機に思想的な背景はないとみられています」と警察発表(?)をそのまま報道したのも違和感。だって、アンネ本どころか杉原千畝さんの伝記まで破り捨てたのは、どう考えても思想的背景があるからじゃないか。イタズラの域を超えている。掘り下げないと問題解決に至らない。

新しくNHK会長に就任した、極右的傾向のある籾井勝人(もみい かつと)氏を恐れて、制作現場が“自己規制”しているのだろうか。籾井会長は2014年1月25日の就任記者会見で慰安婦問題について、「戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓(娼館)があるのか」と個人的見解を述べた。とんでもない開き直りだ。リンク先で関東学院大・林博史氏が丁寧かつ明快に反論している。
籾井会長がオランダを引き合いに出したのは最悪中の最悪。日本軍は占領下のインドネシアで、オランダ人女性35人を脅迫して慰安所に強制連行・強姦しており、この「白馬(スマラン)事件」は少しでも戦史を学んだ者なら誰でも知っていることだ(事件当事者の大久保大佐は戦犯法廷の公判中に自殺)。連行されたジャン・ラフ=オハーンさんは慰安婦の存在さえ否定する最近の日本の政治家の態度を見て激怒し、慰安婦像設置に協力することを決心。シドニーの慰安婦像は韓国人、中国人、白人の少女が手を取り合う形で設置される予定とのこと。オハーンさん「日本はその蛮行を証言する私たちがみんな死ぬのを待っているのだろう。反省しない日本政府は絶対に許せない。私は決して死なない。安倍首相から謝罪を受ける日までは」(リンク)。イラク・サマワに派遣された自衛隊をオランダ軍は守ってくれたのに、よくオランダを例えに出せるもの。

右派論客は「朝鮮半島の慰安婦募集で、仕事内容を“看護婦”“給仕”などと騙したのは朝鮮人ブローカーであり、日本軍は関係ない」というが、欧米の価値基準では女性の自由意思に反して性行為を強要したこと自体が大問題で、まして軍の要請で設置された慰安所であり(軍医が性病を検査)、糾弾を免れることはできない。国際社会のモラルでは、軍管理の慰安所に送られ、そこで売春を強要されれば「強制連行」と見なされるのだ。“人さらいのような方法で強制連行はしていない”と、方法論を弁明することが、国際社会でどれほど恥ずべきことか安倍氏周辺は分かっていない。籾井会長は秘密保護法についても「(法案は国会で)通ったこと。あまりカッカする必要はない」と問題点の追及に消極的な姿勢を示している。

2月に入ると、籾井会長の独裁ぶりを伝える事例が露わになった。会長就任初日に、10人の理事全員に日付なしの辞表を書かせて預かったのだ。“いつだってクビにできるぞ”という脅しだ。国会で追及された籾井会長は「辞表を預かったことで理事が萎縮するとは思わない。一般社会ではよくあることだ」と述べ、問題はないとの認識を示した。そんなわけあるか。籾井会長は日本ユニシスの元社長だが、役員は辞表を提出して働いちゃいない。
※3人の元NHK職員が現状を語った座談会。さすがに詳しい。

そして安倍氏の同志であり、NHK経営委員となった百田尚樹氏。公共放送の経営委員が選挙で特定候補の応援をするのも論議があるのに、百田氏は都知事選の田母神候補の応援演説で他の候補者について「人間のクズ」とマイクで罵倒。「人間のクズ」なんて拡声器を使って言う言葉か?百田氏はこの応援演説で「南京虐殺はなかった」と持論をまくしたてた。開いた口が塞がらない。こんな人物に年間給与2206万円という驚愕報酬をNHKは出すのだ。僕は氏の小説を映画化した『永遠の0』を観た。日本軍を過度に美化することなく不条理も描かれ、主人公は生命を大切にしているし素直に良い映画と思った。役者も上手い。ただ、あの映画は神風特攻の強制性、作戦の必要性の疑念など、本当の負の面を描いていない。以前に書いたコラムのリンクを貼っておきます。

「独裁というのは行政府が重要な政策を立法府の審議に委ねず、閣議決定だけで実行してしまう政体のことです。行政府への権力の過剰な集中のことを「独裁」と呼ぶのであれば、安倍政権はあきらかに独裁を志向していると言わざるを得ない」(内田樹・思想家)
先月13日、東京新聞は第一面で『首相、立憲主義を否定 解釈改憲「最高責任者は私」』と書いた。憲法第9条を変えなくても、首相の解釈で武力行使できるという。この発言に阪田雅裕・元内閣法制局長官は「選挙で審判を受ければいいというのは、憲法を普通の政策と同じようにとらえている。憲法は、国家権力を縛るものだという、『立憲主義』の考え方が分かっていない」と批判。

 

ことここに至って、自民党内部からも安倍氏への批判が噴出し始めた。古賀誠・元自民幹事長「立憲主義として、とても考えられない。普通なら予算委員会が止まるほどの大騒動」「みんな首相のポチになっている」「(「最高責任者は私だ」発言について)愚かな坊ちゃん的な考え方だ」。村上誠一郎・元行政改革担当相「解釈変更は法の安定性を害する」「閣議決定で(憲法解釈を)変更できるなら一晩で変えられることになる」「法案が出てきたら、議場で反対せざるを得ない」。野田毅党税調会長「(見直しが)なぜ今なのか、専門的な議論をしなければならない」。武見敬三参院議員「シビリアンコントロール(文民統制)を明確にすべきだ」。船田元・党憲法改正推進本部長「集団的自衛権を認めるケースはかなり限定しないといけない」。
原発政策についても、伊吹衆院議長はフェイスブックに「私たちは脱原発に舵を切った」と書き、再稼働に突き進む政権中枢と異なる立場を表明している。自民・良識派に心からエールを送りたい。戦後の自民の強さは、リベラルの故・三木首相を輩出したような懐の深さ。新自由主義者から自民党を取り戻して欲しい。

 

旨い寿司をほおばり、我が世の春を謳歌する、安倍氏、百田氏、籾井会長、長島昭久議員、下村博文議員、前原誠司議員ら、自民&民主タカ派の面々。場所は金美齢氏の事務所(画像はツイッターより)。





【2014.11.13追記 ここまでやるか、NHK】

宮崎駿監督がアカデミー特別賞を受賞した際の報道が、NHKと東京新聞でまったく異なる。NHKは監督の反戦コメントを丸ごとカット!


●NHKニュース(2014.11.9/ 文面はアナウンサーが読み上げたもの)




●東京新聞(2014.11.10)



安倍政権とベッタリのNHKは、集団的自衛権容認で戦地に自衛隊を出そうとしている安部氏への配慮からか、宮崎監督のこんな重要な
メッセージを流さない。政権の顔色をうかがい、“報道しない自由”ばかり行使し、それで公共放送を名乗って恥ずかしくないのか。


自民党が衆議院解散の前日(2014/11/20)、大手テレビ各局に対して、選挙報道の「公平中立」を求める文書を渡したことが波紋を呼んでいる。報道機関に対する政党からの申し入れは珍しいことじゃない。でも、出演者の発言回数・時間や、ゲスト出演者の選定、取り上げるテーマや街頭インタビューの内容など、政権与党が報道の内容にここまで具体的に指示を出した例は前例がない。また、文書を送るという形ではなく、各テレビ局の責任者を個別に呼び出して文書を直接手渡したのも特徴的。
一見、“公平中立を求めるなら良いじゃないか”と思いがちだけど、野党の弱小政党が「巨大与党に有利な報道に偏らないで欲しい」と訴えることと、巨大与党がこのタイミングで「公平・中立」を念押しすることは、意味合いが全く異なってくる。「権力の言うことを聞け」と言えば問題になるため、「公正・中立に」と言い換えているだけだ。与党が報道機関から厳しい目で見られるのは、政策決定権を持っている以上先進国では当たり前。こんな通達を出されては、番組制作者は公平を意識しすぎて政権批判を自主規制せざるを得なくなる。結果的に批判を許さないと言っているに等しい。
自民の「要望書」の内容(写真がリンク先にアップされている)→
・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたい
・ゲスト出演者の選定についても公平中立、公正を期していただきたい
・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたい
メディア法が専門の田島泰彦上智大学教授「これは、要望という範囲を超えていて“恫喝”という印象を与えかねないもの」「こんな文書を政権与党が報道各社に渡すなんて、欧米の政権とメディアの関係だったらあり得ないです。政権与党に呼びつけられた時点で、(メディア側が)拒絶するのが普通でしょう。時の政権与党がメディアの責任者を呼び出して「恫喝」めいた文章を渡し、テレビ局も、その事実を報道することもなく、黙って従っている。現政権とメディアの関係は、完全な「上下関係」ともいえる段階に来ています。非常に深刻な状況だと思います」(参考リンク)。マスコミは今回の通達に対して抗議キャンペーンを展開し、国民全体に問題提起するくらいの気概が欲しい。

ちなみに、問題の文書を書いたのは自民党総裁特別補佐・萩生田(はぎうだ)光一議員。また超タカ派のこの人か!先日『週刊朝日』はスクープ記事『安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪”』で、カルト右翼宗教・統一教会主催の10月のイベントで萩生田氏と参院運営委員長・中川雅治議員(秘密保護法を強行採決した委員長)が来賓挨拶を行ったことをスッパ抜いてた。普通は周囲の目を気にして訴訟沙汰になったカルト宗教とは距離を置くもの。萩生田氏は安倍氏の寵愛を受けてもはや怖いものナシなのか、堂々と会場に行っている。現場にいた信者さん「会場には国会議員だけでなく、自民党の近藤充都議なども来賓として出席。信者800人以上が参加していたので超満員でした。国会議員が『今日はこんなにたくさんの方が集まっていただきありがとうございます』『家庭の教育が大事』などと壇上から統一教会に気を使った内容の挨拶をすると、大きな拍手がわき起こりました」(週刊朝日12月5日号)。

メディアへの自民の「要望書」が効いたのか、俳優・菅原文太さんの訃報当日、文太さんが熱心に取り組んでいた「脱原発」「反秘密保護法」「集団的自衛権反対」といった活動を伝えたのは、『報道ステーション』と『NEWS23』のみだった。NHKは夫人のコメントから「日本が再び戦争しないよう声を上げる」というくだりを丸々カットして放送。文太さんに関する自主規制は、翌日のワイドショーでさらに酷いことに。保守路線の日テレ系『スッキリ!!』『情報ライブ ミヤネ屋!』が一切触れないのはともかく、TBS系『ひるおび!』までが映画俳優の足跡だけを特集し、政治活動については全く報道しなかったとのこと

憲法第99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある。どうして文太さんの「護憲」「反戦」がタブーになるのか。改憲を訴える憲法軽視発言がタブーになるのではく、憲法尊重の姿勢がタブーになる異常。安倍氏の再登板からたった2年で、こうも世の中が変わってしまうとは…。
※先日の『朝まで生テレビ!』では、パネリストとして出演予定だったリベラルな評論家・荻上チキさんが直前になってテレ朝から出演を取り消されている。


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日経BP『田原総一朗の政財界「ここだけの話」』から
→(選挙前に自民党からテレビ局に送られた要望書には)出演者の発言回数と時間は公平を期す、出演者の選定には公正中立を期す、特定政党出演者への意見が集中しないようにする、街頭インタビューや資料映像などでも一方的な意見に偏らないようにする、これらが「お願い」する形で書かれていた。これほど具体的な内容は「お願い」ではなく、報道に対する不当な介入ではないか。実際に番組を製作する場合、スケジュールの都合で一部の政党が抜けることもあるだろう。出演時間も発言回数も公平にしようとすればテレビ番組を成立させるのは難しくなる。
実は11月18日夜、安倍首相がTBSの「NEWS23」に出演した際、番組でアベノミクス批判の街頭インタビュー映像を並べたことに対して、安倍首相が強い不快感を示していた。そうした背景があって、20日付で文書がテレビ各局に送られたのかもしれない。朝日新聞が28日付で報じると、日本民間放送労働組合連合会が同日、「政権政党による報道介入に強く抗議する」との連合会委員長の談話を発表した。しかし、在京各局からの抗議が出てこないのは、テレビ各局がすでに萎縮しているせいではないかと懸念せざるを得ない。そうなると、特定秘密保護法の行方が気になる。
「特定秘密」の内容が曖昧であること、法律の運用をチェックできるかどうか不安があることなどが強く指摘されたにもかかわらず、十分な審議を行うこともなく法律は昨年12月に成立した。その後、政府は今年10月に法律の運用基準について閣議決定したが、監視機関の問題一つとってみても、その不安要素は解消されていない。法の運用を監視するために「独立公文書管理監」が置かれるが、同管理監は各省庁の局長よりランクが下の審議官クラスから選ばれる。しかも、内閣府に設置される「情報保全監察室」に属することになり、その独立性が確保できるのか、監視機能が十分に果たせるのか、懸念される。
安倍首相は特定秘密保護法案によって「報道が抑圧されるような例があったら、私は(首相を)辞める」と発言している。しかし、今回のように衆院選報道をめぐり要望書が提出されるような状況を見ると、その言葉を素直には受け取ることはできない。政府は今、メディアに対する規制を強めようとしているのではないか。今回の要望書のようなことが重なると、メディアはどんどん萎縮してしまうだろう。それはとても危険なことである。(元記事







《時事コラム・コーナー》

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★アフガン・伊藤和也さんを悼む
★パレスチナ問題&村上春樹スピーチ
★チベット問題について
★普天間基地を早急に撤去すべし
★マジな戦争根絶案