玉手箱を開けて老人になった太郎。室町時代の『御伽草子』(おとぎぞうし)から |
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東神奈川駅の近くにある成仏寺。ローマ字 で有名な米国人ヘボンが本堂に住んでいた |
成仏寺の庭には亀の形に石が配置されている |
「竜宮が恋しい」と太郎が 腰掛けて泣いた「涙石」 |
付近の鉄柱は全部亀! |
地図に「龍宮橋」とあったので“これはスッゲー観光名所なハズ!”と たどり着いたら、めっさ超フツーの橋。ガクッ。地元の人に慰められた |
橋の反対側は「龍宮橋」の文字さえツタで覆われて見えなかった。 横浜市はまったくこの橋に興味をもっていないようだった… |
太郎ゆかりの慶運寺。門前の石碑が江戸時代の浮世絵に 描かれており(右図)、古くから観光の名所だったようだ |
巨大石碑には「浦島観世音浦島寺」と刻まれていた。 側の看板にも「うらしま寺」と併記されている |
石碑を背負う巨大な亀。耳と巨大な尾が 付いていることから聖獣の亀趺(きふ)だろう |
慶運寺の本堂。当地は幕末に フランス領事館が置かれていた |
境内には浦島父子塔が建つ。この寺には太郎が龍宮城から持ち帰ったという亀乗 浦島観音立像が現存し(写真は境内の看板から)、12年に一度、子の年に開帳される |
そして、ついに墓のある蓮法寺に到着! | 石庭には石亀が泳いでいた(笑) |
浦島父子の墓所。どちらの供養塔が太郎かは、文献が残って おらず、住職も分からないという。敷地には漁師たちの墓がある |
中央の亀塚はとても愛嬌のある顔 (*^o^*) この地は漁師の町だった |
慶運寺の浦島観音を写した石仏。 漁師が拝むと大漁になるとのこと |
浦島太郎の物語は数ある昔話の中でも非常に古くから伝わっており、『日本書紀』や『万葉集』という最古級の文献に登場している。
古文書に出てくる彼の名前は水江浦嶋子(みずのえのうらしまこ)。『日本書紀』雄略紀や丹後国『風土記』、905年に編纂された『延喜式神名帳』の“浦嶋神社(宇良神社)”の項を総合すると、丹波国与謝郡(京都北部)の筒川の漁師、浦嶋子は478年7月7日に姿を消し、それから347年後の825年に帰ってきたという。当時の淳和天皇はこの話にたいそう驚き、浦嶋子を筒川大明神と名付け、勅命を受けた小野篁(たかむら)が浦嶋神社を造営し嶋子を祀ったとのことだ。※この神社は京都府伊根町(旧・筒川)に現存する。篁は小野妹子の子孫で小野小町の祖父。 初期の浦島物語は現在知られているものと少し異なっている。ある日、浦嶋子が大亀を釣り上げると、亀は美しい乙女に変身して自分が海神の娘・亀姫(乙姫)であること、以前から漁をする嶋子に恋していたことを告げ、“夫婦となって愛し合いましょう”と告白した。愛を受け入れた嶋子は遠く海を越えて蓬莱山(伝説の理想郷)に案内され、宴の夜に2人は結ばれる。室町時代の『御伽草子』の頃から蓬莱山が龍宮城として定着し、さらに1910年(明治43年)に国定教科書に載った際に、出会いの場面が“女性から告白するのは不謹慎”とされ、浜辺で子供達にイジメられていた亀を助けた恩返しに龍宮城へ案内される物語に、大幅に書き換えられた。
蓬莱山で御馳走を食べ、歌い踊りながら亀姫と幸せに暮らしていた浦嶋子だが、3年目になると故郷の父母が気になり始め、「少しの間だけ帰らせて欲しい」と亀姫を説得した。亀姫は「必ず戻って来るという証にこの玉手箱を大切に持ち、けっして開けないで下さいね」と箱を渡した。
※玉手箱は女性の命ともいえる櫛や化粧道具を納めるもの。これを大事にするのは浮気をしないということ。
さて、浦嶋子が故郷の筒川の里に戻ってみると付近の様子が一変しており、両親どころか家も消えている。村人との会話で、既に300年も経っていた事が分かり彼は絶句。猛烈な孤独感に襲われると亀姫が恋しくなって、思わず玉手箱を開けてしまう。白い雲が立ちのぼり途端に彼は白髪の老人になってしまい、涙を流しながらどこかへ去って行ったという。万葉集(巻九)のオチはもっと悲惨で、“箱を開ければ世界が元に戻るかも”と思って開けたところ、一気に老いてそのまま絶命してしまう。
『風土記』版は最後に“後の人が作った歌”を紹介している--「水の江の 浦嶋の子が 玉匣(たまくしげ、玉手箱) 開けずありせば またもあはましを」(浦嶋子は玉手箱を開けさせしなければまた会えたのに)
さて、なぜ浦島太郎の墓が横浜にあるのか。物語の舞台となった京都の丹後半島とはあまりに遠い。しかし、神奈川には実に様々な言い伝えがある。伝承では太郎の父親は元々相模国(神奈川)の人間で、赴任先の丹後で太郎が誕生したという。亀姫の一件があって300年後に戻って来た太郎は父が故郷に眠っている事を知り、竜宮城のお土産の観音菩薩像を背負って墓参の為に神奈川を目指した。今の横浜市浦島丘で急に背中の観音様が重くなり、そこが父の眠る場所と悟ったという。そして菩提を弔うために観福寿寺(通称・浦島寺)を建て、本尊として観音菩薩像を安置した。
異説では龍宮城から戻った太郎が“両親に会いたい”と観音菩薩に祈ると、夢の中で“私を背負い関東へ行け”とお告げを受ける。太郎は三浦半島で浦島家の9代後の子孫から、横浜市浦島丘に両親の墓があると知らされたという。
戦国期の浦島一族は神奈川で成功し、小田原北条氏の治世では浦島和泉と呼ばれ、江戸時代の記録(新編相模国風土記稿)にも浦島清五郎という大庄屋がいて、丹後国の浦島家の子孫と記されている。
明治元年に観福寿寺は火災で焼け落ちたが、太郎が納めた亀乗聖観世音立像は無事に運び出され、付近の慶運寺に安置され現在に至る。
★先述したように浦島伝説の記録が古いこともあって、太郎ゆかりの地は国内に116カ所(!)も伝えられている。 ●丹後半島の伊根町の浦島神社には玉手箱が現存している。ただし、中身は煙ではなく室町時代の化粧道具。太郎が龍宮城から帰ってきた時の「龍穴」も伝わる。近隣の網野町には、浦嶋子の名を冠した「島児(しまこ)神社」があり、太郎と乙姫が出会ったとされる場所には、彼女を祀った西浦島神社がある。
●香川県西部の荘内半島・詫間町も浦島関連地として有名。町の伝承では、太郎の父は“与作”、母は“おしも”、生里が太郎の生地とされている。太郎が亀を救ったとされる海岸には浦島神社があり、玉手箱を開けた場所は“箱浦”と呼ばれ、そこに浦島父子の墓がある。亀は沖合いの粟島に葬られといい、亀戎社が建つ(いつかコチラにも墓参したい!)。
●長野県南部、上松町の木曽川上流の景勝地・寝覚ノ床には故郷を捨てた太郎が訪れ、この地で玉手箱を開けたという。老人になった太郎は長い夢が終わり目覚めたように感じたことから“寝覚ノ床”の名がついた。同地には浦島大明神を祀った浦島堂や、太郎がうたた寝した床岩も伝わっている。
●九州の浦島伝説では龍宮城が「琉球城」とされ、沖縄に渡ったことになっている。薩摩半島の最南端の岬には乙姫を祀る龍宮神社もある。龍宮と琉球は響きが似ており、これも面白い。 【世界各地に“戻って来たら未来になってた”というオチの物語がある】
●『洞庭湖の竜女』(中国)。作品の舞台は海ではなく湖だが、姫に渡された玉手箱を開けると白い煙が出てきて老人になる展開までそっくり。最後は煙を浴びた主人公が湖のほとりで野垂れ死ぬ。合掌。
●『鯉を放ち龍女を得る』(韓国)。日本版では玉手箱の用途がハッキリしないが、韓国版では箱に呪文を唱えると、海が割れ龍宮城から陸に続く道が現れる。陸で箱を開けた為に使用不能になり、龍宮城に戻れなくなる。
●『ギンガモール』(フランス)。騎士が理想郷から故郷へ戻ったら、既に300年経ってたというのが一緒。玉手箱でなく、リンゴを食べて老人になっちゃうのが欧州っぽい。 ●『不死の国』(ロシア)。こちらも理想郷に300年滞在している(300年というのは特別な数字なのかも)。望郷の念に取りつかれた主人公は「故郷が恋しくてたまらない。若さや永遠の命は、もうこの胸を熱くしない」と故郷へ戻るが、親も友人も愛する人は全て他界していて絶句する。永遠の命が必ずしも幸せではないというメッセージが哲学的。 ●一番ブッ飛んだ説は日本発の「宇宙旅行」説。風土記の中で浦嶋子が蓬莱山で昴(すばる、プレアデス星団)と畢(あめふり、牡牛座)という名前の童と会っていること、アインシュタインの理論によると物体が光速に近づくほど時間のスピードが遅くなることから、亀型のUFOに載った太郎が帰ってきた時に地球の時間が先に進んでいたというのだ。 ※龍宮城の周囲には春夏秋冬が同時に存在したという。季節が移ろわない=時間が止まっていることの暗示だ。 ※丹後から神奈川へ向かう旅路で、玉手箱を開いた場所が“箱根”という説もある。 ※浦嶋子の祖先は月読命(ツキヨミノミコト)とも言われている。月読命は天照(アマテラス)大神の弟でスサノオノミコトの兄。
※浦島関連の主な参考サイト
http://enkan.fc2web.com/minwa/urasima/00.html |
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